コックカワサキに扮した元一般人の鎮守府新生活    作:一柳二朗

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本日のうちにもう数話投稿します。


第2話

「…というわけだが、理解はできそうか?」

 

 あれから少しは落ち着いた俺の様子を見て、メタナイトは現在の状況についての説明をしてくれた。だが、全然頭には入ってきていなかった。正直なところ、まだとまどっており、メタナイトの説明はほとんど把握できていない。でも1点確かなことは分かった。にわかには信じられない話ではあるが、もう、この結論は覆せそうにない。それはすなわち、

 

「俺、異世界に転移しちゃっているね~~!?しかもこれ艦これの世界だ~」

 

 うん、この状況だともう確定だろ、これ。定番の、死んだら異世界に来てましたってパターンだ。なんなら、流行りすぎて最近では胸焼けされているレベルの。でも、だからといって、転生した先がコックカワサキってのはどうなのよ?いや、確かにカワサキは好きなキャラではあるし、直前までカワサキになれたらな~なんてアホなことは考えてはいたけれども。

 でもって、メタナイトと一緒にいるこの2人は艦娘と呼ばれる存在だ。うん、確かこんなキャラクターいたよ。ゲームについては全く詳しくないけど、相当人気があって同人誌なんかもたくさんあったから、俺もほんの少しは知っている。

 しかし、なんでまた、艦これの世界なんだ?カービィと全く関係ないよね?もしかして死ぬ直前に、たくさんのかわいい女の子に囲まれながら、一緒に過ごしたいとか思っていたからか?ということはもしかして、これって全部俺のせい?自業自得ってヤツ?そんな馬鹿な。

 

「異世界に来たということ自体は、意外にもすんなり受け入れられたようだな。だが、かんこれ?の世界とは一体なんのことだ…?何か知っているか?吹雪、叢雲」

 

「いえ、ちょっと私は聞いたことがないですね…」

 

「私もよ。やっぱり、まだ記憶とか錯乱していて、訳が分からないことをつぶやいてしまうのではないかしら」

 

 メタナイトの問いかけに、そう答える2人。叢雲にいたっては、少し気の毒、といった表情でこちらを見ている。ああ、そうか。ゲーム内のキャラクターにそんなこと言っても伝わるわけがないよな。あまり、軽はずみな発言ばかりしていると、いよいよ頭のおかしい人認定されるぞ。よし、とりあえず今しばらくは黙っていよう。

 

「それにしても、司令官と同じ星に住んでいたにしては姿が全然違いますねぇ。こちらのカワサキさん…でしたよね?司令官よりはまだ人型に近いです」

 

「そもそも司令官の体形は球形よ。それが異常すぎるのよ。最初見たときは人形だとしか思えなかったし」

 

「司令官は自分では、私の体形など私が元住んでいた星では珍しくもなんともない、と言っていましたけど…そこのところどうなんでしょうか?カワサキさん」

 

「いや~メタナイト卿の言う通り、ポップスターには一頭身の姿をしている人も多いよ~それこそカービィをはじめ…」

 

「コホン」

 

 黒髪の子に質問されて、思わず答えてしまったが、続けて話そうとするところを、咳ばらいをしたメタナイト卿に…いや、ここでは提督ってことになるのか…?遮られてしまった。

 

「今はそんなことを話している場合ではないだろう。さしあたり、カワサキのこれからの身の振り方をどうするかについて話すことを先決すべきだ」

 

 それもそうだ。身寄りもない、お金もない、職もない、身分証明すらできない今の俺のこの状況では、一人で生きていく術なんて皆無に等しい。というか今ここでメタナイト達に見捨てられたら完全に詰む。正直言って今にも泣きそうだ。

 

「そこで提案するが、ここは一つ「しれいかーん!ちょっと来てー!大変よ、たいへーん!」…今の声は暁か。すまない、少し様子をみてくる。すぐに戻ってくるから、その間カワサキのことを任せたぞ、では」

 

 そう言ってメタナイトは背中の翼をはばたかせながら、颯爽と部屋を出て行った。

 

「一体なにがあったんだろ…?暁ちゃん大丈夫かな…」

 

「どうせ、いつも通りたいしたことじゃないでしょ、全く。過保護なのよ、司令官は」

 

「…司令官が第6駆逐隊のような小さい子たちと一緒にいるとき、何となく叢雲ちゃん機嫌が悪くなっているよね。やっぱり司令官と楽しく遊んでいるのを見ていると羨ましがってるんじゃ…」

 

「なっ…、そんなわけないでしょ!!吹雪!急に何を言い出すのよアンタは!!私はただ、仮にも軍に属している身でありながら、あまりにも浮かれた気分でいられるのは迷惑だし、下手をすると緩んだ雰囲気が鎮守府全体にも―!」

 

「あーはいはい。そうだね、叢雲ちゃんの言うとおりだね。ごめんね、お姉ちゃん勘違いしていたよ」

 

「ちょ、ちょっとこら!ちゃんと真面目に聞きなさいよ!」

 

 な、なんか盛り上がっているな…こっちは完全に蚊帳の外だ。ていうか、今黒髪の子が自分のことをお姉ちゃんって言っていたけど、この2人は姉妹ってこと?全然似てないな。ぱっと見た感じだと年齢も同じぐらいのような気もするが。まあ、今は気にしなくてもいいか。聞いておきたいこともあるし、とりあえずここは

 

「あの~ちょっといい~?」

 

「何よ!」

 

「さっきから君たちが司令官、司令官って呼んでいるのはメタナイト卿のことだよね~どうしてメタナイト卿がここの鎮守府の提督なの~?」

 

 2人に話しかけてみることにしよう。銀、いや薄い水色になるだろうか、そんな色彩の薄い髪の色をした叢雲って子は、短めな黒髪をした吹雪っていう子にからかわれたことで、なにやら興奮が冷めてなさそうだが、ここは話を聞いてもらうためにも、一旦気持ちを落ち着かせてほしい。

 

「まあ、確かに先ほどの司令官の話だと、この世界のことについての説明はあったけど、司令官自身のことについては何も触れていなかったよね」

 

「司令官らしいといえば、司令官らしいけどね」

 

 もっと自分のことについて話してくれてもいいのに、と言う叢雲は少し寂しげな様子をしていた。まあ、確かにメタナイトはどちらかというと寡黙なタイプだからな。あの世界の住人にしてはものすごくクールであり、強く、賢く、情にも篤く、通称世界一カッコイイ一頭身だ。そこに異論は全くない。

 それにしても、2人の様子をみている限りだと、ここにいる艦娘には随分慕われていそうである。少し意外だ。そりゃ、メタナイトはゲームの中とかでもカリスマ性を備えていて、部下から尊敬を集めていた。だが、冷静に考えて一頭身と人間、正確には人間でないにせよ、ヒトの姿をした艦娘が同じ場所で生活しているのだ。考えれば考えるほど、不思議感は増すばかりである。

 

「でも、メタナイト卿が君たちの提督かぁ~。あんなナリで提督になれるってどう考えてもおかしいよね~?みんな集団催眠術にでもかかって、たぶらかされているんじゃないの~ハハハ」

 

 だから思わずそんなことを口走ってしまった。自分としては冗談めかして言ったつもりであり、馬鹿にする気など毛頭なかった。しかし、俺の言葉を聞くと2人は目の色を変えてこう言い放った。

 

「今の発言…即刻取り消しなさい。でないと絶対に許さないわよ」

 

「さすがに今のは聞き捨ててはおけないかな」

 

 空気が即座に凍りついた。どうも俺は地雷を踏んだらしい…

 




カワサキはメタナイトのことをメタナイト卿と呼ぶことにします。アニメではどう呼んでいたかは忘れました。ただ、このカワサキはアニメの設定寄りではありますが、飽くまでも独自設定です。スタアラの設定を取り入れる可能性もあるかもしれません。
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