とある昼下がり億泰はある公園にあるジェラードの屋台でジェラードを買いそれをベンチに座り食べていた
「くぅ〜晴れた空の下で食うジェラードは最高だぜ!」
億泰がジェラードに舌鼓をうっていると其処に私服姿のココア、チノ、リゼが億泰の姿を見つけて声をかけて来た
「あっ、億泰君こんな所で何をしてるの?」
「見て分かんねぇか?ジェラード食ってんだよ」
ココアの質問に答えながらも億泰はジェラードを無心で食べていると
「もしかして億泰は甘いものとか好きなのか?」
「おうよ、毎週憂鬱な月曜日の朝にはダブルストロベリーアイスを食い、カレーもバーモントカレーの甘口しか食べないという撤退ぶりよぉ」
リゼの言葉に自慢げにそう言う億泰、チノもそんな億泰の姿を見て
「でも甘いもの好きなんて不良な億泰さんの容姿からはとても想像は出来ませんね」
と自分の本音をはっきりと言った
「別にいいじゃん男の人が甘いものが好きでも私のお父さんもスイーツが好きで週に一回はケーキバイキングに行ってたし」
「それは筋金入りだな…」
「ココアの父ちゃんとは話が合いそうだせ、にしてもこの木組みの町には美味いグルメが沢山あってココア達が羨ましいぜ」
億泰はジェラードを食べ終えると沢山の栞が付いているグルメ雑誌を取り出すと次に食べるグルメを何にするか悩み始める
「億泰君の住んでいる杜王町には美味しい物はないの?」
「勿論杜王町にも美味い物は沢山あるぜ例えなら名物の牛タンの味噌焼きとかな」
「牛タンの味噌焼きも美味しそうだけど億泰君が一番美味しいと思っているグルメって何かな?」
「そんなのトニオさんの料理に決まってんだろ」
億泰のトニオという名前を聞いたリゼは何処で聞いた事があると感じ自分のスマホでトニオの名前を調べ始めた
「トニオさんはまるで天使みたいな料理人でよ〜俺尊敬してんだ。いつかはトニオさんみたいな料理人になるのが俺の夢なんだ」
嬉しそうな表情を見せながらトニオという料理人を語りそして自分の夢を語る億泰、彼の言動からトニオという人物を心から尊敬しており本気で彼みたいな料理人を目指しているのが話を聞いているココアとチノにも伝わった
「素敵な夢ですね、私も将来は立派なバリスタになるのが目標なので億泰さんの気持ちはとても分かります」
「私も将来は小説を書きつつ町の国際バリスタ弁護士になるのが夢なんだよね」
「相変わらずココアさんの夢は訳が分からないです」
「でもね、本当になりたい物はチノちゃんのお姉ちゃんなんだよ!」
「今話した職業と何一つ関係ないじゃないですか!」
ココアに抱きしめらながらチノはココアにつっこむと億泰に助けを求めようとするが億泰はココアの話を聞いて泣いていた
「スゲェ夢じゃねぇか!俺は応援するぜ、頑張って小説家兼町の国際バリスタ弁護士兼チノの姉ちゃんになれよ!」
この時チノは思ったこの人はココアと同じタイプの人間だと、その時スマホでトニオを調べていたリゼのあっと声を上げた
「何処で聞いた事があると思ったらトニオという男は最近有名になって来ているイタリア料理人じゃないか!」
リゼは自分のスマホの画面をココアとチノに見せると色々な飲食店の情報が載っているサイトの中にトニオ名前とトニオの店(トラサルディー)の名前が掲載されていた
「えっと、(トラサルディー)とはイタリア人シェフ、トニオ・トラサルディーが営業しているイタリア料理店である。店には決まったメニューは存在せずに来た客の体調に合わせた料理を出す、料理自体は何処にでもある普通の物だがどれもとてつもなく美味であり食べた後は食べた人間の体調が良くなっていて中でも末期の癌に侵されていた人間がその店の料理を食べた事により末期の癌がなくなったという噂がある…だって」
ココアがリゼのスマホに書かれている情報を口に出して読む、しかしそのサイトにある情報が本当の事なのかココア達には疑わしかった
「この情報は本当なんですか?とても信じられないですね…」
「でもこのサイトに書かれてるという事は本当の事なんじゃないのかな?」
半信半疑の様子のココアとチノに億泰は
「このサイトに載ってる事はマジだ、なんせこの俺もトニオさんの料理のおかげで肩凝りと虫歯と水虫がなくなった上に下痢気味だった腹も治って体調が全快したんだからよぉ」
「億泰が嘘をついているとは思えないが普通の料理人にそんな事は出来るとは思えないな、そもそもこのサイトに載ってる事だって誇張されてるんじゃないのか?」
リゼもココア達と同じようにサイトの情報に嫌疑的な態度を見せる
「トニオさんにかかれば唯の水もこの世の物とは思えねぇぐらいの物なるんだよ、前菜も副菜もメインも全てが美味すぎてまるで天国にいるんじゃねぇかと思っちまうぐらいの心地よさがあるだな〜」
億泰の説明を聞いた思わずココア達はゴクリとのを鳴らしてしまった
「億泰君がそう言うなら本当の事なんだろうけど、それじゃあそのトニオさんって人は魔法使いか何かなの?」
「いや、トニオさんは魔法使いじゃなくてな」
億泰が言葉を続けようとしている時チノはとある方向を見て固まった
「あの…トニオさんってイタリアの人なんですよね?」
「其れがどうしたよ?」
億泰はチノが指差した方向を見るとうなだれた様子の外国人の男が座っていた
「あの人、このサイトに載っていた写真と似ているっていうか間違いなく同じ人ですよね?」
ココア達がグルメサイトに載っていたシェフの写真とベンチに座っている男性を見比べると写真に写ってる男性とベンチに座っている男性が同一人物である事は間違いなかった
「トニオさんこんな何処でどうしたんだ?めちゃくちゃ落ち込んでいる様だか何かあるなら相談ぐらいには乗るぜ?」
億泰は心配した表情でトニオに話し掛けた
「コレは、億泰サンじゃナイですが、情けナイ所をおミセしましてスイマセン実は少し店のコトで悩んでイマして…」
トニオは自分の店が杜王町の開発の煽りを受けて閉店しなければいけなくなった事を億泰達に説明した
「しょ、しょんな〜トニオさんの料理を食えなくなるなんて、そんなの人類における最大の損失じゃねぇか!お偉いさん達にはトニオさんの料理の価値が分かんねぇのかよ!」
忿怒の表情を見せる億泰をリゼは宥めようとする
「お、落ち着け億泰、それなら別の場所で店をやればいいだけだろ?」
「ワタシが杜王町に店をヒライタのは新鮮な海鮮類や野菜が沢山とれるバショだったからです。ザンネンながら杜王町以外でワタシの店に合う条件の良い場所がナイのです」
「それじゃあ、私達はもうトニオさんの料理を食べられないんですか?」
ココアは落胆した様子を見せながらそう言う
「決めた!このままトニオさんの店がなくなっちまうなんて耐えられねぇ、俺達で何とかするしかねぇぞ!」
億泰の言葉にココアも片手を上げて同意した
「私達も喜んで協力するよ!リゼちゃんもチノちゃんも協力してくれるよね?」
「わ、私も協力しなきゃいけないのか?」
「えっ?協力してくれないの?」
ココアが小動物のような表情を見せるとリゼは言葉に詰まってしまう、そんなリゼの肩を諦めた様子でチノが叩く
「リゼさん、諦めましょう。私はもう諦めましたから」
リゼは軽く項垂れると気を取り直し2人で盛り上がっている億泰とココアに協力する事にした
「何とかするって言ってるが何か当てがあるのか?唯の学生の私達に出来る事は殆ど無いぞ?」
リゼの言葉に億泰とココアは考え込むとココアは何かを思いついたかの様に顔を上げるとスマホを取り出して何処に電話をし出した
「ココアさん何処に電話してるんです?」
「ふふふ、それはねぇ、しばらくすれば分かるよ」
ココアがチノにそう言って電話を切ってから数分後ココア達の何処に千夜がやって来た
「ココアちゃんいきなり公園に来てくれってどうしたの?」
「千夜ちゃん!この前お店が忙しくて人手が欲しいって言ってたよね?」
「ええ、確かにそう言っだけど…」
「なら、この人を甘兎庵で雇ってくれないかな?トニオさんっていう人なんだけど」
「ココアちゃんには申し訳ないけど、私1人じゃ決められないわ、おばあちゃんの意見も聞かなきゃいけないし…そのトニオさんって人はみたところ外国の人だけどうちで働きたいという事は和菓子に興味があるのかしら?」
「モウし訳ありまセンがワタシは和菓子にソレほど興味がナイのです」
「それじゃあなんでうちで働きたいって言ったの!?」
千夜は思わず大声で突っ込んでしまった
「いやぁ、トニオさんに働いて貰えば甘兎庵の人手不足は解消出来るし甘兎庵でイタリア料理を出せば良いかなぁと思って」
「流石におばあちゃんが許してはくれないだろうし和菓子屋にイタリア料理はちょっと…」
「和菓子には素晴らしいモノがタクサンありマスがワタシの料理に和菓子はサスガに合いませんね…」
「つうか、和菓子屋でイタリア料理を出せば良いってのは少し違くねぇか?」
「まぁココアだからしょうがないな」
「そうですね、ココアさんだからしょうがないです」
「まさかの全員からのダメ出し!?」
チノ達全員からのダメ出しにココアは地面に手をついて落ち込んでしまったが直ぐに顔を上げると
「それじゃあ、フルード・ラ・ラパンはどうかな?」
「ダメに決まってるでしょ」
突然現れたシャロがそう言いながらココアの頭にチョップする
「どうしてシャロちゃんが此処に?」
「ラパンのチラシを配ってたらリゼ先輩の声が聞こえてきたからもしかしてと思って来てみたのよ」
頭を下げて涙目で押さえているココアにシャロはそう説明した
「嬢ちゃんは誰だ?リゼの知り合いか?」
「そういえばまだ億泰には紹介してなかったな、此奴は私と同じ学生の桐間紗路(きりましゃろ)だ。仲良くしてやってくれ」
「もしかして、その人がリゼ先輩が最近知り合ったっていう?」
「ああ、見た目に反して面白い連中ばかりだからシャロも直ぐに仲良くなれるさ」
「は、はい!リゼ先輩がそう言ってくれるなら私直ぐに仲良くなります!」
「なぁ、あいつらの背後にユリの花が見えるような気がするんだか俺の気のせいか?」
億泰のつぶやきに意味が分からずに首をかしげるチノとココア、そして意味ありげな笑みを浮かべるが何も言わない千夜だった、その後仕事の続きがあるというシャロ達と別れたココア達はこれからどうするべきかと悩んでいた。
「どうしよう…もう完全に手詰まりだよ〜」
「安請け合いするからそうなるんですよ」
ココアに非難の言葉をぶつけるチノ
「モウ良いのです、ミナサンがワタシの為にココまでしてくれたダケでワタシはトテモ嬉しいです」
トニオがココア達に労いの言葉をかけた事でこの件は終わりかと思われたが…
「いや、諦めるのはまだ早いかもしれないぞ」
リゼは何か当てがあるのかそう言うとスマホを再び取り出し何処にメールを送るとラビットハウスのある方向に向けて歩き出した
「諦めるのは早いって何か考えがあるの?」
「ああ、とりあえずタカヒロさんの何処に行くぞ」
そしてリゼ達はラビットハウスで休んでいるタカヒロの元へ向かった
「成る程、この店でイタリア料理を提供したいと」
「はい、実はラビットハウスには以前からランチタイムの他にディナータイムをやってほしいと要望があったので…それにランチタイムにもお得なイタリア料理を提供すればお客さんが沢山来てくれると思うんですが」
そうリゼの考えとはラビットハウスでトニオの料理を提供して貰うという物だった
「確かにちょっとオシャレな喫茶店でイタリア料理を出してる何処は沢山あるしコーヒーならイタリア料理と相性は良いよね?」
「タシカにイタリア人はコーヒーにこだわっている人が沢山イマス、そして色々なコーヒーをタイミングによって飲み分けている人も多くいるのデス、ワタシの店でもコーヒーにはこだわっていました」
トニオの言葉にチノは顔を輝かせながら
「そういえばおじいちゃんから聞いたことががあります!イタリアにあるナポリはエスプレッソの聖地でコーヒーの勉強の為にイタリアに行った時気軽に入れる立ち飲み式の喫茶店や座ってじっくりとタイプの喫茶店が沢山あったって言ってました!」
「そうだったんデスか、どうりでコノ喫茶店から懐かしいイタリアのコーヒーの匂いがすると思いマシタ」
「トニオ君の腕前は聞いているよ、トニオ君さえ良ければこの店で君の店をやると良い。店の改修費は私の知り合いに出させるから安心すると良い」
「しかしワタシは料理ダケではナク仕入れにもこだわってイマして…」
「仕入れルートなら心配ない、こう見えても昔のツテがいくつかあるんでね、きっと君が満足出来るルートがある筈さ」
タカヒロは歯をキラリと光らせると笑いながらそう言った
「アリガトウゴサイマス、その好意に甘えさせて貰いマス、貴方はワタシの恩人デス!このご恩は必ずオカエシシマス」
「いや、気にする事はないさ。君の料理によって店のお客様がふえるならこちらとしても嬉しいからね」
こうしてトニオは正式にラビットハウスで働く事となり、因みにこの後億泰がタカヒロに頼み込みトニオがラビットハウスで働き始めた時にトニオの助手としてアルバイトをさせて貰う事になった。
To Be Continued…
木組みと石畳みの街 名所①
トラザルティーラビットハウス店
杜王町の有名シェフ、トニオ・トラザルティーが杜王町から木組みと石畳みの街に移転しラビットハウスのマスターのご好意によりランチタイムからバータイムまで営業している、そこで提供されている料理を食べたら体調が良くなるというもっぱらの噂である。因みにラビットハウスのコーヒーも料理に合うという事で人気である。