「現地到着、各作業員は持ち場に着け!サルベージャーは装備を整えてハッチに集合!」
艦内放送の声が響き渡る。とうとうこの時が来やがったか!
サルベージは初だが...ま、スーツは貸してもらえたし何回か深海探索の経験はある、どうにかなるだろ...いや、してみせる。
言われた通りにハッチに集まると、サルベージスーツに身を包んだレックスやミカ、他のサルベージャーが集まっている。
「目標の物資は深度450の沈没船の中だ。雲海中に没したままの船内を探索するのは困難なので、フロートとクレーンでまずは船内自体を引き揚げる。そののちに各班に分かれ船内を探索。目標を発見次第、回収作業を開始する。では、まずはフロートの取り付け作業からだ、配置に付け!」
隊長のおっさんの説明を聞いて若干ほっとした。フロートってのを取り付けるだけでいいんならどうにかなりそうだ。
「高い金払ってんだから、しっかりやれよー」
上の方からニアの声が飛んでくる。言われなくたってやってやらぁ!
「よーしミカ!俺達鉄華団のこの世界での初仕事だ!気引き締めていくぞ!」
「当たり前じゃん」
ってわけで甲板にでて、雲海へ飛び込む。
この雲海ってのは見た目は雲と同じようなもんだがら、最初は飛び降りたら確実に死ぬぞ!確実にな...って思ってたんだが、中に入ってみるとどっちかと言うと海に近かったんで安心したぜ。
海に潜った俺達は、早速指示通りにフロートってのを取り付けるんだが...あの沈没船、随分古びてんな。何年前のもんだ...?
とか思ってると、クレーンの方が降りてくる。よーし、じゃあこっちも始めるか!
他の奴のを見様見真似でやってみるか...ん、あれ、ここどうやんだこれ。
手こずってる俺を見かねたのか、レックスがこっちにくる。自分の担当のところは終わらせてきたらしい。
手伝ってもらって無事終わらせれたが...そういやミカはどこいったんだ?あいつの担当場所は分かってんだがもういないし...ってことはもうとっくに終わらせてんのか。やっぱすげえよミカは...
ってあれ、レックスの奴いつの間にかいねえな。よく見たら他の奴もいな...
ボンッ
「ヴァァァァァァァァァア!?」
...なるほどな。フロートがもうすぐ膨らむから離れたって訳か。俺は見事にそれに巻き込まれ、ぶつかった衝撃で一瞬死体と化した。すぐに復活し、俺も浮上する。
その頃には引き揚げ作業も終わっており、沈没船が姿を見せていた。
「見事な手際だった、なかなかやるじゃない」
「本業をなめるなって。...まあ、本業じゃない人もいるけど」
甲板に戻ると、ニアとレックスが話していた。その節は迷惑かけたな...
「各班、準備のできた者から進入開始」
おっさんの一声で、探索員が船に突入する。
「さて、俺達も行くか」
メツがそう言い、シンと共に船に向かう。かと思いきやシンの方が急にレックスの方を向き...
「お前も来い」
どうやらレックスにも来て貰いたいらしい。なんか役目でもあんのか...?
「こいつも連れて行くっていうの?シン」
「お前らだけじゃ不安だとよ。ハッハッハ!」
ニアの疑問にメツが代わりに答える。どうやら俺らだけの班じゃ不安ってだけらしい。
「何ボーッとしてんの?言われたろ、ついてくるんだよ」
ニアとレックスもシンたちの後をついていく。
「じゃあ...行くかぁ!」
「俺もいくぞぉ!」
ミカと俺もその後をついていく。ついてこいとは言われてないがまあいいだろ。
船内に入るための道を歩いていると...船内に住み着いてたらしきモンスター──キングリター・シースって言うらしい──が出てくる。
「ヴァァァァァァァァァア!」
早速拳銃で応戦するが...あれ、あんま効いてねえなあれ。
そしてモンスターの怒りを買ったのか...思いっきりその前足でぶん殴られ、死んだ。
「何やってんのあいつ...まあいいや、ドライバーの力見せてやる!」
そう言ったニアが攻撃の構えをとった次の瞬間だった。
「邪魔だな、お前...消えろよ...!」
ミカがどっから取り出したのか、バルバトスの武器であるレンチメイスで叩き潰す。そういや、ブレイドは自分で武器を作れるんだったか...
一気に恐怖が込み上げてきたのか、モンスターが逃げの姿勢を見せた瞬間...
「逃がす訳無いだろ。どうせまた出てきてオルガの邪魔をする」
即座にその背中に乗り、レンチメイスの先端を開いて胴体を挟み込み、押し潰す。
「うっわぁ...えげつなっ」
ニアが思わず声を漏らす。
「ほぉ...三日月・オーガス、正直舐めてたが...あいつ、中々やるじゃねえか。それに...いい目をしてるな」
メツの奴もこの感想だ。へっ、あいつは鉄華団遊撃隊長、ミカだぞぉ...あのぐらいどうってことはねえ...
「すげぇ...ドライバーとの協力無しであんなに強いブレイド見たことねえ...」
「全く、どっちがモンスターなんだか...」
ミカの戦いを見てた奴らが戦いの感想を言う。ま、ミカはモンスターっていうか悪魔だけどな。鉄華団の悪魔...それが俺達のかつての敵がミカにつけた通り名だ。
「やっぱブレイドは頼りになるなぁ」
「あんな雑魚が相手だったとはいえ...一方的だったな、アンタの戦い」
「別に?普通でしょ」
レックスとニアの誉め言葉もさらっと流す。
さて、じゃあ敵も片づいたし、船に入るか!
「あのクラスのバケモノを簡単に...あの三日月とかいう男、只者じゃあないも。他の奴もきっと相当の実力者...スペルビアでの大事業も順調だし、こいつは...いい金づる見つけたも」
ミカの一方的な蹂躙の映像を見て笑みを浮かべていたのは...アヴァリティア商会会長、バーンだった。
「随分進んできたな...」
船内に入ってからも、何度かモンスターに遭遇した。まあ、その度にミカが叩き潰してたんだがな...他の奴らが武器を使ったのなんて、敵が複数で同時に出てきたときぐらいだ。しかし生身でメイスを使うのは初めてのはずなんだがなあいつ...ほんとにすげえよミカは...
「見ろよシン。あの紋章、アデルの紋章だ」
メツが塞がれた扉を見て言う。ってかアデルって誰だよ...?
「アデルの紋章って...何のことだ?」
レックスもよく知らない名前らしい。
「おい...その扉を開けろ」
急にシンが口を開く。レックスに言ってるみたいだが...そんな事が出来るのか?
「この扉は”お前達”でなくては開かん」
どうやら出来るらしいが...どういう意味だ?実はレックスはすげぇ力を持ってんのか?正直ピンと来ませんねぇ...って言いたい気分だ。
「オレ達でなくてはって...どういう意味だよ」
「いいから早くやれ、こっちは大金払ってんだぜ」
...説明する気はないらしい。まじでわかんねえことだらけだな...
「どうやって開けるのかな...これか...?」
レックスがアデルの紋章とやらに手を触れると、紋章が青く光り、扉が開く。
よし、じゃあ俺もいkヴァァァァァァァァァア!?
なんだ!?急に足がビリって死んだぞ!
「やはりか...」
シンが呟く。やはりってなんだ!じゃあ止めてくれよ!
「奥にもう一つ扉がある、開いてこい」
俺の死には目もくれずレックスに指示する。つまり全部の扉が開くまで消えねえ罠か...なんだよ...結構ひでえ罠じゃねえか...
先に進むと、赤い剣が突き刺さっていた。その奥には、ポッドみてえなもんの中に女が入ってた。
...あの女、中々過激な格好してやがるな。正直ぼっ
「駄目だよオルガ」
「...当然のように心読むんじゃねえぞ...」
なんてこと話してると、赤い剣が緑色に光り出す。
一番剣の近くにいるレックスはそれに圧倒されてるみてえだ。
「間違いない、天の聖杯だ」
シンが目当てのものを見つけたかのように喋る。どうやらあれが例の物資ってやつだったらしい。
しかし...どうみても人にしかみえねえんだが、天の聖杯ってまるで物みてえな言い方だな...
一方レックスの方はと言うと、赤い剣に手を伸ばしていた。
「チッ、小僧ぉ!そいつに触るんじゃねぇ!」
メツが咄嗟に叫ぶ。触られちゃ不味い何かでもあんのか...?
しかし時すでに遅く、レックスはもう剣に触れていた。
それを見たがシンは背中の剣に手をかけ、瞬間移動した。いや誇張表現でもなんでもなく、まじで瞬間移動だった。そう思うくらいの速さでレックスの後ろに移動し...レックスの心臓を刺し貫いた。そして、赤い剣も粉々に砕いた。
...いやちょっと待て!レックスは死んでいいやつでもなければ俺みたいに死んでも大丈夫なやつでもねぇぞ!!
「何やってんだシン!!何のつもりだあんた!!」
「なぜ殺した!レックスが何をしたって言うんだ!」
俺と二アが全力で抗議する。仲間殺しといっても過言じゃねえ行為だ。許すわけにはいかねぇよなぁ!
「せめてもの情けだ。この先の世界を見ずとも済むようにな...」
「正直ピンと来ませんねぇ。ただの言い訳じゃねえのかそれは!」
「余計な手間を...お前が知る必要はねえよ!」
シンの訳わかんねえ言い分に怒りをぶつけてると、メツの奴にぶっ飛ばされた。勿論死んだ。
ってあれ...いつもならすぐに起きあがれるんだが...何でだ...今回に限って...くそっ...
「聖杯を運び出すぞ。ニア!モノケロスを呼べ」
そう言ったメツは、女の子の入ったポッドを担ぎ上げてさっさと立ち去ろうとする。
俺はオルガとレックスの方に向かった。呼びかけてみたりしたけど、起きあがる気配はない。
オルガが異世界で死んですぐに起きないのは珍しい。あいつらが何か妙な真似を...?
とにかく今は...あいつらを追いかけるのが先だな。オルガならきっと無事だ。それより...レックスの敵を討つとしよう。
あいつらの通った道を辿っていくと、甲板まで戻ってきた。
どうやらあいつら、他の乗組員を皆殺しにするつもりらしい。
まあ...させる訳ないけど。
パンパンパンパン!
距離が離れてたから拳銃で攻撃した。けどそう上手くはいかないのか、有効打にはならなかった。
「チッ、てめぇは...三日月・オーガス!邪魔しにきやがったか!」
「当たり前じゃん」
「...いいぜ、相手になってやる!おいザンテツ、聖杯は預けるぞ!」
「わかったぜ!」
ザンテツって呼ばれた、さっきからずっとメツの横にいたブレイドが女の子入りのポッドを預かる。そういえばあいつの名前初めて聞いたな...まぁ、どうせすぐに消える名前だ。どうだっていい。
さっきまでモンスターにそうしてきたように、メイスを構え、相手を叩き潰そうとする。
けど、そう上手くいかないみたいだな。メツの方も旋棍で受け止めてくる。
「お前の戦い方はさっきまで見てたからなぁ。頼んでもねえのに見せつけてくれたお陰で、今助かってるぜぇ!」
「あっそ」
メツが煽ってくる。だったら...見せてない武器を使いたいとこだけど...。
そう思ってると、急に左腕にワイヤークローが出現する。確かバルバトスの武装だけど...これもブレイドになった影響なのかな...まあいいや。
「これで...殺しきる」
ワイヤークローをメツの腕に巻き付けて捕まえ、引き寄せる。その勢いが死なない内に、メイスを叩き込む。
「がぁっ!チッ...やってくれるじゃあねえか!三日月ぃ!」
「へぇ...まだ生きてる。しぶとい奴だな...」
バルバトスを使って一気に蹴りをつけたいけど、周りの人はまだ逃げ切れてないし、巻き込んで殺しちゃうかもしれないからな...周りの人は殺さないようにってなると、バルバトスを使うのは難しいな。それに、そもそもこの世界でバルバトスが使えるかどうかもわからない。
だったらやっぱり...このままやるしかない。
そう思いながら、メイスの横降りを思いっきり叩き込む。
「いいねぇその目...人の本性剥き出しの目だ」
「はぁ?」
メツが俺の攻撃を受け止めながら意味の分からないことを言い出す。
「人間ってのは破壊したがってるんだ。誰だって何かを破壊したがってる。お前だって...楽しんでるだろ、命を奪う事をなぁ!」
「似たような台詞、前も別の奴に言われたんだけど...っ!」
「ならそれがぁ!お前の本性って事だろう!」
「知らないよそんな事...それに、死んでいい奴を殺すのに加減なんて、いらない」
その言葉通り、加減無しの攻撃を叩き込み続ける。
こうしていれば、いつかはこいつを壊せる筈だ。
「おいおい...俺を忘れてねぇか、よっと!」
「っ!」
後ろから誰かの攻撃が来た。...ザンテツだ。ポッドの方は...一旦下ろしたみたいだな。
「おいザンテツ、助けなんざ求めちゃいねぇぜ?」
「メツにしちゃあ手こずってる様に見えたんでね。加勢するぜ」
「敵が増えた...面倒だな」
ブレイドはドライバーを殺せばコアに戻る。それは分かってるんだから、叩き潰すべき相手は変わらないけど...
「喰らいなっ!」
「っ...!」
メツがアーツを放ってくる。あれ、さっきより攻撃が重くなった...?
「あえて教えてやるぜ三日月、ドライバーってのはブレイドから力を送ってもらうことで、より力を発揮できるのさ!もうお前に勝ち目はねぇ!」
「それを決めるのはお前じゃないんだよ...!」
とは言っても状況が不利なのに変わりはない。どうしようか...って思ってると。
パン!パンパンッ!
「なっ!誰だ!」
銃弾が飛んできた。その発射源の方を見ると...
「俺か?俺は鉄華団団長...オルガ・イツカだぞ...!」
オルガがいた。よかった、やっぱり生きてたみたいだ。
「なんだと...あいつは確かにシンが殺った筈...チッ!ニアがあいつが死んだと言ってたのは冗談じゃなかったって訳か!」
「そういうことだ。さて...レックスを殺した件の落とし前、きっちりつけてもらうぜ?」
「調子に乗るんじゃねぇ...!何度でも蘇るってんなら、蘇る気もなくなるくらいいたぶってやらぁ!」
ドライバーとブレイドが揃った。これで条件は対等だ。
「さぁ...反撃開始と行こうかぁ!!」
ようやく戦闘シーンですね。ちなみにオルガがどうしてしばらく寝てたのかとかは次回に回します