幻想郷を、雷狼竜と共に   作:篠崎零花

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第9話 ジンオウガは○○だった?

なんか霊夢や霊華など幻想郷メンバーとあれやこれや話していたら、紅魔館からお茶会の誘いが来た。

何故か霊夢と魔理沙とやらも一緒だが、フランの存在を考えれば無理もない…のか?俺にはよく分からないが。

 

 

 

因みに現在の俺の事を振り返るために考えるが、今の俺なら下級妖怪などは案外追い払う程度の強さにはなったんじゃないのか?ジンきゅん達がそう言うんだからそうなんだろう。

ついでにジンきゅんともさらに仲良くなれた。元から良いようなもんだったけど、“更に”だから俺的にはよし。

 

 

我ながら頑張った出来事だと思う。

 

 

いやぁ、それにしても幻想郷の住民って案外性格が変わった霊夢のおかげか外来人への理解があって助かったわ。

原作通りじゃないし、俺の知る情報がとは少し違うこともあったが、たぶん幻想郷だから仕方ないってことで片付けることにした。

まぁ、霊夢曰く「最近たまに聞く食べられた外来人は相手が下級妖怪でない限り痛みも恐怖も味わわずに死んでるはずよ」とかどうとか言ってたが、なにを教えたんだ、なにを。

 

 

 

「……あとは霊夢は外の世界を余分に知ってるだけだった……でいいかね?」

 

『ねぇ、ご主人ってあんまりそういうことしないから聞くんだけどさ、そういうことをして面倒くさくないの?』

 

「そうやって人がせっかく真面目に振り返ってるっていうのにそういうツッコミはやめないか?ジンきゅんよ」

 

『いや、そりゃ言うよ。今までご主人はそこまで真面目な顔をしてなかったような気がするし。単に僕がご主人のことを知らないってだけかもしれないけど』

 

「知らないなら教えまくるぜ。……とそうじゃなくてさ。俺だって真面目なときぐらいあるよ?」

 

 

(一瞬ふざけたと思ったらどこか落ち込んだ顔になった。やっぱりご主人達人間は不思議だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

『んん、そういえば話を変えるけど、パチュリーとやらとは仲良くなったの?僕が知る限りでは顔見知りか友達未満?っぽいけど』

 

 

そりゃ仕方ない、と俺はジンきゅんに呆れながら言いつつ口元を笑みの形にした。

二次元の美少女とすぐに仲良くなれるとかそれなんてチート?って逆に聞いてやりたいし。

 

 

「が、むしろ初対面から時間をかけて友達になれたんだ。強いて言えば幻想郷に来たのも嬉しいが、ジンきゅんと会えたこともめっちゃ嬉しいんだよな」

 

更に本音を言えば、パチュリーと親友になりたかった、だな。

そんであわよくば恋人……はまだ無理なようだ。ま、仕方ないか。

 

『それは本音だと言うんだからご主人というのはなかなかブレないね。そろそろ関心させられてしまうよ…………そ、そこまで褒めてないよ?』

 

 

大げさに嬉しそうにしてみせたら若干引かれた。

嫌そうにされたり、微妙な反応よりはいいじゃないか。

なにせジンきゅんはパチュリーと同様に好きなモンスターだからな。俺からすればそのキャラクターを好きになるのと一緒だ。…たぶんな。

 

 

「別にいいだろうに。……しかし、ジンきゅんよ。俺の気のせいでなければ最近他の妖怪に恐れられるようになってないか?二つ名的にもしょうがないと思うけど」

 

 

なにか考えてるのか不思議そうに見てくる。別に黙られてもなんも思わないから平気というかだいぶジンきゅんが人間味おびてて可愛い。しかも、今のでこっちを見て首をかしげるジンきゅんも可愛いな。

狼サイズってのもあってもうこの子が飼い犬でいいと思うんだ。

いや、飼い狼……?

 

 

(やれやれ、ご主人もなにを考えてるんだか。別になんでもいいんだけどさ)

 

 

『“無双の狩人”のこと?…あれは向こうの人々がいつの間にか付けた代物(しろもの)だからね。僕にはそれと関係あるとかないとか言えないんだけど。まー…たぶん…関係ないんじゃない?』

 

「ジンきゅんは強いから仕方ないな。…いや、俺の言い方も悪かったか。最近下級妖怪以外にも出てきてないか?ジンきゅんのことを恐れるやつ」

 

 

霊夢、霊華、魔理沙、咲夜とかそういう人間の里にいない人間とかは別に含めないとしても―――もちろん里以外でなおかつ唯一の男である森近霖之助とやらは除く―――なんか一部妖怪が距離を持つんだよな。ジンきゅんとの。

 

 

(んー、僕からすれば向こうが悪いんだけどな。ご主人と共に外の世界から来たとは言え、実力差を鑑みずに襲いかかってくるのがいけないんだから。ま、ご主人にもある程度実力をつけてもらったんだけどね。じゃなきゃご主人の性格上、後々面倒だろうし)

 

 

 

 

『そればっかりは襲ってくる方が悪いと思うんだ。僕は手を出してくるまでなんもしてないし』

 

「ふむ、それもそうか」

と言いつつ、俺は左側にいる狼サイズのジンきゅんの頭においてなでていた手を止め、賽銭箱(さいせんばこ)にもたれかかるのをやめた。

 

 

 

 

 

んで、春の陽気にのんびりせずどっかの紅白巫女は倉庫に入ったり出たりしてるんだが、なにをしてるんだ?

 

 

「おーい、そこの巫女ー。なにしてるんだー?」

 

『修行もどきを朝早くからやってたし、なんかしてるんじゃないの?』

 

 

(そういうご主人はさっきまで賽銭箱にもたれかかってたけどね。放っておいたら寝るんじゃないかな、って思うぐらいにはボーッとしてたし)

 

 

「ん?あぁ、そのなんかってこのスピリタスの試作品のことかしら?」

 

「いや、なにを作ってるんだお前は」

 

「なにって……度数96のお酒を作ろうとしているだけじゃない。まさに真・鬼ごろしってね」

 

「あ、あぁ…それは…」

 

 

(ご、ご主人がなんか笑いだした……。僕にはどういう意味なのかいまいち分からないんだけどなぁ)

 

 

「ほぼ純粋なアルコールならきっと、鬼だって一発で酔うはず……ってね」

 

『鬼って…確か前に教えてくれてたけどさ、飲ませられるの1人だけじゃないかな』

 

「あ、暑さじゃ燃えないとは思うんだけどもね……」

 

「案外燃えたりしてな」

 

 

笑いを多少こらえつつ、冗談でいったら「それは勘弁してほしいわ」とか霊夢が言ってきた。

真に受けてるわけじゃなさそうだが、からかいがいのある奴だ。

 

 

「……でも、ありえない話ではなさそうね。やっぱり地下へ持っていくのはやめるわ」

 

「持ってく気だったのか、お前?!」

 

 

それに対し、「オフコースよ」と言いつつ頷く霊夢。…お、お前なあ。

 

 

『つまり…結末はこんがり紅白巫女?』

 

「だからって人に“上手に焼けましたー”とか言わないでちょうだいよ?そもそもそれだと死んでるじゃない…」

 

 

そりゃそうだ。今のあれはこんがり肉に例えられてるけど、本人は人間だからな。

下手に焼けたら死ぬだろ。……不死身とか不老不死以外は。

 

 

「それもそうだが、何故スピリタスなんて作ってるんだお前。相手が相手なだけに大変になるんじゃないのか?」

 

「あー…厳密に言えばスピリタスもどきを、なんだけどもね。それで理由は簡単よ。ほら、あの鬼達は酒をすすめてくることが多いでしょう?いい加減、進められる側の人間の立場にもなってほしいのよ。大体付き合うと二日酔いになること間違いなしだし」

 

 

そう言われても、ってとこなんだよな。

なにせまだ俺はその伊吹萃香―――確かそんな名前―――とか星熊勇儀―――みたいな名前だったはずだ―――などと1度たりとも会ったことがないし。

 

 

『ハンターのお酒とか持ってこれた方が良かったかな?』

 

「そっ、それは遠慮願うわ」

 

 

(下手したらシリーズによってキツいお酒とかありそうだしね。二日酔いですまなくなりそう…)

 

 

 

なんか霊夢の顔が引きつったが、まあ無理もないか。

最後に遊んだのが前だからあっているか微妙だが、設定的にキツい酒とかあった気がするんだよな。

 

 

『んで、本題に移してもいい?僕からしても今回の紅魔館からの誘いはおかしいし。例え僕のことを君が幻想郷全体に教えていたとしても、“モンスター”や僕みたいな“G級モンスター”などの意味を理解できないはずだよ。そうなれば君達幻想郷の住民からすればどう映るか。…外の世界とやらの知識がやけに豊富な君なら言わずとも分かるはずだよね?』

 

「うーん…だからこその私と魔理沙だとは思うんだけどもねぇ。あの連中があんたらに異変を仕掛けるほど馬鹿じゃないはずだし…」

 

 

 

だからってそんなに悩む仕草をしなくてもいいだろ。……まさかするかもしれない、とかって言いたいのか?

確かに紅霧異変―――確か東方紅魔郷とかの異変がそう言うんだっけか―――をやったのはあのメンツらしいが…俺、パチュリーのとこだけ攻撃しないなんて縛りをしたとかそんなぐらいだったしなあ。

そもそもパチュリー以外のことは曖昧にしか覚えてなかったのもあって、俺には想像しにくいな。

 

 

 

『まあ、いいや。僕からすればわりとどうでもいいし。本題は別なんだよね』

 

 

(どう聞いてもあれが本題に聞こえるんだけどな?)

 

 

『……それって僕も招待されてる?されてるとして、僕はハンターなどのように紅茶とかは飲めないよ?』

 

 

「「…………あぁ」」

 

 

そうか、そういうことか。

幻想郷にジンきゅんみたいな格好の奴、今のところ出てなかったもんな。

そもそもジンきゅんはどうやら人の姿になれんようだし。

 

ふむ、問題だな。

 

 

 

「狼っぽいサイズを活かしたらまだ行けなくも……でも、入れ物はそれ相応になってしまうのがネックかしら」

 

『え。…………幻想郷はなんでもありなのかな?』

 

 

 

(うん、ジンオウガがそう思うのも仕方ないね。座敷わらしだとかチュパカブラとかいる幻想郷(ここ)なら狼って扱いに出来ないことはないだろうし)

 

 

「まあ、どうにかなるだろ。スープとかをよそう皿があれば飲めないことはないだろうしな」

 

『やれやれ……別にいいんだけどさ。前みたいなことがないことを願っておくよ』

 

 

前みたいなこと?……あぁ、ジンきゅんの性別が女子だとわかった時の話か。

あの時はレミリアとやらに“しゃべる”、“珍しい生き物”、“僕っ娘だった”とかもあってああなったんだっけか。咲夜と俺が入り、更に騒ぎを聞きつけた魔理沙がまさかの助っ人に入ってくれて止められたんだっけか?

 

 

「たぶん平気よ。今度のお茶会までにはなおってるはずでしょうし」

 

と霊夢が言った後、小声で「痛い目にあってるし…」みたいなことを呟いた。

桜が咲いてる季節な上に風がほぼないから全部聞こえてるんだよな。

全部、といったが時々ウグイスが少し鳴いてるんだけどな、遠いからかそんなに聞こえない。

 

 

だからどうしたって話なんだが。

 

 

『んじゃ、今度のお茶会とやらに準備でもするかな』

 

「なにをするんだ?」

 

 

(準備なんていらないんじゃ…?)

 

 

『ちょっと買い物みたいなことをするだけだよ』

 

 

そういうのはいいんだが、なんか嫌な予感がするぞ。

…ジンきゅんよ、変なものは持ってくるなよ?

 

そう思いながら俺はジンきゅんを再度なで始めた。

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