本編に少し影響されている程度なので。
番外編 とある少女との女子会
あの場所から現代にやってきてもうだいぶ経つわね……。
お金をしっかり持ってないとダメ、とかアニメやらゲームやらと充実してるが電池やバッテリーを気にしないといけない、とか能力なんてそもそもない…とかに慣れてきたけども、やっぱり二次元は素晴らしいわ。むしろこういうのがあるのが凄いって感じだわ。
っと、そうじゃないわね。あちらもよくやってるようだし、私もあの面倒な“憑依”に関してまとめるとしようかしら。
今までは学校やらなんやらとし損ねていたし。今だって宿題を最近ハマってしまったゲームなどをするためだけに5日で終わらせたほどだもの。
もちろん、私がこれからノートにまとめようとしている奴―――憑依のことね―――とは盛大に関係ないんだけども、まあ仕方ないわね。学生の身である以上、どうしてもついてくるみたいだし。
でも、いい加減こっちに向けられてる視線が気になるのよね。
もしかして、
話しかければ分かるかしら。
「…さっきから私を見てるのは誰?もちろん、両親じゃないのは分かってるからね。嘘はつかない方がいいよ」
「ふぅん、さすが元博麗の巫女。いや、むしろ外の世界に
本当に素直に出てくるなんてね。逆にビックリだわ。
それにしても元巫女だとかどうとかってよく言うわね…………といいたいところだけとも、この神兼賢者のやったことはある意味助けられたようなもんだから複雑なのよね。
おかげさまで楽しいことを知り、遊んだりするきっかけができたわけだけども。
…それがあったからこそ今があるわけで。我ながらかなり変わったと思うほどにね。
「おかげさまでね。…んで、なにか用?私も長期休みのせいで、大量の宿題が出てるから終わらせたいんだけど」
「へぇ、“背中の扉”には気づけなかったわけか。…ほんとは終わってるくせによくいうわね。ま、そうでなくとも今日中に終わる話だからする予定ではあったけど」
最初の方に小声でなんか言っていたようだけど、なにを呟いたのかしら。
それに話ってなんの話をするのかしらね。なんだか怪しさ満点だわ。
「……内容によるかな。一応、こっちも事情をある程度理解してもらえたとは言え、家族がいるからさ」
幻想郷とか、そういうのはともかくして、私が少し訳ありで、過去のことを忘れてしまったとかそういう感じで……いえ、もうちょっと具体的にしたんだったかしら?うーん、あとで日記を見返すべきかしら。
それにしても、まさかとは思うけど…そのことも知ってるとかないわよね。
確かこの隠岐奈の担当ってこの“外の世界”だったはずだし。扉だかなんだかを開けるらしいし、ありえない話ではなさそうね。
「知ってる。でも、平気よ。憑依のことだから。…あっちではそれ以上のことも起きていたけど、今は貴方ともう1人のについて話し合うつもりでいるわ」
「あぁー…なるほど。憑依のことか。ちょうどまとめようとしてたところなんだよね」
と、いうよりいい加減まとめておきたかったんだけどもね。
学校が長期休みなんて四季を通しても数回しかないし、その上に最近のマイブームのせいで約半分も潰れてしまってるもの。
「んじゃ、話しましょうか。まず、憑依の件について。…覚えてないでしょうけど、貴方は消えかけたのよ。しかも、不可抗力で。もっとも、異変のせいだったようだけど」
「消える消えないはさすがに分からないよ。…はいはい、そうみたいだね。たまに夢を通じてのみ会えるあの子と話をして聞いてたし」
なるほど、そんなに驚かないのね。
もしかして、知ってたとかそんなことを言い出さないわよね。……半目で睨んでやろうかしら。
「そんな呆れたような顔をされても、ねえ?あれはまだ人の手か妖のでまだどうにかなるからこそ、よかったのよ。うーん、問題といえばあの子が憑依したあとかな?」
「…まさかとは思うけど、精神が抜けたあとはもぬけの
とか言いながら、勉強机に置いてあるノートから横に立ってるだろう相手の方へ顔を向けてみたんだけども…その通りっぽいわね。
「でも、それとこれとは関係ないと思うんだけど。そこんとこはどうなの?」
「直接的に考えれば、そうなるだろうね。でも、間接的には面倒なことになる可能性があるのよ。何故か、というのは貴方が言った通り、精神―――即ち、感情などが消えた人間は生きながらに死ぬってとこにあるわけ」
ふぅーん……そういうこと。
つまり、下手をすれば幻想郷にも影響があった…とでもいいたいのかしら?
「んだからー、それと私のことになんの関係性があるの?」
「あるわ。大ありよ。万が一は外の世界だけの問題じゃなくなり、幻想郷にも影響しかねないほどの問題があるわけ。順をおって説明するからちゃんと聞いてね」
やれやれ、どうせこのことは紫も承知の上なんでしょうね。
でなきゃ、精神の入れ替わりもどきが起きても放っておくなんてありえないでしょうし。なにせ下手をすれば幻想郷に大きな影響が出てしまう可能性があるもの。
ま、むしろ外の世界からの情報が入って、サッカーとかそんな感じのブームが来てもおかしくはなさそうだけどもね。
長話になりそうだから、と麦茶を持ってきたら平然と飲み始めるだなんて。
あれ、ペットボトルよね。いつの間に飲み方を覚えたのかしら。
―――だてに
「それで、まず…貴方の話からね。貴方は一度、悪意の塊という謎の物体のせいで貴方の中に他人の人格が入り込み、消えかけた。……ここまではいいわね?」
「はいはい、そうみたいだね」
軽くあしらうかのように返事をしたというのになんともなさそうね。
いえ、むしろ私の方が変わったと言うべきかしら。…なんとも複雑ね。
「そこで問題があるのよ。―――そう、あの子はなんらかの原因で一部記憶喪失。未だ戻らないらしいけど、それはもうどうでもいいとして」
前言撤回。
私が変わったんじゃなくて、この神様がよくいる典型的な神様ってだけだったようね。
「あぁ、別に難しいものではないわ。単純にそのままだと、あの子が余計に参り、あんな戯言で死にかねないから。むしろあんな戯言で惑わされちゃ色々と困ってしまうわ」
「…実際に最初こそは惑わされていたようだけどね」
そこでため息をつくってことはやっぱり知っていたのね。
いえ、こんな典型的な神様が信仰心の欠片のある人間を前にして知って欲しいとかそういうのがあるのが当たり前だものね。特に幻想郷なら神様が人々を見る余裕もあるでしょうし、全部知っててもおかしくはなさそうだわ。
「それは仕方ないわ。今でこそ私の試験に合格したり、そのあとに出会って色々と教えても動じないほどになってるけど、当時の彼女はいつあいつが介入してもおかしくなかったからねえ」
結構遠くを見るような目をするのね。
…たぶん、あいつとやらはそこまで介入してこないと思うけれども。
ただ、それは私の知るあの性格のままならって前提込みってなわけだけども、今はなにやってるのかしらね。あいつ。
「そうなったらどうなるか、分かるかな?さすがにまだその勘は鈍ってはいないのでしょう?」
「……分かるよ。ほんと、あなた達はそういう言い回ししかできないの?」
「そういう言い回しとはとんだ語弊ね。これでもちゃんと考えてるのよ?例えば―――憑依してしまったせいで、なんて悩んで悩み暮れてその結果、あの子はいなくなりました。なんて言ったら…どう?」
「だから、その言い方は…」
とまで言いかけて分かったのだけども、まさかこいつ…幻想郷どころかあの子にすら気にかけているというの?
へぇ、気づかない間に変わったのかしら。
意外なことを知れたわ。
「そのあともなにかしらで気にされたらいけないってことで消えかかっていた貴方をひっぱり、“憑依”してしまった人の体に“憑依”させたってわけ。私とあいつの能力で、ね」
「ふぅん…。そういうのを気にしてしまうのは外来人ゆえ、と。それなら
そこまで頷かなくてもいい気がするんだけども…。別にあんたの仕事じゃ、ないんだし。
そりゃあ…多少はあるのかもしれないんでしょうけど…。
「ええ、それに外の世界から来てしまった幻想郷の歪みをそのままにするのも、名が
「そういうことか。てっきり後戸の国で、こっちのことを観察してるだけと思ってたけど…案外そうじゃないんだね」
心外そうにするけど、しょうがない気がするのよ。基本的に無干渉のことが多いのだから。
むしろ少ないと私は思うのだけどもね。
「ひどいこと。…ま、大体話したいことはこれくらいかな?貴方も十分情報を得られたでしょうし、そろそろ帰るわね」
「そうなの。んじゃ、またね」
私がそう軽く挨拶するとそのまま、能力で作った扉の中へ入っていった。
入ると消えるなんて便利そうね。
さて、今のを考えつつ、私もまとめていこうかしら。
今あるこの人生を楽しみながら、ね。