幻想郷の皆さんに美味しい物食べてもらうだけの話 作:無限の可能性を秘めたHuman Love
「これは……」
博麗の巫女『博麗 霊夢』の前に置かれたそれ
ふっくら艶やかに白く光るそれは、独特の匂いと僅かな湯気を放っていた
そう、白米である
日本人のソウルフードと言っても過言ではないそれは、日本に住む人々にとても馴染みがあり、嫌いな人間は余りいないだろう
米は日本の歴史と深く関わっていた
日本史に米が登場したのは縄文時代と言われ、中国より日本に渡ったのが起源だと言われている
「いい匂い……」
霊夢の目の前には米の他に豆腐と大根の味噌汁、秋刀魚の焼き魚、きゅうりの浅漬けそして味のりが置かれている
箸を手に取りまずは米だけで1口
口に入れた際に香る匂い。釜からおひつに移したため、余分な熱は無くなり、適温となっている
程よい弾力と日本の米らしい粘着感
噛む。噛む。噛む
噛めば噛むほど口に甘さが広まる。所謂デンプンである
そして嚥下する
次は味のりで包み食べる。のりのしょっぱさと米の甘みがとても合う
米とは不思議な食べ物だと霊夢は思う
大抵のおかずと合うその万能性
焼き魚、刺身、煮魚、焼肉、煮物、炒め物、漬物、ラーメン、カレーetc……
何故こんなにも合うのか。しかも合うのはおかずだけではない
炒飯やチキンライス、炊き込みご飯……果てには米粉パンなるものまで存在する
何故ここまで合うのか……。食事の度霊夢が考える小さな命題である
そして次に箸をつけたのは焼き魚。表面の皮はパリリと、しかし中身は脂が適度にのり、パサパサとしていない
調味料はお好みでレモンやおろし、醤油などをかける
しかし霊夢……。あえて付けない
身を崩しそのまま口へ
「〜〜〜ッ!!」
口に広がる爆発的な旨み。ほんの少し食べただけだと言うのに口の中を唾液が溢れる……!
季節の秋刀魚は脂が乗っている……。しかし、決してくどくない
その身はジューシー……しかし後味はさっぱり
今度は先ほどよりも多めに身を剥ぎ、米と一緒に食べる
米に身の脂が……
霊夢は感じた……!! これは最早芸術だと……
やがて米も秋刀魚も消えた
腹八分目。満腹とまでは行かないがそこそこ満足した
しかし……!
霊夢は立ち上がり台所からそれを持ち出した
それは壺……。霊夢の顔ほどのその壺を持に卓袱台の前に
壺を開けるとあたりに漂い始めるその匂い……
それは霊夢の意志とは関係なく唾液を分泌させる……!
それを新たに盛った米の上に乗せる
白の上に『赤』……!!
そう、梅干し……!!
博麗神社が造られてから毎年つけられる梅干し
酸っぱ過ぎないそれは白飯によく合う
口に含むと感じるのは酸味……そしてかすかに香る鰹……
霊夢は掻き込む……!! 米を全力で掻き込む……!!
その小さな口に必死で詰め込む……
そして食べ終わり、口の中身を飲み込む
ふと食卓を見れば残るのは浅漬けと味噌汁……
そして閃く……! 悪魔的アイディア……!!
投入……!! 味噌汁に米を……!!
「たまにしかやらないけどこれが美味しいのよね……」
そして掻き込む。流れるように口へ注がれるねこまんまを咀嚼。赤だしの味噌汁と米がまたよく合う……
「……うま」
たまにしかやらないその行為……。しかし、「たまに」だからこそより一層感じる美味……!!
やがてそれすら食い終わる。もう米はおひつにも残っていない
霊夢はきゅうりの浅漬けを口に含む
ポリポリと感じる食感
ぬか漬けとはまた違うあっさりとしたその味は、おかずとしてだけでなく、食後に食べる口直しにもいい……!!
こうして霊夢は朝食を完食した
手早く食器を片付け、いつもの様にせんべいと煎茶を持ち縁側へ……
パリっと音を立て醤油の香ばしいせんべいを食べ、煎茶を飲む……
「明日は紫に頼んで洋食でも食べさせてもらおうかな……」