「よく来てくれたも」
プニンっていうノポンに呼ばれ会長室に行くことになったレックス。折角だから俺達も同行することにしたんだが...会長もノポンじゃねえか...。
「アヴァリティア商会会長のバーンだも」
「俺は鉄華団団長、オルガ・イt」
ピギュッ
「偉いっぽい人が喋ってるんだから勝手に喋ったらダメだよオルガ」
名乗られたからつい反射的にこっちも名乗ろうとしたら怒られちまった。すまねぇ。
「あぁ...は、はじめまして」
こっちに一瞬視線を送りながらレックスが挨拶する。
「そこの2人が誰かは知らんけども...レックスはプニンからずいぶんと腕の立つサルベージャーだと聞いているも。それを見込んでちょっと頼みたいことがあるんだも」
「会長自ら、俺に仕事の依頼を!?」
なんだよ...よくわかんねえけどすげえじゃねえか...
「報酬は10万ゴールドだも」
「じ、じゅうまん!?」
この世界に置いての金が1辺りどのくらいの価値なのかは知らねえが、レックスの反応からして大金みてえだ。
「聞いて驚いたも?ちなみにそれは手付け金も。成功報酬は更に10万プラスだも」
「合わせて20万...マ、マジですか...」
「それだけの報酬が出る大仕事なら、成功すれば地位も名誉も全て手に入る...これ以上ないあんたのアガリじゃあねえのか?」
「俺もそう思ってた...やります、このレックス、全身全霊をもって仕事に当たらせていただきます!よろしくお願いします!あはははははは...」
「お前、仕事の内容は聞かなくていいも?」
言われてみりゃ聞いてねえな。内容を聞く前に受けるとか、まるでミカみたいじゃねえか...
「あ、そうだった。で、どんな仕事なんですか?」
「ホントに大丈夫かも?」
「もちろん大丈夫です」
「まあいいも、話は直接聞けも。いれるも」
そうバーンが言うと、秘書っぽい女がドアを開ける。さあてどんな奴が来るのか...とか思ってたんだが。
奥から来たのは、まさかのレックスと会う前に会った集団だった。
猫耳をつけた女、黒い鎧の大男、そして...
「なあミカ、やっぱりあいつマクギリスじゃねえのか?」
「違うって言ってたじゃん」
「だが違う人間の中に魂だけ入ってる例も前あったろ。それかもしれねえぞ?」
「あっ、かもね」
俺達がそんな話をしてる間、レックスはというとその入ってきた客人の方をずっと見ていた。俺達の話も聞いてなかったみたいだな。
「ドライバー、それにブレイド!すっげぇ、1日でこんなに見ることになるなんて...」
どうやら俺達がドライバーとブレイドってことになってるのには気づいてたみてえだ。にしちゃあ反応が違う気もするが...まあいいか。
「依頼内容は、ある物資の引き揚げだ。最近の海流変動で発見された未探査海域のかなり深い所に沈んでいる」
マクギリスみたいな男、確か名前はシンとか言ったか。そいつが口を開き、説明を始める。
「へぇ...それは腕がなるね」
レックスの奴、どこか嬉しそうだな。
「ベテランのチームを紹介するって言ったけど、リベラリタスの出身で、少数精鋭の人材をという希望だったも。それで、白羽の矢が立ったのが...お前なんだも」
「へへへ、悪い気はしないな」
嬉しそうなレックスを見てか、ニア、と前に名乗ってた猫耳娘が笑い出す。
「子供のサルベージャー?シン、今回の仕事って子供の遠足も兼ねてるんだっけ?」
早速毒吐いた。前話したときも思ったが中々上から目線だなこいつ。まあ、あのビャッコって奴は根は優しいとか言ってたが...
「何だよ、見た目が子供っぽいのはアンタだって同じだろ?」
「喧嘩か?俺は嫌だな」
「アタシはこれくらいの額でそんなバカみたいに喜んだりしないよ」
「バカみたいってなんだよ!」
「...まあ、いいか」
ミカが2人を止めに入ったが、二人は聞く様子を全く見せない。結局ミカも諦めた。
しかしそこにあいつか止めに入った。そうビャッコだ。
「レックス様でしたな?此度はお嬢様が大変失礼なことを。何卒ご容赦を」
そう言ってビャッコは一礼する。しっかし喋る虎は前にも何回か見たが、どいつも礼儀正しいような気がする。もしかして虎ってそういう生物だったのか?
「ビャッコ!アンタまた余計な口出しを...」
「よせよニア」
さっきまで喋らなかった大男...メツが口を開く。
「ま、気持ちはわからんでもない。そして、確かめるのも容易い...」
そういい終わるとほぼ同時に、腰につけた旋棍を持ち、レックスを攻撃する。
「守んのは俺の仕事だ!...止まるんじゃねえぞ...」
咄嗟に俺は飛び出して、メツの一撃を受ける。そして本日二回目の死を迎えるが、その間にもメツの奴は今度こそとばかりにレックスに攻撃する。
だがレックスも素人という訳じゃないらしく、攻撃をかいくぐって近くにあったジャンクソードを手に取り反撃する。その反撃をメツは受け止め、暫く2人は向かい合う。
「いきなり何するんだ!」
「なるほど...」
メツはどうやら何かに納得したらしい。俺はその犠牲に死んだ訳だが。
「メツ!子供相手に何やってんだよ!あのでっかい人また死んじゃったじゃん!」
「すぐ起き上がったし死んじゃいねえだろ...それに、この小僧じゃ不安だって言ったのはお前だぜ?」
「アタシはそんなこと言ってないよ」
「言わずとも、思っていたろ?で、結果は見ての通りだ。やるじゃねえか、見たところドライバーではなさそうだが。そのアーツ、どこで覚えた?」
「じっちゃんに教わったんだよ、小さい頃から遊びといえばこればっかりだった」
その言葉を聞いたメツは、少しばかり笑みを浮かべた。なに考えてるのやらな。
「腕は申し分ない、度胸もまぁまぁだ。そこのでかい男の方は...まああそこに住み着いてるモンスター相手の盾ぐらいにはなるだろう。ま、しっかり働いてくれ」
少しバカにされた気がするが、どうやら認められたらしい。ってかいつの間にか俺らも行くことになってないかこれ?
「あのもう一人の小僧だけは実力不明だが...まああいつのブレイドだ。計画の邪魔にはならんだろ。」
小声で何か呟いたような気がしたが...さっぱり聞き取れなかった。ミカの方を見たらなんかを疑ってる様な顔してやがるし、妙なことが起きたりしなきゃいいんだが...。
そしてメツとシン、あとブレイドっぽい奴が帰って行く。はー、と言わんばかりの仕草をした後ニアも去っていき、ビャッコも一礼したあとについて行く。
「ももー!何ともやかましい連中だも。手付け金も、これで必要な装備を買い揃えてから右舷の桟橋に行けも、そこで俺の手配したすばらしい船が待ってるも。あと多分あっちはそこの2人も仕事に来るものだと思っているだろうから、まあ頑張るも」
「えっ」
思わず声を漏らしちまった。
「一緒に話聞いてたんだから当たり前じゃん」
ミカの奴はもうやる気ありって顔だ。
「...勘弁してくれよ...」
そういう訳で、俺達のこの世界での初仕事は、「ある物資の引き揚げ」、となった。だが俺もミカもサルベージなんてやったことねえぞ...
次回は準備して出航するぐらいまでになるかと。早く戦闘シーン入りたいし、頑張らないと!