ガンダムビルドダイバーズ ブルーブレイヴ   作:亀川ダイブ

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 どうもこんばんは、亀川ダイブです。
 今回の作者的な見どころは、「忠犬イマ公」と「師弟対決」です。
 どうぞご覧ください。


Episode.05-B『チカラ ノ イミ ヲ ②』

 GBNにおいて、ダイバールックに装備するアクセサリーの類は、全てデータ化してストレージに格納し、持ち運ぶことができる。それはGBN内の仮想店舗(VRショップ)で購入した商品についても同様だ。だからコウタが山のような紙袋を両腕に抱えてシオミとアンナの後ろをよろよろとついていく必要も、本来なら全く必要のない行為のはずだった。

 

「あのぅ、シキナミ先輩……サツキ先輩の荷物が……」

「あはは、いいんだよガトウさん。シキナミさん、さっきまで機嫌悪かったけど、少し良くなってるみたいだし」

「べ、別に良くなっていません。無駄に口を開かないでください。さっさと行きますよ、先輩」

 

 ぷいっと怒ったような顔をしながら、明らかにシオミの足取りは軽い。たくさんの荷物を抱えて自分の後ろをついて来ようと頑張るコウタの姿に、頬が少し緩んでいる。絶対に認めようとはしないだろうが、コウタが自分のために頑張ってくれている姿にご満悦なのだ――シキナミ・シオミ、実にメンドクサイ女である。

 

(……なんて、部長さんとかなら、面白がって言えちゃうんだろうなぁ)

 

 察しながらもそんなことは口が裂けても言えないアンナは、微妙な作り笑いを浮かべたままついていくばかりである。

 そんな状態でライとイマとの待ち合わせ場所まで戻ってくると、そこにはイマしかいなかった。しかも、道の端っこの花壇の縁に、体育座りで。ずぅーんと、目に見えるほどの暗いオーラを纏って。

 

「どうしたんですか、イマさん。ヒムロさんがいませんね」

「……ま、マスターは……」

 

 シオミが声をかけると、イマはゆっくりと顔を上げた。いつもは玩具をもらった仔犬のようにキラキラしているエメラルドグリーンの瞳が、(ハイライト)を失いベタ塗りに澱み、悲壮感さえ漂わせている。イマは重力が数倍にもなったかのような暗黒のオーラを、ずもももも……と生産し続けながら、シオミたちがやってきたアーケード街とは真逆の、薄暗い路地を指差した。

 その指の先にあるのは、GBNの中でも珍しい、年齢制限エリア。主に仮想アルコール飲料を提供する店が軒を連ねる、大人向けの交流エリアだ。個人とダイバーが厳密に紐づけされた現在、仮想現実とはいえ未成年にアルコール飲料を経験させるべきではないというのも正論だ。過去、GBO時代にはそのあたりの規制は緩かったが、GBNでは未成年のダイバーが仮想アルコールを扱う店に入ることは禁じられている。

 もっとも、成人のダイバーが同伴していれば、その限りではない。仮想アルコールを飲むことはできないが、店に入ることはできる。

 

「仮想酒場エリア……ヒムロさんは、誰か大人の方の知り合いと?」

「お、男……なのです……」

 

 首をかしげるシオミに、イマはコロニーが落ちてきたぐらいの絶望感MAXで叫んだ。

 

「マスターは! イマに待てと! 男と! 二人で! イマにここで待てと! 男と二人で! 夜の街に消えたのですよーっ!!」

 

 だばーっ、と、まるでギャグマンガのように大泣きするイマ。慌てて撫でたり慰めたりするシオミとコウタ。しかし、そんな状態になっても「待て」と言われたその地点から一歩も動こうとはしないイマの姿に、アンナの脳裏にはある言葉が浮かんでしまった。

 

(ちゅ、忠犬イマ公……ぷ、ぷくくく……)

 

 わんわん大泣きするイマ。小っちゃい子の相手とかいかにも苦手そうなシオミ。逆に慣れた様子であやそうとするコウタ。手で口を押え、漏れ出す笑いを誤魔化そうとするアンナ。道行くダイバーたちは、あの集団は一体何なのかと訝しみながら、通り過ぎていくのだった。

 

 

 

 

〔Gundam Build Divers BLUE BRAVE〕

 

 

 

 

 十席ほどのカウンターと、二人掛けのテーブルが三つ。それですべてという薄暗いバーに、客の姿は自分たちだけ。たった一人の店員であるすらりとした美人な女性ダイバーのバーテンダーは、NPCらしい。こちらから声をかけない限りは、妖しく魅力的な微笑みを浮かべてグラスを磨いているばかりだ。

 

「……そうか。あの戦い、最後はそんな事になっていたのか」

 

 GBN運営直属の治安維持部隊GHOSTの最精鋭であり、あの作戦にも参加していたバンが、フォース〝大黒龍(ターヘイロン)〟との決着について知らないはずがない。しかしバンは、ライが言葉少なに語る戦いの顛末を、大きなボール型の氷が浮いたグラスを傾けながら、静かに聞いていた。

 

「……〝常勝無敗の冷血姫(ゼロ・トレランス)〟ヒビキ・ショウカ。決着は彼女の手によるものだ。彼女がいなければ、俺たちは全滅していた」

 

 ハイパー化したバウンド・ドラッヘの前に、右翼部隊はほぼ壊滅。一発逆転を狙ったブライクニルフィンガーも敵を倒すには程遠く、クァッドウィングは大破。もしショウカが参戦していなければ、事態は峰刃学園の手には負えず、GHOSTに頼ることとなっていただろう。

 ライは仮想ジンジャーエールの入ったグラスに手を付けようともせず、飴色に磨き込まれた分厚い木製バーカウンターの天板を睨みつけていた。

 

「……俺は、何も。できませんでした」

「……そうか。何も、な」

 

 バンは短く答え、グラスに残った酒をグイッと呷った。注文を聞きに来たバーテンダーをやんわりと手で制し、バンは身体ごとライへと向き直った。

 

「おまえがそう思うなら、そうなんだろう。少なくとも、おまえにとってはな」

「…………」

 

 ライが無言で顔を上げると、バンもまた唇を真一文字に引き締めて、ライを見返していた。自分と同じくあまり表情で語るのが得意ではないバンのその顔に、かつて〝家族ごっこ(メンタルケアプログラム)〟を受けていたころの記憶がよみがえってくる。

 ライの――そして、バンや多くの人間の運命を捻じ曲げた〝黒色粒子事変(ブラックアウト・インシデント)〟。その闇の中枢に関わっていた人間は、黒色粒子の影響を検査し心的外傷のケアをするために、そして下衆な勘繰りや誹謗中傷から保護するために、ヤジマ商事が用意したセーフハウスで共同生活を送ることとなっていた。

 まるで家族のように生活する中で心や身体の傷を癒す、特別ケアプログラム。一つの〝家族〟として設定されたのが、バン、レイ、ラミア、そして当時十一才のライだった。

 生体制御ユニットとして黒色粒子に深く繋がっていたレイの症状は特に深刻で、妹の少しでも早い快復のため、兄であるバンは心を砕いていた。そんな日々の中でも、バンはライにも家族として、兄として接してくれていた。

 〝黒色粒子事変(ブラックアウト・インシデント)〟において、ライは加害者として糾弾されてもおかしくない立場だった。騙されていたとはいえ、最後の最後でレイを守ろうとしたとはいえ、加害の事実は変わらない。それでも自分を〝家族〟と認めてくれたバンを、ライは心から信頼していた。

 しかし、いやだからこそ。自責の念にライの心は軋み、悲鳴を上げることがあった。

 

『ごめんなさい……ごめんなさい……おれが、もっと強ければ……おれに、もっと力があれば……レイちゃんは、こんなことには……!』

『おまえがそう思うなら、そうなんだろう。少なくとも、おまえにとってはな。だが……』

 

 何の拍子にか〝あの時〟の記憶がよみがえり、泣きじゃくるライ。バンはライの目を真っ直ぐに見つめて力強く肩を掴んだ。バンの大きな掌が、まだ細く頼りなかった自分の肩を、温かく包み込んだのをライは今でも覚えている。そして、その後のバンの言葉も――

 

「だが、俺はそうは思わん」

 

 バンの声と共に、バーカウンターの上をホログラフィックパネルが滑ってくる。

 

「久しぶりにやってみるか。ガンプラバトル」

「…………!」

 

 パネルに表示されているのは、一対一、ガンプラ決闘(デュエル)の申し込み。真一文字だったバンの口元がわずかに緩み、好戦的な笑みを浮かべている。

 

「うじうじ悩む暇なんてあるなら修行だ、修行。相手してやるぜ、ライ」

「……ああ。頼むよ、義兄さん」

 

 互いに頷き合い、バンはゲーム内通貨をバーカウンターに叩きつけるように置いた。同時、ライも決闘受諾のボタンを、力強く叩くのだった。

 

 

 

 

〔Gundam Build Divers BLUE BRAVE〕

 

 

 

 

《ROUND1 BATTLE START!!》

 

 蹴り飛ばされるような加速度でカタパルトゲートから放り出されると、目の前に広がっていたのは、大小さまざまな岩塊が疎に密に入り乱れる暗礁宙域だった。身体の大きな艦船の類では通り抜けるのも非常に困難な上、艦砲の射線は通らない。さらには金属を多分に含んだ星屑の影響で、ミノフスキー粒子などを散布しなくてもレーダーが碌に機能しない、という戦艦殺しの宙域。

 だがそれは、縦横無尽の機動性を誇る有視界白兵戦用人型兵器であるモビルスーツが、最もその本領を発揮できる宙域ということでもある。

 ライは手近な岩塊にクァッドウィングを着地させ、バスターマグナムを抜いた。そのギリギリ射程外の巨大な岩塊の上に、バンのガンプラが悠然と腕を組んで立っていた。

 GHOST専用機〝絶影〟。現GHOST総司令にして、旧GBO時代の〝最高位の十一人(ベストイレヴン)〟、そして黒色粒子事変の〝最後の十一人(ラストイレヴン)〟でもあるヤマダ・アンジェリカが全面監修したという、量産型ガンプラの常識を超えた万能型高性能機である。

 鉄血系の機体をベースにしているためにナノラミネート装甲こそ装備しているが、それ以外にとび抜けた特長や特殊機構は持たない。任務の特殊性に応じて光学迷彩マントなどを装備することはあるが、機体そのものは実直にして質実剛健である。その事実が示すのは、絶影が凡庸な機体だということではない。基本性能が高いが故に、特殊機能が必要ないということだ。

 

『十本勝負だ。一本ごとに仕切り直し、勝ち越しても負け越しても十本やるぞ。ハンデはなし、ガチだ。いいな?』

「……了解だ、義兄さん」

『じゃあ……いくぜ!』

 

 一瞬、閃いたバーニア光が長く尾を曳いて、ライの視界から消える。次の瞬間、鈍い銀色の切っ先が、クァッドウィングの目を抉った!

 

「……っ!」

『がはは、いい反応じゃあねぇか!』

 

 直撃の寸前に展開したビームセイバーが、突き出された大型ナイフをわずかに逸らしていた。左のバルカンが使用不能になるが、気にしてなどいられない。ライはもう一丁のバスターマグナムを絶影の胴体に押し付けるが、バンはクァッドウィングごと吹き飛ばす勢いで全身のバーニア・スラスターを逆噴射、一気に距離をとった。無数の岩塊の隙間を流星のように飛び抜けながら、大型マシンガンを連射してくる。

 

『ついて来れるかあっ、ライぃぃぃぃっ!!』

「……破ァァァァッ!!」

 

 相手がGHOST謹製の高性能機・絶影だとしても、加速性能で後れを取るクァッドウィングではない。ライは四枚羽根のバーニア・スラスターを全力全開、稲妻の軌跡を描いて暗礁空域を翔け抜ける。当然、マシンガンの弾は一発たりとも掠らせない。避け、躱し、岩塊を盾にして回り込み、ものの数秒でライはバンへと追いついた。

 

「……いただく!」

 

 ビームセイバーを二刀流に展開、稲妻機動の勢いも載せて、ライは絶影へと斬りかかる。エメラルドグリーンのビーム刃が、鈍い銀色のナイフとぶつかり合う。受け、斬り返し、それをさらに斬り返し、鍔迫り合いを弾き上げ、両者は互角の剣戟を繰り広げる。

 

『がはは! 殴る蹴るだけだったライがよぉ、成長したもんだぜ!』

「……剣捌きは、義兄さんに教わった!」

『ああ、そうだ! そうだなあ、だがよ!』

 

 絶影の大ぶりな斬り上げを、ライはビームセイバーで受けようと構える。しかし、ビーム刃に予期していたような衝撃がこない。

 

「……っ!?」

『悪くはねぇがな、まだまだよぉっ!』

 

 バンはビームセイバーとナイフが接触する瞬間に指先でクルリとナイフを回し、まるでビーム刃をすり抜けるようにナイフを逆手に持ち替えていた。手品のようにライのガードをすり抜けたナイフが、クァッドウィングの肩口へと突き立てられる。

 

「ちぃっ!」

 

 絶影の腹を蹴り飛ばして、力づくで引きはがす。当たらないのを承知でバスターマグナムを発射、拡散するビームを目晦ましにして距離をとった。

ライは大きめの岩塊の陰に身を寄せ、機体の状態をチェック。ナイフに抉られた左のマシンキャノンが大破、使用不能になっている。肩関節まで損傷が及んでいないのは幸運だった。絶影を蹴り飛ばすのがあと一秒遅ければ、左肩のフレームにまで切っ先を捻じ込まれていたはずだ。

 

「……流石だな、義兄さん。GHOST最精鋭は伊達じゃないか……!」

 

 ここまでの攻防は全て、ライの得意とする高機動戦と近接格闘戦だ。それに特化したクァッドウィングに、万能型ゆえに尖った部分もないはずの絶影で互角以上に戦っている。それは六年もの長きにわたって治安維持の最前線で戦ってきた、バンの技量のなせる業だ。

 

『どうした、ライ! 攻め手が鈍いぜ!』

 

 爆音、衝撃。グレネード弾が炸裂し、ライが身を隠していた岩塊が吹き飛んだ。爆炎を突き破るようにして、絶影はクァッドウィングの懐へと飛び込んでくる。ライはカウンター気味にバスターマグナムを突き出すが、絶影は僅かに身を捻るだけで銃口を躱し、一撃必殺の零距離射撃は空振り。間を置かず、バンはバスターマグナムの側面にナイフを叩きこんで力任せにクァッドウィングの手から奪い取り、バスターマグナムを突き刺したまま、ナイフを振り下ろした。ほぼ機体同士が密着したような間合いでの攻撃に、ビームセイバーの展開も間に合わない。ライはもう一丁のバスターマグナムでそれを受けざるを得ず、二丁のバスターマグナムは、一本のナイフにまとめて貫かれる形となってしまった。

 

「……ッ!」

 

 咄嗟にバスターマグナムから手を放し、四枚羽根スラスターを吹かして緊急離脱。後方にあった岩塊に着地するが、ナイフに貫かれたバスターマグナムが爆発した時にはすでに、絶影の鬼火のような四ツ目が、クァッドウィングの眼前に迫っていた。

 

『こんなモンかよっ、ライぃぃっ!!』

「フィンガー、ソードッ!!」

 

 ガキィィンッ!!

 一直線に突き出されたナイフの側面を、青銀色の手刀が鋭く打ち払った。真っ二つに折れたナイフの刀身は激しく回転しながら飛んでいき、岩塊に突き刺さる。

 構造上、刀剣類の刀身は、側面からの衝撃に弱い。さらに、ブライクニルフィンガーの粒子凍結効果で、刀身そのものが弾性を失った硬く脆い状態(・・・・・・)になれば、手刀で叩き折ることも可能となる。

 

『やっと出したな。それを待ってたぜ、ライ!』

「今度こそ……行くぞ、義兄さん!」

 

 バンは大型マシンガンを投げ捨て、絶影の両手にナイフを構えさせた。右手は順手、左手は逆手、刺突と斬撃を織り交ぜた絶え間ない連続攻撃を見舞うための、バン独特の構えだ。

 一方のライは右手刀のブライクニルフィンガーソードを前面に押し出した、右前半身の構え。左手は固く拳を握りしめ、いつでも突きを繰り出せるよう脇を締め身体に引き付けている。

 

『行くぜっ!』

「破ァァッ!」

 

 気合一声、再度激突。バンの繰り出す猛烈な斬撃と刺突が嵐となって荒れ狂うが、ライは眼前に吹き荒れるそれを、氷結の手刀で的確に捌く。フィンガーソードにナイフの側面を打たれるわけにはいかないため、嵐のように見えるバンの太刀筋は、実は限定されている。ライはその有利を見逃さず、手刀でひたすらにナイフを裁き、弾きながら、拳を撃ち込む機を窺った。

 ガンガン、ガキン、キィン、ガイィン……ッ!!

 

(……好機ッ!)

 

 ナイフを打ち上げられ、大きく空いた絶影の右脇。瞬間、ライは大きく足を踏み込んで、左の正拳を叩きこんだ。

 

「そこだッ!」

 

 ガッ、オォォンッ!!

 徹甲弾でも撃ち込んだかのような衝撃、クァッドウィング渾身の正拳突きが絶影の右胸を打ち抜く。絶影の胸部装甲は大きくひしゃげて砕け散り、派手に吹き飛ばされた絶影は、頭から別の岩塊に叩きつけられる。ライはこの機を逃さず、即座に飛翔、追撃する。フィンガーソードを解除し、氷結粒子を掌型に再構築。巨大な氷の手掌と化して振りかざす!

 

「……いただくぞ、義兄さん! ブライクニル・フィン」

『甘いっ!』

 

 岩塊に衝突し行動不能かに見えた絶影が、目にも止まらぬ速度で振り返り、ナイフを投擲した。銃弾の如く投げ放たれたナイフは、クァッドウィングの右掌を――氷結粒子のエネルギーを極限までため込んだブライクニルフィンガーを、一直線に貫いた。

 予想外の攻撃に、ブライクニルフィンガーは暴発。氷結粒子は真っ白な冷気嵐を巻き起こして炸裂し、大きく振り上げたクァッドウィング自身の右腕が、巨大な氷柱に包まれ、凍り付く。

 

「……ッ!?」

 

 吹き荒れる寒風、舞い踊る雪風。自分自身を中心にして吹き荒れる氷結粒子に翻弄され制御を失い、クァッドウィングは飛翔の勢いそのままに、岩塊に衝突する。

 

「くっ、お……ッ!」

 

 墜落の衝撃を、ライは歯を食いしばってやり過ごす。そしてブライクニルフィンガーを解除、自身の右腕を覆う氷柱を崩落させ、機体の自由を取り戻す――しかし、それと、ほぼ同時に。

 

『これで一本だな、ライ』

 

 クァッドウィングの胸部サーチアイに、大型ナイフが深々と突き立てられる。クァッドウィングはびくりと痙攣するように機体を跳ねさせ、それっきり、両目(ツイン・アイ)から光を失った。

 

《――ROUND1 BATTLE ENDED!!》

 

 鳴り響く電子音、聞きなれたシステム音声。続いて《YOU LOSE…》の表示がライの眼前にポップアップし、機体とフィールドが、プラフスキー粒子の欠片へと還元されていく。

 

『バスターマグナム、ブライクニルフィンガー。確かに強力だ。一撃必殺狙いの高機動と近接特化も悪くない。良いガンプラを作ったな、ライ。だが――だからこその弱点ってモンもある』

「……弱……点……?」

『教えてはやらねぇぞ、修行だって言っただろ? 自分で考えろ。自分自身の、力の意味をな。そうすりゃあわかるだろうぜ、力の使い方もな』 

 

 粒子化した絶影が視界から消え、その次の瞬間には、ライとクァッドウィングは再びカタパルトゲートの中、出撃待機エリアへと戻ってきている。

 今回の決闘は十本勝負、一本ごとに仕切り直しという条件だった。機体は万全の状態に戻ったが、ライの緊張感は先ほどまでとは段違いに高まっていた。ライは額の汗を手の甲で拭い、操縦桿を一段強く握りなおした。

 

『まだ一本目だ。あと九本、俺にやられるまでの間に掴み取れよ――さあ、次、行くぜ!』

「……了解ッ!」

《ROUND2 BATTLE START!!》

 

 ライとバンの師弟対決。ガンプラ決闘(デュエル)、二本目。システム音声と共にカタパルトゲートが開かれ、ライとクァッドウィングは暗礁宙域へと飛び立っていった。




 以上、第五話Bパートでしたー。
 最近ガンプラとかキャラ紹介の更新が多かったので、物語が進むのは久しぶりな気がします。いつも感想などいただいている皆様、お待たせしてすみません。忠犬イマ公に「お手」「お替り」「ち〇ちん」とか芸を仕込んでおきますので許してください嘘ですすみません。
 ライの過去を小出しにしているのですが、こーゆーことをしていくと話が進むにつれ矛盾なく描き切れるのかと不安にもなってきます。そのあたりも含めて、感想・批評などお待ちしております。よろしくお願いします!
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