ガンダムビルドダイバーズ ブルーブレイヴ   作:亀川ダイブ

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お久しぶりです。亀川ダイブです。
約二年ぶりとなるでしょうか。更新再開です。
お楽しみいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。


Episode.07-B『ソウキュウ ヲ マウ ②』

《――BATTLE START!!》

 

 快晴。宇宙まで抜けるような蒼天が、起伏の多い砂色の大地と好対照をなしている。

 宇宙世紀におけるオーストラリア大陸、トリントン基地周辺。コロニー落としの残骸である巨大な金属円筒が聳え立つ、広大な砂漠の演習場。そこに今、全12エレメント、約50機のガンプラたちが出撃した。

 ある者は陸戦仕様の両脚で駆け、ある者は防塵加工を施したホバーで疾走し、ある者は蒼炎を吹くバーニアや各種の粒子スラスターやサブフライトシステムや飛行形態で飛び立ち、我先にと主戦場へと殴り込む。

 ――しかし、その流れには乗らない者たちもいた。

 

『敵集団、トリントン基地方面に集結中。どうなさいますか、アルベルト様。フレデリカ様』

「徒歩だ。向かってくる気骨のある者のみ討てばいい。我が最愛の妹をエスコートできるのは、兄冥利に尽きるというものだ」

『フレデリカ様、よろしいので?』

「あ、あの、わたくしは……射撃でなら、戦いの、お役に……」

「大丈夫だよ、リカ。私が必ず守ってあげるからね。さあ、私の後ろからついてきなさい。私を騎士(ナイト)にしてくれよ、私のお姫様(リカ)

『……フレデリカ様?』

「……は、はい……お兄さまが、そう、おっしゃるのなら……」

「さあ、行こう。スズ、露払いを頼む」

『……御意に』

 

 銀色の巨人が先導し、新緑の女神がそれに続く。そしてもう一機、細身で小柄なガンプラがコロニー落としの残骸に潜んでいたが、高性能な光学迷彩でも搭載しているのか、その姿は砂漠の陽炎に紛れて消えた。

 

 

「――各エレメントの動き。同盟だな」

『そのようでありますな』

「ふっ――ヒビキも意地が悪い。事前にあんな組分けを発表されれば、この動きなど予想できように」

『その言いようですと、この事態にすでに対策をしている隊長は、部長殿以上の底意地の悪さということになりますな』

「その通りだ、副長。そしてそれ故に、私は〝軍師〟などという異名を頂戴している。〝精密兵団(レギオン)〟諸君、戦争を始めるぞ。エレメント〝フォウ・オペレーション〟――勝利を導き出す!」

 

 砂漠になじむ薄茶色のABCマントを被った六機のフォーミュラ・ジムが散開する。トリントン基地に集結しようとするエレメントたちの、背後をとる動き――コウメイ・マサヒロを頭脳とする、まるで一個の生命体のような連携。それは、砂漠の起伏や散在するコロニーの残骸までも計算に入れた完璧な包囲、そして奇襲の位置取りであった。

 

 

「……なんでこうなるんだよ、クソッ」

『ンだァ? 何か文句が聞こえた気がするが、気のせいかァ?』

「はいはい気のせいですよ空耳ですよ脳量子波のエラーですよッ、ナツキちゃん先生閣下様ァ! 〝第八位(ミネバ・オブ・エイト)〟にして〝自走する爆心地(ブラストウォーカー)〟アカツキ・ナツキ様がオペレーター席でふんぞり返っててなぜか俺が一人で部内試合に放り込まれたことぐらい、何とも思っちゃあいませんよッ!!」

『おうおう、そりゃァ良かった。やっぱ不良少年の更生には青春と部活と努力と勝利が不可欠だからなァ! はっはっはー!』

「更生プログラム終了っつてたじゃねーか! 気まずいんだよ、いきなり部内試合なんて! しかも一人で! ど、どの面下げてバトルなんて……わかんだろ、センセーさんよぉッ!」

『ンじゃァ、オレサマが付き添ってやろうか? 〝第八位(ミネバ・オブ・エイト)〟にして〝自走する爆心地(ブラストウォーカー)〟であるこのオレサマが、一人っきりでバトルするのが怖いマイルドヤンキー男子高校生に、ママみてェに付き添ってやろうか? センセーを間違ってママって呼ぶんじゃァねェぞ? はっはー!』

「んだぁぁッ、うるせえッ! 全員ブッ飛ばしてやるから黙って見てろ……て、くださいッ! 行くぜッ、ヤクト・ズールッ!」

 

 サカキ・リョウはホログラムを突き破るような勢いで通信を叩き切り、ヤケクソ気味にフットペダルを蹴り込んだ。そんなダイバーの操縦に応えるように、ヤクト・ズールは砂煙を吹き散らし、荒々しく飛び立った。

 

 

 

 

〔Gundam Build Divers BLUE BRAVE〕

 

 

 

 

《――BATTLE START!!》

 

 初期配置は、トリントン基地のすぐ東。それ以外の方向には広大な砂漠の演習場が広がり、遠く砂煙の向こうにはコロニー落としの残骸が地に突き立っているのが見える。

 それぞれ50メートルほどの距離を開けて砂の大地に転送されたライたちは周囲の状況をざっと把握し、事前に打ち合わせていた作戦の中で、どれが最適かを即座に判断した。

 

「よぉっし、作戦Dなので」

『作戦Bです』

「イマもそう思っていたのです! とりとりりん基地にれっつごー、なのです!」

「あっ、ま、待ってイマちゃん、置いてかないで~っ」

 

 あっという間にビークバギーモードに変形したターミガンに飛び乗ろうとする、最重装・弾幕特化装備のガトキャノン。何とかターミガン背部のクラッチレバーを掴んだかと思った瞬間、イマはホイールを猛然と回転させてロケットスタート、足場の悪い砂の大地もものともせずにトリントン基地へと一直線に突っ込んで行った。

 

『ああ、もう……何のための作戦会議だったのかと……』

「大丈夫だよ、シキナミさん。ちゃんとガトウさんを乗せてくれている。仕事はきちんと覚えているんだよ、イマちゃんも」

『だから、先輩は甘すぎですと何度も……いえ、お説教はあとの楽しみに取っておきます』

「は、はは……そうしてくれると嬉しいなあ。じゃあ、僕も行くよ!」

 

 重い機体を飛翔させる大型ブースターを全力全開、フルシティストライクは砂漠の青い空に舞い上がり、トリントン基地を目指す。地上を爆走するターミガンとガトキャノンに何とか追いつき、トリントン基地までの距離は、約2000。モビルスーツなら一息の距離だ。

 

「そ、そういえば……ライ先輩は、どど、どこに?」

 

 ガタガタと揺れるターミガンの背中で必死に操縦桿にかじりつきながら、アンナはライの姿がないことに気付く。確かに、転送されたときにはいたはずなのに。イマちゃんが「作戦D」とか的外れなことを言っていた時には、すでに、姿は……?

 

「ふふんっ、よくぞ聞いてくれたのです、アンナさん! イマの敬愛するマイマスターは、とっくに――」

 

 なぜか自慢げに胸を反らすイマのドヤ顔がアンナの正面モニターを占領し、「ちょ、イマちゃん前見て運転!」とアンナが慌てふためいた、その瞬間だった。

 

「――成敗ッ!!」

 

 吹き荒れる寒風、舞い踊る雪風。モビルスーツの数倍はあろうかという巨大な氷柱が、トリントン基地のど真ん中に突き出した。

 

「――ねっ?」

 

 イマは満面の笑みで、瞳から星が飛び散るようなウィンクをした。

 

 

 

 

〔Gundam Build Divers BLUE BRAVE〕

 

 

 

 

 初期配置がトリントン基地内部だった彼らは、単純に運がよかった。最初から地の利を得ているようなものだし、この状況からなら、他の奴らと打ち合わせていた例の作戦(・・・・)も――そう思った次の瞬間、彼のバイアラン・カスタムの顔面には、強烈な跳び蹴りが叩きこまれていた。

 吹き飛ばされ、グルグルと回る視界。奇しくもガンダムUC劇中でバイアラン・カスタムが飛び立った格納庫に頭から突っ込んだ彼の機体に、天から打ち付けるような衝撃。

 

「――成敗ッ!!」

 

 試合開始から、およそ七秒。何が起きたのかわからぬままにバイアラン・カスタムは氷漬けにされ、握り潰された。崩落する氷柱、舞い上がる氷結粒子の結晶。白く煙るその中心で、モビルスーツらしきシルエットと、その背に生えた蒼い四枚羽根が僅かに揺らめく。

 

『四枚羽根……転校生かぁぁぁぁっ!』

『隊長を、よくもぉぉっ!』

『奇襲かよっ、畜生!』

 

 チームメイトのシルヴァ・バレトと二機のジェスタ・キャノンが五月雨撃ちにビームを連射、その熱量と衝撃波で白煙を吹き散らす。しかしそこにはすでに四枚羽根のモビルスーツの姿はなく、蒼いバーニア噴射の跡が、天に向かって稲妻のような軌跡を描いていた。

 

『う、上っ!?』

 

 シルヴァ・バレトはビームキャノンを上空へ向けるが、それが撃ち放たれるよりも速く、銀色の銃口がシルヴァ・バレトの顔面へと押し付けられていた。

 

「遅い」

 

 ドッ、ビュオォォンッ!!

 青いビームの奔流が、シルヴァ・バレトのボディを根こそぎ消滅させた。僅かに熔け残った右手がぼとりと地面に落ち、同じく熔け残った右膝から下のパーツが、その上にどさりと倒れる。

 

『うおぉぉぉぉっ!』

『やりやがってぇぇっ!』

 

 残ったジェスタ・キャノンたちは両脚のミサイルとグレネードを全弾発射、弾幕で四枚羽根を抑え込みにかかるが、

 

「…………!」

 

 蒼い四枚羽根が縦横無尽に方向を変えてバーニアを噴射、急加速と急制動、鋭角的なターンを繰り返してミサイルの大群を潜り抜け、天高く舞い上がった。

 

『ど、どんな運動性能だよっ、素でトランザムでもしてんのか!?』

『速い、速すぎるぞっ! 転校生ぃぃぃぃっ!』

「……そろそろ、覚えてほしいものだな」

 

 撃ち上げるビームキャノンも、連射するビームマシンガンも、稲妻のような回避機動に翻弄され、掠りもしない。四枚羽根はくるりと宙返りをしてビームキャノンのパルス状のビーム弾を躱すと、両手に持っていた銀色のライフルを両腕へと装着した。一目見て高出力とわかる幅広く肉厚なビーム刃がその銃口から噴出、まるでビームザンバーのような迫力を持つビームトンファーが形成された。

 

『き、近接っ!?』

『させるかよっ、四枚羽根ぇぇっ!』

 

 二機のジェスタ・キャノンはバルカンポッドまで撃ちっ放しにして弾幕を厚くするが、やはり四枚の高機動ウィングスラスターの齎す機動・運動性の前に、命中弾は皆無。

 

「……ヒムロ・ライ。クァッドウィング・ゼロだ」

 

 ライはぽつりと呟くように言い、フットペダルを踏み込んだ。クァッドウィングは今までの複雑な機動から一転、落雷のように急降下、地面すれすれでほぼ直角に軌道変更、地を這うような低軌道でジェスタ・キャノンに肉薄した。

 そしてすれ違いざま、薙ぎ払うような一閃。振り抜いた左右のビームトンファーが二機のジェスタ・キャノンをそれぞれ胴切りにした。一瞬遅れて爆発炎上。基地施設を巻き込んで膨れ上がる火球を背後に、クァッドウィングはスライディングして着地。

 

「……よろしく頼む。先輩方」

 

 聞かせるでもなく呟きながら、ライはレーダー画面に目をやるが、敵影はなし。視界の端からこちらに向けて猛スピードで近づいてくる機影は、味方のものだ。

 

「ひゅーっ、さすがはマスターなのですっ♪ バチゴリにカッコイイのですよー♪」

「いい、急いできましたけど、何も心配いりませんでしたね」

 

 鼻息荒く飛び込んできたイマのターミガンは車輪を派手に鳴らしてドリフト、クァッドウィングのすぐ脇に勢いよく滑り込む。その背中からガトキャノンは半ば振り落とされるようにして飛び降り、すぐに両肩のシールドを展開した。同時、バギー形態からMS形態へと変形したターミガンも、両腕のシールドを構えつつ、クァッドウィングを挟んでガトキャノンと背中合わせの位置に陣取る。

 

「作戦B……クァッドウィングのスピードと火力で先手必勝、プラス僕たちの火力支援、のはずだったけど。さすがはヒムロ君の新型だ。援護する時間もなかったよ」

 

 さらに、コウタのフルシティストライクが、四本腕に四丁のライフルを構え、ライの背後を守るように着地した。チーム最大の突撃力を持つクァッドウィングを守りつつ全周囲を警戒する、円陣防御陣形である。

 

「ふふん! マスターはイマのマスターなのですから、このぐらい当たり前なのです! ねー、マスター♪」

「……初手で四機撃墜は我ながら上々だが、次はどうする」

 

 イマへの塩対応は相変わらずだが、ライが戦果を誇るとは珍しい。シオミは内心微笑みながらも、戦域マップに視線を走らせるが、レーダーの映りが悪い。ミノフスキー粒子が、急激に濃くなっている。

 

『他チームの状況、掴めません。しかしミノフスキー粒子濃度急速上昇、敵がいるのは確実です。安全確保を最優先に、有視界で索敵しつつ移動を。〝最高位の十一人(ベストイレヴン)〟が3人もいる戦場です、慎重に……来ました、ミサイル多数!』

 

 シオミの言葉と同時、ライたちの視界に警告表示がポップアップ。間を置かずミサイルの雨が降り注いできたが、素早く反応したターミガンのバルカンによってその大半は迎撃された。空に咲く爆炎の華、その火球の間を縫うようにして、SFS(サブフライトシステム)に乗ったMSの一群が降下してきた。

 連邦系の角ばったデザインながら、ジムやジェガン系統の洗練されたスリムさとは程遠い、装甲に着ぶくれした重MS――

 

『グスタフ・カール4機、および同数のSFSを確認!』

「イマちゃん、ガトウさんは弾幕! ヒムロ君は突撃! 周囲の警戒は僕が!」

「はは、はいっ」

「なのです!」

「……了解」

 

 ライは低く呟き、クァッドウィングを飛翔させた。同時、ガトキャノンの両手両肩両胸の銃口が一斉に火を噴き、派手な弾幕をぶち上げる。被弾を嫌ったグスタフ・カールたちは回避運動に入るが、イマがバスターライフルで退路を薙ぎ払い、その行き先を奪う。

 SFSの翼端がビームに焼かれ、挙動がふらつく。その隙を、ライは逃さなかった。

 

「……いただく!」

 

 ガトリングとバスターライフルの弾幕を稲妻機動で潜り抜け、両腕にビームトンファーを抜刀。慌ててビームサーベルを抜こうとしたグスタフ・カールを、すれ違いざまに斬り付ける。ビームサーベルを握ったまま、胴切りにされたグスタフ・カールの上半身が落ちていく。乗り手を失ったSFSは弾幕の中に突っ込んで行き、蜂の巣になって爆発した。

 

『ハハッ、流石は噂の転校生ってかぁぁ!』

「……っ!」

 

 突撃してきたSFSを、ライはビームトンファーで両断。しかしその上にMSは乗っていない。SFSの突撃を目隠しに急降下してきたグスタフ・カールは、クァッドウィングへと掴みかかってきた。

 

『良いよなぁ、可愛い女の子が三人もいるチームは! 嫉妬に狂うぜ、転校せぇぇいっ!』

 

 左肩にリーダーマークを付けたグスタフ・カールは、がっぷり手四つ、重MSのパワーに任せて組み付いてくる。クァッドウィングはモビルファイターのフレームを利用したガンプラ、決してパワーで劣りはしないが……流石にリーダーマークを付けているだけあって、このグスタフ・カール、ガンプラの完成度が高い。簡単には振りほどけない。

 

「ら、ライ先輩っ。う、撃ちたいけど、そんな状態じゃあ、私には……っ」

「まったくしょーがないですねーっ! ここは一発、イマがドカンと」

『いやいや待ちなさいっ! この状況でバスターライフルとかアホですかあなたはっ!』

 

 何やら通信機の向こうが騒がしいが、そんなことよりあとの二機をきっちり落としておいてほしい。ライは軽くタメ息を吐くが、それが何かを刺激したのか、グスタフ・カールのダイバーは額に青筋を浮かべて怒鳴り出した。

 

『だからそのっ、スカした態度がよぉぉッ! おどおど系巨乳後輩キャラのガトウちゃん! 金髪ツインテ褐色ロリ元気っ娘のイマちゃん! お叱り系世話焼きメガネキャラのシキナミちゃん! そんだけ揃ってて何が不満だぁぁッ、転校生ぃぃぃぃッ!』

「……何の話だ」

『恨まれてるぜって話だよ! だからせいぜい、背中に注意するんだなぁぁッ!』

 

 敵リーダーの怒声を合図に、残る二機のグスタフ・カールは、基地上空から急速離脱。この状況、敵リーダーの言葉、敵の動きから察するに――

 

「……同盟か」

「全機後退! シキナミさんっ!」

『はいっ。索敵、もうやってます!』

 

 ライ、コウタ、シオミは同時に同じ結論に達した。ライはグスタフ・カールを蹴り飛ばして無理やり距離を取り、コウタは四丁ライフルで全周囲を警戒しながら後退、シオミはあらゆる索敵装置で再度基地周辺を走査した。一拍遅れて、アンナとイマも基地施設の陰に身を隠す。

 ……しかし、

 

『あ、あれ……? おいお前ら、狙撃は……?』

 

 ……何も、起こらない。

 予想外の事態に、敵リーダーは激しく動揺していた。離脱していた二機のグスタフ・カールにも動揺と混乱が見られ、それを見上げるライたちは、彼ら以上にわけが分からない。

 空振り、期待外れ、連携ミス……? なんとも白けた空気が流れること、約3秒。最も早く我を取り戻したのは、意外にもイマであった。

 

「ちゃぁぁ~~んすっ、なのです!」

 

 ビュゴッ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

 バスターライフルが火を噴いて、所在なく上空を旋回していたグスタフ・カールを、SFSごと蒸発させた。その爆発をきっかけに全員が動き出すが、加速力においてクァッドウィングを超えるガンプラなど、そういるはずもない。

 

「……いただく!」

『なっ、しまっ……』

 

 カツン……ビュオォォォォンッ!

 バスターマグナム、零距離射撃。敵リーダー機は吹き飛び、主を失ったSFSは基地施設に墜落し、大破炎上。残る一機のグスタフ・カールは逃げ出そうとするが、フルシティストライクのロングライフル四門斉射が、その背中を撃ち抜いた。

 

『は、話が違う! あいつら、裏切』

 

 捨て台詞を言い切ることもできず、グスタフ・カールは爆散。ダイバーは待機エリア送りとなった。砕け散ったプラスチック片がパラパラと燃え墜ち、戦場に静寂が戻る。

 

「……なんだか、釈然としないね」

「……ああ」

 

 イマが敵機撃墜を褒めてほしそうに目をキラキラさせて見つめてきていたが、ライはそれをとりあえず無視。コウタの言葉に同意しつつ、姿勢を低くして周辺を警戒。イマは褒めてもらえないとわかり唇を尖らせてぶーたれるが、ライはそれも無視。シオミから送られてきた索敵データを確認する。

 

「……これは」

「あ、あわわ……たた、大変じゃないですか、これ……っ」

 

 アンナが冷汗をかくのも無理はない。基地周辺は、完全に包囲されていた。ミノフスキー粒子の影響下のため、敵の総数ははっきりとはわからない。しかしそれでも、20を超えるMSが確認できた。〝第十位(シスコン)〟と〝第八位(センセイ)〟以外、残るほぼ全チームが同盟を組んでいる計算だ。

 この数を揃えておきながら、そしてこうも布陣していながら、あのタイミングで撃たない理由がない。ライはイマの肩を掴んでより深く遮蔽物の陰に隠れ(「あんっ、マスター♪ こんな時にイマを暗がりに連れ込んで何を」「……」「ああすみませんブライクニルフィンガーを、無言でブライクニルフィンガーを起動しないでくださいっ!」)させた。

 

「……シキナミ。電波障害は強いのか」

『はい、ミノフスキー粒子は戦闘濃度で散布されています。もし撃たれていれば、私たちは……先輩、どう思いますか』

「うぅん……どう、って言われても……謎だなぁ」

『その疑問には、自分が答えよう』

 

 通信に割り込む、聞き覚えのある声。冷静、理知的、傲りなく知的。高校生離れした落ち着きと風格さえ感じさせるその声の主と、ライは戦った記憶があった。

第七位(ミネバ・オブ・セヴン)〟――〝軍師〟コウメイ・マサヒロ。

 

『端的に言おう。これは、私なりの騎士道精神――いや、ガンプラ道精神だ』

 

 




 以上、第七話Bパートでしたー。

 一年戦争がほぼ二回終わりそうなほどの間が空いてしまい、申し訳ありません。
リアルで色々あったのですが、兎も角。この世界のどなたかに作品を読んでいただけるのであれば幸いです。第七話は全六話構成の予定ですので、まずはそこまで書き上げようと思います。

 実は、今回の更新再開はある読者さんからいただいたメッセージがきっかけだったりします。こんな錆び付いて焦げ付いていた作品と作者に言葉がけをくださって、ありがとうございました。もう少し頑張ってみようと思います。お礼にイマが脱ぎ「成敗ッ!なのです!」ませんすみませんもうしません。


 次回更新は土曜日の予定です。
 感想・批評お待ちしています。どうぞよろしくお願いします。
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