シンドウの最高傑作   作:サイトー

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 後書きに無駄に長い設定があります。読まなくても良い人物設定ですので、ここで謝らせ貰います。すみません。
 しかし、設定魔なので書きますひゃっはー。


十五話 シャトルジャンキーズ

 白い煙が舞う旧市街。肉の焦げる臭い香りが満ちてそうな陰気な街並みで、人間の死体が飾られている。無造作に入った狩人は塔の上に居座る古狩人によって銃殺され、一方的に鏖殺される地獄だった。

 

「――――」

 

 だが、如何でも良い。古狩人は無様に殺された。堕ちて死んだ。あいつ、本当何時も落ちてるな。トッツキラーの代表狩人なら死んでも突いてから落ちて欲しい。だが、それさえも如何でも良い。徒党を組んだ三人組に嫌がらせを繰り返し、輸血液も減らす事が出来たし、火炎瓶で汚物を消化するようにHPをちょくちょく削り取った。後、あれだな、遠距離から火炎瓶を投げるのって意味もなく楽しい。

 ふふふ。でも、此処が正念場だ。

 ショートカットの扉を開けた音がした。ならば、後はもうこの道を通るしか奴らに選択肢はない。まるで私がガンダムで一番好きなヒロインであるカテ公の如き作戦を思い付き、背後から敵が予測しない回避不可能の一撃必殺をお見舞いする。つまりは待伏せだ。卑怯者には卑劣な策がお似合いだ。

 ああ、全く以って宇宙は空にある。狩りの時間だ。

 ―――この瞬間が堪らなく喜ばしい。失敗しても成功しても、狩りを行い始めるこの瞬間の為に、十分間も雑魚共を利用して嫌がらせをしていたんだ。

 持つは大剣。名を、ルドウイークの聖剣だ。

 もう変形させて鞘に刃を納刀し、溜め攻撃の瞬間を見計るのみ。

 壁の際から敵の覗き見た。敵ホストは早くステージを終わらせたいのか、無警戒にこっちまで走っていた。背後に二体の狩人を連れ、私が待伏せしている曲がり角までやって来た。

 そして、残るはタイミング。

 相手が走る距離と時間を計算して溜め攻撃の準備を開始。

 ホストが自分を通り過ぎた刹那―――剣の溜め攻撃を一気に解放!

 自分に背後を見せた狩人の背中に大剣の切っ先が見事命中し、生命力を一気に八割以上斬り取った。だが、死んでいない。一撃で殺せなかった。何より、この奇襲が失敗した事で後ろから付いて来た二体の狩人が私に斬り掛って来る。

 ……無駄なことを。

 狩人にとって最強の防御をステップだ。相手の先手による攻撃を回避出来ない狩人など、狩人に非ず。私は当然のようにノコギリ鉈のダッシュ攻撃と、車輪ステッパーのステップ攻撃を巧みに避け、そのステップのままホストの一歩手前まで移動した。

 膝を着き、無防備な背中だった。敵は動けない。大剣の溜め攻撃を背中に受けた事で、動きの一切が拘束されている。もはや敵の大将はもう私に殺されるしか未来がない。

 ―――抉り突き込む右手。

 啓蒙が高まりそう。この瞬間が最も狩人を感じる間際。

 血飛沫を周囲に撒き散らし、背後を取られた獣狩りの狩人が吹っ飛んだ―――死だ。限界まで溜めた大剣の突きでHPの殆んどが吹き飛び、更なるオーバーキルでホストを狩り殺した。だが、これで終わりでは無い。哀れなる連れ人がまだ、そこに二人。大人しく自分の世界に還るなら交信ポーズで上位者と交流しているのだが、そうならない事もまた良いのだ。

 瞬間、大剣から直剣を取り出し、左手に獣狩りの散弾銃を構え―――発射。

 車輪ステッパーにカウンターを決め、銃弾を叩き込む。ダウンした処刑隊コスプレ狩人にステップで近付き、内臓を抉り取った。全く、哀れだよ。まるで火に飛び込む蛾のようだ。人間性を捧げたところで、所詮は獣。人の言葉など通じんか。そして、勝利を祝うかの如く、もう一人のノコギリ鉈の狩人が拍手をしていた。成る程、そっちは結構愉快なタイプの人だったか。この人は殺さないでおこう。最後にちょっと交信ポーズを取り、さようならと洒落込もう。

 で、時間切れか。群馬に来て久方ぶりにブラボしてみたけど、やっぱり面白い。本職の地底人も捨て難いけど、メインステージで聖杯血晶無双するのも愉快極まりない。ダクソと違ってブラボは武器が異常なまで強く出来るから、PVPは必殺足り得る一撃の駆け引きが面白い。

 

「―――え、エグ」

 

「流石、あの羽咲さん。性格悪いよねぇ」

 

 学校がない折角の休日。部活も今日は自主錬だけなので、朝に何時もの運動をした後、久方ぶりに部屋に籠もっていたが、何故かこの二人まで部屋に居座っていた。同じ部活の同級生で、同じく寮生活をする女なので仲良くなったと思う。だが、私が二人に感じる親密度以上に、私に対して気安いみたいだ。不思議だけど、取り敢えず何を考えているのか分かるので如何でも良いか。

 しかし、雑賀さんと生方さんか……はぁ、意外だ。私もそうだけど、この二人も地味に一匹狼気質で、ボッチでも構わない人間な筈なのに、良くもまぁ気質に合わず友人っぽい雰囲気になっているのやら。いや、私はボッチじゃなかったけど、あの二人はまた別格の存在感だったので、友人と言うより姉妹に感覚が近かった。

 

「あのー……その、何で此処に居るのですか?」

 

「暇潰し」

 

「何でなんて、そんな意味があって居る訳じゃないのぉ。ほら羽咲なら分かるでしょ?」

 

「あぁ。つまり、そっちも暇潰しですと」

 

「せーかいっ!」

 

 うざい……ってか、何で同性の私にまでブリっ娘なキャラを通すのか。あれか、レズか。でも、そもそも同性にまで媚売っても嫌われるだけ何で、むしろ逆に態と相手を苛立たせて嫌われようとしているのだろうか?

 

「…………」

 

「………えー、なに? そんな今から人喰いパーティしそうなレクター博士みたいな視線で見ないでよぉ。眼鏡してないと羽咲ってマジ激ヤバって感じだよね」

 

 違うな。ブリっ娘してるのは嫌われキャラ作りで、単純に私の事を罵倒したいらしい。

 

「はいはい。じゃあ、眼鏡します。バドと同じで、ゲームでマジになる時は外していたいんですけどね」

 

「あははは、ウケる! それってキャラ作りってヤツぅ?」

 

「はい。キャラ作りです。眼鏡した文学系少女が私の理想する私の外見ですからね」

 

 とのことで、眼鏡オン。バドをしていない時の私は、眼鏡が本体となるただの眼鏡掛け機になる。それこそ完全無欠な眼鏡ッ子と言う訳だ。自分のエンジェル伝説な目付きを中和する為、地味過ぎて糞派手なマイ眼鏡を強調しないと、誰も私と目を合わせて会話してくれない。私は悲しい。

 しかし、父さん。スペアで更に伊達眼鏡を買ってくれていた。もしかして、あれか、姉さんに肉まん上げればどうとでもなるように、私には眼鏡を渡しておけばいいとでも思っているのか。まぁ、ぶっちゃけ正解だからそれで構わないんだけど。アクセサリーやバックなんかよりも、良い伊達眼鏡を欲するの真の文学少女と言うもんだ。

 

「うわぁウゼェ。生方、そう言う女に嫌われる女らしいキャラ、止めた方が良いぜ?」

 

「いやだなぁ雑賀っち。貴女もそう言う男勝りなキャラ、ちょっと痛々しい感じかなぁ」

 

「あ?」

 

「は?」

 

「ふぅ……腹減りましたね。エヴァ映画でも久しぶりに見ながら食べようかな」

 

 良し。面倒臭いから無視しよう。ハハッ!

 

「ポチポチっと」

 

 でも今時のゲームはポチっと電源を消さず、コントローラーでメニュー場面を開いて操作する。しかし、私はDLC否定派のディスク蒐集マニア。後はダクソやブラボ並に値段分以上のガッツリな内容がないDLC商法も完全否定派だ。それだからか、課金ゲーが無価値に感じる性分でもある。課金する金があるならその金で買ったポテチ食べながらアニメ見たり、あるいは物欲を満たす為にフィギュアを買う。売れば金にもなるし、プレミア物も実家に何点かある。一番のお気に入りはレイ・パーク演じるダース・モールだけど。役者の戦闘シーンであそこまで感動したのは勝の座頭市か、魔界転生の炎上親子バトルかな。

 なのでPS4からブラボディスクを取り出し、ブルーレイを入れた。時間にしてまだ九時過ぎなので、朝食を食べながら映画観賞しよう。

 だが、実を言うと私はエヴァ派じゃなくて攻殻派なんだけど。

 ゴースト・イン・ザ・シェルとイノセントとか、一体何回見たことか。出来ればあの時代に生まれて、映画館で見ておきたかった。

 

「あ、知ってるぜ。それ確か、主人公がヒロインオカズにしてオナニーするシーンから始まる傑作じゃん。見たことある」

 

「え~……いや、え? 冒頭からそんなに飛ばす映画があるの!? エヴァ自体は知ってるけど、子供が見て良い映画なの!?」

 

「なんだ、生方。見てないの?」

 

「見てないよ」

 

「成る程。生方さんはアニメ好きじゃない訳ですか」

 

「子供の時は見てたからぁ……まぁ、日曜朝のだけど。なんたらは~此処にいるハートのなにやら~って雰囲気の。後、仮面ライダーとか今でも好きですぅ」

 

「マジかよ。アンタと同じ趣味だったなんて屈辱だ」

 

「はぃ~それ、一体どういう意味で言ってるんですかぁ?」

 

 全く、なんでこんなに仲悪いので三人でつるもうとするんだが。

 

「しかしあれじゃね、そうなると羽咲はシンジ君の呻き声をオカズに朝食食べるって感じか。アンタもアンタでハードなアニオタじゃん」

 

「うわぁエグぅ。羽咲って、すっごい変態女さんだったんだねぇ?

 もしかして烈火の森さんみたいに天堂地獄になって、食欲と性欲が一緒になってるタイプのラスボスなんですかぁ?」

 

「貴女達、なんて事を言うんですか……?」

 

 おい、こいつ。映画見ながら朝食タイムに洒落込む気分じゃなくなったぞ。しかし生方さん、やっぱり性根は陰湿なキャラだな。高校デビューでキャラ変したか、意図的にキャラ作っているだけで、実は普通に根暗なオタク女子だったと見える。咄嗟に森さんネタが出る程に烈火の炎を読み馴染んでる女子とかそうそういない。

 だが、確かに言えることがある。映画見ながらゲーム後の朝食は止めよう。しかしシンジ君、良く監視カメラがある病院であんな事が出来たよな。

 だったら未だにクリア出来ないDOD3のラスボスにでも挑戦しようかな……あ。そう言えば、PS3は実家にあるのだったか。駄目だ、諦めよう。教祖系幼女みたいにおかーさんと神の声で泣き叫びたくなったが、私の地声じゃあんなボイスは出来ないのでこっちも諦める。しかし、あのゲームは若干トラウマで、フリアエの気持ちとか考えると鬱になる。なので妹エンドも良かったけど、自分は離婚エンドの方がきつかったな。

 

「はぁ……全く。私、エヴァの気分じゃなくなりました。FGOの実況動画見ながらとっとと飯食ってゲーセン行こうかな」

 

 型月は好きだけど、課金ゲーは好かない。いやはや全く、動画サイトはゲームした気分になれて最高だ。ぶっちゃけ設定と物語が好きなだけで、正直ゲーム内容も宝具映像と戦闘モーションが見たいだけだしな。だから私は絶対に無課金勢を貫かないとならんのだ。課金だけは何が何でもしないからな……はぁ、星5欲しい。物欲が強い自分が恨めしい。何でこんなに業突く張りな人格なんだか。今は無料ゲーとしては十分に戦闘システムも面白いからちょっとくらい……――糞、駄目だ。我慢しなければ。

 なのでノーパソを開いて趣味に入ろう。

 ポテチとサンドイッチを食べる不健康な朝食タイムだ。コーヒーは勿論砂糖飲料のマックス様だ。

 

「じゃアタシも」

 

「うん。私もぉ」

 

「え”。二人とも来ますか?」

 

「勿論だぜ。暇潰しって言ったじゃん」

 

「朝練したので、今日の午前はバド休みだからぁ。なので私も羽咲の遊びに付き合いたいかなぁ~ってぇ?」

 

 ふぅん。ゲーセン趣味もあるのか。いや、私に合わせているだけだな。

 

「しかし、アンタみたいな女子女子してるのがゲーセンとは吃驚だ。生方よ、そもそもゲーム出来るんかよ?」

 

「私は逆にぃ、君みたいなビジュアルバンドマンは音ゲーしか出来ない印象があるよ。まぁ、最も、絶対音感を持つ私に勝てる訳もないですけどぉ」

 

「は? 太鼓の達人で達人レベルに達したアタシに喧嘩売ってんの?」

 

「ふふ。叩けるのはタンバリンくらいじゃないんですかぁ?」

 

「ほざけ、似非ブリっ子」

 

「なんちゃってビジュアル女が何か言ってますぅ」

 

 ほっとこ。昼は外食にしたいから、それまでゲーセンで遊んでメンタルケアに励まないと、私のバド以外だと豆腐並の精神がストレスが壊れてしまう。豆腐メンタルって言うのは、娯楽活動もちゃんとしないと壊れ易くて堪らない。

 でもゲーセンか。久しいな。クレーンゲームで姉さんの為に良くホエホエを取って上げたけど、此処は神奈川じゃなくて群馬だ。神奈川ご当地キャラのほえほえは内陸地の秘境グンマじゃ存在出来ないだろう。群馬で有名なゆるキャラってなると、あのマスコットが有名だったかな。

 

「ゲーセンは着いて来ても良いですけど、基本的にずっとガンゲーしてますよ?」

 

「良いぜ。見てる」

 

「実は私、ゲーセンはセガの宝庫で好きなんですよぉ。死の館、ノーコンクリア出来てから、ガンゲーを語って下さいね―――羽咲さぁん?」

 

 何故か急に顔がマジになった生方さんだけど、テンションの落差が激しい人なんで気にしても仕方なし。結構情緒不安定なので会話してると面白い。

 

「ふぅん、そですか。でも生方さんって、確かにオブ・ザ・デッドって雰囲気持ってますよね。ブリ女子らしく腹黒いですし」

 

 最初期から実況してる魔術師(マスター)の動画を見つつ、適当に生方さんに頷いておいた。お、今は新章配信されたから良く更新されてるな。

 

「ハハハッ。そりゃ確かに。ウブカタ・オブ・ザ・デッドじゃん!」

 

「なんですかぁ雑賀っち。ゾンビ映画みたいに頭ぱっかーんってしても良いんだよ。それに君ってビジュアルだけのミュージシャンらしく顔色悪いし、結構ソンビっぽいですから」

 

「あん?」

 

「はぁ?」

 

「となると、そんな二人が居るこの寮は、正しくザ・ハウス・オブ・ザ・デッドって訳ですね。分かります」

 

「「あぁ!?」」

 

 しかしあのゲーム、ちゃんとタイトル通り死の館(ハウス)が舞台になってるのは初代だけだったな。でも一番やり込んだのは2だ。3はショットガンだったのでミントンで鍛えた両利きで二丁拳銃ごっこは出来なかったし、4は鍛え込んだ指先での連射能力を披露する必要がなくなってしまった。そして、何だかんだで初代は鬼畜難易度だ。でも、時間がクライシスするガンゲーは小学生で完全に極めた。私の反射神経と動体視力を持ってすれば、回避率100%など容易い事よ。せめて攻撃が音速の半分には達しないと私の目は欺けない。

 うーん。しかし、キングハサン強過ぎ問題。太陽ガウェが押されてる何て、茸神的にかなり重要ポジな設定の持ち主と見える。欲しい。ベルセルクの髑髏騎士みたいで格好良い。

 

「おいおい羽咲……って、これFGO動画じゃん。なになに、やっぱり爆死動画?

 やっぱり良いよなぁ、ヒャハハハハ。人が財産砕いた挙げ句に爆死してるのって、正に愉悦。ワインが美味いぜ。

 課金ゲーは傍から見るのが一番っしょ」

 

「FGOってあれでしょ、今人気の流行りゲーだったかなぁ」

 

「なんだ。知ってるのか、生方」

 

「うんうん。あれだよねぇ……確か、同人エロゲ原作の」

 

「ちげぇよ。ちゃんと公式エロゲだよ。そりゃ月姫の方じゃん」

 

「そぅだったけかなぁ。でも、メルティブラッドは滅茶苦茶やってたしぃ……それで、琥珀さんとかマイキャラですから。

 そう言えば、雑賀はメルブラ知ってますかぁ?」

 

「知ってるよ。眼鏡外すとポエマーになる眼鏡が主人公のだろ?」

 

「今時流行りの転生キャラもぉ、人気投票ゼロの伝説を生み出したネロアさんが始まりでしたからぁ」

 

 しかし、こいつら詳しいな。後、生方さんは確実にただのオタクだな。話せば話す程、ボロボロと襤褸を出す。あるいは、こう言う会話がしたいから私達に絡むのかもしれないな。でも無限転生者の話はやめて差し上げて。岩窟王にもボコボコに燃やされたばかりなんだから。

 ……ふぅ。でも朝食食べたし、ゲーセン行くか―――チャリで。

 この群馬県、駅に行くにもチャリがないと不便なので、学生なら自転車がないと何処にも行けない。そして原付きバイクの免許は神奈川にいる内に取っておいたので、こっち用で何時か原チャリ買っておこう。便利だし。

 

 

◇◇◇

 

 

 ふふふふ……―――ふぅ。はぁ、存分に撃ち殺したな。

 やはりゾンビは何匹も纏めて殺すのが愉しいな。チャリで来た近場のゲーセンは中々大きく、機体も充実していた。しかも、ガンゲーも揃えているちゃんとしたゲーセンだった。

 

「そんな嘘だぁ‥…有り得ない。有り得ないぃ。私だってワンコインじゃクリア出来ないのに!」

 

 ノーコンクリア。やはりゾンビは私の手で死ぬべきなんだ。もしこの世界でバイオハザードが起きたらショッピングモールで無双してみたい。

 

「驚く事はないですよ、生方さん。ゾンビ殺しのイモノイモコとは私の事ですから」

 

「ハ―――……え、嘘ぉ!!

 まさか、あの羽咲が伝説の腐れ外道砂、イモノイモコだったなんて!?」

 

「なんだ、知っているのですか。そうです、中学の時にゲーム部の助っ人をしていたんですよ」

 

「嘘や、有り得へん。そんなん絶対有り得へん!」

 

「しかし、残念。それが真実でした」

 

 でも何で生方さん関西弁?

 

「よぉ、生方に羽咲。クレーンでこれ取って来たぜ。珍しいから思わずやっちゃた」

 

 そして雑賀さんは平然とクレーンゲームに熱中していた。協調性ゼロだな、こいつら。だがしかし、そんな事が如何でも良くなる程に景品がぶっ飛んでいた。

 

「エイリアンですね」

 

「エイリアンじゃないですかぁ」

 

「そうだぜ。部屋に飾るのに丁度良いって思わないか。そして、こっちがプレデターだ」

 

 え。普通に嫌なんだけど。貴女と私って同室だよな。自室にエイリアンとプレデターがいる女子高生のマイルームって一体なにさ?

 

「と言うか、でかくないですか。一番大きい袋に一個入るサイズじゃないですか。それが二つって、雑賀さん何年使ったんですか?」

 

「そんなに使ってないさ。二千円は行ってない」

 

 プロか。

 

「でも本当は、荒耶のフィギュアが欲しかったんだけどな」

 

「ほぉ、そんな人形に需要があるんですね。このゲーセンも良くそんなフィギュアでクレーンゲーの客寄せをしようと思いましたね」

 

 型月マニアでもかなりマニアックな部類だよ、それ。

 

「いや、なかった。ただの私の願望だぜ」

 

「そですか……」

 

「そもそも、そのアラヤってなんなの。あれですか、仏教の教えにある阿頼耶識のことなんですかぁ?」

 

 しかし、良くそんな宗教用語をオタ知識もなしで知ってるな。

 

「ある意味惜しいじゃん。でも確かに、主人公とラスボスが結ばれると、荒耶式になるんだよな」

 

「頭部交換の儀式ですね、分かります」

 

「意味不なんですけどぉ……―――もぅ。ちゃんと分かる話をして下さいよ」

 

「はいはい」

 

「へぇへぇ」

 

「うわ、ウザいんですけどぉ」

 

 おっと、良い時間か。うざいうざい言ってる生方さんの相手を雑賀さんにさせ、全国チェーンのハンバーガー店に行こう。マ○クかモ○、どっちにしようか迷うけど、此処から近いのはやっぱり○ックだな。元々私は日本人向けになってる○ス派だったけど、最近は色々と企業努力しているマッ○も捨て難い。とは言え、やはり未だにモ○派でそれは変わらないけど、そもそも神奈川にあるチェーン店が群馬には余りない。マッ○とモ○や、ケ○タッキーは何処にも有るけど、他の人気チェーンは余り群馬にはない。時々食べたくなるフレッシュ○スが見当たらない。

 なので、群馬の学生が行くバーガーとなるとマッ○か○スとなる。探せば他にもあるにはあるが、車が必須になるのが群馬だ。あるいは、バーガー店があるショッピングモールに行くしかない。流石、日本最大の大魔境なだけはある。

 

「じゃあ、マ○ドにしますかぁ?」

 

「え。普通そこはマッ○じゃね?」

 

「はい?」

 

「あん?」

 

「はいはい。関西と関東で喧嘩しないように。後、私は神奈川生まれなのでマッ○派ですけどね」

 

「ほらぁ、ざまぁ、生方ちゃん?」

 

「バンズで挟めるようにバーガー用のミンチにしますよぉ、ビジュアル男女?」

 

「死にたいか?」

 

「消えますぅ?」

 

 メ、メンドクセェぇぇえ!!

 何なの、何で何時もこんなに喧嘩腰なの!?

 しかも何で私と三人で居る時だけ二人は喧嘩っ早いの!?

 

「じゃ、私はバーガーの注文行きますので。じゃ、また」

 

「ちょ、待てよ!」

 

「キム○クの真似ですかぁ……―――ぷぅークスクス。超ウケるんですけどぉ?」

 

「そう言うアンタ、ギャグ一つ出来ない低能じゃんか。どうせ人を哂うのは好きだけど、人に嗤われるのが怖い糞雑魚蛞蝓なんだろーよ。

 実際、メンタル弱そーだもんな。

 バドでも自滅して負けそうなお猿さんですものね、ほーほっほっほ!」

 

「き、貴様、許さん。ジワジワと嬲り殺しにしてやるぅ!」

 

「なんでフリーザ様ですか……?」

 

 本当に仲良く仲悪い。喧嘩する程仲が良い。犬も食わん。もう知らん。私はビッグ○ックを単品二つ所望する。しかし、早いな。注文してもう来たか。二人を放っておいて席に座ったけど、店員がもう届けに来た。

 

「酷いな羽咲。こんなんと二人っきりにしないでよぉ」

 

「そりゃこっちの台詞だし」

 

「あー……はいはい。で、ちゃんと注文して来たんですか?」

 

「したよぉ……ハンバーガー十二個。後、アップルパイ」

 

「…………良く食うな、アンタ。アタシはベーコンレタスのセットだけど」

 

「だってぇ一個百円ですよぉ。ぶっちゃけハンバーガーって回転寿司と同じじゃないですかぁ?」

 

「そ、そうだな。うん。アタシはアンタのそう言う所は否定しない」

 

「あの~その、素でドン引きするのだけはぁ……―――やめろや、雑賀っち」

 

「お、おう。すまんな」

 

 十二個か。姉さんも肉まんその位は食べられてたな。私もビックを二ついけるプチ大食いだけど、生方さんは結構な大食女と見える。そして、私はとても腹が減った。ビックが目の前に二つあるので一個は早食いして空腹を一気に満たし、もう片方はじっくり食べて満腹感を得よう。

 

「そう言えば、同じクラスの内藤が彼氏出来たってよ」

 

「へぇ。そうなんですか」

 

 あれ、突然だな。此処に来て女子力高い話題を雑賀さんから出るとは思わなかった。

 

「その彼氏ってのが、野球部の内川なんだってさ。あのイケメン坊主」

 

「良かったじゃないですか。でも外野が騒がしくするのもあれなので、噂話として愉しむ位が丁度良いものですから」

 

「そーいう所だけまともなんだな」

 

「恋愛絡みで他人と関係を持つと糞面倒なんですよ。いや、本当に」

 

「へぇ、羽咲ちゃんって、彼氏とか居たんですかぁ?」

 

「いや、いませんし、いた事もないです。そもそも要らないです。単純に、私の事を好きになった男が、違う女に好かれていたってだけの話ですよ。

 それに恋愛とか興味ないですから。結婚もお見合いが面倒無くて楽ですし、知り合いが多い父さんにでも丁度良いのを紹介して貰えば結婚なんて充分ですからね」

 

「枯れてんだな」

 

「枯れてますぅ」

 

「だって、男とかいるとメンタル弱くなりますから。それにフロイト先生曰く、人間の精神力の根源は性欲って話です。だから私みたいな欲望が枯れた女ですと、男と付き合いながらバドする気力を充実させられませんしね」

 

 男女関係を楽しみながら違う事に全力全開を出せる人は、多分根っからの英雄気質なんだと思う。性欲が強くないと上質なメンタルは維持出来ないと私は思うので、そう言うモヤモヤを発散するのもバドでやるべき事なのだ。私程度の豆腐メンタルじゃ男と付き合いながら、人生で最も大事なバドにまで気力を充実させる精神力は多分ない。そして、気が付けばバドミントンで全てが満たされる精神構造になっていた私。

 うん。紛うことなきド変態だな。

 ラケットを恋人にするシャトルジャンキーが私の正体だ。

 しかしながら、やはり男が欲しいと思う時もある。フロイト先生曰く、人の精神は性欲の塊である。だが今は我慢一筋。喪女と呼ばれようが、まずはバドで目的を達成しないと人生に価値を得られない。

 

「さて、私はもう寮に帰りますけど……二人はどうします?」

 

「何だ、もうバドの時間か?」

 

「私もまだもうちょっとしておきたいなぁ、バドミントン」

 

「ふふ。二人共、好きなんですね。折角の休日だって言うのに、バドを我慢出来ないようですから」

 

「良く言うぜ。一番のフリークがさ」

 

「嫌な気分になるけどぉ、そこは雑賀っちと同意見」

 

「そりゃこっちの話じゃん。アンタと同じだなんて反吐が出るね、反吐が」

 

「ふぅん?」

 

「あぁん?」

 

 はぁ。これでダブルスのコンビ組まされてるんだから分からないよな。シングルスだと殺気立って試合するって言うのに、コンビ組むと相性抜群なのが今一理解出来ない。何より、強い。

 だけど、バドはまた別物なので仲悪くても情熱は一緒。

 強くなりたいと言う気持ちは、あの部活だと誰もが共有する心情だ。厨二らしく信念と言っても良い。いや、本当に心底やりたくて堪らないから、厨二病にもならない本音だな。信念とか、覚悟とか、今時の糞餓鬼を気取って恥ずかしがる方が無様なメンタルだろう。だって、私は死んでも良いと思っている。バドが出来なくなるから絶対に死にたくはないけど、バドの為ならこんな命は使い潰す。親から貰った大切な命だから、自分の人生の為に使うのだ。

 

「さてはて、今からまた自主練習を始めましょうか。こんな私が考えた練習内容ですけど……まぁ、二人が納得して一緒に参加してくれると有り難いですね」

 

「やるさ。楽しいし」

 

「羽咲ちゃんは良い先生だよ。だって、あの芹ヶ谷(クイーン)神藤(モンスター)にバドを教えていたんだからぁ」

 

「生方さん、それは秘密です。部活の皆にバれると面倒臭いですので。それに雑誌の記者が付けた名前、あの二人は気に入ってないですからね」

 

 三強とか語呂は良いけどな。最強が陥落した所為で騒がれたけど、結局は何も変わらない。ジュニア後の大会の試合映像みたけど、皆更に強くなっていて嬉しかった。ズタズタにした甲斐があったし、バド辞めた時の姉さん以上の選手に成長していた。天使様も怪我が悪化したみたいだけど、復帰して更に巧くなっていてとても良かった。

 最高だな。強い敵が我々には必須。

 倒すべき好敵手の存在こそ、バドが更に巧くなる為のエネルギー源になる。

 そう言う意味では姉さんの為に芹ヶ谷さんを強くしたのは、やはり正解だったと今でも実感している。例え母さんが私達を捨てた原因だろうと、姉さんは強くなったので間違いではなかったのだろう。間違いだったのは、メンタルが折れた姉さんの弱さと、その弱さを理解出来なかった母さんで、見て見ぬふりして母さんを盲信した私の甘えなんだから。

 

「良いよ。だってぇ、その方が私にも都合が良いですからね」

 

「おう。それに顧問の山崎先生も、かなり理論派でバドを勉強し尽くした研究者だったからな。私はとても恵まれているよ」

 

「でしたね。理論と実践、それに肉体の科学的ないし医学的知識。後、スポーツ哲学も出来るとか、ちょっと万能過ぎて怖い人でしたもの」

 

 山崎先生は大卒の体育教師。それも元々はバドミントン選手だった人だ。専門知識は私以上。先生の指導はとても勉強になるし、私は更にバドミントンに対して頭が良くなった。三年間もあるし、全て吸収して自分の知恵にする。やはりこの高校は素晴しい場所だ。

 さてはて、でもこの二人にはまだ問題がある。

 

「でも、勉強もしましょうね。赤点、取ったらバド教えませんので。部活も制限されてしまいますからね」

 

「アタシ、高校の勉強って社会で何の役にも立たないって思うんだ。あんなの糞だよ、糞」

 

「なんでやねん。ミントンしよーや」

 

 そして、何で時々生方さんは関西弁風味になるんだろう。あれか、出身地そっちなの。地はそっちなの?

 

「駄目です。この間のテスト、ズタボロの襤褸雑巾みたいな点数だったじゃないですか」

 

「黙れ、全国模試一位!」

 

「なんで廃人バドゲーマーなのにぃ、そんなに頭良いのか意味分かんない」

 

「この間の全国模試は一位が数人いましたから、そんなに誇れるものじゃないですよ。それにまだ受験勉強が始まる高校一年ですので、全国上位を狙うのも難しくありませんし」

 

「スポーツ科なのに大学特進クラスのヤツらより成績良いじゃんか!」

 

「羽咲は勉強で学費免除されてる人達に、存在が申し訳ないって感じ」

 

「知りませんよ。高校で必要な勉強はとっくに終わらせましたので」

 

 中学の時にはバドに必要な専門知識を学んでいた。高校卒業に必要な学力は小学校の内に手に入れたので、存分にバドミントンをずっと研究し続けられた。世界にも行こうと思っているので、英語は勿論、他の国の言語も暇潰しで勉強中でもある。

 

「これだから天才様は、ケッ!」

 

「やな感じ~」

 

「黙らっしゃい。そんな事より今はバドミントンですよ!」

 

「……アンタが言いだしたんだろーが」

 

「貴女って時々無責任な発言しますよねぇ……」

 

「オーケーオーケーです。今日は好きなだけ試合を受けて立ちましょう」

 

「おぉヨッシャ、深夜までするぜ!」

 

「良いですぅ……―――本当に。朝まで寝かせませんよぉ」

 

「ま、まぁ良いでしょう。そっちの体力が持つならですけど」

 

 早まったかな。でも良いか。偶には意識が失うまでとことんするのも悪くない。姉さんとも良くしたものだし、異常なまでの執着心がないと技術は進化しない。巧くなる為にはそれ相応の精神的活力がないとならず、集中し続けるエネルギーは狂気がないと持続しない。

 だから、今日も存分にバドミントンを楽しもう。苦痛を愉しもう。

 私はもっと強くならなければならない。姉さんが此処に戻って来るまでに、母さんを倒せる程に。

















 雑賀瑠奈は、こんな雰囲気の男勝りです。子供の頃、父親に性的虐待を受けていまして、自分の事を女らしい女だと認めたくなく、男っぽい中性的なビジュアル系な見た目に走った過去があります。それとカルナさんっぽくて、本人も推しキャラなカルナっぽい見た目にしているように、実は白髪碧眼のアルビノです。本当は奇跡的に凄まじい美少女な見た目で、父親が異常倒錯者になった元凶です。なので、弱い体を鍛える為に室内スポーツのバドミントンを始めた過去の持ち主で、幼少の頃からバドをしていました。しかし、感覚は優れていて、体格も長身で手足も長く才能に優れていましたが、根本的に病弱です。今は人並み以上に体力がありますが、まだまだ肉体的には成長期な段階となります。そして瑠菜の母親も薄々は娘が性的虐待をされているのを雰囲気で察していましたが、娘がなにも言わないので旦那を信じていました。だが現場を見てしまい、女として絶望し、娘を置いて旦那と二人っきりで旅行に行った日、旅行先で借りたレンタカーで崖にダイブして娘の為に夫と無理心中しました。こんな情けない両親、娘には不必要と悩んだ末でした。犯罪者として裁かれる人権さえ旦那から奪い取る為、自分の命を捧げました。瑠菜は親が残した多額の保険金を手に入れ、一人暮らしをしている祖母の家で養子となり、実は母親がこっそり残した遺書を読んで真相全てをたった一人だけ知る御婆ちゃんに大事に育てられた子供となります。今もバドミントンを続けているのは、死んでしまった殺したいほど憎い父親から必死に逃げる為と、大好きだった母親がとっても褒めてくれたバドミントンしか母親を感じられないからです。後、レイプされた記憶がバドで勝つと薄れる錯覚の所為でもあります。なので、自分の自我を保つ為に修羅ってます。
 生方由は、こんな雰囲気の似非ブリっ子の腹黒ギャルです。見た目は王道的な雑誌にいそうな可愛い系のギャルで、いろはすみたいな人。実は父親が痴漢で捕まった過去がありまして、それでリストラにあって自殺しています。そして、それは冤罪でした。だけど冤罪は証明出来ず、遺書に命を持って潔白を証明すると書いてありました。母親は旦那の冤罪を信用出来ずに離婚しており、母親の事を心底塵屑女だと思っています。糞みたいな悪法しかなく、父親を自殺に追い込んだ日本国自体を土人国家と内心で蔑んでいます。警察は父親殺しの無価値な外道組織で、検察は糞無能で、弁護士も裁判官も下らない職業だと侮蔑しています。しかし、本当に恨むべきは父を冤罪にした女であり、もはや殺すしかないと覚悟を決め、それが学校の先輩でした。だがこんな糞女の為に罪を背負う気など欠片も無いので毒殺しようと計画しますが、殺す前に男友達とノーヘルでバイクに二人乗りをして殺害対象が事故死してしまいます。その挙げ句、痴漢冤罪が世間で話題になり、父も無罪だったかも思われ、その女が何人もの男を痴漢ですと言っていた経歴があるらしく、これは可笑しいと民間弁護団が調べて愉快犯の冤罪だったと認められてしまいました。父はただの被害者の一人に過ぎず、ただの警察と検察の怠慢でした。行き場を失った憎悪は子供の頃から続けていたバドに向けられ、一番父親に褒められた記憶がバドミントンの地域大会で一度だけ優勝した思い出でした。リア充っぽいからなんて女の子らしい理由でしていたバドだけがもはや生き甲斐となり、修羅となり、中学全国四位にまで進みました。だがジュニア大会で神藤にメンタルを折られた上に敗北し、その執着は羽咲綾乃に向けられます。ブリッ子の真似をしているのはその痴漢冤罪女の物真似であり、羽咲綾乃に勝つまでこの憎悪を忘れない為にブリッ子をし続けています。本当は関西弁を喋る復讐者系憎悪女子となります。







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