「『ソードバッシュ!』」
「『バタフライエッジ!』」
レックスとニアの同時攻撃がカグツチに向かう。
「遅いですね、『陽炎』」
だが、それが当たる前にカグツチは剣の先端を伸ばし...蛇腹剣って奴だな。それに炎を纏わせて振り回すことで防御と反撃を同時にやってくる。その上、その剣に纏わせた炎を攻撃と同時にバラまく事で、俺らの足場まで少しずつ減らしていきやがる...。
さっきからずっとこんな調子だ。横にいたパクス警備長ってのは肩書きの割に大したことなかったが、流石に格が違うってか。
「あの剣、厄介だな...ミカァ!あれどうにかできるか?」
「引きつけるぐらいなら」
「じゃあ頼むぜ、ミカ!」
よし...俺達が本気ならミカは必ず応えてくれる。あいつなら...!
「その戦い方、いい加減鬱陶しいんだけど...!」
ミカは手に着けたワイヤークローを発射する。
「鬱陶しい?これは計略っていうのよ。...『渦龍』!」
「やっぱり防がれるか...でも...気はそらせた!」
使ってるのがワイヤークローとはいえ、ミカが相手でも互角にやり合うあたり相当戦いの才能があるらしい。だがな...
「こっちは...」
「1人で戦ってるんじゃない!」
「っ!」
カグツチがミカの攻撃を防ぐのに気を取られているその隙に俺とレックスで一気に攻める。
俺のメイスとレックスの剣が直撃する。流石に効いたろ!
「...中々やるようですね」
「このまま押し切るよ!ホムラ!」
「はい!」
レックスはホムラに剣を渡す。ホムラは
その剣を自分の周りで円を描くように回しながら力を貯める。
「『フレイムノヴァ』!」
「『燐火』!」
ホムラとカグツチの炎がぶつかり合う。炎はちょうど二人の真ん中でせめぎ合った後に爆発。どっちにも大したダメージにはなってねぇ。
「ドライバー抜きでこれか...」
「帝国最強の名は嘘じゃねえってか?勘弁してくれよ...」
「諦めるな!数はこっちの方が上だよ!」
そんな声がした後、ニアとビャッコがカグツチに飛びかかっていく。だが...
「ぬぉっ!?」
「ビャッコ!?うわぁっ!」
カグツチの後ろから飛んできた網に、二人そろって捕まっちまた。な、なんだ...!?
「エーテル遮断ネットだ!うははははははは、大気からのエーテル流を遮断されては、得意のアーツも撃てまい!」
「ブレイドにも弱点はあります。その一つがこれ...力の源であるエーテルの流れを遮られること」
エーテルってのが何なのか正直ピンと来ねえけど、つまりあれにやられちゃぁ力が出せなくなるってわけか!また厄介なもん持ってきやがって...
「ニア!ビャッコ!」
「逃げろ!アタシ達に構うな!」
「無理言うな、見捨てるなんてできる訳ないだろ!」
「そうだぞニアァ!レックスの言う通りだ!俺らは...!」
「アンタらにはアンタらの目的があるだろ?それを果たせ!」
「でも!」
くっそ、一気に状況が悪くなっちまった、どうすりゃあいいんだ...!
「オルガ、一旦退いて立て直そう。ここで全員捕まったら終わりだ」
「ちっ...今はそうするしかねぇか...!」
「...逃がしません」
くっそ...逃げ道が炎で塞がれちまった...
一旦退くしかない、って結論を出さざるを得なかった俺達にカグツチが追い討ちをかけてきやがった。いよいよマズいな...
だが。そんな俺達を救うかのように、小型のミサイルがどこからか飛んでくる。
それはカグツチに当たる...訳ではなく、狙いが逸れて水道管にぶつかる。
だが、水道管に穴を空ける威力はあったようで、辺りが水で濡れる。勿論炎も消えた。
「今なら...やるよホムラ!」
「はいっ!」
「「『バーニングソード』!!」」
レックスとホムラの最大火力、『バーニングソード』が炸裂する。周りが水に濡れてる中で放ったからなのか、着弾と同時に水蒸気爆発を起こす。
それによってあいつらを倒せるなんて思っちゃいないが、目くらましには充分だ!今のうちに逃げ...あっ!!!
「それでいい...逃げ切れよ、皆...って」
皆の無事を祈るニア。
「この水流の中であの技。天の聖杯、やはり本物か...ところで」
技の威力から、ホムラが本当に天の聖杯だと確信するカグツチ。
「アンタ、何をやってんの」
「貴方、逃げたはずでしょう?」
そして、二人から同時にツッコまれるのは俺、オルガ・イツカだぞぉ...
「俺は止まんねぇからよ...」
「いや止まってんじゃん」
「...パクス警備長。ついでにこの者も捕らえておきなさい」
「待ってくれ!俺はただ逃げようとしたら転んでその衝撃で死んでただけなんだ!一回ぐらい見逃してくれ!頼む!頼む!たのヴァァァァァァァアァァァァァ!!!!」
「おーい...こっち、こっち、こっちだも。逃がしてあげるも」
「...あんた誰?」
「はやくっ、はやくも!」
一度逃げることにした俺達は、全速力でグーラを走り回っていた。そしたら、近くのドアがいきなり開いて、誰かが出てきてこうなった。も、って語尾についてるし、ノポン人かな。
なんか怪しいけど、大人しくそのノポンについて行くことにした。
「ありがとう、助かったよ。でもどうしてオレ達を?」
「何となくも」
「何となく?」
「っていうのは嘘も。ホント言うと、いっつもイバりちらしている兵士に、完成したばっかのロケットカムカムをお見舞いしてやろうと思ってたも。そこへちょーど兄ちゃん達が追われてきたんだも。外れて水道管にあたっちゃったけど、結果オーライだも!」
「へぇ、さっきのはあんたが...」
「トラだも」
「トラっていうのか。オレはレックス、こっちはホムラ」
「よろしくお願いします」
「俺は三日月・オーガス」
「よろしくも、もふふー」
ほら、オルガ。いつものあれ早くやらないと...あれ?
「...もしかして、オルガいない?」
「うわほんとだ!いつの間に!?」
「...一緒に逃げようとしてたでっかーい男の人なら、逃げようとして転んでそのまま起きなかったも」
「ふーん」
「なんか反応薄くない!?あの人三日月のドライバーでしょ!?」
「そうだけど、まぁ、いいかなって」
どうやらオルガは転んだ拍子にまた死んだみたいだ。ほんとに衝撃に弱くなったなぁ、オルガ。
「...で、実は助けたのにはも一つ理由があるも。でもこれは、トラんちに着いてからゆっくり話すも」
「へー、別に聞いてないけど」
「三日月!?聞いてあげよう!?」
「そうですよ、トラ君可哀想」
「...わかった」
「あれおかしいも、視界が歪んできたも」
「ごめんなさいトラ君。三日月さん、仲間には優しいんですが...」
色々あったけど、俺達はトラの家に向かうことになった。
一方、スペルビア軍トリゴ基地の港にて。
そこに、
その名はメレフ。
帝国最強のブレイド、カグツチのドライバーである。
「で、助けたもう一つの理由なんだけども...実はトラ、ドライバーと仲良くなりたかったんだも」
「へぇ。トラ、ドライバーに興味あるんだ」
「当然だも!ブレイドと一心同体になって、すんごい力を使えるドライバーはすんごいんだも!だからレックスのアニキのオトモになりたいんだも」
「...トラ、オレまだ新米ドライバーだしさ、アニキっていうのとはちょっと違うかなぁって」
「新米でもドライバーはドライバーだも。えらいんだも、イバりちらすも」
...威張り散らす、か...オルガのあれは威張ってるのとはちょっと違うな。っていうかそんな周りに威張り散らすオルガは...なんかやだ。
「威張り散らしはしないけど...よーしわかった、アニキって呼びたいなら止めないよ。でも、オトモとかじゃなくてトモダチになろうぜ」
「ホントかも!?トラ、アニキのオトモダチになるも、やったもー!!」
「なんだか変わった奴だなぁ...」
兄貴って言うと、オルガが「名瀬の兄貴」って言ってたのを思い出すな。二人の関係もあんな感じになるのかな?
「そうだトラ、軍に捕まった人がどこに連れて行かれるのか知ってる?」
「レックス、もしかしてニア達を?」
「うん。助けられたら助け返せ。サルベージャーの合言葉その2だ。三日月も協力してくれると心強いんだけど、来てくれる?」
「当たり前じゃん」
助けられたら助け返す。その言葉には賛成だ。
助けてもらっといていざとなったら見捨てるなんて、それじゃ筋が通らない。オルガならきっとそう言う筈だ。
「もも...それは街で色々と情報を手に入れないと分からないも。それよか、まずはゴハン食べるも。運動した後は、ゴハン食べないと考えまとまらないも」
「ご飯は後でいいよ、今は皆の居場所を...」
グゥー
「ほら、やっぱアニキもお腹ぐーぐーだも」
レックスの腹の虫は正直みたいだ。でも、俺も腹減ってきたしちょうどいいや。
「あの...良かったら私が何か作りましょうか?」
「ホムラ、料理できるの?」
「うふふ、煮物焼き物蒸し物揚げ物、火を使った料理なら何でもござれです!」
「おぉー」
料理かぁ。料理は具材が大きい方が食べてるって感じがして好きなんだけど...まあ、どっちでもいいや。
あ、そういえばさっきのこと...
「ねぇトラ」
「なんだも?まさかまた何かトラに酷いこと言うも!?」
「違うよ。別に俺達を利用しようって訳じゃないみたいだし、むしろ匿ってもらってるから、さっきのこと謝っとこうと思って。ごめん」
「も!?...三日月ってほんとに優しかったんだも...実は今まで信じてなかったも」
まぁ、普通そうなるよね。
「あ、だったらトラ、謝ってもらう代わりに頼みたいことがあるも」
「何?出来ることならするけど」
「トラ、今はまだ戦えないけども、ある作業が完了すればトラも戦えるようになるも!だから、その時に戦いの師匠になってほしいも!」
「俺が師匠?」
「そうだも!さっきの戦いを見てて思ったんだけども、三日月すっごく強いも!だから...ダメも?」
「そんなことでいいんならね」
「やったもー!!」
人に教えるのはあんまりしたことないけど...期待されてるんだし、頑張らなくちゃ。