紅魔館へ入った俺達。……なんか真ん中にあるのが気になるな。
なんだろうな、あれ。
「…あれでも気になるの?」
『いや、普通気になるよね、あれって』
「だな。なんかゲームにありそうな魔方陣だし。それに目立つんじゃないか?」
目立つかどうかは、さておきだが、周りを見渡してどう見ても魔方陣っぽいなにかが目にはいるんだよな。
それ以外は『ここは洋館なんで』と言われても黙るレベルだ。
……ジンきゅんは……。黙っておこう。
むしろどこにいても可愛いのがジンきゅんだしな。
「ゲームでよくあるような、あの詠唱の時に出るような奴のことを言いたいのよね?んー…確かにそうね。むしろあれは魔方陣であってるわよ」
「結構目立つもんなんだな。…なんかこう、見た目だけ消せないのか?」
「どうでしょうね。そこのジンオウガの背中にいる雷光虫みたいに消せないタイプだったら無理でしょうし、なにより試したことあるかなんて聞いたことないのよね。―――ああ、でも背中から雷光虫がいなくなることはほとんどないんだったわね」
『そりゃ僕と雷光虫は……って分かってて言ってるよね?』
霊夢は「そりゃあね。あんたも共生関係とかって言ってたし」と言って、何故かウィンクした。
する意味あるのか?それ。
ともかく、話を戻すか。
「そういえば咲夜って奴となんか2人がなんかしてるらしいけど、俺達はまず誰と会うんだ?」
(っと、そういえば言ってなかったか。今のところ、エントランスを見渡してるだけだしね)
「あー、そうね。決めてあるわ。大図書館にいるあの2人、ってことでこっちよ」
そう言って、俺達の方を見つつ通路を指差す霊夢。
予想以上に来てるんだな、霊夢は。あの門番……名前はなんだったけか。忘れた。
まあ、とにかく。門番にも言われてるぐらいだから、相当だろうな。
とりあえず頷いて、ついていくことにしよう。
通路を歩いて思ったんだが、外見より広くないか?しかも、大図書館は地下の方にあるのか、階段も降りるし…。
それなりに歩いたような気がするほど、だから相当なのか?
「あ、ここよ。……パチュリ-、いるー?」
少し大きめな木製っぽい立ち止まるなり、そう呼び掛ける。
『そもそも僕達も入れると思う?』
「まー、なんとかなるだろ」
『えー……』
と、いうか返事が聞こえないぞ?
たぶん俺達が話してるせいもあるんだろうが。
「あー…こりゃ読書に夢中でこっちに気づいてないかもしれないわね。勝手に入っちゃいましょ」
「いや、それはまずいだろ」
「平気よ。事情の分からない人じゃないから」
『いや、そういう問題じゃないと思うんだけど…』
「まっ、まぁ…あれよ。前にOKサインをもらってるってことにしてちょうだい」
そんなのありかよ、と内心突っ込む。
口にしないのはなんとなくだ。
んで、霊夢はノックもなしに入り、その後を俺達も続くように入った。
紅魔館もなかなか広いが、大図書館は確かに…いや、天井に届きそうなほど、本棚があるな。
……こりゃとんでもないな。
『ご主人、口あいてるよ。確かにこれはビックリするほどでかいし、本棚もかなりあるけど』
「かなりあるってところじゃないぞ、これは……!」
「仕方ないわよ。本人曰く勝手に本が増えてるらしいもの。それの管理を手伝う小悪魔はかなり大変でしょうね」
かなり、というか管理しきれてるっぽいのが凄いんだが。
いや、それ以前に本が増えるとかどんな仕様だよ。湧いて出るみたいじゃないか。
「そ、そういう問題じゃあ……。いや、もういい。んで、パチュリ-とやらはどこにいるんだ?」
「えっ?あそこじゃないの?」
(まあ、実際には私が指をさした本棚の向こうにある机と椅子に座ってるんだろうけどね。大図書館に入ってすぐのところだから、覚えやすいだろうし)
「俺にそれを聞かれても分からないぞ。お前が知ってるんじゃないのか?」
『あと指さしてるのって本棚だよね?いくらなんでも、そこにいるっていうのはペーパーな人物なのかな?』
「いや、むしろペーパーな人物ってなんだよ」
『あー…なんだろうね?』
……何故か霊夢が呆れると同時になんか肩をすくめた。
いや、急にどうした?
「言い方がちょっと悪かったみたいね。…その本棚の向こうでパチュリ-は読書しているはずよ」
ああー、そういうことだったのか。
やっと分かったわ。
んで、頷いてからその本棚の向こうに行くとそこに本をじっくり眺めている少女がいた。
十中八九、彼女がパチュリ-だろうな。
現に霊夢が近寄ってったし。…と、いうかなんかここ、換気したくなるような臭いがするような気がするんだが。俺の考えすぎか?
「パチュリ-、ちょっと今いいかしら?」
「……あぁ、霊夢?いつもの本探し……と、いうわけじゃないようね。その1人と1頭がいるわけだし、どうせ違う用なんでしょ?」
本探し…って借りてるのか?
それとも、単純に読ませてもらってるのか。
どちらにせよ、うらやま……やめておこう。
「ええ、そうなのよ。それで、前提で聞くんだけども、ジンオウガって知ってるかしら。雷狼竜、無双の狩人とかって呼ばれてるらしいんだけども」
「いいえ、知らないわね。この大図書館のどの本にも載ってないから知るのも無理ね」
「待て待て、それだと外の世界の本って奴もここに現れるのか?」
“どの本にも”という言葉につっかかった俺は思わず聞いてしまったが、誰でもこれなら聞くんじゃないのか?
いや、気になってしまう奴だけか。
「ええ、出るらしいわよ。小悪魔もそう言ってたし、私もそれらしいのを見つけて読んだことがあるわ。でしょ?」
「とても不思議なことにそうみたいなのよね。と、いうよりほとんどが外来本よ。って貴方もこう評価したじゃない。『鈴奈庵も便利だけども、調べものなどを真剣にしたいときは紅魔館の大図書館ね』と」
そう言われた霊夢は「そんなことも言ったわね」なんていってなんかぎこちない笑みを浮かべた。
…なあ、ジンきゅんの話はどうなった?
『それで、僕のことは知らないってことでいいんだよね?』
「そうね、知らないわ。そもそも私は外来本なんて読まないもの」
(あぁ、こればっかりは仕方ないね。ここに入り浸ってて、分かったけど…いや、魔法使いについて知った時からそう。彼女達は魔法の研究に精を出す。魔理沙だって、魔法に近い物を色々とやってるみたいだしね)
……あぁ、そういやパチュリ-って魔法使いだったな。
そりゃ魔導書みたいな本以外は早々読まないか。でも逆に、それでどうにか仲良くなるってのも手だな。
「それで、霊夢。その1人と1頭がどうかしたの?」
顔見知りじゃなきゃ、そら興味なさそうな顔でこっちを見るよな……はぁ。
「あぁ、自己紹介も兼ねて連れてきたのよ。特に結輝と一緒にいるジンオウガのことは知っておいてほしいのよ」
「そう。んじゃ、してもらえる?」
「分かった。俺は
『簡単にしたねえ、ご主人。…僕はジンオウガ。ちなみに種族は竜盤目 四脚亜目 雷狼竜上科 ジンオウガ科だよ。……まあ、今は関係なさそうだけど』
ま、まあ…そうだとして、よくそう分類されてることを知れたな。
もしかして、牙竜種に分類されてるっことも知ってるのか?
「関係ないどころかもはや知らない種族ね。そんなの、幻想郷でも聞かないわ」
「それが外の世界じゃ、そういう遊戯のがあるらしいのよ。あ、今のを牙竜種ってまとめてるそうよ……確かね」
いやいや、あってるよ。
牙竜種 竜盤目 四脚亜目 雷狼竜上科 ジンオウガ科って言われてるらしいしな。
…種族名が結構長いが、まあ、仕方ないな。
『いんや、あってるよ。ご主人も頷いた通り、僕は牙竜種らしいから』
「そう。そんなの遊戯もあるのね、外の世界には。なにをしてるのか想像しにくいけども。ま、出来れば敵対はしなくたいわね」
そりゃそうだわな。まだ話してないが、ジンきゅんには超帯電状態ってのがあるし、そうなったら動きが速くなるしな。
…そういや、ジンきゅんはどんな雷狼竜なんだろうな。
しかし、育てられたがひっかかるんだよな。どういうことなんだ…?
『なんもなければしないよ。強いていえば僕からの電気マッサージ……かな?』
「あんたの電気マッサージは下手すると気絶しそうね。…雷光虫を使ったかどうかまでは分からないけども」
半目になって、ジンきゅんを睨むのを見ると、出会った時のことでも気にしてるのか?
『あれには雷光虫なんて使ってないよ。至極真面目に撃退するつもりだったしね。雷光虫はふざけてたり、攻撃する時に使うよ』
「そんなおふざけ、私なら遠慮したいわ」
『普通はそうなるよね。でも、案外マッサージみたいで気持ちいいかもよ?』
「その手にはのらないわよ、さすがに」
といって半目でジンきゅんを見る辺り、そうとう出会い始めが印象深いようだな。
「まあ、この子はやけに強いみたいだもんな」
「そうね。れい…紅白がよく言っていたけども、本来外来人は妖怪に襲われやすいみたいなのよね。んでもって、れい…紅白がそれを全部把握できてるとは思えないから十中八九そのジンオウガとやらのおかげね」
「ええ、よくそんな話をしたわね。でも、わざわざ言い直す必要あったかしら?」
「ないわね。んで、結局それだけなら未知数なだけで、気をつける必要もなさそうだと思うのだけれども……。もういいのかしら?」
知り合いにもなってないと…いや、そうでなくともこんな接し方なのか?
まあ、自己紹介って話だったもんな…。
『あっ、ごめん。2つある。僕のことで』
「……なによ」
(な、なんか嫌な予感がしなくもない気が…)
『僕、まず出身は樹海なんだ。んで、次はそこで僕は
待て待て待て、樹海にいるジンオウガって……いや、そんなまさか。
しかし、フロンティアって奴しかもう浮かばないんだよな。
捕獲して仲間にできんのはあれぐらいだったし…それにジンオウガが樹海にいるって時点でそれ以外はもうないんだよな。
そう思いつつ、他の奴の顔を見たらパチュリ-は目を細め、霊夢は目を丸くしていた。
頼りがいのある相棒ってこういう子のことをいうんだろうな、と俺はどこか他人のように考えていた。