幻想郷とやらにご主人と来てからそこそこ
今のところ強くて八雲紫って妖怪とかその辺り。拍子抜けもいいところだよ。
まだ僕が話で聞いた
まぁ、違う個体から聞いた
もちろん、話を聞く限りでは、って前提だけど。
『そう考えるとここは弱いのが多いね?』
「それを私に言われても困るわ……。それにあんたはあの人間同様、外の世界から来た生きものっぽいから余計にね」
と、返してきたのはいきなり僕に暗闇の中襲ってきたルーミアとかいう妖怪。
迅竜のと似たような条件だな、とは思ったけど…暗闇にしてるのは本人で、本人自身もその暗闇のせいで近距離に来るまで相手の位置が分からないみたいなんだよね。それじゃ、暗闇にする意味とかあんまりないよね?
ま、僕は見えなくてもやれることはやれるし、僕と雷光虫の分の電力があれば僕の周りは多少は分かるし、別に困らなかったんだけどね。
それに狼に近い小さなサイズじゃなく、今の僕は普通のジンオウガよりは二回り以上も大きいあの普段のサイズだしね。
そもそも、視覚を奪われたら咆哮して相手をひるませつつ、自身の周りをなんらかの攻撃手段で対処したらある程度の敵なら退けられると思うんだけどな。
退けることができなくても最低限、相手に軽傷ぐらいは負わせることができるだろうし。
「そもそもあんたは食べても良さそうな奴と一緒に来た食べて良い奴じゃないのー?」
『うん、だからといって無闇やたらに襲うから反撃に会うんだよ。それに襲うんなら反撃するかもしれないってことを考えておかなきゃ。常識じゃないの?』
攻撃すりゃ反撃される。
そんなの当たり前なのにさ。なんでこの妖怪は分からないのかな?
「うー……この幻想郷じゃ反撃がそんなに痛いやつなんてほとんどいなかったのに。……あぁ、でもあんたはこっちで言う私みたいな人喰い妖怪とかそーいう類じゃないってのはよく分かったし、別にもういいんだけどねー」
『へぇ、君はあっさりしてるね。んで、そろそろご主人達が茶葉を選び終えるころだろうから人間の里に戻りたいんだけど』
今の相手が木の
いつでもさっきルーミアにした
警戒はして損はないはずだし、うーん。
「いや、なんでもない。そもそもあんたは食べれそうにないからね。それに私も負けたからこれ以上あんたにはなにもしないわ」
『そっか。じゃ、僕も見逃すことにするよ。あんまり時間をかけたくないし』
警戒を少しずつ解きながら言ってやるといきなりルーミアとか名乗った妖怪が両手を広げた。広げても広げなくても君達は空を飛べるんじゃないのかと。なんかするわけでもないのにね。
僕は空なんか飛べなくても場所を行き来する術があるし、人のこと言えないんだろうけど……。飛ぶ違いだろうしなぁ……。
やれやれ、人間に合わせるのは苦労するよ。
そう思った僕は闇をまとい、再びどこかへ飛んでいくルーミアを尻目に人間の里へと向かった。
もちろん狼に近いサイズへなることも忘れず。
ちなみにサイズは僕視点じゃなくてご主人視点でのサイズ。僕からすれば大きさは大した問題じゃないしね。
……狼サイズが全く分からないって言うのは黙っておくとして。
少し散歩した距離だったからそんなに遠くなかったな。
さて、霊夢とご主人は……と。
いたいた。お茶屋のとこからようやく出てきたところか。
「一応咲夜から聞いた紅茶の話だから、飲んでくれるとは思うんだけども…」
「いや、むしろ当たりさわりのないプレゼントの方が仲良くなれるってお前が教えてくれたからな。別にいいさ」
『プレゼント?……なら、どうして霊夢から紅茶の話が出るんだい?』
聞いたところでどうした、という話ではあるんだよね。それになんとなく想像できるし。
…………なんで想像しやすいのか、僕には分からないけど。
「そりゃあ今度紅魔館へお茶会に招待されただろ?ってことはパチュリーと仲良くなれるチャンスだと思わないか?!」
「まあ…想像ついてたわよ」
だからって本人の前でため息をつくのは……その本人が今のご主人だから気にしないとは思うけど。
「別にいいじゃないか。なにせ最初から俺は目的を教えたわけだし」
『そうだね、聞いてた聞いてた』
(なんだかジンきゅんに飽きられてる気がするんだが……俺の気のせいか?)
にしても博麗霊夢というやけに外の世界に詳しい人物がいるからこそ、パチュリーとご主人は知り合えた上に仲良くなれたんじゃないか。
そう思うようになったね、最近は。
『それで?ご主人達の買い物はもういいの?』
「んー…他にある、と言いたいが…」
「甘味類なら普通に飲食できるわよ。コーラ系はないにせよ、確かカフェとかはあったはずなんだけども…。あとは団子屋とかその辺りになるけど…」
確かそう言った話はご主人が食いつきやすいはず……
「出来れば案内してくれれば助かる。あわよくば食べたい」
「顔が本気と書いてマジになってるんだけども……?まぁ、行くわよ」
『ご主人はそういうの好きだからねぇ』
ぼやくようにいった僕の言葉にご主人は「別に甘いのが好きでもいいだろ?」と返してきた。
男である以前に人間というものだし、そういうものかなとは思うんだけどね。
それよりも知りたいのは
『んで、行くの?行かないの?』
「あー、もし行くなら今でお願いしてもいいかしら?」
…紅茶の茶葉しか入ってなさそうな袋なら、別に一旦戻ってもいいだろうに。
それか、僕とご主人だけでもカフェとかは見つけられないことはないと思うんだけど。
「なんでだ?最近は俺1人でも平気だし、今はジンきゅんもいるから痛い目を見るのは相手だと思うんだが……」
『僕だけじゃなくて、雷光虫にも対応できないとね。今のところ対応できる妖怪は少ないからご主人達からしてオーバーキルってとこかな?』
「そうじゃ……」
と僕がいうと霊夢はなにかを言いかけたと思ったら、いきなりため息をついた。
こうも霊夢や咲夜、天然混じりの早苗とかは真面目で困る。ご主人でいうとこの冗談がつけないじゃないか。
それに君はまだご主人がいた世界のことも知ってるみたいだからのってくれてもいいんじゃないか?
そう、あの先代の巫女のようなツッコミを…ご主人とかに、ね。
「まあ、でも…適当に行くよりは安全そうだな。悪いけど頼むわ」
ご主人のそれは適当に行くんじゃなくて、行き当たりばったり。
よくぞまぁ、今まで平気だったもんだよ。ここでなら僕が幻想郷における拠点である博麗神社へ連れて帰れるけどね。まだ黙っておこう。
いや、ご主人と共に案内してもらってあれなんだけどさ。
カフェとやら、あるんだ…。
幻想郷なだけにカフェ、というよりまだ民家みたいな感じだけど。
むしろここの人達にとってはこれが普通なのか…。
『まさか、食べていくのかい?』
「いいとは思うけどな。味の方も確認したいとこだし」
―――だと思ったよ。大体そうだって、よく聞こえてきたからね。……よく、っていうのはただの表現にしかすぎないけど。
「なら、食べていきましょ。休憩がてらにはちょうどよさそうだし。ジンオウガはどうする?」
「いや、僕は話相手がいるからやめておくよ」
厳密に言えば、話相手なんかじゃないんだよね。
ね、どこからか見つめてくる、どっかの誰かさん?博麗神社へ分かりやすく行ってやるから素直に姿を現してよね。
「そう。じゃあ、私は結輝とここで一休みしてから行くわね」
「おみやげ、ジンきゅんのも込みで買ってやるからなー」
やれやれ。
僕のご主人は相当な物好きだな。だから、パチュリーにも呆れられるんだよ。
ま、その性格のおかげでパチュリーから本読み友達としてなら、と受け入れてもらえたらしいんだけどね。
『そ、そっか。そういうのはご主人の好きにしてよ。僕はよく分からないし』
人間のとこにいたわけでも、教わったわけでもないしね。仕方ないね。
でも、ご主人も「はいよー」とか言って霊夢とお土産とやらを買いに向かったし、僕は相手のために都合のいい場所でも探すかな?
妖怪の山の麓辺りにあったような気がするし、そこへ行くとしようかな。
……うん、だからってこうも都合よく見つかっても、なあ。
木は生えてるけど、そこそこ円形に開けてる。花はその近くに生えてる。
挙句の果てには僕の背中などにいる雷光虫の動きを、僕の動きを邪魔するようなものがない。
なんか、
でも、今はすごくちょうどいいかな。
なにせさっきから感じる気配が僕についてきてくれてるっぽいし。ついでに“挨拶”もできるし、ちょうどいいね。
『いい加減、出てきてもいいんじゃないかな?……ずっと前から見てきてるのに、姿すら現せないのはどうかと思うよ』
と言っても出てこないのは想定内、なんだよね。
それで姿を現す方が少ないから。むしろ現れないのが正解に近いだろうしね。
なら、姿を現すようにこちらが仕向けるまで。
この幻想郷の住民とは言え、相手は姿を隠したままの状態でこっちを見てられるんだ。相応の覚悟で見てるに違いないし、いいよね。
『んじゃ、出てこないんなら…僕から軽く挨拶がてらのことをやらせてもらうね』
そう言って、僕は電気を高めつつ、雷光虫にそれを与えながら周囲に広がるよう、小声で指示した。
ついでにどんな相手でも打ち上げられるよう、準備もしておく。
それであとは簡単。できる限り大きく吠えるだけ。
『アウォオォーーン!!』
「〜〜~〜~っ!?」
ご主人達やハンターの間でいうとこの超帯電状態にしてからの、相手を打ち上げ―――なんか気持ち相手が重いけど、槍とか銃槍とかっていうのを持ったハンターと似たりよったりだから軽いね―――そして、範囲放電!
……お?立ち上がれるんだ。
確かに弾幕ごっこっていう幻想郷の遊戯に威力は調整したよ。それでも霊夢や博麗霊華曰く“かなり強い”とか“ラストスペルかラストワードクラスね”と言われるほどの威力はあるはずなんだけどな。
あ、1回しかしてないからか。
「―――なるほど。挨拶代わりには確かにちょうどよすぎるものね」
『うん。それは別に聞いてないけどさ、君が最近見てくる正体か。今のスペルカードもどきはどうだったかな?』
僕から見てハンターよりも小さい女の子。
あと特徴的なのは確か鎖?とひょうたん?とかその辺りかな。他にもおまけがついてたりするけど、1番目立つのはその二本の角かな。
幻想郷でいう妖怪の類……にしてはピンピンしてるな。
「伊達に妖怪ならざる者ではないってことはよく分かった。でも、霊夢達すら気づくのに時間がかかったのによく分かったね」
えっ?なにを言ってるのだろう、この子は。
あんなに視線を向けておいてよく言う。これ以上ないほどのヒントだったのに。
『そりゃあね。んで、君はなんて言う名前なんだい?僕は一応ジンオウガ、と名乗ることになってるんだけど』
(へぇ、ほとんど霊夢から聞いた通りか。雷を操る妖怪ではない存在。……でも、聞いた時に“鬼と飲む時代が来るなんてね”とか言った霊華や紫もいたけど、霊夢の方があいにくと情報量が多かったね)
「私は伊吹萃香、鬼よ。妖怪とは別ってことぐらい『いや、霧になる妖怪なんてこの幻想郷で見かけなかったし、霧になってる相手を見てると雷光虫とかで攻撃できそうだなあーと』」
でも、不意打ちは挨拶にならないし、相手の実力もある程度知りたかったから声をかけたのに。
うーん、避けなかったのを見るとよく分からないんだよな。
「紫や霊夢が思うより外の世界な存在だね。んでも、鬼ってものは知ってるかしら?」
一応素直に言っておくかな。
『知らないよ。そもそも僕は妖怪ですら曖昧だし。…とりあえず、ある程度の強さを持つ妖怪はそんなにいないって感じかな』
(あの外来人とはおおよそ違うとは思ってたけど、ここまでとはね。強さもそりゃそこそこあるし。逆に勇儀がここにいないのが彼女にとっていい事なのかどうなのやら…)
「そうなのね。ならとにかく鬼は嘘が嫌いってだけ覚えておいてちょうだい。私はつかない…とは言いきれないけど。んで、気づいたのはいつかな?」
気づくもなにも
『ずっと前からだよ。大体……紅魔館へご主人と行ったり来たりするようになってから、かな?』
「なるほど。それで挨拶に来なかったのは?」
『―――いやぁ、ちょっと幻想郷流を覚えるまでに時間がかかったもんでね。それで仕方なく、かな。そういう君は挨拶がなかったのを気にしてるのかい?』
半目で見ながら聞いてきたもんだからしれっと言ってみたけど、半目どころか呆れたような感じになったね。
一応納得はしてくれたみたいだからいいんだけど。
「まあね。あの外来人は仕方ないとは言え、あんたはいつでも来れるだろう?そこまで気づいていて、何故来なかったのか。……と、いうわけでやらせてもらうよ」
お?おおっと。
まさか急にこっちへ殴りかかってくるとは思わなかった。避けれたっちゃ避けれたけど…。
なるほど。なんとなく分かったぞ。
『そうか。君がそういうつもりならこっちからもやらせてもらうよ。ただこれで僕が耐えるなり勝つなりしたら、今やった全てを君への挨拶とさせてもらうとするよ。もちろん、君が仕掛けてきたのも含めてね』
「へぇ、なかなかに出来た子ね。伊達に外の世界で雷狼竜などと呼ばれてるわけじゃないってことか。……いいよ、私もそういうの嫌いじゃないから受けてあげる。ただし、負けたら負けたであなたは私を今度宴会に誘うこと。これを条件にさせてもらうよ」
『やれやれ、それに関しては探すのが大変そうだね。でも、なにもないよりは楽しそうだからその話にのるとしようかな』
僕がそう告げると嬉しそうに笑う伊吹萃香。
……変わった形のそれを飲むってことは飲料系なんだね。ハンター達でいう硬化薬とか鬼人薬みたいなもんなのかな?想像がしにくいや。
……前言撤回。ふらつき始めた辺り、お酒のようだ。
なるほど、能力はまだ読めないけど増えたり本人が巨大化する辺り、そういう1つの能力で出来るのだろう。
いいね、ほかの妖怪達よりはこの鬼と名乗る子は強そうだ。
『じゃあ、挨拶という名の弾幕ごっこ…始めようか』
「あなたみたいに話の分かるやつは嫌いじゃない。どんな相手か見させてもらうよ」
―――後日、とある烏天狗によって新聞にされてしまったのは別の話。
霊夢にお仕置きしてもらえたのでぼくはもうどうでもいいや。