幻想郷を、雷狼竜と共に   作:篠崎零花

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第7話 手合わせ

昨日はアリスのことも聞けて有意義だった。

むしろ現在の幻想郷と…幻想入りしたての俺の近くにいたジンきゅんがやらかした物事を聞けた

のはいいんだが、超帯電状態を手加減って……言えるのか?いや、確かに亜種や極みにもなれるジンきゅんからすればそうだろうが、超帯電状態を含めた素の方も充分強いだろ。

 

なにせ極み個体のジンオウガ10分狩猟をあっさり出来る猟団員ですら苦戦するほどに育てたジンきゅんだからな。本人もその当人だと言ってるし、強さは折り紙付きってわけだ。

その強さはその猟団員曰く“まだ極みジンオウガの方が楽”って言われるレベル。ジンきゅんも好きだから仕方ないな。

 

 

 

『そういやご主人、あの時さ、霊夢になんであんな質問をしたの?なんか答えにつまってたよ。一応そのあとに返答はしてたみたいだけど』

 

「…ん?あんな?うーん、俺は適当に質問を投げかけただけだぞ。そんなジンきゅんが気になるような質問、なかったんじゃないか?」

 

 

…なにかジンきゅんが気になるような質問なんてしたっけか。

俺には心当たりがないな。あの時なんか適当に思い浮かんだ質問を投げかけただったしな。強いていうならジンきゅんを何故それを知ってるのか?っていう軽い疑問ぐらいだしな。

出会ってから教えたのは俺のことぐらいなはずだし。あと覚えてる限りの知識。

 

 

『いや…その、ゲーム?などの話とかそういうの。何故か樹海についても聞いてたよね。……樹海でなにが分かるのか一番謎だったけど』

 

 

(僕からすれば樹海のことを知ってる僕に樹海のことを聞けばいいと思うんだよね。そもそも僕の棲家(すみか)なわけだし。だから、なにも霊夢に聞く必要なんてないだろうに…)

 

 

「ああ、ゲームとかそういう話はジンきゅんにはしてなかったもんな。教えすらしてないし。……ん?」

 

 

いや、そう考えるとよく俺がジンきゅんを捕獲してペットにし、いつの間にか最強にしていた狩り人だと分かったんだろうな。むしろ分かってもらえた方が俺的には嬉しいけどさ。

ジンきゅんへの愛が通じた的な意味で。

 

っと、そうじゃない。とりあえずなんで知ってるのかとかは聞いてみるか。

 

 

「そういえばお前に話したことあったっけか?ゲームとかそういう話。記憶にある限り、霊夢に質問したあの時しかないと思うんだが…」

 

『そーだねぇ…ないよ。でも、ハンターじゃない人間はそれで遊ぶって“神秘”を名乗る神様もどきに言われたよ』

 

「ふぅん…そうだったのか。あながち間違いじゃないな。んで、結果と言えば俺の友人の1人にそっくりだ。……が、それだけだな。パチュリーやアリスと仲良くできるようしてくれるのはめっちゃ助かってるが」

 

 

(偶然(ぐうぜん)な気もするけどね。と、いうかご主人はだいぶパチュリーとアリスの2人とやらに興味が結構(けっこう)あるんだね。いや、僕にも興味があるってことは分かるんだけど。……現に博麗神社の縁側(えんがわ)に座り、僕が狼のようなサイズで、ご主人に()でられ続けてるわけだし。かれこれ10分か15分もやられてるような……。うーん、最初は少しって話だったような気がするんだけどなあ)

 

 

『…ねぇ、その割には霊夢にあれこれ聞くよね。パチュリーのことやアリスのこととか。そのうちになんかするの?』

 

 

なんかってなんだよ…。

いや、むしろジンきゅんが察せないのは仕方ないか?たぶん知らんことだろうしな。

 

 

「あぁ、なんか…っていうか相手のことを知る準備ってとこだな。会話のネタがなきゃそれ以上のことを知れないだろ?んで、話してるうちに互いのことを知って、意外なとこにも目が……ってな」

 

『なるほど。でもさ、さっきから頭を撫でてるけど…よく腕が疲れないね』

 

 

あ、あぁー!だからたまにチラチラ見てきてたのか!

そりゃそうだよな。嫁モンスである、とは伝えてない状態でここまで撫で続けりゃ疑問にも思うか。

 

でもそうだな。正直いって、腕が疲れてきた。

だが、撫で心地の良いお前も悪い。いや、悪かったら悪かったなりに良くしようとするけどな。

ブラッシングができるか、とかこの子を洗えるか、とか確認しながらな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にしても、ジンきゅんの付近にいる雷光虫がやけに飛び回ってるな。

まあ、ジンきゅんがいるから平気だと思って飛んでるんだろう。

 

なんか廊下にも行ってる気がしなくもないが、今の俺はジンきゅんを撫でて癒してほしいんだよな。可愛いのが悪いし。うりうり〜。

 

 

(うん、凄い撫でてくるね。わしゃわしゃって感じだけど、優しく撫でようとしてるのが分からなくもないし…。うーん、雷光虫に頼んでここにいる霊夢か霊華のうち、どっちかを呼んでくるようにやったからそろそろ来てもいいと思うんだけどな……。もっとも、助け舟になってくれるといいなあ、なんて)

 

 

「んで、雷光虫に導かれるように来たのはいいものの……あんたら、なにしてるのよ」

 

 

『ご主人に体感で10分か15分は撫でられ続けてるとこだよ』

 

「ん?普通なら出来なかった愛でる行為をジンきゅんにしてるだけだぞ。どこもおかしくはないんじゃないか?」

 

 

って少し後ろを見たら、なんか霊夢がこっちを呆れたように見てきてるような気がするんだが。

ふむ、おかしなことは言ってないはずなんだが…。

 

 

『でも、ずっとこうじゃ…なんかね』

 

「そ、そう。なら、散歩でもしてみる?そうすればあんたはジンオウガと歩けて、なおかつデートっぽくなるわね」

 

『あっ、ならその前に体動かしたいんだけど、いいかな』

 

 

(幻想郷に来てからというもの、樹海にいた時みたいに動けてないからね。いい加減なまりそうだよ)

 

 

体を動かす?

…それはそれでよさそうだな。俺も適当に運動とかしてみるか。

さすがにジンきゅんと同じように―――は今んとこ厳しいだろうしな。そもそも体格違うし。

やり方さえ分かればたぶん一緒に遊ぶとか出来そうなんだけどな。嫁モンスターとやれる日が楽しみ……って今は違うな。

 

 

「ええ、構わないわよ。ただし、スペルカードルールっていうのがあるんだけども、それを適応させてもらうわね。…さすがにジンオウガと普通に戦ったらまたアフロになるか、死にかけるかの2択しか浮かばないから」

 

「アフロ……面白いからありだと思うんだけどな」

 

 

(そう笑いながら言われても。くぅ……なんで電撃を食らうとアフロになるのか不思議でならないんだけど、どうなってるの?あれ。…というかさっきから結輝だけ笑いすぎ。なんかお腹を抱えそうになってるし…。そろそろ怒るよ?)

 

 

『んんっ!…それはともかくさ、スペルカードルールってこの前の説明で軽く触れられてた奴だっけ?』

 

「ん?あー…ええ、そうね。それのことよ。そのルールを適応したその上で戦うなら問題ないわ。それで、ボムはどちらにせよ、使っても特に意味は無いでしょうからなしで。ほら、あんたは弾幕らしい弾幕じゃないし。あの雷光虫は……ノーコメントで。私はそれ以外のラストスペル、ラストワードを除いた簡単なスペルを少しってとこかしら」

 

 

なんか軽く流されたが、そうだな。

ラストスペルやラストワードはやりすぎになるだろうし。軽く体を動かすだけってだけで本気を出してもあれな話だもんな。

…いや、分かってるからこそ使わないんだもんな。

 

 

『なるほど。確かに僕は弾幕なんてはれないけど…。いいのかい?このままじゃ本格的にハンターっぽい動きを要求されるかもしれないんだよ?』

 

「そういうのでもいいのよ。なにせ弾幕をはりながら殴る蹴るってこともスペルカードルール内でやれるもんだから」

 

 

「そういうもんなのかね…」

 

『そうなんじゃないのかな。でも、そう考えると不思議だね…スペルカードルールって』

 

 

なるほど。しかも、「そうね、やる時はやるからそういうものだし、不思議なことではないわ」って言いながら何度も縦に首を振るのを見る限り、冗談じゃなさそうだな。

……それって弾幕ごっこじゃなくて弾幕格闘じゃね?

 

―――とは思ったが、言わんでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから軽いルール説明のようなものを受け、博麗神社の境内を使って模擬戦のようなことをすることになった。

俺は賽銭箱(さいせんばこ)の横にある小さな階段みたいなもんに腰かけて観戦することにしたが…ジンきゅんは雷光大爆発を3回してしまうかジンオウガ亜種になってしまったら、霊夢は3回やられたら負け…らしい。

 

まあ、その方がやりやすいんだろうな。とはいえ、どうやってジンきゅんの部位を破壊するつもりなんだ?

いや、可能だろうが、あっちの世界でいう打撃攻撃が多そうだな。

切断は―――少ないだろうが、たぶんいけるだろ。フロンティアでそこそこあるっていう武器種でも難しい?部類らしいが、やれないわけじゃないからな。

俺的にはそうでもなかったけどな。

 

 

 

 

 

「じゃ……いいわね?」

 

『いつでもいけるよ』

 

 

そういった軽いやり取りのあと、すぐに戦い始める霊夢とジンきゅん。

頭の中で“閃烈なる蒼光”が―――だが、このジンきゅんの雷光は碧色―――流れたのは俺だけだろう。たぶん。

しかし、そのBGMの名の通りの蒼色でないのが残念だ。

 

だからといって、俺的にはこのジンきゅんも好きだから文句などあるわけないが。…ってすごい動くんだな、お前ら。

 

 

 

(お手みたいなのを2回、3回やってきたと思ったらそこから色々な攻撃に派生する…。他の人間や妖怪などとやっぱり違うとはいえ…なんか攻撃が似たりよったりだなぁ。―――いや、そう感じるだけなのかもしれないけどね)

 

 

(ハンターと違う動きをしてくるのはもう分かっていたけど…。なるほど、くすぐったいとしか感じないね、弾幕とやらは。かといって、下手に遊んでると本当に全部位やられかねないからなぁ。動きからしてハンター並みとはいかなくとも、多少はやれるようだし。じゃなきゃ軽く放ったパンチやそこから繋げて行った攻撃をよけれるわけないだろうし。…少なからずとも偶然で避けている人じゃないってことはよく分かった)

 

 

 

しかし、だな。俺は見ているだけなんだが、審判とかそういうのはどうするつもりなんだろうな。

いや、一応それっぽいことはするが、こういうのは知らないぞ?

 

まあ、でも自衛には役に立つかもしれんし、審判でなかろうがちゃんと見ておくか。

弾幕ごっことやらは遊びでしかないんだろうが、真似した動きで身を守れたら万々歳だもんな。

さすがにまだジンきゅんと別れたくないし。あんまりイチャイチャしてないんだぞ。

 

 

 

 

 

それにしても帯電チャージはナンバリングタイトルのと違ってスキがあんまり見えないな。…っと、G級と呼ばれていたと自ら言うだけあってもう終わったのか。

でもやっぱり、色は蒼色じゃないんだな…。いや、この色も嫌いではないし、むしろ好きではあるが…仕方ないか。

 

 

 

 

そういや、霊夢は狩り人とは違う動きなのに、ついていけるんだな。あのジンきゅんに。

って、お?あの動きと雷光虫……まさか雷光大爆発か?

 

 

 

(まだどこの部位破壊もできてないジンオウガの周囲にいきなり雷光虫が……?なんか幻想的できれ―――)

 

 

「わっ!?………ぎゃあぁあーー?!」

 

 

(あっ、かかった。…うん、見とれてるからやられるんだよ。じゃなきゃ、今まさに他の僕と初めて会うハンターみたいなことになんてならなかっただろうに)

 

 

―――とりあえず、1回目、だな。

でも、画面越しに見る雷光大爆発より実際に見る奴の方が幻想的で綺麗なもんなんだな。

幻想郷に似合うニフラムだ。…なんだが、やっぱり威力はバカにならないんだな。

 

ま、たぶんジンきゅんが勝つだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて思ってしばらく見ていたら本当に勝った。ジンきゅんはまだ角1段階、前脚1段階の辺り、弱いわけじゃなさそうだ。

疑ってたわけじゃないんだが、そこはさすがフロンティア仕様ってことだな。

 

ちなみに1回目以降は2回目は昇牙竜撃によるトドメ、3回目は電光石火による追い討ち……だった。

ジンオウガを知っているわりには結構はやくやられてるんだな。

……いや、違うジンオウガ、か?

 

 

 

『いやぁ、そこそこ動けたよ。協力ありがとね、霊夢』

 

 

そういってるが、相手は疲れましたって感じで座ってるぞ?

と、いうか服が若干ボロついてるだけっていうのもさすが弾幕ごっことやらだな。

 

 

「…そ、そう。そりゃあ……よかったわね」

 

 

(あれでそこそこ…。私的にはかなり動いたように思うんだけど…。やっぱりわけが違う…)

 

 

『なんか結構疲れてそうだね。そんなに疲れる?…ちょっと遊んだだけのつもりなんだけど』

 

「あれでちょっとって…。…だてじゃ、ないのね」

 

といって仰向けに倒れた。

 

「起きるんだ、霊夢ー!傷は浅いぞー!」

 

「そもそも弾幕ごっこで怪我なんて当たる場所が悪くない限りしないわよ。っていうか、なんでそうなってるのよ!?」

 

「ノリって奴だな」

 

『んで、霊夢が今してるのはノリツッコミかな?』

 

「どんなノリよ!あとツッコミなんかじゃないわよ!?」

 

 

(たまにノリツッコミに見えるんだけどなぁ。僕の気のせいでもなんでもないような感じがしなくもないし…。人間は複雑だね。だって、そうはいってる霊夢の顔がまんざらでもなさそうだから。……楽しいのは分かるけど、ねえ)

 

 

「いや、そう聞こえるんだよな。あぁ、そうだ。聞くのを忘れてたんだが、紅魔館とアリスの好きなものとか知らないか?」

 

「そうじゃないんだけどもねぇ…。…うーん、その連中とアリスの好み?なにをよく食べてたかしら…。アリスならまだ分からなくもないけども、紅魔館の連中はあんまり見ないから知らないのよね」

 

「んじゃ、休憩が終わったら俺も体を動かしたいし、そのついでに聞いていいか?」

 

 

(あー、確か独学だけど、そこそこの体術かなんかを覚えてるんだっけ?人間相手とはいえ、弱い相手にしていたわけだから霊夢や霊華なら良い相手になりそうだね)

 

 

「別にその連中のものの好みなら今でも教えるわよ。んで、教えたら運動につきあうってことで。…ああ、たださっきジンオウガとしたようなのは出来ないわよ」

 

「なるほど。多少の怪我は避けれないってことだな。ま、考えれば仕方ないがな。むしろ幻想郷に来れた時点でも……お、おおっ!?」

 

 

ジ、ジンきゅんが物理的にさえぎってきた…だと!?

おかしなことを口走るわけでもないのにどういうことだ?

ハッ!まさか、ジンきゅんもツッコミ役か?いや、それにしてはツッコミが早すぎるが。

 

 

『なんか予想できたけどさ、ご主人…そういうのは外の世界とやらで言おうよ。それに見る人もいることだしさ。見られながらやるってのもいいんじゃないの?』

 

「うん?見られながら?」

 

 

なにを言ってるんだ?と思ったら霊夢も「見る人なんていたかしら」なんて困惑した様子で呟くのが聞こえた。

 

 

『ほら、いるじゃん。ご主人がいた場所の近くに』

 

 

「…いるわね」

「…いたな」

 

 

確かにさっきまでいなかった女がいるな。若干オタク疑惑のある霊夢すら気づかないレベルって早々見かけないもんだと思ってたんだけどな…。

桃色の髪で、頭に2つシニヨンキャップをしてるところを見ると……見ると……誰だっけか、こいつ。

パチュリーやアリス以外は好きっちゃ好きなんだけどってレベルのせいであんまし覚えてないんだよな。

 

 

んで、その女は「そこにいる子はなかなか気づくのが早いのね」というとなんかこっちに来た。

誰だっけ、こいつなどと考えながらジンきゅんと霊夢の方に近づいていく俺だったとさ。

 

まあ、その時の霊夢の顔は少し面白かったが、あとでジンきゅんにだけ話しておこう。

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