ロクでなし魔じゅ(ry……リィエルすこ   作:鈍足ハイカー

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リィエルメイン

姉妹って………イッタイダレノコトナンダロウナー

今回短め


姉妹の対話

アルトがリィエルによって倒されてから数刻、リィエルはよく見知ったケーキ屋の前に居た。()()()()()男からのお願いでアルトを殺し、そして友人であるルミアを攫った事を思い詰め辺りを歩いていた筈だ。

 

「………………」

 

そもそもこのケーキ屋は王都の近くの先程の場所から相当離れた場所にある筈。()()()()()の近辺は森と海である為に似た様な店にたどり着いたという事もあり得ない。

 

日中であるのに辺りに人影一つ存在しない状況に訝しみながらもリィエルはそのケーキ屋の中に()()()()()()()()()()、そう感じた。無論あんな事をしてしまった後であるので何かを食べる気は無かった。

 

 

このケーキ屋はアルトとリィエルがここ数年良く通っていたケーキ屋で、一定の料金を払えば食べ放題と言う画期的な商法で人気である。昼時ともなれば多くの人で賑わっている筈である。

 

しかし中に入っても誰も居ない。

ケーキは置いてあるが店員すら存在しなかった。

 

 

「…………甘いもの好きなんだ?」

 

「ッ!誰!」

 

 

背後から掛けられた声に反応してリィエルは瞬時に距離を取って振り向いた。いつでも無詠唱で剣を錬成出来るように構え相手の顔を伺うと------

 

「!?……………私?」

 

リィエルが見たのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() だった。その事を不気味に思ったリィエルは即座に大剣を錬成しようと魔術を発動しようとするが、

 

「ッなんで…………」

 

一向に魔術が発動する気配すらしなかった。それを見ていた赤髪の女性が口を開いた。

 

「此処では魔術を使えないわよ」

 

「……………貴方は誰?」

 

リィエルの質問に赤い髪の女は少し悩む仕草をして決心した様に自分の名を語ろうとした。

 

「私の名前は■■■■----うーんこれはダメか。取り敢えず貴方の姉だからお姉ちゃんって呼んで?」

 

リィエル何故か名前を聞き取れなかった。そして女はそれを予想していたかの様に自分を姉と呼べと言った。

 

しかしリィエル自身、先程まで兄を自称している人間に命令されて------

 

リィエルはそれ以上考えたくは無かった。わかるのは兄を名乗る男のせいで身内と自称されたとしても不愉快な気持ちになる事だけだ。

 

「……………」

 

「やっぱり呼んではくれないのね………それも仕方ない事ね。所であなたの名前は?」

 

「…………リィエル」

 

「……そう。少しお話しない?」

 

赤髪の女はリィエルの名前を聞くと少し悲しそうな表情を見せた、しかしそれをリィエルに悟られない様に明るく近くにあったテーブルの椅子を引いた。

 

「………ん」

 

返事とは言えない様な反応だったがリィエルが椅子に座ったのを見て、肯定と受け取った様だ。赤い髪の女はいつの間にか持っていたいちごタルトが大量に乗った皿を机に置き一口口にした。

 

「………美味しいわね」

 

「ん、当たり前」

 

二人で見つけた店である為に、作ったわけでも無いのにリィエルは少し誇らしく思った。

 

「なんでも聞いていいよ。答えられる事なら答えるわ」

 

赤髪の女性は少し微笑ましそうにしながら本題に入った。

 

「……………ここは何処?」

 

「うーん。夢の中………かな?リィエルの心の中でもあるよ」

 

「心の……中」

 

リィエルは自分の少ししか無い記憶を掘り返す。

確かにこの店はよく来るし自分の楽しみにしている事の一つであるので納得できる部分もあった。

 

「そう、心の中。だから式があっても魔術は成立しないわ。代わりにこんな事は出来るけどね」

 

赤髪の女はテーブルの上に紅茶の入ったティーカップを作り出した。魔術を唱えた様子も無い。想像すれば物が手に入るのだろうとリィエルは納得した。

 

「…………私は………私はどうしてあの男の命令に逆らえないの?」

 

この赤髪の女性が知っている。

その理由を………名前も知らない人間である筈なのに。だがリィエルの勘がそう言っている。

 

「あの男には貴方に対する命令権限があるの………他にも二人は命令できる人間が()()わ」

 

「…………………?」

 

 

 

 

「そうね……………精神操作の魔術に掛かっていると思えばいいわ」

 

 

「…………わかった」

 

つまり自分はあの男の命令に逆らうのは難しいという事だろう。しかしそれはアルトを手にかけた事への免罪符にはならない。理由がどうであれリィエルは大切な人を殺してしまったのだから……リィエルは自分の無力さが嫌になった。

 

 

 

そして………聞かなければならない事がある………気がする。根本的な疑問で最も知るべき事だと勘が訴えかける。

 

 

「………………あなたは、『何』?」

 

 

彼女は………人では無い。

その仕草、表情、声、思考はどれを取っても人間である。疑いようもなくそう思えはするが………人では無いと()()()()()()()()

 

 

「…………私は貴方の姉よ。既に死んでしまったけどね………他の見方をするなら私は--------」

 

 

女は自分がここに存在できる事情、どう言った経緯でリィエルが生まれたのか………様々な事をリィエルに話した。リィエルは多少驚きはしたものの落ち着いて聞いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………」

 

「これで伝えなきゃいけない事は伝えたわ。()()()()()()()()()

 

「…………さようなら………お姉ちゃん」

 

()()()()は最後にリィエルが姉と呼んだことに驚きはしたものの思い残す事はもう無い様でリィエルの心の中から消える様に存在が薄れていった。

 

 

 

 

 

「…………あ、アルト君にはよろしくいっといてね」

 

「…………?」

 




イルシアの口調がわからない
まぁなんでもいっか。(適当)

自己会解釈設定
まぁリィエルを作った人間にはリィエルに対する命令権限があるのでは無いかなぁと。人造人間ですし。作る際にはセーフティとしてそんな魔術を組み込んでいたとしてもおかしくないですからね。
まぁ簡単に言えばイルシア、シオン、ライネルは一方的にリィエルに命令する事が出来るという設定です。



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