幻想郷を、雷狼竜と共に   作:篠崎零花

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第11話 雷狼竜はある意味苦労人

……それで、俺とジンきゅんがレミリアとパチュリーの向かい合わせ、俺から見て左に霊夢と魔理沙、だな。

 

なんだこの組み合わせ。

 

 

「律儀に座っている辺り、その生き物はなかなか器用ね。本当、欲しくなるぐらい」

 

(そもそも幻想郷における妖怪というジャンルで片付けられないほどの強さな僕をこの吸血鬼や横にいる魔法使いなどが抑えておけないことぐらい分かるだろうに。吸血鬼の妹や門番にいる妖怪、妖精メイドなどもたぶん抑えれないだろうし。……せいぜい時を止めるらしい十六夜咲夜って人間だけかな。ま、とは考えるけどさ。たぶんその人1人じゃそのうち無理になるね。まだ亜種化した僕までしか見せてないから)

 

ジンきゅんさ…そう分かりやすくため息ついてやるなよ。ある程度は分かってて言ってんだろうし。

なにせ前回のあれでこりるはずだろうしな。

 

 

「はいはい、レミリアの冗談はさておき「あら、霊夢には冗談として聞こえるのね?」とりあえず、質問させてもらうわよ。お茶会を早めた理由とか何故結輝…今は外来人と呼ぶわね。それとあんたらにとって正体不明なままなはずのジンオウガ」

 

ほんと、あっさり無視するよな…。

いい加減、霊夢のその対応から手馴れ感がしてきてるような。

これがツッコミスルースキルか!

 

 

(ふむ、やっぱり普通に流すわね。想定内だから驚きもしないけど。咲夜に話した通りになっただけのことだし)

 

 

「俺的にはジンオウガって分かってるからいいんじゃないかな」

 

「結輝は幻想郷で通じないエルシャダイネタを使わないの。んで、レミリアとかはそういうのが分からないはずはないでしょう?」

 

別にいいだろ。ツッコミ役がいて、かつ元いた世界みたいにふざけてもよさそうだってのに、ふざけない訳ないだろう?

理解できそうなのは霊夢以外にジンきゅんと霊華ぐらいとは言え、ボケてふざけたいもんなんだよ。

 

「特に意味はないわ。強いて言えば正体がいまいち掴めてないとか恐れる必要がないってことかしら。まぁ、霊夢と先代の巫女の霊華は出来なきゃダメでしょうけど」

 

博麗霊華だけ先代呼びなのな。

別にいいんだけど。

 

「本当はそれだけじゃないのよ。レミィはある意味第3、第4の外来人にあたる貴方達に興味を持っているってとこかしらね」

 

「あら、パチェ?そういう貴方も以前より物知りな霊夢が教えてきた1人と1頭について珍しく気を引かれたそうじゃないの。だから咲夜だけでなく、今回は小悪魔にもどうにかそそのかせたというのに……」

 

 

どっちもどっちなんかい。

もうどっちも興味を持った同士でもいい気がするんだが?あ、でもあとで霊夢に感謝しておくか。

一応ここまでトントン拍子でいけたのは霊夢や魔理沙のおかげだしな。あとたまに霊華。

…いや、あの東風谷早苗とかいう人も含め…なくていいか。お台場にあるガンダ―――じゃなかったスパロボに出てきそうな物の話を熱く語り合っただけだから違うか。

 

 

「どっちも興味を持ったでいいだろ。それだったらまだあの霊華の方が馬鹿正直だぜ」

 

「とりあえず魔理沙、今のは本人の前で言ったらダメよ。どうなるか分かったもんじゃないから」

 

『まー、そうなったら僕は神社の屋根から魔理沙のことを見てるよ』

 

「おい、それ酷くないか!?」

 

「やれやれ。それだったら霊夢どころかパチェも遠目で見る程度でしょうね」

 

「お前らなー!?」

 

などと話すのはいいが、だいぶ本題とズレてるんじゃないか?

まあ、俺としてはこのままでいいと思うが。強いて言えばパチュリーと話を、だな……

 

―――コン、コン、コン

 

 

 

「お嬢様達にお茶を作りました。失礼いたします」

 

 

(おっと…ちょっと魔理沙のこと、いじりすぎたかな?なんか本題からすっかり離れちゃったような…。そもそも本題ってなんだっけ?)

 

…そういや、お茶会かなにかだったな、呼ばれたの。

ふざけててすっかり忘れてたわ。むしろパチュリー見てて忘れた。

置くのを見てて思ったが―――なにげにジンきゅんの分もあるんだな。

 

 

あ、そうだ

「なあ、咲夜」

 

「相変わらず貴方は私のこと“も”呼び捨てで呼ぶのですね。それで?なにか用でもあるのでしょうか」

 

レミリアもいる以上、敬語で聞いてくるんだな。

まあ、大した用事じゃないし、言うか。

 

(私のことも…って前々からしてたのか?いや、別にいいか。人懐っこい性格っていえばそこで終わりだもんな)

 

「いやなに、ガムシロップか砂糖でもないかと思ってな」

 

「……まさか」

 

まぁ、分かるよな。それだけで。

 

「なるほど、外来人の結輝は甘党なのね」

 

「私は分からなくもないわ。読書ばかりしてるとたまに甘いものが欲しくなるもの」

 

 

いやぁ、レミリアとパチュリー。霊夢を引っ張って―――先代の巫女は時々勝手についてくる―――紅魔館へ行くことが増えたが、話してないことがあったな。

俺、日によって紅茶を飲む時にガムシロップを10個以上はいれるんだよな。もちろん、ミルクもいれるが。

 

 

(…あれ、咲夜が呆れてるような?気のせいかな。いや、なんかため息ついた)

 

 

 

「お嬢様、ところであの事は話されたのですか?」

 

「……これから話すわ」

 

やっぱり本題からズレてたのか。

 

「んで、貴方達。まずは―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館から出て、博麗神社に帰ってる途中から思っていたことがある。

ジンきゅんが先に幻想入りとはなにそれ羨ましい。出来れば俺とほぼ同時期にしてほしかった。

他にわがままを言えば、紅魔館の近くに出るとかそういうのがあれば……

 

っと、そうじゃないか。一応霊夢―――霊華も不器用ながらもやってくれた……のか?―――が手伝ってくれたからパチュリーともすぐに仲良くなれたのは事実だしな。うーむ…。

 

そういやレミリアを遮って霊夢が教えてくれたが、俺とジンきゅんを幻想郷に送り込んだ張本人は八雲紫ですらなく、音羽多麻(おとわたま)っていう知り合いの気まぐれってどういうことだよ。送られてありがたいじゃないか、こいつめ。

魔理沙が特に一番呆れていたような気がしたが、本当のことだからいいじゃないか。喜んでも。

 

 

それに中身がここにいる霊夢同様違うというのになんて奴だ。感謝しきれんぞ。

むしろお互い憑依しあうとかどんな状況?いや、片方はさせられてるんだとかどうとかってパチュリーやレミリアが言うが、俺にとってそんな些細(ささい)なことは別にいい。

 

次に重要なのはジンきゅんだ。

ジンきゅんの能力、まさか本人が亜種化する前に帯電状態になってるとそのまま亜種化するって強くないか?

その上、“怒り時は”という割にはそんなすぐに変わらなかったりしていたが、やっぱり本人がならないように出来たとはな。

なんとなく想像できてたよ。そうだろうなって。

 

 

じゃなきゃ穿龍棍もない幻想郷でジンきゅんを大人しくさせる方法がほぼほぼないに等しいもんな。

 

 

『ほんと、ご主人って本当想像力豊かだよね。僕の性別は分からなかったのに』

 

「想像力はそりゃ豊かだぞ?ゲームとかしてたわけだし。…性別の方はさすがに無理だ。せめてジンきゅん達の子供、大人レベルに違わないとさすがに分からん」

 

その俺の言葉に少し呆れた笑みを浮かべたやつが前にいる。境内に立ってる、とでもいうべきか。

ほうきを持ってるを追加で。

 

「でもよくある話だと思うけれどね。そもそもあなたね、どんな妖怪にも幼体の時期があるものだから。吸血鬼……とか例外もいるけど、基本的に幼体の時の方が弱いのよ」

 

(はぁ……確かに僕は霊華の体を見たことあるから言いたいことは分かるけどさ。霊華ってやっぱり歴戦だったんだね。なんとなく戦い方で察してたからそんなに驚きじゃないけど)

 

「いや、さすがに吸血鬼の方は知らないな……」

 

 

ジンきゅん達の話―――ジンきゅんの幼体を群れで守るなど―――とかの話ならゲームじゃなくてもあるあるだから分かるんだけどな。

さ、さすがに吸血鬼系統は…なぁ?俺もさすがに知らん。

 

 

『霊華も弱いわけじゃないみたいだしね。まぁ、現代の博麗の巫女と違って僕のことを知らないであそこまで行ったんだから強いんじゃないかな?』

 

「あら、むしろ私は。いえ、私達は弱いってことは死を意味するようなものだったしね。そりゃその観察癖がつくのも無理はないわ」

 

「あぁ〜〜……当たり前だな。俺のいた日本は今の幻想郷みたいに平和だったからなんとも言えんが、納得した」

 

 

 

(ジンオウガとやらが“だからって僕を育てたりするの、あれ貫徹だよね…”と呟いているようだけど、貫徹?一体なんのことなのかしら)

 

 

「あなた、生死観だけは凄いことになってるのね。っと、それはいいわ。私も外来人とやらを知り始めた時から色んな人間がいるということを理解したし。それで?あの大図書館にいる魔法使いとはどうだったのよ」

 

箒に両手、あごをそえてニヤニヤしながら聞いてくる霊華。

どう、とはなんのことだ?俺はパチュリーと仲良くなりたいとかしか話してないはずなんだが。

 

 

(ご主人が悩み始めた……ってそうか。僕が知る限りあの音羽(おとわ)多麻(たま)って人との関係すら最初はただの友人とかクラスメイトだった人間なんだ。そんなご主人の恋愛に関しての感度は朴念仁クラスだっての忘れてた…!)

 

 

 

「そりゃあ、普通に紅茶もらって話をして終わりだが?前と違って話やらお茶やらしてもらえるから嬉しいけど、いつになったら俺も愛称でパチュリーのこと呼べるようになるんだろうなーって楽しみなんだよな」

 

あとできればもっと仲良くなって色々したいが、それよりも本に移りそうだな、俺。

もしかしたら興味のある外来本があるやもしれんし。

 

 

あれ、なんでため息なんてつくんだ?

 

「あー、いえ。あなたが分からないというのならそれでいいわ。仕方ないし。それはいいけど、やっぱりゲームとやらができないのはあれでしょう?」

 

……あの霊夢、だから香霖堂とやらに……

 

ジンきゅん―――狼ぐらいの大きさだからちょっと犬っぽくて可愛い―――が勝手に納得してる。

いつの間に行動を把握したし。いや、それ以上に仲良くなってね?まさか相性があったからこそ仲良くなったのか。

 

なら、パチュリーのことをもう少し聞き出してくれてもいいんじゃないのか?

 

「んで、それはいいんだが……霊華、なんでその巫女装束とやらが汚れてるんだ。あとジンきゅんも遊んだのか?」

 

 

雷光虫を一時的に離れてもらった上に電力を弱めてもらったおかげでジンきゅんに触れたからめっちゃ良かったけど。俺得。

 

ちなみに感想は硬かった、ってところか。あの蓄電殻辺りはそうでもないところがあったけど、なんも言わないでおく。

 

まあ、だからジンきゅんは責めない。責めないが、万が一部位破壊するほどの遊びだったらいくら歴戦の相手だとしても少し痛い目にあわせようとしたものだ。いや、多少ならかっこいいと思うけど。

…それで。考えるような仕草をするってことは本当に遊んだのか。しかも霊夢より表情が悩んでるって感じだし。

やることはどこの狩り人だよって思うけどな。

 

 

「あれ…ジンオウガ、あなた教えてなかったの?あのことは伝えてもいいよって言ったじゃない」

 

『あー……忘れてた。なにせ君と僕のやることは前にいた世界に一番近い事だったし。どこもおかしなことじゃなかったから別にいっかーってなってて……』

 

弾幕ごっこ…じゃないだろ、それだと。

 

「とりあえず1つ聞くがルールは適用してるのか?」

 

「下手にお手とやらを喰らえないから一応ね」

『してるよ。ハンターと違って出血多量の概念があるそうだし』

 

(あっ、まさかご主人……僕と霊華の遊びに混じりたかった、とか言わないよね?なんか言いかねない表情になってるし、怪しい)

 

「な、なんで……なんで俺を誘わなかった?!さぞやジンきゅんと2人きりで遊べて楽しかっただろうな!!」

 

「あぁ、そう。はいはい。それはそうと、私だってあなたがジンオウガとやらとたまにじゃれあってるの、見てるんだからね?それを忘れちゃダメよ」

 

(まあ、あの視線からして霊夢じゃないもんね。あっちはそもそも気配を消しすらしてないし。今の博麗の巫女だし、それ以上に気配を消す方法なんて知らないだろうしね)

 

 

霊夢はまだしも、やっぱり素でそういう気配みたいなのを消すやつは苦手なんだよな。ジンきゅんが気づかなれば俺すら気づかないし。

いや、相手が相手だからなにもしてこないと分かるが、外の世界にいた時の友人と来たら……

 

 

「あっ、そうそう。確か霊夢があなた達にも下見したら?って提案してきた店があるから里に降りて見に行ってみたらどうかしら?カフェ、お茶屋、花屋……って言われたような気がするわね」

 

「そこならパチュリーも来てくれそうだ、と?」

 

その問いに霊華はすんなり首を縦にふった。よっしゃ!

そうとなればジンきゅんとデートみたいなことをしつつ、下見をしよう。そうしよう。

 

『はいはい、僕も行けばいいんだよね』

 

(どうせこのご主人、そういうタイプらしいし。しょうがないか)

 

おー、話の分かるやつだ。頭を撫でてあげよう。

 

「よし、そうとなれば今から行こう、そうしよう」

 

ささっと靴を履くと俺は狼サイズのジンきゅんを抱き上げ、おおよそ昼下がりの人間の里へと向かった。

後ろから「帰ってきたら、霊夢に感想を言うのよー!」なんて聞こえたが、そうだな。情報源である霊夢(あれ)にいえば、パチュリーにも繋がりそうだしそうするか。

さて、収穫はあるかねー。楽しみだ。

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