ドライヴレッド2(仮題)、改めましてブルーブレイヴ、開始でございます。今回も完結できるよう頑張りますので、お付き合いいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いします!!
Prologue 『ゼツボウ ト キボウ』
――その光は、『彼』にとって可能性そのものだった。
なぜ、自分は生まれたのか。
なんのために、自分はここにいるのか。
この
ブレイクデカールを無効化し、漆黒の宇宙に
『彼女』の――個体名〝
だから、信じてみようと、思った。
人間を。この世界を。可能性の光に、賭けてみようと思った――
――それが、間違いだった。
「こちらゴースト、エルダイバーを発見。指示を乞う!」
『HQよりゴースト。エルダイバーは削除。削除だ。
「ゴースト了解。エルダイバーを削除する……俺を恨むなよ、バグの原因さんよぉ!」
――なんで、そんな――やめて――
「なあ、あいつのダイバー情報、表示おかしいよな……?」
「あっ、あれって例のエルダイバーじゃねーか! 通報、通報だ!」
「消えろ、バグ野郎! てめぇらのせいで、俺らのGBNが大変なんだよ!」
――ぼくは、ただ――みんなと、いっしょに――
《GBN運営本部よりお願いです。エルダイバーを見かけた方は、決して接触せず、運営本部までお知らせください――》
「きゃああ! エルダイバーよ! や、やめて! こっちに来ないで!」
「ち、近寄るなあああ! 俺のデータまで汚染されちまう!」
――ひどいよ――ぼくは、よごれてなんか――
「ひゃはは! オラオラぁ! 痛いか? 痛いかよ、データのゴミの寄せ集めごときがよぉ!」
「ハラスメント警告も出ねぇとはなあ。丁度良いサンドバックじゃん。ははは!」
「なあエルダイバー君、女の子のお仲間はいないのかよ。紹介してほしーなー? 一緒に遊んであげたいからさー? げははは!」
――ぼくは、みんなと――俺は、貴様らを――ッ!!
終わってみれば、たったの数日。しかし『彼』にとっては、『彼』とともに共存の可能性に賭けた同志たちにとっては、無限とも思える地獄の日々だった。
しかしその地獄は、唐突に終わりを迎える。
有志連合対ビルドダイバーズの一大決戦、それに続くレイドボス討伐戦。事の発端となった『彼女』の、現実世界へのサルベージ。奇跡のような成功、湧き上がる歓声と祝福。嘘のようにあっさりと、共存への道を歩みだした世界。エルダイバーの存在を認め、含めて、尊重して、回り始めた世界。
希望が輝きとなって弾け、光の花が咲き誇る様ような、『彼女』の満面の笑み。
――許さない――何で、お前だけ――絶対に、許してなるものかッ!!
その笑顔が、その光が、『彼女』の幸せが。
ダイバーとの共存を願い、勇気をもって一歩を踏み出し、そして踏みにじられた『彼』の心中に、どれほどの絶望をもたらしたのか。
絶望は、積もり積もって〝闇〟となり、折り重なって〝深淵〟となり――そして、世界に牙を剥く。
その絶望の深さを、
〔Gundam Build Divers BLUE BRAVE〕
「――起っ、きろぉぉぉぉっ♪」
ズドムッ!!
ジオン系MSVにそんなMSがいたかもしれない。そんな重低音を伴う衝撃が、みぞおち辺りから『彼』の全身を駆け抜けた。苦悶の叫びとともにのたうち回ってもおかしくないダメージのはずだが、『彼』は基本的に無口で仏頂面で愛想の欠片もない朴念仁であることを『彼女』はよく知っているので、特にリアクションは期待していない。
「……おはよう」
「おはようございます、マスター♪ 今日も今日とてひどい寝グセと寝起きですね。にひひっ♪」
予想通りの無表情を通り越した悪人面でのそりと起き上がった『彼』に、『彼女』はひょいと摘み上げられた。やや幼くはあるが整った顔立ちである、美少女といって差し支えない『彼女』の悪戯っぽい微笑みにときめくような様子は微塵も見せず、『彼』は『彼女』をベッド横の作業机の上に放り投げた。
『彼女』はカッターマットの上にぽふんとしりもちをつき、勢い余って顔面ダイブ。
「きゃんっ!? ちょ、ちょっとヒドいですよマスター! エルダイバー虐待はんたーい!」
ぶつけて赤くなった鼻の頭をさすりながら、『彼女』はぷんすこ怒って抗議する。
「……すまん」
「わかればいいのです。許して差し上げましょう!」
のそのそとベッドから出て学生服に着替えながら、意外にも素直に謝った『彼』に対し、『彼女』は満足げに胸を逸らした。
「…………」
「そんな憐れむような目線でどこ見てるんですかむっつりマスター。無い胸には無い胸なりの魅力がですねー!」
「……いや、違うが」
「……本当に、GBNと変わらないな」
「そのための〝
身長、約15センチ。超小型のプラフスキー粒子結晶を動力源として内蔵し、制御用AIの代わりにエルダイバーの全人格データをインストールした、ガンプラバトル用特殊プラスチック製ボディ。
〝
「マスターの転校後初登校の日に間に合って、本当によかったです。マスターのような無口無愛想悪人面野郎なんて、そうそうお友達ができるわけもありませんからねー。一人寂しい学園生活を献身的に慰める大事なお仕事に、この私も大忙しですよ。にひひひひ♪」
「……粒子バッテリーを抜くには、このボタンを……」
「ンのおぉぉぉぉっ! そのボタンは押しちゃらめぇぇぇぇ!!」
奇妙なポーズで身を捻り『彼』の手を抜け出し、『彼女』は定位置である『彼』の通学リュックの一番大きなポケットへと潜り込んだ。『彼』は「やれやれ」と肩を竦めながらもカバンを肩にかけ、部屋を出る。
一人暮らしには豪勢に過ぎる二階建ての一軒家は人気なく閑散として、しかし荷物の山は雑然と散らかったままだ。かなり遅れて引っ越してくる両親が来るまで、この荷物はきっとこのままなのだろう。『彼』はそんなことを思いながら積み上げられた段ボール箱の横をすり抜けて、冷蔵庫に突っ込んでおいたサンドイッチを頬張り、残り半分ほどだった牛乳パックを飲み干して、玄関に向かった。
「お。いよいよ出撃ですね、マスター」
背負ったリュックからきゅぽんと頭だけを出して、『彼女』は『彼』を見上げた。
「だったら、言うべきことがありますよね。なにせ私たちは、ガンプラファイターなのですから!」
「…………」
「そんな顔してもダメですからねっ♪ さあ言いましょうレッツ言いましょうビバ言いましょう! いきますよマスター、せーの!」
おめめキラキラ、声を弾ませる『彼女』の様子に、『彼』はフッと苦笑した。こうなったこいつは、付き合ってやらなきゃ収まらない。本当に、仕方のないやつだ――
「ヒムロ・ライ。行きます……」
「ヒムロ・イマ! いっきまーす♪」
ドアを開ければ、広がる青空。これ以上ないぐらいの快晴。爽やかに吹く初夏の風が、ライの前髪を揺らした。ライは天気で運勢を測る
「おぉー、いい天気ですよマスター! これはきっと良い一日になるに違いありまむぎゅ!?」
人間以上に人間らしくはしゃいでいたイマの頭をリュックに押し込み、ライは愛用のマウンテンバイクに跨った。
(峰刃学園高校ガンプラバトル部……GBNでも名の知れた、強豪フォース……)
今日から始まる、新たな学園生活。眉一つ動かない仏頂面からは読み取りづらいが、ライの胸は期待と希望に満ちていた。
(……楽しみだ!)
満ち溢れる希望を、力に変えて。ライは力強く、愛車のペダルを踏みこんだ。
――と、いうわけで。プロローグでした。
前作の後半はひたすら執筆が遅れて遅れて遅れていたので、今作ではなんとかブレーキをかけずに、ちょっとずつでも書いていこうと思っています。
ガンプラ制作も変わらず続けていくつもりですので、そちらもどうぞご期待ください。また、第一話を早くお届けできるように頑張ろうと思います。感想・批評等いただけると、とても励みになります。というよりそれが最大のエネルギー源です。お気軽にどうぞ!
それでは。今後とも、よろしくお願いいたします!