主人公の名前適当に決めすぎたので少し修正しときます、アルト=マツバ
下の名前もアルベルトと被ってて面倒なんだよなぁ、そこは変えないけど。
今朝方、見知らぬ生徒がグレンと共に登校してきた事から、もう新しい編入生、若しくは転入生がこの学校に来る事が噂となっていた。
「はーい!今日はお前らの予想通り、編入生が来る。それもこのクラスに二人だ。なんだウェンディ?」
「二人ともこのクラスに来るのですか?」
「あー、なんだ。二人とも俺の知り合いなんだよ、だから俺に任せるんだと」
確かに、編入生が二人同じクラスに振り分けられるのはおかしい。アルトはこの質問を予想していたので、グレンに対応するように助言していた。
「後の質問は編入生にしてくれ。入ってこい。」
グレンに促され教室に入ったアルトとリィエル。
リィエルは丁寧に手入れされた海のように青い髪を靡かせ、無表情な顔さえ気にならない程の美少女だ。その小柄な体格からは平時の力強い戦闘なんて一切想像出来ない。
「か、可憐だ……」
「守ってあげたくなるタイプの…」
一方アルトは黒髪の美男子である。リィエルより少し大きいぐらいの体格で、同い年の男子と比べて少し小さいぐらいだ。しかしその体格からでもどこか力強さを感じる。
アルトはリィエルに反応した男子を要注意人物として目を付けた。色恋などの感情では無く、リィエルの教育に悪そうぐらいにしか思っていないが。
「じゃあ自己紹介を頼む。」
「ん、リィエル=レイフォード。出身は不明、好きなものは甘いもの得意なのは錬金術。趣味は……………………」
リィエルは自分の趣味を言おうとしたが特に趣味と言えることが無かった。そこで助けを求める為にアルトを見るが。
「何故そこで俺を見るんだ?……………」
アルトはリィエルが自発的に自己紹介をして欲しいと思っているのであまり助言をしようとは思っていなかった。
「むぅ……………………」
「…………………………、甘い物を食う事とでも言っとけ」
リィエルは上目遣いを覚えた。
一体何処の誰が教えたのかは分からないがアルトへの効果は抜群だった。教えられるのは特務分室の女性だろう。そうなると上司の赤髪女か、もしかすると元同僚でグレンにゾッコンだった方かもしれない。
「ん、その手があった。」
「はぁ……全く。あー、俺はアルト=マツバ。一時期東方に住んでた事があるね。趣味は格闘と料理。得意なのは白魔術だ」
「よし、じゃあ二人に何か質問ある?」
これも転入生や編入生の定番と言える。答えられる範囲なら何かを質問する。今のアルト達の会話を見て何が気になったのかは聞くまでも無いだろう。
「じゃあ俺が、二人はどんな関係なんだ?」
「…………難しいな、俺は家族だと思ってるよ」
「ん、それが妥当」
「「「………………」」」
熟年夫婦。二人を表すならこの言葉が一番近いだろうか、恋人同士より進んでいるのに何故か冷めた関係に見えてしまう様なものだ。互いの距離が近すぎて恋愛感情が生まれない。
リィエルはその感情を持っているのかが怪しいが。
「えーと、グレン先生とは何処で知り合ったんですか?」
「ん、拾われた」
「え?」
その質問にはリィエルが真っ先に答えた。特に理由は無かったのだろう。ただ自分が覚えている事だから口に出たのかもしれない。ほぼ反射的なものだろう。
「グレンとアルトに拾われた。だから私がいると思ってる。」
「あー、なんだ孤児的な奴だよ。それを俺とアルトで見つけたんだ。」
グレンの苦し紛れのフォローに生徒達も信頼している先生の言葉である事から一応納得した様だ。
「す、好きな異性のタイプとかは?」
「ノーコメント」
「?私はアルトが好き」
「ん?」
リィエルによる衝撃発言はこのクラスに一瞬の沈黙を齎した。余りにもあっさりと答えた事でその場の全員が理解するのに数秒は掛かったのだろう。一番最初に復帰したアルトも混乱していた。
「「「何ぃイイイイ!」」」
「きゃああああ!大胆〜!」
「イケメンな事さえ許せねぇのに、すでに編入生も………体育館裏を借りなきゃいけねぇなぁ!」
「ちょっと待て!リィエル、この質問は恋愛対象について聞いてるわけで……………よく考えて答えてくれ頼むから」
「?よくわからない。アルトが好きじゃダメなの?」
アルトは弁明したが理解はできなかった様だ。当然であろう、リィエルに教育しているアルトが教えていないのだから。リィエルは教えた事を実践するのでアルトが意図的に後回しにしていたのだ。
今回はそれが仇になったと見える。
「………………あー、リィエルは恋愛に興味が無いっぽいので、あくまで家族として!家族として!好きなんだよな。うん。」
「…………ん、そうかも」
「なら、いいのか?」
「いや待て、そのまま発展しないとは限らない。早めに芽を摘むべきでは?」
アルトの起死回生?の一手によって周囲の反応は一応収まった様だ。肝心な部分を弁明できたかは首を傾げざるしかないが。
こんな事もあり教室内では二人は無自覚バカップルという認識に収まった。
その後
「むぅ、潜入って難しい」
「いやいやいや、普通にリィエルがムキになって暴れただけだろう、流石にアレを投げるのはアカンよ」
「ん、気をつける」
「じゃあリィエル。女友達を作ってこい。今朝の二人でいいから飯にでも誘え。俺は別で食うから」
「…………わかった」
アルトはリィエルの友人関係を広げさせる為に護衛対象を利用する事にしたらしい。別にアルトがやってもいいのだが、編入生がやるより元からいる人間に頼る方が効率的だと考えたのだろう。
リィエルを見送り、自分も昼食に行く友人でも探そうかと周囲を見渡す。…………だが今朝の事故紹介のせいだろうか、敵意の篭った視線を感じる。
「グレン先……生。飯いきましょうよ」
「おま、リィエルは?どうした。一人にして大丈夫なのか?」
どうやらグレンは先程授業で壊した機材の件で絞られたらしい。完全にとばっちりとも言えなくもない。アルトは静かに同情して飯を奢ることにした。
「少し友達でも作らせようかな?と。敵がいないなら問題は起こしませんよ」
「さっき問題になったんですが………」
「それは偶然、若しくは事故ですね、お詫びに飯を奢りますよ」
「おお!マジかよ助かるわ」
そう言ってグレンは意気揚々と学生達の列に並んだ。リィエルが大量のタルトを机に持っていく所を見たが、アルトは幻覚を見た事にしたらしい。
「A定食とB定食を大盛りとこのサラダを頼む」
「遠慮が無いですね、まぁいいですが。俺はC定食の大盛りで」
「しっかし、お前が来てくれて助かるわ。流石にリィエルが成長したって言っても潜入は難しそうだからな」
「そうですね。止まる事は覚えさせたんですが、その他の事はね………まぁこの護衛任務で覚えてくれるといいなぁ」
アルトはリィエルの成長を願っているがそこまで過度な期待はしていなかった。精々少し友好的になってくれればなぁと思っている。それだけでも帝国軍でやっていくには十分だろう。
「あ、そういえば俺、白猫に魔術戦の駆け引きを教える過程で拳闘をやってるんだが、手伝ってくれないか?」
「白猫?ああ、フィーベルさんですか。帝国式じゃなくて大丈夫ですか?」
「ああ。想定外の技を使ってくる敵を対応させる訓練になるだろ?」
アルトが使うのは帝国式格闘術ではなく、東方で培った全ての流派のいいとこ取りとも言える複合格闘術だ。同じ様な事が出来る人間もいない。
「成る程、じゃあその時にでもグレン先輩を鍛え直しますか」
「…………え"」
「リィエルも最近暴れ足りなそうですし、良いかもしれませんね」
「ちょ、マジ?おれ俺を殺す気か?」
「大丈夫ですよ。
「なら、いいのか?」
しかしグレンは翌日地獄を見る事となる。
あくまで、最初は、合わせるので後にどうなるかは語るまでもない。
リィエルはアルトへの好意を持っているが自覚はしていない。
家族としての好意ならグレンとアルトになる筈ですし。その辺を今後どうして進めるかが、……リィエルすこ