幻想郷を、雷狼竜と共に   作:篠崎零花

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番外編 博麗の巫女の企みもどき

―――元いた人格がどうなったか?

 

―――お前は“本当に”そうなったと思い込んでいるのか?

 

―――記憶が誰かの意図によって作られたものだと何故信じて疑わない?

 

 

 

―――間接的な人殺しじゃあ、なんも感じないんだろうなあ?なぁ、お前さんよ―――

 

 

 

 

 

 

 

ふむ、過去の夢を思い出すと色々とあることないこと言われたような気がする。

少し二人称があれな気がするけど、たぶん偶然だろうし。……ふむ、正常な判断ができないとはあの時のことを言うんだろうな。

 

っと、そうじゃない。本題に戻ろう。

最初に思い出していたのはだいぶ前に夢の中でさんざん言われたこと。似たりよったりなものはあったけど、大体はあの言葉ばかりだった。

 

 

あれをほぼ毎夜見せられればそりゃあ精神だって参るし、疑って相談もしなくなる。

しかし、それはもういい。今もまだ忘れられなかったりするけど、いい。

問題は別にあるのだ。

 

 

「……ねえ、紫。人が掃除をしているのに誰かさんはのんびり縁側で横になってるみたいなんだけど、知らない?」

 

「あらぁー?それは誰かしらね。貴方こそ知らないのかしら?」

 

いや、あなただよ。あなた。

最近綺麗だけど、つい癖でやってる掃除を眺めてるだけなのはあなたでしょ。

 

『僕にはスキマ妖怪しか見えないけど。やれやれ、それで強い妖怪とか本当信じ難いね』

 

「いや、あんたは紫とも戦ったじゃない。一応あれで1週間は寝込んだそうなんだからね?」

 

『そりゃあ亜種にも極みにもなったからね。僕が亜種化してからようやく本気出すんじゃあ遅すぎだよ』

 

「……貴方ねぇ。まあ、博麗大結界の管理とか色々をそこの普通な楽園の巫女がほぼやってるようなものだから、確かに本気を出せないことはないけども」

 

(結局出すつもりはなかったっていうことだよね?)

 

 

「ジンオウガ、凄いわね。あの妖怪、まがりなりにも幻想郷の賢者なのに本気を出すのは面倒って言ってるわよ」

 

『みたいだねぇ。まだようやく僕とまともにやりあえるようになった霊夢や結輝の方がまだマシだよ。あ、それと霊夢。先代の巫女は例外だから。忘れないでね?』

 

そりゃそうだ。先代の巫女は元々歴戦の巫女。

ジンオウガのいるシリーズで言えば“上位”とか“G級”だとかそういう位の強さをほこってるんじゃないかな?

 

結輝の方は最近2つほど武器となるものを作ってもらっていたんだから。

太刀、穿龍棍とあの世界で呼ぶものだ。

見た目も同じだけど、太刀は片手で持てる長さにされている。細長い刀と(さや)

鞘の方はジンオウガの素材なだけあって少しギザギザしていた。

 

穿龍棍はなんていうか…外の世界でいうトンファーみたいになっていた。

先端が尖っていること以外はほぼジンオウガっぽいそれは太刀みたいにかっこよかったと思ったっけ。

 

 

今の2つをあげた理由はもちろん、彼の自衛のために。

本人は“死ぬ時は死ぬ”ってタイプみたいだし、いらないとか言っていた割にはジンオウガの武器であることに喜んでいるようだった。ちなみに製作者は目の前にいるスキマ妖怪。

私が無理やりその役を押し付け……熱心にお願いした。

なにせ彼はどこか達観しているような気がするから。

 

 

 

 

…本題に戻ろうか。

 

「忘れるわけないじゃない。あの生真面目な先代の巫女の強さを。―――それで?紫が私とジンオウガだけにして、結輝を紅魔館の大図書館にスキマで送り込んだのはどういうつもりかしら?なにか私達にだけ話したい内容でもあったわけ?」

 

「あー、そうだったわね。忘れてたわ」

 

語尾に音符マークがつきそうな口調でしゃべる時は大体がわざとだなと思う。

今回もか。

 

「……ジンオウガ。博麗神社(ここ)のルール破ってあの妖怪に攻撃「分かったわ、ちゃんと目的を話すわよ」」

 

(やれやれ、この霊夢は“霊夢”や霊華と違って僕のことや牙竜種のことなんて知らないだろうに。ご主人と僕が来た幻想郷が偶然こうなだけで、本来は僕とご主人を除く全員が知らなかったはずだろうに。……かくいう僕もご主人のとこのハンター達やそのペット―――家族と呼ばれていた気もする―――から聞いたんだけどね。もちろん、相手は僕と同じく牙竜種とか鳥竜種などと呼ばれる存在しかいなかったけどね)

 

 

 

「……人間の里でのことよ。本来ならそこにいるジンオウガは大きさこそ変えれるとはいえ、その見た目。本来は大変なことになるんじゃないかしら?」

 

『そこに追加の質問いいかな。僕の食べるあれ、肉が多い割には僕が食べれそうな野菜類を気持ち入れてるよね。その上、肉も食べてみりゃ焼けてるのは外だけで中身は生ですっごく食べやすかったし。霊夢は僕のことをどれだけ知ってるんだい?』

 

まあ、そろそろ来るとは思っていたよ。でなきゃ紅魔館に“外来人の結輝がもしかしたらそっちへ行くかもしれないわ。その時は客として迎えいれてくれると嬉しいわ”なんて言わないし。

それに八雲紫(あなた)ならもう気づいてるんじゃないの?

 

 

―――無闇に里の人達が怖がらないように。騒がないように。ジンオウガを化け物として見ないように。

そうしたことなんて。とっくに分かりきってるだろうに。

 

ジンオウガのも、本人?には悪いが里の人達が見ても完全な肉食だと勘づかれないように。あとついでに食持ちすればいいな、ということでジンオウガにやっても問題なさそうなものを霊華や永遠亭にいる全員―――輝夜を含めていいのかなぁ―――に聞いたりしてるしね。

聞いたあとは私が仕分けるんだけど、それは別として。

 

 

 

「…まず、紫の方からね。それは幻想入りした2人のことを私と霊華とで書いて出したのよ。もちろん、その2人が人間の里へ降りる前にね」

 

『……まさかとは思うけど、それ繋がりで僕の食べる肉を生焼け肉風にしているわけじゃないよね?たまにこんがり肉風が出てくるのも関係してたりしないよね?』

 

 

(やけに僕のことを知ってるし、ご主人がハンターとして遊んでいた時によく言っていた“生焼け肉”とか“こんがり肉”って言って通じたらもう確信犯だよね。だいぶ前からそんな感じだったし、それならそれで違和感はないしね。…G級という言葉を理解してる時点で既に怪しかったけどね)

 

 

「あー、たぶんそれは偶然の産物よ。単純に肉の表面を殺菌したかっただけだから。中身まで焼けてるのは大体加減を間違えただけよ」

 

そこで紫がため息をつく。なんでや。

私が博麗の巫女としてしっかり幻想郷のバランスをとることを前提に外の世界からの知識などを使わせてもらってるじゃん。今さらやめろとかなしだよ?

 

「…いいえ、霊夢。なんでもありませんわ。ただ相変わらず博麗の巫女として天然というかなんというか…。そのおかげで参拝客や依頼をしてくる住民がいるのだから咎めはしないけど…やれやれ、歴代の博麗よりまともなのはその幻想郷と外の世界どちらにも通じる常識だけね」

 

「ふん、悪かったわね。そんな巫女で」

 

(あぁ、うん。センスで口元隠してるつもりだろうけど、雰囲気から察すると彼女がそういう(たち)だって分かっててからかってるだろうな。たぶん口元緩んでるだろうし)

 

 

 

 

 

「それはともかくとして―――ジンオウガ、貴方は本気をまだ出していないでしょう?でなきゃ紅魔館の連中があんなんで済むとは到底思えないわね。例え貴方の性別を勘違いしていたからとキレたとは言え、ね」

 

あー…伊達に外の世界でモ○スターハ○ターファンタジーとかなんて言われないもんね。私は詳しくないけど。

 

『そりゃあねぇ。従来通り戦ってもいいけど、幻想郷の住民がハンターと違いすぎるからなぁ。外から来たらしいのも含めて、だよ?』

 

 

(逆に言えばハンターなら倒せるんだけど……なんだっけ?“プレイヤースキル”とかっていうよく分からない奴や“スキル祭り”とかもしっかりやらなきゃいけないとかご主人達は言ってなかったっけ。僕には理解できなかったけど)

 

 

「確かにね。私ですら致命傷を避けられるかどうかでしょうし。あの霊華―――この場合は先代の巫女と呼ぶことにするわね。あの人ですら傷は免れないし、霊力を込めた(こぶし)をしても痛めるかどうか…」

 

あっていれば、だけどね。なにせ私の持つ情報は古すぎるし。

今回みたいに外来人が来れば別だけど。

 

「そう。あぁ、それと霊夢。―――外の世界じゃモンスター系のペットにあげる餌は“生肉”、“生焼け肉”、“こんがり肉”、“こんがり肉G”で影響が相当変わるそうよ?あと、あげるモンスターの肉によっても変わるそうだから。じゃあね」

 

 

そう言って、八雲紫(あいつ)は空間に穴―――向こう側に様々な目が見える―――という名のスキマを開くとそこに入ってスキマごと消えた。

 

……。

 

 

 

 

「さ…さり気なく外の世界で情報収集きてるじゃないの、あのスキマ妖怪。ちょっと退治してくるわ」

 

そうとなれば、八雲紫の場所を探しに

…………

 

 

「ねえ、ジンオウガ。雷光虫を私の周りに、しかも上にすら逃げ場を作らないように囲わせるってちょっと酷くないかしら?」

 

『いや、前に君のぐ…んんっ、話からして八雲紫とやらの家なんて見つけられないと思うけど。モンスターとかが見つかるようなもんじゃないんでしょ?』

 

(なんかこう…言いかけたのをやめたり、霊夢やご主人にツッコミを入れてしまう辺り、モンスターなのに常識人だよねとかって言われそうだな。たぶん言う相手はいないと思うけど)

 

 

なにか言いかけたよね。いや、愚痴って言いかけたよね。

別にその通りだからなんも言わないけどさ。私はとにかく頷いておくことにした。

 

「まあね。でも、スキマ妖怪だし一応退治に……」

 

『その理屈はおかしい。って、僕は君とコントするために雷光虫を飛ばしてるわけじゃないんだよ?だからそうやって短距離の瞬間移動をしないでよ』

 

 

あ、そういや雷光虫が後ろにいるような。気がつかなかったなあ。

 

 

「瞬間移動はさすがに知らないわよ?…面白いからアリでしょ?コントもどきも。だって普通はジンオウガってしゃべれないんだから」

 

(……やれやれ。その通りだけどさ……)

 

『はいはい、それでご主人はどうしてると思う?』

 

あぁ、どうなっても大図書館に行くよう、紅魔館の面子にお願いしたわけだから…えーと…

 

「たぶん、大図書館に案内されてパチュリーがどうにか相手でもしてるんじゃないかしら?」

 

『わぁお、ご主人得。なのに霊夢はなにをしようとしてるの?』

 

あ、もしかして最近増えてきたように感じる雷光虫を見てるのバレた?

そのうち言うつもりだったけど、ジンオウガには先に言っておくか。

 

「―――ちょっとしびれ罠というのを自作できるか試そうかと思っていたのよ。もちろん河童達のいるあそこを借りて、ね」

 

私がそういうと『あー…ご主人の楽しみが増えてく…。そうなるとパチュリーとかって子といつ仲良くなれるんだか先が読めなくなっていくんじゃあ…』とかって悩み―――雰囲気的に真面目に、かな――ー始めた。

私もいるし、たぶん仲良くなれるよ。親友以上は本人達に頑張ってもらうけど、友達か親友になるなら……ね。

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