アリスの家に通されて、もっと詳しい事情を聞かれたもんだからジンきゅんと共に話した。んだが、霊夢のことは外の世界とやらを知ってて当然らしい。
東風谷早苗もそうらしいが、元外来人だとか。すっかりその子のことを忘れてたわ。
大して興味がなかったっていうのもあるんだろうけどな。
いや、それとこれは違うんじゃないのか?不思議なもんだ。
ま、ぼかされる以上、そんなに深入りしなくてもいいだろ。もしかしたらそういった話かもしれないしな。
それでも、だ。“用事があるから一旦外出するわね”とアリスが出て行ったまではいいんだけど、この部屋はなんというか…たくさんあるな。人形が。
おまけにここに入る時、鍵もしていった。
……留守番ってこんなんだっけか、と疑問に思えてしまうな。いくら知らない相手だとしても、だ。
『…昼食をもらっておいて言うべきじゃないけどさ、この部屋…凄いね。伊達に人形使いじゃないってことなのかな?』
「別にいいんじゃないか?下手したら仮拠点の博麗神社にすら戻れなかったかもしれんし」
(遠回しに野宿よりマシって言いたいんだよね、それ。しかもなんか顔そらしてるし。……いや、僕も僕で場所を聞いてなかったしね。うーん、まさかここまで迷うとはなぁ。樹海なら分かるのに。やっぱりわけが違うんだねぇ)
……それで、ここで待っててって言われたっきり音沙汰ないんだが。どゆこと。
確か用事がある、んだっけか?
「そういやジンきゅんさ、お前が強いのはよーく分かってるんだけど俺の方はいまいちじゃないか?」
『う、うーん…。身体能力はいいと思うよ?一部並の人間と似かよってる……と思うけど。たぶん』
たぶんって曖昧だな。出会い始めてからそんなに経ってないからしようもないかもしれないけどさ。
しかし、身体能力の一部はFPSなどをやる以上、身につく人は身につくと思うんだけどな。
全員ってわけじゃないことも言っておくが。
「そ、そうか?…あぁ、今の話とは違うが、ジンきゅん…芸とか覚えてみないか?今のその大きさなら見た目の少し違う狼で通じると思うぞ」
『尻尾が独特な狼だって言いたいのかな?ちょっと真似してみようか?そうだね……たぶんワンワンすら言えないだろうけど』
「そこは練習だな」
そんな呆れた風に見なくてもいいと思うんだが。
俺的にはちゃんと雷狼竜こと“ジンオウガ”も、ご苦労ならぬ獄狼竜こと“ジンオウガ亜種”も、“
そう考えてしばらくすると、扉越しに話し声がしてきた。
どういうことだ?戻るみたいな話たったとは言え、何故会話に…
「ほんと、よく毎回私を誘うわね。今日に限って魔理沙を呼ばないのはとても不思議だけども」
「今日はちょっと迷い人がいてね。…ふぅん。そんなことを言うけども、無償で人形供養や私の手伝いをしてくれる優しい巫女は誰かしら?たまに里で見かける先代の巫女が買い物しながら呆れたように話してたわよ。ま、私的には貴方みたいな霊視のできる人がいるだけで、曰く付きの管理法を探しやすくって助かるのだけども」
「別に巫女なんだから供養ぐらい当たり前じゃない。それに手伝いも材料とかそんなんで大したことなんてしてないわ。―――でもね、そもそも人形は字のごとく人の形に一番近い存在である以上、幽霊が取り憑かないって保証はないのよ?……あんたが作ったものはほとんど魂が宿ってるから平気なのかもしれないんでしょうけどね」
(半目で私を見ながらそう説明してくるのもよく飽きないわね。ま、色んな反応が楽しいからついやってしまうのだけども)
「そういうわけだから、人形は場合によって危ないものになりえるのよ」
「はいはい、もうその話はいいわよ。それよりも来客がいるのよね。その1人と1匹も同席しても平気かしら?」
(ひ、1人と1匹?…なんか最近そんな感じの外来人がいたような…)
「あー、構わないわ。もしかしたら私も知ってるかもしれないし。それに私がやるのは一緒に人形を作るだけだもの」
「そう言いながら曰く付きになりそうなのは持ってくじゃないの。巫女らしいことをやってるぐらい、言えばいいのに。貴方なら私よりおしゃべりだから、平気なはずよ?」
って待て待て。“カチャリ”という鍵のあいたような音がしたとかどうとかより、霊夢がここに来るとかどういうことだ?
アリスとも仲がいいのか?羨ましいぞ、霊夢。俺もパチュリーやアリスとかと仲良くしたいもんだ。
(……ご主人が今度は羨ましそうにしてる。もう“なんで幻想入りしたのか”とか気にしてる素振りはないね。いや、ここまでくると“幻想入り?なにそれ”とかって言いそう。うん、もう僕はなにも言うまい)
向こうから扉を開けられたわけなんだが、案の定霊夢だった。でも、幻想郷の住民らってこんなに知り合いになりやすかったっけか?
パチュリーですら本以外に興味があったようだし。いや、その方が嬉しいんだけどな?
俺の知る幻想郷と違うような…。ま、いいか。結果オーライって奴だろ。
「…結輝とジンオウガなのね。別に構わないからいいのだけども」
「へえ、知り合いなのね。ならいいわ。いつものやってもらえる?」
「いつもの…って紅魔館の大図書館のように来てるのか。交友広過ぎないか?」
「うーん…そうなのかしら」
それで悩まれてもなあ。そうとしか言えない気がするんだけど。
なにせ案内した先々で挨拶されてたし。ただ、俺の知る原作通り、名前で呼ばれていたけどな。
まさか、交友が広いって自覚がないのか?
『んで、なにをするの?』
「ん?あぁ、それは見てれば分かるわ。アリス、いつでもいいわよ」
「やれやれ。…分かったわ。やりましょ」
それを見てるとなんか2人して物作り始めたぞ。ただ霊夢なんかは完成した人形も見てるし。
……共同作業ってか?
『ご主人、ご主人。あれが共同作業に見える?僕にはそういう風には見えないんだけど…』
さり気なく小声で聞いてくれるのな。
「俺にはね。…なんか原作と違って俺の知ってることも知ってるし、なにより―――アリスとも仲がいいのが羨ましい!」
『そこかい!』
(…なんか話し声が聞こえたような気がしたから、なんとなく少し後ろを見たら…結輝とやらがあの太めな尻尾で軽く叩かれてる。どんな話をしてるのやら)
とまぁ、色々―――嫁モンスであるジンきゅんと話してたとかなでなでしたとか―――やっていたらどうやら終わったらしい。
ちょうどいい。アリスと仲良くなるついでに情報でも掴むか。
俺の知る幻想郷とささいな違いがある以上、たくさん知っておいた方がいいからな。ついでにアリスやパチュリーとかと仲良くなるためにも。
「なあ、アリスと霊夢。なんか幻想郷の人間関係違わないか?」
む、なんで2人とも“そんなことないわ”みたいな顔をしてるんだ?
おかしなことは聞いてないはずなんたが…。
『いや、さすがにご主人…。さすがに人間関係の違いなんて分からないと思うんだけど…』
ジンきゅんがそう小声で話しかけてきたのと似たようなタイミングでキョトンと不思議そうな顔をして―――若干その顔が面白いって言うのは黙っておくとして―――見合わせた
「私はそもそもそこまで交流を持ってないから知らないわ」
「私も知らないわね。心当たりがあると言っても、もう覚えてないし…。うーん、変わってないと思うわよ?」
(一応分からなくもないけど、ね。もはや思い出せない記憶の中に答えがあるからどうしようもないってだけで。別人同士がその互いの体に憑依してしまうと言う現象―――
『なら、今知ってる情報でいいんじゃないかな。まがりなりにもご主人と僕は外来人だし、助かるんだよね。―――あ、僕が人じゃないだろってツッコミはなしね。自覚はしてるから』
「それなら霊夢がいいわね。私は別にそういうタイプじゃないし。任せたわよ」
「…はぁ。分かったわよ。んじゃ、私の知る範囲で教えるわ。アリスと知ってることは似たりよったりのはずだし」
(なんか諦めた感じがする…。ってことは似たようなことは何回かあったってことかな?一応大変なんだね)
「んじゃあ、たくさん聞かせてもらうよ。知りたいことが結構あるからね」
「はいはい、分かったわ。私の知る限りで教えるわよ」
(んじゃ、ちょうどいいから僕も便乗してこの幻想郷について知るとしようかな。せめて土地勘は養いたいし。……なにせ今の状態じゃ前みたいに動き回りにくい。そうなると移動も不便極まりないんだよね)
なら、俺も最初は素直に聞くとしよう。
個人的な質問とかじゃないが、別にいいだろう。…俺だって仲良くなりたいんだ。あの2人と。
「んじゃ、パチュリーやアリスとも仲が良いお前はなんなんだっ。うらや…げふんげふん、妬ましいぞ!」
『凄いふざけた口調だね…』
「そう言われても…ねぇ。アリスは以前からの知り合いだし、パチュリーなんかも似たりよったりだもの。あんたより先に仲良くなっててもおかしなことはないわ」
「かと言って貴方がパチュリーとそんな仲ってのはビックリするわよ?…ま、グリモワール関係を借りない辺り、霊夢は霊夢だったってわけね」
「それってどういうことかしら…」
仲が良いのか悪いのか。半目になった霊夢がアリスに近づいていってるし。
なにしてるんだろうな、あの2人。じゃれてるのか?それとも仲が良いよって俺に見せたいのか?
おい、俺も混ぜろよ。
―――おっと、本音が口から出そうになった。
『ご主人、出てたよ。あとそれも出てる』
「それはさすがに出過ぎじゃないか?」
『顔に、って意味だからセーフなんじゃないかな。たぶん』
そうなのか?と考えながら霊夢達―――さっきまでなんかじゃれ合ってた―――の方を見たら2人共こっちを見てるんだが。
ま、いいか。羨ましいのは本当のことだしな。
あとは他にも聞いてみるか。ジンきゅんのことも兼ねて、な。
“はじめての”という後には“留守番”という字がつきます。