お楽しみいただけると幸いです。
(この後は、更新間隔が開きますのでご了承下さい)
しばらくココアさんの後をついて歩っていきます。何時も通る道ではないので、新鮮な気分です。
でも、なんかおかしいんです。急にだるい気分になって、頭も痛くなって…こんな時に、体調が悪くなるなんて。
「チノちゃん、大丈夫?」
「だ…大丈夫です、ココアさん。このまま行ってください」
「顔色良くないよ。なんかふらふらしてるし」
「そんなこと…ない…です…」
わたしの体が左右に揺れます。周りの景色もぐるぐる回り始めました。結局私は道端に倒れそうになったみたいです。するとココアさんがすぐに私を抱きかかえて、がっしりと支えてくれました。
「チノちゃん、残念だけど、今日はこれでやめよう?」
「はい、悔しいですが…」
「チノちゃん大事だよ。元気になったら、またその時ね」
「ココアさん、ありがとうございます」
ココアさんの優しさが私の心を打ちます。
「チノちゃん、ラビット・ハウスまでお姉ちゃんがおんぶするから…」
ココアさんがしゃがんで背中を向けます。私はそれに甘えて寄りかかります。その後立ち上がり、私をおんぶしました。ココアさんとぴったり密着してますが、もふもふとは違う感覚です。
どこからともなくパンの匂いが漂います。あと匂いだけでなく、ココアさんの背中ってだけで私は安心します。
「すみません、ココアさん」
「大丈夫、心配いらないから。お姉ちゃんにまっかせなさい!」
ああ、なんでこんな時に体調を崩すのでしょう。私って大バカ者です。でも、ココアさんにおんぶしてもらうこともレアですから、返って良かったかもしれません。また直ったらもう一回仕切り直せばいいんですから。
ボワーッ ゆらゆら
さっきから、私の見る景色が陽炎のようにゆらゆらとゆれ、はっきり見えません。
「チノちゃん、さっきから景色がゆらゆらと揺れてるんだけど、私もカゼひいちゃったのかな?」
「ココアさんもそう見えるんですか?」
不思議な現象が私たちにも起きたのかもしれません。
しばらくすると、ゆらゆらがおさまり、景色がはっきり見えてきました。
「あれ? ラビット・ハウスの近所に戻って来ちゃった」
「本当ですね」
いつの間にか、私たちはラビット・ハウスに向かう、水路わきの側道を進んでいました。
ああ、結局振り出しに戻っちゃいましたか。
何か起こるかと思ったのですが、なにも無かったようです。
次回の冒険に期待です。
でも、しばらく進むうち、妙なことに気がつきました。
「あれ、ここパン屋さんだったはず。いつからレストランになったんだろ?」
「そうですね。すこし変ですね」
いつもの道、いつもの街並みの筈ですが、少し違和感を覚えます。
何がそうさせるのでしょうか?
そうこうしているうち、ラビット・ハウスのうさぎの看板が見えてきました。
そしてお店の中から、二人の男性の大きな声が聞こえてきます。
「おい、タカヒロ、この店にピアノなんか狭くて入らんじゃろ」
「親父、ジャズを演るなら、ピアノは不可欠なんだよ」
あれ? おじいちゃんと父が、珍しく言い争ってます。
でも、ウチの店にピアノを買う計画なんて聞いてません。どうしちゃったんでしょうか。
「チノちゃん、ティッピーとタカヒロさんが喧嘩しているね」
「そうですね、ココアさん」
いままであれだけ酷かった頭痛もなぜだかおさまり、だるかった身体も、いまは嘘のようにもとに戻っています。私はココアさんにお礼を言い、背中から降りました。
「とにかく、喧嘩を止めようよ」
「そうですね」
なにがあったのかよく分かりませんが、このままでは穏やかではありません。何とかしないと…
「ただいま~」
私は店のドアを開け、ココアさんとラビット・ハウスの中に入りました。すると…
「いらっしゃいませー ラビット・ハウスへようこそ!」
今日のラビット・ハウスは、定休日のはずです。でも、お店は営業中で、目の前の店員さんが明るい声で迎えてくれてます。
お店を出るときドアの外側に掛けてあったはずの休業中「Closed」の看板も、今は無くなってます。
そして、私の目の前に立っているひとはリゼさんではありません。でも私の知っているひとです。でも、こんなことって…
「お客様、2名様でよろしいですか?」
「えっ ど、どうして…」
「チノちゃん、今日は定休日のはずだよね。それとなんで知らない店員さんが…」
ココアさんも心配になって私に話しかけてきます。
私たちを迎えてくれたのは、そう、紛れもなく…
「お、お母さん…」
「えっ? チノちゃんの?」
その店員さんは続けます。
「2名様でしたら、あちらの窓側の席へどうぞ!」
「「あ、ありがとうございます」」
私とココアさんは、窓際の4人席に案内され、向かい合わせに着席しました。急にお客として迎えられたので、なんか新鮮です。
「チノちゃん、あの明るそうな女性が、お母さん?」
「はい、信じられませんが、亡くなった母です」
「以前、チノちゃんのお母さんの写真をアルバムで見せてもらったから、そう言われれば…。それと、ティッピーと思った声は、白髭のおじいさんだったね」
「亡くなった祖父で、ここの先代のマスターです」
「小さい時、会った気がするけど、記憶がおぼろげではっきりしないよ…何か信じられないよ」
「そうですか…」
ココアさん、私だって信じられません。もういないはずの母や祖父を目の前にしているのですから。
とりあえず、ここまではリハビリ代わりに書き溜めてあったので、順調でしたが、このあとはかなり更新は不定期かつ遅くなってしまいます。申し訳ありません。
このような稚拙な作品をお読み頂き、ありがとうございました。