子連れ狼対エイリアン   作:ノザ鬼

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邂逅

 行き交う人も少ない田舎の道を一人と一台が行く。

 

 

 一人の方は、眼光鋭い男。

 薄汚れた身なりは、侍よりも浪人と言ったところ。

 

 この浪人の名は『拝一刀(おがみ いっとう)』。

 水鴎流(すいおうりゅう)の使い手。

 

 

 一台の方は、年端もゆかぬ小童(こわっぱ)を乗せた乳母車。それを浪人が押している。

 

 この小童の名は『大五郎(だいごろう)』。拝一刀の息子である。

 

 

 互いに会話は無く、ただ黙々と進むのみ。

 

 

 喧騒。

 

 浪人の耳にだけ届く音。

 

「ここで待て!」

 童子に声を掛け、駆ける。

 

 慣れているのか、泣きもせず変わらぬ様子で、その背中を見送る。

 

 

 駆ける。

 

 遠ざかる乳母車。

 

 否。もう見えない。

 

 その速さは風の如き。

 

 

 苦にならない程の坂を登りきる拝一刀。

 

 見えたのは…。

 

 囲み。

 

 輪を作り囲んでいる。遊びなら、『かごめかごめ』。

 だが、囲んでいるのは男達。それも蛮人の如き。

 

「野党か…。」

 口のなかで、己の疑問に答えた。

 

 

 覚る。

 

 輪の中心に、童子の男あり。

 

 野党が童子を襲っていた。

 

 その光景が駆ける脚を加速させ、一陣の風へと昇華させた。

 

 

 迅。

 

 駆け抜けるは、影と風。

 

 閃。

 

 刎(は)ねるは、白刃。

 

 舞うは、首。

 

「はぁ?」

 疑問系で漏らした声の主は、自らの体を宙で見る。

 

 瞬後。

 

 転がる。

 

 今度は、自らの体を見上げた。頬に冷たい土の感触を感じながら。

 

 

 噴き出す。

 

 首を失った体は、代わりにと鮮血を噴き上げた。

 

 

 噴く。

 

 今だ動く心の臓は、生暖かい血を送る。

 

 染める。

 

 降り注ぐ鉄臭い雨は、野党達を赤くした。

 

「何だこりゃぁ!?」

 顔を拭った手に付いた生暖かい赤色を見た正直な感想。

 

 赤色の答えを求め隣に居た奴を向く。

 

 驚き。

 

「首が!」

 そこにある筈の首に代わり噴き出していたものに、手に付いた赤色の正体を知る。

 

 そして、気が付いた。

 

 何故、隣の奴が赤色を噴き出していたのかに。

 

 見た。

 

 閃。

 

「て、てめぇ…。」

 世界が左へとズレた、遅れてきた痛みと共に。

 そして、冷たい土の感触。

 

 

 三人目は、反応した。

「この野郎!」

 手にした刀を振り上げる。

 

 閃。

 

 喪失。

 

 振り下ろしたはずの刀は握る右手と共に消えた。

 

 閃。

 

「!?」

 無くなった右手の痛みを感じる前に、斬られたと知ったのは地面に伏してから。

 痛みより早く訪れた死。

 

 

 四人目。

 

「ひぃ。」

 三人目が斬られ倒れるよりも早く反応した。

 

 逃。

 

 振り向き逃げる上半身に、待ってくれと呼びかける下半身はまだ準備中。

 結果、捻(ねじ)れた体は、よろけ、もつれ、手を付く。

 

 一瞬の四つん這いから、駆け出す。

 

 

 追い駆けると爪先が地を噛み力を伝える。

 

 踏み出…、さない。

 

 何故なら、逃げ出した四人目の野党が逃走を終えていた。

 

 

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