ロクでなし魔じゅ(ry……リィエルすこ   作:鈍足ハイカー

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うーんリィエルが薄い

最も濃くリィエルを活躍させなくては……
さもなくば……リィエルすこ


学院へ

アルト=マツバの朝は早い。

 

彼の朝は自作した目覚まし用の魔術によって始まる。彼の魔術の専門は人体に関する白魔術、それも自身の肉体に魔術をかける事に適性がある。寝ている時に長時間詠唱を待機させ、一定時間後に発動させる。高等技術の無駄遣いに帝国の士官が見れば卒倒しそうな光景である。

 

「ふわぁ〜……………飯作るか」

 

アルトは東方で武者修行をしていた事がある為、朝食は米になる事が多い。米を炊くのは自分の分、そして自分の同僚の分だ。アルトがこの仕事を始めてから少しした頃に知り合った……いや、拾った少女の事である。

 

「♪〜〜〜」

 

彼に家族は居ない。正確には()()と言うのが正しいが、既に死んでしまっている。それが原因で彼の心には()()()()を抱えているが今は話す必要も無いだろう。

 

ガチャ

 

「リィエルー!起きろー、朝だぞー」

 

部屋の扉を開けると彼の同僚の青髮の少女が眠そうにしていた。ありがちなラブコメ展開では少女に追い出されそうだが、この少女、リィエル=レイフォードにはそんな乙女の様な思考は存在しない。

 

「………………ん、おきた」

 

「おはよう。ほら、こっち来い」

 

アルトはリィエルを目の前に座らせ、その荒れまくった髪を櫛で梳く。リィエルの髪は質はいいが寝癖が酷い。しかしその髪質から真面目に手入れをすればそれ相応の物になるだろう。生憎本人は興味が無い様だが。

 

アルトも毎日やっている訳ではない。例えば勲章の授与式、陛下への謁見。潜入任務の時など必要な時にしかやらない。

まぁ、任務の内容からこれから毎日やらなければいけないのだが。

 

「今回の任務は長期の護衛だ」

 

「……ん」

 

「対象はルミア=ティンジェル。グレンのクラスの生徒だ」

 

グレンの名前を出すとリィエルは少し反応した。髪を弄られているので余り動く事は無かったが自分を拾った人間のうちの一人、グレンには思うところがあるのだろう。

 

「……決着を」「つけんで宜しい」

 

「……?なんで」

 

髪を弄るのも終わった為、大幅に首を傾げたリィエル。表情筋は動いていないがこう言う感情表現は多彩になっている。

 

「護衛をする為に、グレンのクラスに編入するからだ。平日は毎日の様に会えるぞ」

 

「わかった」

 

アルトはリィエルの世話をしながら手元の資料に目を通す。あの学院の情報である。食堂があり、弁当を作る必要が無いのは事前に確認済みだった。確認すべきは学院の構造や生徒、教授についての情報だ。不審人物を特定したり、逃走経路を確保したりするのには必須である。

 

 

 

 

 

 

「いいか?自己紹介では軍属である事を話すなよ?」

 

「……ん」

 

「あとグレンに斬りかかるのもダメだ」

 

「ん」

 

「ハンカチ持ったか?」

 

「ん〜…………ん」

 

「クラスの奴らとは仲良くしろよ?」

 

「ん」

 

「後は………」

 

「アルト」

 

「何だ?」

 

「覚えた」

 

「…………ならよし」

 

 

 

 

 

 

 

 

フェジテの中心部から少し離れた所にある割と上等な住宅街。貴族などの屋敷が並ぶ場所の中にある借家。アルトが新しく住もうと借りた場所だ。護衛対象のルミア=ティンジェルが住んでいるフィーベル家も近く護衛には丁度良い物件だ。

 

アルザーノ魔術学院の制服に着替えた二人は家を出てその通学路を確認する。無論その道筋は護衛対象と同じになる様にしている為、最近ルミアの護衛を自主的に始めた人物に会う事は必然だった。

 

「おはようグレン……先輩?先生か」

 

「おお!アルトか。お前が来てくれるのは頼もしいな。頼むぞ」

 

「まっ、その前に一発」

 

アルトによる割と全力の拳がグレンを掠めた。

アルトは完全に当てる気だったのだが、この至近距離で回避されたのはグレンの格闘術に対する非凡な才能の為だろうか。

 

「あぶねッ!?今完全に当たったら首が逝ってたコースだよ!?」

 

「やだなー、軽い挨拶ですよ」

 

「挨拶!?お前そんな非常識な事やらないだろ!完全に嘘だよな!?」

 

「ん、私もグレンに挨拶する」

 

「やめて!?」

 

 

 

 

「あの〜、その子は?競技祭の時の……」

 

すると護衛対象であるルミアの友人システィーナ=フィーベルはリィエルの事を少し覚えていたのかグレンに質問した。

 

「ああ、白猫はリィエルの顔ぐらいしか知らないよな。こいつらは俺の宮廷魔導師団時代の同僚だ。」

 

「アルト=マツバです。よろしく」

 

「ん、リィエル=レイフォード」

アルトとリィエルは二人に軽く挨拶をした。仮にも美少女である事からアルトの二人に対する印象は上々である。顔には出ていないが、リィエルは護衛対象に興味がある様だ。

 

「改めて自己紹介しますね。私はルミア=ティンジェルです。で、この子が私の友達のシスティーナ。宮廷魔導師団の方達が来てくれるなんてとても心強いです。これからよろしくお願いしますね?」

 

「ああ。よろしく」「ん、任せて」

 

グレンは前々から疑問だった事を聞く事にした。何故、何故よりにもよってこの二人なのか。確かにリィエルはアルトがいれば多少は暴走しないとはいえ、護衛任務に向いてるとはお世辞にも言えなかった。

 

「そもそも、何でお前らなんだ?言っちゃ悪いが…………」

 

「あー、ほんとはクリストフとかが適任なんでしょうけど………人手不足ですかね。それで突撃任務以外で暇を持て余している俺達が護衛を」

 

アルトは自分が配置された理由を意図的に曖昧にして伝えた。そもそもアルトが送られたのはルミア=ティンジェルの護衛として送られたのもあるが、別の任務の為という面が強い。

 

「安心して………斬るのと壊すのは得意」

 

「いや、安心できないから。マジで」

 

「……?」

 

リィエルは自信満々に言い放ったが、言っていることは確実に狂戦士のそれである。帝国軍の最終兵器とか呼ばれている二人を護衛任務に回すのはお門違いもいい所だ。グレンもドン引きである。

 

「まぁ、マジレスするとグレン先輩と共同で護衛をするなら俺らが妥当な所ですね」

 

「お前ら俺を酷使する気満々かよ………」

 

「魔術師相手ならグレン先輩、切り札的な存在ですし」

 

グレンの『愚者の世界』と言う固有魔術は対魔術師戦において最大の切り札と言ってもいい。そしてアルトとリィエルはその『愚者の世界』による影響が少ない。

 

迂闊にこの布陣に飛び込めば、魔術も発動出来ない状態で殴られ、蹴られ、殴られ、斬られ、斬られ、殴られて完全に再起不能コースに送られる事は確実である。

 

「まぁ、グレン先輩は鈍ってますから……勘を戻して貰わないと」

 

「……………それってやっぱり?」

 

グレンは確かに凡百の魔術師よりは強いが、天の智慧研究会の先鋭や幹部陣を相手取るには少し足りないとアルトは思っている。

 

「俺かリィエルと模擬戦ですね。」

 

「やめて!ボク死んじゃう!?」

 

「グレンなら大丈夫。………多分」

 

「マジで何なの!お前らの俺に対する異常な期待は!?」

 

「グレン先輩の生命力はG並ですから。割と死なない事は周知の事実ですよ」

 

「………それ、褒め言葉?」

 

茶番はともかく、学院へ向かったアルト達。

グレンが毎日のように美少女二人を連れて登校している事への嫉妬の視線や、見知らぬ生徒がいる事への好奇の視線に晒されてながら歩いている。

 

「あっ、ティンジェルさんとフィーベルさん。俺がいない時はリィエルの事頼みますね。甘い物で釣れば大体何とかなるから」

 

アルトは思い出したかのように特大の地雷を落とした。このイノシシを止める役目をか弱い少女に託すのは正気の沙汰では無いが、そもそも止める人間がいなければどんな事が起こるのか予想も出来ないだろう。

 

「………?大丈夫、私に斬れない物はない。」

 

「「………………」」

 

「ほんと、いつもこんな感じなんで。流石に斬りかかる事は無い………筈、です。……多分」

 

アルトは話していながら自分の言っている事に不安を持ち始めた。しかしこんな事を頼めるのはこちらの事情を知っているこの二人だけなのだ。

 

「いいわよ。……ね、ルミア。」

 

「うん。任せて」

 

「あなた達が神か…………リィエル、二人の言う事は聞いておけよ?」

 

「ん、二人ともよろしく」

 




自己紹介やろうとしたけど区切った方がいいなこれ。
というわけで
リィエルすこ
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