ダンガンロンパ~超高校級の推理小説家?~ 作:シロクロパンダ
突如現れたヌイグルミ、モノクマはそう言った。
だが、誰もそれを受け入れることはできなかった。
塞がれた窓に、16人しかいない学園、そして、喋るヌイグルミ。
受け入れろというのが無理な話だ。
「ヌ、ヌイグルミが喋った!?」
「いや、ラジコンがなんかだろ!?」
「ヌイグルミでもおもちゃでもないよ!ボクはモノクマだよ!」
騒ぎ出す俺たちにモノクマが一喝する。
「学園長!どうか詳しいことをお聞かせ願いたい!」
すると挙手をして発言したのは、“超高校級の風紀委員”の石丸だった。
白い制服を着て、右手をビシッと伸ばし、左手はズボンの折り目に合わせて、直立不動と言ってもいいぐらい、背筋を伸ばしている。
「そうだね。式も押してるし、さっそく本題に行きましょう。えー、お前らのような才能溢れる高校生は世界の希望に他なりません!そこで、学園は、お前たちを保護し、この学園内で共同生活をしてもらいます!その期限は…………一生です!」
その言葉に、またしても全員が固まった。
学園内で過ごせと言われるだけならまだわかる。
だが、その期限が一生なんて言われたら、固まるのも無理はない。
「ああ、安心して。衣食住はちゃんと保証されるから、予算はたっぷりあるからね。お前たちに不自由はさせないよ」
「い、いや、そう言う心配じゃないくて……」
「てか、期限が一生ってどういうことよ……」
今度は“超高校級のアイドル”の舞薗さんと、“超高校級のギャル”の江ノ島さんがそう言う。
「僕は嘘は言わないよ。あ、ついでに言うと、外の世界の情報はシャットアウトさせて貰ったから。世界の希望であるお前たちに汚れた外の情報は必要ないからね」
窓の鉄板はそういう意味だったのか。
だが、少しおかしい。
周りを見る限り、全員が驚いて、不安を顔に表している。
それは俺も同じだ。
だが、俺はどうしてこんなに冷静なんだ?
そんなことを考えている間にも、周りはどんどん騒がしくなり、家に帰らせてくれと言い出す者も出てくる。
「おやおや、入学式の最中に帰りたいだなんて、随分とマナーのなってない人もいるね。まぁ、外に出る手段がないわけじゃないよ」
「そ、それってどうすれば?」
「お前たちには秩序を守った共同生活を送ってもらう必要がありますが、その筒所を破った者だけがこの学園の生活から解放されるんだよ」
「秩序を破った者だと?それはどういうことだ?」
“超高校級の御曹司”十神白夜がそう尋ねると、モノクマは、簡単に答えた。
「人を殺すことだよ」
モノクマのそのセリフに、全員が騒ぐのをやめる。
「殴殺惨殺刺殺焼殺撲殺圧殺絞殺惨殺呪殺毒殺自殺、殺し方は問わないよ!誰かを殺した生徒だけが卒業となりこの学園を出られます!」
「ふざけんじゃねぇ!」
すると、誰かが大声を上げ、前に出る。
改造した長学ランに、さらしを巻いた腹、そして、特徴的なリーゼント。
“超高校級の暴走族”大和田紋土だ。
「殺し合いだと?悪ふざけも度が過ぎんぞっ!」
「悪ふざけ?それって大和田くんの髪型のこと?」
「クソがぁ!!」
すると、大和田は一気に踏み込み、モノクマに接近すると、そのままモノクマを掴み上げた。
「捕まえたぞ!ヌイグルミだがラジコンだが、知らねぇが、さっさとここから出せってんだ!でねーと、バッキバキに捻り潰すぞ!」
「ギャー!学園長に対する暴力は校則違反だよ!」
その瞬間、モノクマは沈黙し、代わりにピコーンピコーンと音が鳴り響く。
「なんだ?今度はシカトか?妙な音まで出しやがって」
その瞬間、俺は気づいた。
あれはただの音じゃない!何かの警告音だ!
「おい!それを投げろ!」
「危ないっ!!早く捨ててっ!!」
俺が叫ぶと同時に、俺の隣にいた女子も叫ぶ。
その言葉に反応し、大和田もヤバイと思ったのか、モノクマを上の方に投げ飛ばす。
そして、モノクマは爆発した。
「な、なんだよ、アレ………洒落んなってねーぞ……」
「うぷぷ。今のは警告だよ。ただし二度目はないからね」
すると、また教壇からモノクマが現れる。
「あ、新しいのが出てきた!」
替えはいくらでもあるってことか。
「それじゃあ、お前らに生徒手帳を配るよ」
そう言って、モノクマは素早く俺たちに生徒手帳を配る。
どうやらタブレット型の電子生徒手帳らしい。
スイッチを入れると、画面に“霞ヶ峰鏡夜”と俺の名前が出る。
「そこに校則も書かれてるから確認しておいてね。ちなみにその電子生徒手帳、完全防水性で、水に沈めても壊れないし、耐久性も抜群!10トンの重さにだって耐えられるからね!それと校則はちゃんと守るように!守らなかったら、お仕置きだからね!それじゃあ、入学式はここまで!」
そう言い残し、モノクマは消えた。
後には、取り残され、呆然とする俺たちだけが残った。
「なんなのよ……一体何なのよ……!」
最初に声を出したのは、“超高校級の文学少女”腐川冬子だった。
声を出したっていうか、叫んだの方が正しいか。
「とりあえず、一回落ち着きましょう」
すると、先ほど、俺と一緒に大和田に警告した女子、未だに“超高校級”の才能が何なのかを明かしていない霧切響子が話だす。
「あのモノクマの話が真実にしろ嘘にしろ、私たちには二つの選択肢があるわ」
「この学園内で終わりのない共同生活を送るか、それとも誰かを殺してこの学園を卒業するか、だな?」
「ええ、そうよ」
俺の答えに、霧切は頷く。
「こ、殺すなんて……!」
「いきなり拉致られて、学校と思しきとこに閉じ込められる………一体何なんですか!?」
“超高校級のプログラマー”不二咲千尋と“超高校級の同人作家”山田一二三が騒ぎ出す。
「嘘だ、こんなことありえない!嘘に決まってる!」
「ふん、嘘かどうか、それより大事なことがあるだろ」
石丸の言葉に、十神が言葉を被せてくる。
「大事なこと?」
「ああ、そうだ。この中に、モノクマの口車に乗せられるバカがいるかもしれんということだ」
その言葉に、全員が押し黙った。
殺した者だけがこの学園から出られる。
その言葉が、全員の心に一つの考えを植え付けた。
“誰かが自分を殺すかもしれない”
全員が不安を抱きつつ、俺たちの新たな学園生活が始まった。