……それから数日もしないで博麗神社で集合する日になった。
なんていうか、あっちの気まぐれってやつなのか?
「前倒しになった…とかじゃないよな?」
「ええ……そうだと思うけれど、どうなのかしらねぇ。レミリアはそこそこ気分屋だから…」
縁側に座る霊夢が悩むようにいうが、連絡手段なんてないのか?
いや、そういやないんだったな。だからしてないわけだし。なんか持ってるくさいけど、俺にあんまり見せないからな。なんか理由でもあるんだろ。
ま、俺はいざとなればジンきゅんと……いや、そもそも誰と連絡するんだ?
閑話休題。
そういや以前の俺は霊夢のことを同類だのどうだのとやけにしつこかったな。
そんなに物忘れするほど歳をとってないはずなんだが…。そもそも、俺はまだ10代後半だし。
……はぁ。どちらにせよ、この場に古明地さとり―――って名前だっけか?―――がいないことに感謝しかないな。
『それはいいけど、あとは魔理沙が来るだけなんだっけ?』
(ジンオウガも首をかしげるんだ…。なんだろう、人間にあわせてるとかそんなんじゃないよね…?いや、あわせてるんだろうなぁ)
「まあ、そうね。魔理沙も1人で行けないわけじゃないのよ。でも、私のに魔理沙は私が同伴してないと入れないって書いてあったのよね」
「お前は信頼されてるんだな……」
霊夢が信頼されてるというよりは…魔理沙が“生きてる間は借りる”ってのを何度もやってるせいだろうな。
『なんかやらかしてるんでしょ?その魔理沙って人間は。……僕や他の個体も縄張りに入ったやつのある程度には追い出そうとしてるし』
「追い出すってか、あれは撃退に来てただろ。サードからフロンティアまでやってる上にジンきゅんのなら動きまでちゃんと見てるんだからな」
「それとこれは違うと思うんだけども。…まあ、色々やらかしてるからしょうがないとしか言えないけどもね」
そりゃ呆れるよな。
たぶん霊夢もよく紅魔館のメンバーの誰かから教えてもらってる可能性もあるし、本人からってのもありえそうだしな。
……どちらにせよ、パチュリーのこと以外はそこまで知らんくてもいいかな。霊夢が教えてくれるわけだし。
もちろんパチュリーのことも追加で教えてくれるから感謝はしてる。
っと、魔理沙っぽいのがきたな。
「おー、待たせたなー」
「そんなに待ってないわよ。……あと
「別に大丈夫だろ?」
「いや、普通に下から見えるから言われてるんじゃないのか…。っていうか霊夢は半目で見てやるな。自分がそこそこ速いから見えてないとか思ってるんだろうしさ」
(…ありえなくもなさそうだね、それ)
霊夢がそう頷くってことは大体俺の考えてることと一緒なんだな。
『とりあえずやんちゃな魔理沙とやらは放っておいて。全員いるならもう行ってもいいんじゃないかな?』
「それもそうね。…結輝とジンオウガはいつでも行けるのでしょう?」
『うん。この短距離ぐらいだったら余裕だしね』
ジンきゅんからしたら博麗神社から紅魔館までって短距離なんだな。
っと、返事が面倒だから頷くだけでいいか。
「ん」
「その放置プレイはよくないぜー。あ、私もいつでも行けるぞ」
「そりゃあんたは来たばっかりだものね」
「間違いないが、軽くあしらわれるのはちょっと心にくるんだぜ?」
冗談気味にいう辺り、平気そうにも見えるけどな?
それに口元緩んでるし。
どうせ冗談かなんかのつもりなんだろうな。いや、そうなのかもしれんが。
狼より大きくなってもらったジンきゅんの背中にのって霧の湖へ向かっている。
霊夢と魔理沙は超低空飛行してるが、霊夢は見えないようにうまくやってるし、魔理沙は箒に座ってるから元から見えない。なにが、とは言わないが。
もっとも、そんなことしなくても前にいる2人は地面から多少浮いているだけだから下から見ようとするやつしか見えないと思うが。
俺はそんな覗きなんて興味なんてないが。
それよりもときおりスマフォっぽいのを取り出してる方が気になるな。今度聞いてみるか?
『そういや前のあれ、よく平気だったね。一応あの状態でやれることは結構してた方だと思うんだけど』
「……あぁ、お前が全体的に白くなって、ほんのり赤黒く光ってた時の話だな。一応あれでも善戦したつもりだから、なんとかならなきゃ困るぜ」
呆れたように笑うが、そりゃ苦労もするわな。
フロンティアで捕獲したあと、色々した結果がこのジンきゅんなもんだからな。それが亜種化すれば余計だろう。
「いや、むしろよくぞやったってとこじゃないのか?」
「それ以前に紅魔館の奴らはなにを聞いたんだか。次の日行ったら咲夜が愚痴ってきたわよ?あとパチュリーも」
女だって驚いた以外にもあったっけか?
あったような気もするが……忘れて曖昧だし、別にいいか。
『僕にとっての逆鱗にふれるセリフだった、としか教えないでおくよ。なにせあいつらの自業自得だしね』
「あいつらって……。やらかしすぎだろ」
いや、魔理沙……お前、笑いこらえながら話すって、今のどこにうけたんだ?
面白いとこなんてなかったように俺は感じるんだが。
「あー…なんとなく想像ついたわ。確かにあいつらならジンオウガに言いそうなことがいくつかあるわね」
んで、そう言ったあとに「それよりも結輝。あんただけジンオウガに乗れるの羨ましいわ。そのうち乗せてよ」とか言うんじゃない。お前は俺やジンきゅんと違って飛べるだろ。
と俺が言う前に魔理沙がそのことをつっこんでいた。
そろそろ俺も幻想郷に慣れる頃だし、ジンきゅん以外の霊夢、魔理沙に対してボケをかましてみるのも悪くはなさそうだな。
あとは霊夢にパチュリーのことを色々聞くとか。……あ、そうでなくともだいぶしてたわ。
―――っと、景色から結構浮いた赤色の館が見えてきた。
何度も見たが、紅魔館ってやっぱり浮いてるんだよな、景色から。
湖にある島のとこにある、ってのもなかなかあれだな。
ジンきゅんがいなかったら最悪泳ぐはめになりそうだな。……パチュリーさえ紅魔館の外に出てくれれば楽そうなんだけどな。仕方ないか。
んで、とりあえず見えてきたから降りるか…と。狼サイズになるの早いな。
「霊夢、魔理沙、外来人が……1頭と1人ね。要件はお嬢様から聞いてるわ。客人として迎え入れるとするよ」
…前に会った時とあんまり変わらないのな。美鈴だから別にいいが。
不信感さえ
もっとも、俺は紅魔館に出入りできなくなるとパチュリーと親友、あわよくば恋人…………とかになれなくなるしな。それは困る。
「んじゃ、入るわね〜美鈴」
それっていつも思うが、手を振りながら入るのってこの霊夢だけじゃないか?
その他は普通の魔法使いって例外を除いて門番のいるとこから入ってるしな。あと十六夜咲夜だとかってメイドくらいか。
ふむ、そう考えるとますますパチュリー達と仲の良いこの霊夢が羨ましくなる。
もちろん、霊夢がこうな時点でそれ以上はないが。
逆に色々と教えて貰えて助かるし。パチュリーの事とか、今の幻想郷についてとか。
霊華って奴がやけに霊夢に対して過保護気味だから、そろそろ勘弁してほしいのだが。本人も呆れてるし。
…まぁ、これは先代の巫女がいないとこでその本人から聞いたことなんだけどな。
閑話休題。
紅魔館に入ったのはいいんだが、咲夜って急に現れたりするよな。
……移動してる姿の方はシュールそうだからあんま想像しないようにしてるが。
いや、ナイフとか紅魔館の掃除が大変なんだったな。特に後者は…まぁ、仕方ないんじゃね?
中の方がこんなにも広いんだからな。どこのお城だよってレベルで。日本じゃそんな広さの場所の方が少ないからな。
「あら、いらっしゃい。霊夢達と結輝、およびにジンオウガとやらね?」
「咲夜、私が抜けてるのはわざとかー?」
「ええ、そうよ。なにせ貴方は素行が悪いんだもの。冗談で外されても文句は言えないはずよ?」
「全く相変わらず酷いぜ。今回はなーんもしないってのにな。素行が悪いのも咲夜がそう感じるだけだと思うぜ」
そういう魔理沙に軽くあしらうかのように対応する咲夜。見慣れたものだ。
「はいはい、そうね」と言うあたり、たぶん聞き流してるんじゃないか?
そのあとは部屋まで咲夜と魔理沙が、霊夢と俺とジンきゅんが他愛ない話をしながら進んだ。
若干パチュリー関係もいれたが、普通に教えてくれた。さすがに魔導書とかも読んでるとかって話はよく分からなかったけどな。
「さて、こちらにお嬢様“達”がお待ちになられてます。どうぞ、ごゆっくり」
……ん?達のところを強調するなんてどういう風の吹き回しなんだ。
しかも、さり気なく俺の方をチラって見てきたし。こんな奴だったっけ?
まぁ、いいや。別に今分からなくても入りゃ分かるしな。
「あぁー……咲夜がなんかやったのね。なんか珍しいことをするわね」とか「お、おい待てよ霊夢。私にはどういうことか全く分からないぜ」とか聞こえる気がするけど
『へぇ、なるほど。なんとなく僕も分かったよ。確かに、洒落なことをするんだね』
おおう…ジンきゅんがまさか遮るとは予想外だぞ、俺。
「相変わらず霊夢はどっかの誰かと違って天然じみてないし、察しがいいのね。ジンオウガは…意思疎通が可能なだけあって、理解もできると。お嬢様が気に入るのも頷けるわ」
―――お前らなぁ。今度ふざける時は覚悟しろよ?
おもう存分ボケてやる。……予定にしておこう。
先代の巫女が真面目すぎてボケが通じないという悲惨なことがあったぐらいだしな。もう30分も説明するのは勘弁だ。
とか思いつつ、入った先にはレミリア以外にパチュリーがいた。
いや、レミリアしかいないって聞いてたんだが!?
俺得だから別にいいんだけどな。…なんでだろうな?
霊夢が内緒にしていたのかもしれないとかは別にもういい。終わったことだしな。いやぁ、だからってこんな面子なんだろうな?