熊倉トシ、宮守高校麻雀部の顧問でもあり教鞭をとっている54才の女性である。
初老というには少し早く麻雀界への影響力も有しながらわざわざ岩手まで行って才能を発掘したり指導者となった赤土晴絵にプロ行きの誘いをかけたりとフットワークも軽く、麻雀の腕も超一流であれば育成者としても超一流というかなりの人間である。
圧倒的な麻雀力を得た代わりにその他がポンコツな人々と異なり、人徳も持ち合わせるある意味完全超人と呼べる人間だ。
「あの子たちも卒業か、これからどうしようかね」
宮守高校麻雀部の面々は全員3年生。進学を考えるならもう受験に本腰を入れないと本格的にまずい時期であり、インターハイ団体戦2回戦敗退というのは推薦を取るのには少々実績が弱い。
本来ならベスト8には入れると自負していたしその実力もあった。組み合わせが悪かったというのが正直なところで、それはもうどうしようもない。
とはいえ教え子のことはそこまで深刻に捉えてはいない。
敗北も糧として思い出として刻み、歩んでいける子たちだと信頼しているから。
だからこの「どうしよう」は教え子たちのことではなく自分の事。
トシの実績と人脈を使えば選択肢はいくらでもある。どこかの団体のスカウト担当となることも、このまま教員として働くことも、どこかへ原石を探しに行くことも。
選択肢がありすぎるために迷う、なんとも贅沢な話である。
『あのー、清澄とかどうですかね?』
横で聞いていた『京太郎』が口を挟む。
『あそこ主力が1年で急に名をあげたから目指す人もいるかなっと。それで入ったのに育成はできないってなると可哀想かなーって』
清澄高校における作戦担当兼育成担当は来年には去っている竹井久である。
本当に同じ高校生なのか疑問になるハイスペックなリーダーぶり。性格と京太郎への態度が違っていれば恋愛に発展した可能性もある。
そんな偉大な指導者に残される友人たちと未来の後輩のために……というのは3割ぐらいで、7割は(自分を鍛えてくれないかな)という願望であった。
来年入ってきた後輩たちに抜かれて上級生の威厳無し、個人戦で再び泥を塗れば今度は注目度が段違いで叩かれること請け合い。
そんな未来は遠慮したいし、自分が原因で部内がぎくしゃくするのはもっと嫌だ。という思いで提案してみたのだが
「清澄……清澄ね」
複雑そうな苦笑に『京太郎』は思い出す。直接的に宮守敗退させたのうちじゃん、と。
自分可愛さに相手に嫌な思いをさせてしまった、などと慚愧の念がもたげる。
『いやまあ、ただの一例ですけどね! うん、阿知賀とかも同じ立場だしありかもしれないですね!』
すすっと対抗馬を持ち出して誤魔化しに入る『京太郎』、この辺りの機転の利かせ方は天性のもの。
『京太郎』は知る由もないが阿知賀の監督である赤土晴絵はトシも目をかけていた人物でありプロ転向の意を示している。実現性がより高いのはこちらであろう。
「まあ候補の一つとしては考えておくかね」
明らかに焦った感じの『京太郎』を目にしながらやんちゃをした孫を見るように優し気に目を細め、トシは自分のこれからを想像する。
親子以上に年の離れたトシと『京太郎』ではあるが、雑談相手としては中々に楽しい日々を過ごせるものであろう。
『熊倉トシの場合』、こんなんになりました。
一縷の希望が京ちゃんにあるかもしれない、オカルト開発的な意味で。
現実的に考えるとトシさんは阿知賀に行く可能性が高いのかなっと原作を見ると思う。
晩成という明らかに恵まれた環境蹴って阿知賀に入る新入生がいるかは分からないけれど。
長野は風越が池田・美穂子以外が不作気味だったのと、もんぶちが3年ブーストかかる身内構成という点で清澄に流れる可能性がありそう。
で、清澄に新入生で麻雀強い子が入って「この先輩何のためにこの部にいるの?」とか言い出したら地獄が顕現してしまう。
などと来年以降の清澄の不穏を示唆したところで次回は和の閑話です。
清澄は残るところ和と咲、この作品も話数増えたなあと感じますね。
白糸台生活の菫は京ちゃんのどこが好き?
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面倒見のいいところ
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自分を女扱いするところ