今日も京太郎は龍門渕邸に足を運ぶ。とはいえデータ取りやアプリの相談ではない、純粋に遊びに誘われただけの話だ。
「おお、京太郎、よく来た! 早く座れ!」
待ちきれなかったのか衣はソファの上で足をぶらぶらさせながら急かしてくる。
なので京太郎が隣に座ると、その隙間を埋めようと衣は小さなお尻を動かし近寄ってくる。
「なんか近くありません?」
京太郎としては衣の容姿に欲情がわくわけではないのだが、それを言うと間違いなく機嫌が下降するのでここは紳士に女性扱いする。
実は誕生日で見れば龍門渕の中でも衣が最年長なのだが普段そう扱われることはあまりない。だからこそ衣は京太郎へ喜びの感情を覚える。
「うむ、京太郎は特別だからな。それより始めるぞ」
機嫌よさそうにすりよる猫のように足をくっつけながら衣が取り出すのは携帯ゲーム機。現在衣がお気に入りのソフトが入っている2体のうち1つを京太郎に渡す。
京太郎は大人しく受け取り素直に衣の願い通りソフトを起動、衣との対戦のためにキャラを選ぶ。
「ふっ、そんな可愛らしいやつでいいのか?」
「衣さんもこどもキャラ使ってるじゃないですか」
とある電撃ネズミを選ぶ京太郎に対し、衣はブーメランを持つこども主人公を選ぶ。割とガチに勝ちに行っている二人であった。
「炎の、矢ぁっ!」
「甘いです。でんこうせっか、からのかみなり」
衣の放つ多様な飛び道具に対して京太郎はトリッキーな動きで翻弄、互いのキャラの機動性が高いため目まぐるしく戦場が入れ替わる。
「近づく、な!」
「っと、リーチ短いんで無理言わないでください」
距離を取りたい衣、近接戦からコンボに入りたい京太郎、互いの思惑がすれ違う。
現実では衣の方が距離を縮めたいのだからある種の皮肉な対戦模様となっていた。
「ぬっ、あ、あっ」
空中戦を嫌がって地上に逃げた結果、上投げからのかみなりで空中に放り出され負けを悟ってしまう衣。
「はい、ドーン」
空中からのメテオと呼ばれる下への吹っ飛ばし、止めを刺して対戦は終わる。若干衣は涙目である。
「相性が悪いキャラを使ってくる京太郎は卑怯だ」
「えぇ?」
ポカポカと京太郎の胸を叩く衣だが体重と腕力の差で全く痛手になっていない。
そして後からキャラを決めていたのは衣の方なのだが、理不尽に困惑こそすれ事実を持ち出すと拗ねられるので反論はしない京太郎。悲しいことに理不尽には慣れていた。
「……ふふふ、いいだろう。真の決着は麻雀でつけようか」
「それ、俺に勝ち目が見えないんですが」
「おのこならば打ち勝って見せよ」
「いいでしょう、俺の初勝利を今日飾ってみせます」
身内の一すら恐れる満月の夜の下という負け戦に臨めるその精神性こそが一番衣を引き付けているのだと知る由もなく、京太郎は透華と智紀を巻き込んで黒星を重ねるのだった。
結局麻雀では一度も勝てなかった京太郎は、すでに夢の中の世界に旅立ってしまった衣をそっと抱き上げベッドまで運ぶ。
そっとベッドのシーツをかけたはいいものの、袖をきゅっとつかんで離さない衣の姿に京太郎は苦笑する。
「きょおたろぉ……」
むにゃむにゃと寝言で呼ばれることにそう悪い気はせず、しばらくは様子を見ようと決めてベッドに背を立てかけてあくびを一つ。
そして横目で見守っていくうちに瞼は重くなり気がつけば京太郎も夢の国に。
次の日、仲良く眠り込んでいる二人の姿を発見した透華が騒ぎ出すのだが、それはまた別のお話。
そして起きた衣の心臓がバクバクと鳴り、ありもしない初夜があったのかとうろたえるのもまた別のお話。
なぜか半分ス〇ブラの話に。作者はやってませんけどね、SP。なので対戦内容がおかしくなっているかも?
恋愛よりも仲のいい兄妹感が前面に押し出されたのは、衣の性格と京ちゃんの面倒見の良さが合わさった結果。
年末年始が控えているので次の更新日は未定ですが、『小鍛治健夜の場合』になる予定。
ただすこやん、実家暮らしなんですよね。
実家で自分の半分くらいの年齢の男子高校生といちゃつくゲームをやるとか、ある意味勇者じゃないだろうか?
白糸台生活の菫は京ちゃんのどこが好き?
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面倒見のいいところ
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自分を女扱いするところ