津山睦月は鶴賀学園の2年生にして麻雀部の新部長を託された少女である。残りの面子が不適格すぎるため消去法で選ばれた感はあるが、責任感の強い睦月なら任せられるという判断だ。
そんな睦月だがコレクター癖があったりする。雀士せんべいを買ってブロマイドを集めるのは彼女のささやかな楽しみだ。
しかしいま彼女が率先して買っているのは雀士せんべいではない。地域限定でお試し販売されている新商品、その名も『京太郎キャラメル』である。
名前や睦月の収集癖から予想はつくと思うが、おまけでついてくるのは『須賀京太郎』という存在がブロマイド化されたものだ。
中でも睦月が求めているのは最高レアの、試合に勝ってチームメンバーに持ち上げられてガッツポーズをする京太郎、『勝利の雄たけび』と名付けられたブツである。
なお販売元の龍門渕財閥の真の目的は大義名分を笠に着て写真を欲しがっただけであり、提供者の文学少女は「えぇ、そんなのいるの? 京ちゃんのなら私が一番だろうけど」などと首を傾げながらアルバム数冊を着払いで送ったのが裏の真相である。
余談ではあるが龍門渕側は(本人の許可は取っているだろう)と思い込み、対する某文学少女は「京ちゃんは私のだから私がOKなら京ちゃんもOKだよね」などという超理論の持ち主であったため、当人のあずかり知らぬところで肖像権が侵害されていた。
実は面影を強く残した厚いアルバムを埋め尽くす写真たちを送っただけでまだ残りが積まれていたり、被写体が目線をカメラに向けているのがごくごく少数だったりするのだが、それを知っているのは某文学少女のみなので真実は闇に葬られたままである。
閑話休題、とにかく睦月のマイブームは『京太郎キャラメル』である。扱っている店自体が少ないのか空振りもあるため睦月がショッピングに出かける範囲は以前より広がっている。
そしてそういう時に活躍するのがナビである。
『まっすぐ行って十字路を右、その後2区画進んで左に裏道に入りましょう』
長年の迷子引率によって鍛えられた案内スキルを発揮する『京太郎』。自分の関連グッズを探しに行くというのには複雑な思いはあるがそれはそれ、優先順位はしっかりする男であった。
「う、うむっ」
一方で平静を繕う睦月の声は上ずる。原因は手を繋いでくる『京太郎』の積極性であった。迷子捜索の手間を省くため無意識の習慣でしかないのだが、知らなければ大胆なスキンシップである。
睦月がこのアプリを始めたのはごく最近だ。しかも麻雀せんべいを買いに行った隣に置かれていた『京太郎キャラメル』から入った逆輸入タイプ。
一番最初に引いた『夕焼けと微睡み』というタイトルで、机の上で気持ちよさそうに寝ている京太郎と何やら丸まった動物が夕焼けに照らされている光景だった。
その幻想的でありながら身近な感じのする一枚のブロマイドに睦月は心を撃ち抜かれてしまった。
そして買い漁るうちに実は恋愛ゲームのアプリであると知り、緊張でガチガチになって話しかければ、予想よりもずっと愛想よく睦月の相手をしてくれた。
『次のお店には置いてあるといいですね』
「そ、そうだな」
のほほんとした笑顔の『京太郎』に心臓がドキドキしっぱなしの睦月。このドキドキが慣れないシチュエーションへの緊張か、それとも別のものに由来するのか、今の段階では睦月には判別できなかった。
ただ照れくさいながらも楽しいこの買い物道中を楽しんでいるのだけは間違いはない。
『津山睦月の場合』、前回間が空いたので今回は早めに。
むっきーと言えばカード集め、ということで龍門渕財閥はお菓子業界にも進出してもらうことに。
現在は長野限定販売。SNSとかで流れたら自分のところでも売れといいそうな人間がたくさん……。
まーた京ちゃんにとって謎の収入が発生するよ。
自分の回でもないのに自己主張始める魔王には京ちゃんはお仕置きしてもいいと思う。
次回、『加治木ゆみの場合』、鶴賀最終幕。
あとはキャップや池田、個人戦組くらいかな? 漏れはないだろうか。
そろそろ締めっぽい話を考える時が来たのかもしれない。
読み返してみるとバレた時のメリット(おもち大きい子から好かれる)とデメリット(ヤン気質の人にロックオンされる)が全く釣り合ってませんね。
京ちゃんに生存の未来ってあるのかな(遠い目)
なおR-18版は全部並行世界なのでそれぞれのエピローグが成立する平和な世界。
白糸台生活の菫は京ちゃんのどこが好き?
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面倒見のいいところ
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自分を女扱いするところ