江崎仁美は羊のような巻き毛をした新道寺女子高校の元中堅、そして麻雀部を引退し受験を控えた3年生である。
その仁美は1枚の紙を前に不敵な笑いをこぼしてストローからジュースを一口。
「なんもかんも政治が悪い」
『いやいやいや、テストの成績と政治は関係ないですよね』
「ペーパーテストで個人の実力を測る制度自体が時代遅ればい」
教育委員会に正面から喧嘩を売るセリフに、彼女の網膜に映る『京太郎』は我慢しきれずに仁美のテストの点数を覗き込む。
『え、ちょ、97点? 何が不満なんですかこれで!?』
思わぬ高得点に驚きを隠せない『京太郎』。てっきりテストが悪かったから政治のせいにしたのかと思いきや、事実は全く違った。
「第3問、2年前の論文で正答がかわっとたい。ばってん教科書に反映されるのに少なくて5年、おそかよ」
『そこ!? 対応の遅さが論点!? 仁美さんてもしかして成績優秀だったんですか?』
負け惜しみかと思えば真面目に政治を批判していた。麻雀時と違いすぎである。
「言うとらんかった? 私、東大文一志望ばい。ついでに国会議員の娘やけん」
『ガチエリートじゃないですか……』
政治関連の発言が多いのにも納得である。まあそれは同時に親に文句を言っているようなものでもあるのでどうにも締まらないが。
『大学出た後の進路も決まってたりするんですか?』
「地盤もあるけん二世議員。通したか法案もある」
高校生ですでにそこまで見据えているという事実に慄く『京太郎』。
『その法案って聞いても平気です?』
「当事者やし構わんとよ。『電子彼氏との結婚許可法』ばい」
その瞬間、何とも言えない空気が周囲を満たした。かなりの時間をおいて再起動した『京太郎』は聞き返さずにいられない。
『……あの、今なんと?』
「不公平やなかか? 同性間ん結婚も認めらる流れなんに電子データとん結婚ば認めんていうんな」
一見高尚な政治問題を語るかのような口ぶりではあったが、それが意味するところはあまりにも安直だった。
『あの、それってもしかして俺にプロポーズしてます?』
「言わせんでほしか、恥ずかしかとよ」
顔を赤らめてカールした髪を指先で弄りながら、目線を少し外して仁美は告げる。
『そのために政治家になるの!? 仁美さん何考えてるんですか!?』
「京太郎とん愛ある生活ばい。社会問題の結婚率ん低下も防げて一石二鳥ばいね」
仁美の口から出る爆弾発言の連続に『京太郎』は焦る。
『じょ、冗談ですよね? だってそれ見た目の結婚率は上がるかもしれないけど、少子化対策には一切なりませんよ』
「本気ばい。京太郎と結婚したかよ。やけん受験ば上手くいったらご褒美ほしか」
顔の温度をあげながらチラチラと潤んだ目で『京太郎』をうかがう仁美。そこには誰が何と言っても引かない覚悟が垣間見えた。
そしてその重さに『京太郎』は頬を引きつらせる。
『だからって法律まで作り上げるって行き過ぎでしょ!?』
「胸ん張って、二人の仲を皆に認められたかよ」
知らないうちに仁美の内部で燃え盛っていた炎の熱さに、『京太郎』はこんな法案を掲げる人間を議員にするような人が一人でも少ないことを祈ることしかもはやできなかった。
そして将来、なぜか女性ばかりの人気を多く獲得する女性議員が出たりするのだが、それは別のお話。
中盤が何をどう捻っても出てこなかったため、省略した結果短くなってしまった仁美回。
「政治が悪い」とか「よか献金」とか言ってる羊先輩には政治界に飛び込んでもらうことになりました。
社会現象とか言うレベルじゃなく社会問題にする気だよこの人。今までの重い人間の中でも周囲を巻き込む規模が違いすぎる。
えー、次回は新道寺ラスト『白水哩の場合』です。
時系列的には一見姫子が立ち直ったように周囲に見えて、実際は『京太郎』相手にヤンデレ発症してる頃の哩さんサイド。
内容は未定。
なんだか最近ビビっとアイデアが降ってこないので悩み中。
白糸台生活の菫は京ちゃんのどこが好き?
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面倒見のいいところ
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自分を女扱いするところ