説明を書くと言うのは難しいと知りました。
現代的な書き方なのか…
時代劇的な書き方なのか…
解らなくなってしまい、現代的な書き方になってます…
なにとぞ、お許しを。
集団。
そこは、村の奥にある住職さえ居ない小さな寺。
そこに、何事も無かったが如く現れた拝一刀。
乳母車を押し、傍らにけぃんを伴って。
境内(けいだい)の広場に集められた村人を、野党が囲み誰も逃さぬと威圧する。
その前に立つ男は、待っていたとばかり。
一見、優しい目の侍といった出で立ち。
印象的なのは月代(さかやき)は剃らず伸ばしている事。
しかし、拝一刀はその男の内に潜むものに、油断無く身構える。
「よくぞ、ここまで参られた拝一刀殿。」
待ちくたびれていた。
だが、待ち人の登場は、その疲れを何処かへと飛ばす。
村人の中に見付け、
「おっとー、おっかー!」
けぃんの声が上がった。
「けぃん!」
母親は安堵。
「無事だったか!」
父親は心配。
前に立つ男は、目配(めくばせ)をし、野党に村人を静かにさせる。
「拙者。林と申す。」
一礼。
「三人を束ねる者にございます。」
「何故、この童男を追う。」
林と名乗った男も、自分の事は知っているとばかりに名乗らない拝一刀。
「そう…。」
本当に考えている。
「上からの命も、漠然としたものでござるし…。」
戯け、
「それよりも、拝一刀殿…。貴殿との戦い…。」
右手を顎にやり、
「それが、楽しみで仕方ない…。」
目が笑っていた。
「それ故、秘密が気になって死合に集中出来なかったと言い訳されると…。」
拝一刀の目が睨む。
「怖い。怖い。」
また、戯けた。
「貴殿だけに教えるとしましょう。」
口は話したくて仕方ないと、もう話している。
歩み始める林。
「頼むぞ。」
そう、けぃんに告げ乳母車を預けると、拝一刀も歩む。
そのまま、けぃんが乳母車を押し物陰に隠れたのは、もう慣れたからかもしれない。
ゆっくりと近付き、互いの間合いの内側で対峙する。
そこは、ひそひそ話の距離。
近過ぎて、互いの刀では語れぬ間合い。
話す。
ゆっくりと間を取りながら語る林。
「四日前の夜。この村の北の森…、栄里(えいり)の庵(いおり)と呼ばれる所に、星が落ちたと…。」
「それだけなら、我々が動く事もなかったのですが…。」
「それが、星では無く虚船(うつろぶね)だと言う情報が入りましてな。」
*[虚船]は、現在で言う【空飛ぶ円盤】です。
「空を飛ぶ船ですよ!?」
訝(いぶか)しげに言い放つ。
「下された命は『虚船を手に入れよ。もし、虚船が手に入らなければ、そのからくりだけでも持ち帰れ。』と無理難題。」
自分の言葉に呆れているのか、命に呆れているのかは判らない。
「半信半疑で向かった現場…。」
今までに以上に間を取り、
「それが、真(まこと)だった!」
語尾に力が入る。
「正直、驚きました。」
勿体振り、
「本当に…。虚船が落ちていたのですから。」
「とは言え、落ちた際にバラバラになった挙句燃えてしまい、虚船なのかさえ解りませんでしたが…。」
「それでも、上からの命ですから、調べたのですが。」
「驚き。」
饒舌(じょうぜつ)になっていた。
「虚船の船乗りらしい死体を見つけたのです!」
勿体ぶる。
「それが人の格好はしていたのですが、人では無い見た目で更に驚いた事。」
「そいつは、何故か胸に大きな穴が空いていて、中から食い破られた様が不気味で…。」
「その周りを更に調べ、少し離れた場所に、ひと抱え程の鉄の箱が蓋を開け転がってたのですよ。」
「箱の内側は綺麗でしたから、中身は無事だったのでは? と。」
「その周りに付いた足跡が、中味を持って行ったとしか…。」
物陰からこちらを伺うけぃんに、ちらりと視線を移す林。
「あの童男が、中味の行方を知っていると?」
拝一刀が、聞き返す。
「それを確かめる前に逃げられたでございます。」
笑った。自らの失敗を誤魔化すが如く。
「確かめた後は、見た者聞いた者は消えていただくと。」
「合点がいった。村人を皆殺しにすれば、童男は戻って来ぬと…。人質にしたのだな。」
「流石、拝一刀殿。その通りで。」
戯けるが、先程から放つ気が変わっている。
「ですが。」
それは否定の言葉。
「虚船なぞ、どうでも良くなり申した。」
眉をひそめ、次の言葉を待つ拝一刀。
「貴殿と死合いたいと心が滾(たぎ)るのですよ。」
丁寧な殺気が、滲み出た。