流行りに乗っかるスタイル。パクリスペクトというやつ。
一応年表も見ながら書いてますが、矛盾点やらあったら書き直すます。
4月16日 雪
今日から日記を付けてみようと思う。
と言っても、備忘録や引き継ぎ書みたいなもので、後から見返したり、僕が引退した後の後任の手助けになればという目的で書いているので毎日付ける訳じゃない。人形とのやり取りと必要最低限の事だけ書くつもりだ。
そんなわけで、まずは今日あった事を書こうと思う。
副官を務めている人形と誓約した。彼女は向上心の塊のような人形だから、その手助けとなればという思いで行った。あの研究者からは戦力の伸び代を増やすと説明されていたので、彼女に丁度良いと思った。
ただ、彼女は別の意味で捉えたようだった。確かに、指輪を渡すというのはそういう行為に似ているが、僕にはその意思はない。
それを伝えると、彼女は照れ隠しと判断したのか、素直になりなさいやら分かっているのよやらと言われた。こんな中年のどこが良いのだろう。
実を言うと、僕には妻子が居る。それに、彼女は上の娘と同じくらいの年齢の容姿をしている。そんな彼女を、そういった目で見ることはできない。それに、もう二度と妻に不義理を働くつもりはない。
もし、僕の後任がこれを読んでいるなら、一つだけ忠告しておく。誓約というシステムは、僕たち人間と彼女たち人形とでは価値観が違う。軽い気持ちですると、いつか刺される日が来るだろう。
僕は、榴弾を撃たれそうになった。
4月19日 曇り
もし、これを読んでいる君の部下に「HK416」という人形が居るのなら、一つだけ厳命する。絶対に酒を飲ませてはいけない。たとえ戦果として酒を要求しても、絶対に断れ。
僕の過ちは、要人警護の任務から帰ってきた彼女を労おうと、晩酌に誘った事だ。いつか彼女が酒を物欲しそうに見ていた事を覚えてしまっていたことが、運のつきだった。
彼女は物凄く酒に弱い。まさか果実酒のカクテル、それもサイダーで割って、かなりアルコールを抑えたものを一口飲んで酔っ払うとは思わなかった。
酔っ払った彼女は、いつものクールで完璧主義者が嘘かのように変貌する。脱ぎ始めるし、話は聞かないし、暴れる。カウンターの中に乗り込んでテキーラを一気飲みする彼女の姿なんて見たくなかった。
結局、二瓶開けて潰れた彼女を部屋に封印して、ついでにバーも封印した。酒類は全部カリンの店に委託し、どんなにお金を積まれても416には売らないように厳命した。幸運だったのは、彼女もあの惨状の目撃者だった事だろう。
もう一度言う。HK416にお酒を飲ませてはならない。君が破産欲求を持っているなら、話は別だが。
ちなみに、明日から僕は、あの美味しくとも不味くともないタダ同然の合成食材定食生活になる。
4月20日 晴れ
416は、酔っても記憶が無くならないタイプの人間人形らしい。朝一番に、昨日の暴走を謝罪してきた。ダメージを受けたのは僕の財布と彼女のイメージだけなので、気にしていないと言っておいた。
だが、やはり彼女は自身の失態を気に負うようで、せめて食事は任せて欲しいと言ってきた。タダ同然とは言え、一月三食積み重なれば、それなりの額になる。僕としてもありがたい申し出なので、ぜひお願いすることにした。
完璧主義な彼女は、料理をする手際も良かった。酒癖の悪さを除けば、彼女は伴侶とするにはかなり上等な部類だろう。する気はないし、玉に瑕の瑕が大きすぎるのだが。
そういえば、彼女は渡した指輪を左手の薬指に着けている。そこに着ける必要はないし、そういう意味で渡したのではないと懇切丁寧に説明したのだが、譲る気配はない。寧ろ、最近は第二夫人を名乗っている。止めて欲しい。
因みに、彼女の料理は驚くほど味がなかった。見た目は完璧なハンバーグなのに、微塵も味がしない。どうやったらそうなるのか、逆に知りたい。とは言え、不味い訳でもなく、得意気な彼女の為に、優しい嘘をついた。
先ほど、例の研究者に戦術人形に味覚を搭載することを進言した。
追記
研究者から返信が来た。味覚は再現済み、彼女にも異常なく搭載されているという。
彼女の残念さに、思わず涙が零れた。これ以上彼女のイメージが崩れない事を祈る。
これを読んでいる君は、料理店で働いていた元民間人形を副官にするべきだ。もし言うのが遅かったら、ごめん。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
残念美人、私は好きです。HK416も好きです。
好きと好きを混ぜようと思うのは当然だよなあ?
取り敢えず酔い潰れた416をG11が介護してたら尊いと思う。