まどほむ百合短編集   作:夜嶺

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ーあらすじー


ワルプルギスの夜との戦いを前にした私たち四人とほむらちゃんの仲は最悪の状態だった。


なんとかほむらちゃんと他のみんなの関係良くしたい。私がそう考えてた時に偶然にも一冊のノートを見つける。


そのノートには、ほむらちゃんのこれまでの戦いに日々を綴っている、一冊のとても悲しい日記だった。


ほむらちゃんの日記

「ここで待ってなさい、私は少し用事があるから」

 

その長い黒髪がとても似合う美人なほむらちゃんはクールでカッコよくて、勉強やスポーツも凄くできる、まさに絵に描いたような天才とも呼べる女の子。

 

でも今さやかちゃんとマミさん、そして杏子ちゃんとはちょっとだけ仲が悪い。

 

「うん……わかったよ……ほむらちゃん……」

 

誰も私に近寄るなと言わんばかりの冷たくて鋭い目線に少しだけ怖がる私は鹿目まどか、見滝原中学校の二年生。

 

実は私はほむらちゃんの事が好きでいた。

 

それは友達同士の友情という意味じゃなくて、恋愛という意味で。

 

一般的に同性愛とかレズビアンとかで言われる方の気持ちを、ほむらちゃんに抱いていた。

 

(さやかちゃん達と比べると、明らかに違うこの気持ち…………私はほむらちゃんを…………)

 

ほむらちゃんが転校してくる前に、私は夢でほむらちゃんの事を知った。

 

夢の中のほむらちゃんは、とても大きな怪物…………たぶんワルプルギスの夜っていう魔女と一人で戦い続けて、ボロボロに傷だらけになっていった。

 

私はそんなほむらちゃんを見ている事しか出来なくて、何もできないまま夢は終わる。

 

そんな夢を見たときから、私はほむらちゃんに対して特別な気持ちを抱くようになっていたんだと今なら分かった。

 

 

「ほんっと、相変わらず感じ悪いね」

 

少しイライラしているかのような口調で言う、私と同じクラスのさやかちゃん。

 

さやかちゃんはほむらちゃんの事がすごく嫌いみたいで、私にもほむらちゃんとは関わるなって言ってくる。

 

それに名前じゃなくて、転校生っていう呼び方しかしない。

 

 

「ワルプルギスの夜を倒したいという気持ちは本当みたいだけど、でも手の内を全く見せないし……あまり信用できないわね」

 

私やよりも一つ年上のマミさんも、さやかちゃん程じゃないけど、ほむらちゃんの事があまり好きじゃないみたい。

 

ほむらちゃんに対して、いつも警戒するような鋭い目線を送っている。

 

 

「まあ……所詮は利害が一致してるだけの関係だし、そこまで言ってもしょうがないだろ」

 

今までにも似たような経験があったのか、二人に比べて一番ほむらちゃんと友好的に接してくれるのが杏子ちゃん。

 

でも友好的と言っても、あくまでも仕事仲間みたいな感じだった。

 

 

 

(はぁ……もっとほむらちゃんと仲良くしたいな……)

 

多分だけど、一番私がほむらちゃんと仲良しだと思う。

 

あんまり喋る事はないし、むしろ遠ざけられてるような感じだけど……。

 

(でも、みんなほむらちゃんの事を誤解してるよ……ほむらちゃんは絶対に悪い子なんかじゃない……)

 

私はほむらちゃんの事を何も知らないけど、間違いのない一つの確信があった。

 

ほむらちゃんはみんなが思っているような、悪い魔法少女なんかじゃないと。

 

確かにほむらちゃんはいつも怖いし、何を考えているかよく分からないよ。

 

でもほむらちゃんの目を見てれば悪い子じゃないとハッキリ分かった。

 

ほむらちゃんはいつも怖い目をしているように見えるけど、よく見れば凄く悲しそうな目をしてる。

 

すぐに泣き出してしまいそうな、すぐに壊れてしまいそうな悲しくて辛そうな目にしか私には見えなかった。

 

 

「…………これって転校生のメモ帳?」

 

そんな事を私が考えていると、さやかちゃんがタイトルにメモ帳と書いてある一冊のノートだった。

 

「何書いてるのかなーって、これ……」

 

「なあ、これ日記じゃないか?」

 

さやかちゃんがめくってみると、そのページには日付けとか書いてあってメモ帳には見えない。杏子ちゃんの言う通り、普通の日記みたいだった。

 

「別にメモ帳じゃないみたいだし…………せっかくだし読んでみましょうか」

 

(人の日記を勝手に読んでもいいのかな……?)

 

あまり人の日記って読むのは良くなさそうだけど、でも私は指摘する事なく、ほむらちゃんには悪いけど読む事に賛成した。

 

もしかしたら、ほむらちゃんともっと仲良くなるキッカケを作れるかもしれないから。

 

 

『○月△日、今日から新しい学校に転校する事になったけど、ずっと入院ばかりだったから上手く人付き合いできるか心配…………でも心臓病なんかに負けたくないし、せっかく新しい学校に行くんだから頑張りたい!』

 

 

(ほむらちゃんの日記のはずなのに……なんだか凄く違和感がある……)

 

まず第一印象としては、今のほむらちゃんからは考えられないほど明るい内容だった。

 

「……ずいぶん性格が明るいわね」

 

「……今とは大違いだな」

 

でも普段みんなの前では冷たいけど、内心は実は普通の女の子らしい事を考えていたのかもしれない。

 

「なんというか今の転校生にしては別人…………いや埃被ってるし、もしや小学生の頃とか……?」

 

さやかちゃんの言う通り、年数は書いてないけど、日記自体は少し古ぼけてて埃をちょっと被ってたから、もしかしたら性格が変わる前の昔の日記帳かもしれない。

 

 

『○月△日、転校したのはいいけど病弱な身体が原因で走ってもすぐ貧血になっちゃうし……出された問題も全然わからないし……何だか学校が嫌になっちゃうけど、でもこんな私にも優しくしてくれた鹿目さんっていう友達も出来た!…………でももう友達って言っていいのかな?』

 

 

「まどかと同じ名前……って当たり前か。やっぱり間違いなく転校生の日記だよねコレ」

 

「暁美さんって学年トップクラスの学力と聞いていたのだけれど……」

 

「ほむらちゃんは勉強も凄く出来る子です、病気だって思わせないぐらいスポーツも出来てますし……」

 

正直、この日記がほむらちゃんの物なのかも怪しくなってきた。

 

今のほむらちゃんとは正反対の事を、この日記は示しているんだから。

 

 

『○月△日、昨日は魔女って言う怖い生き物と出会った、そして魔法少女とか変な事に巻き込まれたけど鹿目さんが私を守ってくれた!とてもかっこよかった!あと巴さんって言う魔法少女の人と友達になれた!とても嬉しかった!』

 

 

(私が……ほむらちゃんを守った……?それにマミさんといつ友達に……?)

 

 

「いや何で昨日の事を今日書いてんだよ。というか嬉しさのあまり全部箇条書きじゃねーか」

 

杏子ちゃんがツッコミをいれるけど、今はそんな事は私の頭に入ってこない。

 

「暁美さんは何の事を書いてるの…………」

 

この日記に書かれてる内容が私にもマミさんにも理解できなかった。

 

「まるで転校生とは別人、なんか頭が混乱してきた……」

 

今までの日記をまとめるなら、ほむらちゃんは学校では勉強もスポーツも全く出来なくて、しかも私とマミさんが魔女からほむらちゃんも守って、しかもほむらちゃんは魔女の事とかを知らない。

 

 

『○月△日、今日はまた保健室に行った……やっぱり私はドジだよね……せっかく鹿目さんにほむらって名前はかっこいいって言われたのに……』

 

 

だけど、この日記はどう考えても私たちの事を言ってる。別人とかではなさそうだった。

 

 

 

『○月△日……』

 

 

「ん?このページ日付けとんでない?」

 

さやかちゃんのいう通り、日付は一週間ほど飛んでいるようだった。

 

 

 

『○月△日……久しぶりに日記を書くけど、最近はいろいろな事があった……魔女はどんどん出てくるし、鹿目さんと巴さんは毎日魔女を倒してるからとても凄いって思う。もし私も魔法少女になれば、今の弱い自分を変えられるのかな?』

 

(まるで、今の私みたい……でも魔法少女になればって……??)

 

私は勉強もスポーツも秀でてるわけじゃないし、さやかちゃんのように面白い人間でもない。

 

だから魔法少女になったら、それをキッカケに少しずつ今の何もない自分を変えられるかもって思ってたけど、でも今のほむらちゃんは魔法少女で…………何なのこの日記……?

 

 

『○月△日……』

 

 

「日付けが戻ってるな」

 

そのページには転校してきた時の日付けだった。

 

「転校生は、何て書いてあるの?」

 

 

『○月△日、巴さんが死んで、鹿目さんも死んじゃった……せっかくお友達になれたのに……でも私も魔法少女になれた!これでもう一回やり直す。鹿目さんを守るために、今までの自分を変えるんだから』

 

 

「これって……まさか暁美さん時間を戻してたの!?」

 

 

 

「これが転校生の魔法……?」

 

 

『○月△日、今日から私の特訓スタートり私はあまり才能がなくて武器が作れない。出来るのは時間を止めたり時間を戻したりする事だけ……でも鹿目さんと一緒ならきっと頑張れる』

 

 

(もしかして、ほむらちゃんは何回も繰り返してるんじゃ?)

 

私はだんだん不安になる。でもその不安は的中する事になる。

 

 

『○月△日……』

 

 

「また日付けがとんでるな」

 

 

『○月△日、鹿目さんが魔女になった……』

 

 

「確か、このまえ美樹さんのソウルジェムの件でQBが言ってたわね……」

 

私たちはこの間、さやかちゃんのソウルジェムを私が捨ててしまった時に、魔法少女の辛い真実を知ったばかりだった。

 

「さやか、続きは何て書いてあるんだ?」

 

 

『鹿目さんが魔女になった……知らなかった、魔法少女の最後が魔女になるなんて。みんな騙されてる、私が教えてあげないと、そして鹿目さんを今度こそ救うんだ』

 

 

「ほむらちゃんは…………何度も時間を繰り返して…………」

 

 

 

「……とにかく続きを見てみましょう」

 

マミさんの言うとおり、ページをめくる。

 

『○月△日、今日は始めて人の物を盗んだ……美樹さんが戦いやすくするためにも、あまり爆発はやめといた方がいいし、鹿目さんのためにも、手段は選んでおけない……』

 

確か接近戦で戦うさやかちゃんが、爆発物を扱うほむらちゃんに何かの文句を言ってたけ?と思い出しつつもページを急いでめくった。

 

『○月△日、中々魔女の事を信じてもらえない……それどころか仲が悪くなってきてる……仲良くしたいのに、私って何でこんなに下手なんだろ……』

 

「また日付けが戻ってるよ……」

 

そう言いつつ、さやかちゃんはすぐにページをめくる。私たちは次第に日記の内容を見るのが怖くなっていた。

 

『○月△日、今日は今までで一番最悪の日……美樹さんが魔女になった、そして真実を知った巴さんは佐倉さんを殺して、私を殺そうとしたけど、鹿目さんが助けてくれた。三人も仲間を失ってとてもとても最悪だ……』

 

「「…………」」

 

『○月△日、今日はいよいよあの日、ワルプルギスの夜を倒す日だ。』

 

「まさかと思っていたけど、やっぱりこの時間を何度も繰り返していたのね……」

 

マミさんの言うとおり、ほむらちゃんはこの時間を繰り返している。

 

それも一回や二回じゃないらしい。

 

 

 

『○月△日……』

 

「また日付けが元に戻ってる……」

 

(これで三回目、また私死んじゃったんだ……)

 

 

 

『○月△日、また魔女になった……でもあの子は最後にこう言った、馬鹿な私を助けてと……もちろん救ってみせると約束をした……そして分かった、私はあの子の友達じゃないと……あの子の願いを叶えるためにはこんな弱い自分なんていらない…………友達じゃなくていい、私はこれからあの子の願いを叶えるための戦いの道具になる。例え永遠の迷路を彷徨ってでも、必ず約束を果たす……』

 

 

どんどん口調が変わっていく。それだけでなく、日記に書かれてる文章も殴り書きのように荒くなっていた。それはまるで、ほむらちゃんのそれまでの辛さや悲しさを代弁するように。

 

 

『○月△日、私は翌日、今までつけていた眼鏡とリボン捨てた。視力を魔法で治して、三つ編みからロングに変えて、弱い自分を変える…………あの子を救うために、まどかとの約束を叶えるまで何度でも永遠に繰り返す……もうまどかを魔法少女にはさせない……戦うのは私だけでいい……全ての魔女は私が倒す……私はもう人の心を捨てる……全てはまどかのために…………』

 

「次のページから、ワルプルギスとかいろんな魔女の事を書いてるよ……」

 

さやかちゃんが悲しそうに言う。ここで日記は終わってた。

 

「…………アイツ……」

 

杏子ちゃんは何も言えない。一番友好的に接していたと言っても、悪い部分を思うとこはあったみたいだった。

 

「たくさん迷惑をかけてわね…………」

 

マミさんは今にも泣きそうな顔で言う…………でも私自身は…………。

 

「ヒッグ…………うぅ………………」

 

ほむらちゃんを一番苦しめてた私は、もう涙が止まらなかった。

 

私がそんなワガママ言ったから……ほむらちゃんをこの一ヶ月に閉じ込めてしまった……。ほむらちゃんの未来を奪ってしまった。

 

 

「待たせたわね」

 

 

その時、用事も終えたほむらちゃんが戻ってくる。

 

 

「ごめんね……ごめんね……ほむらちゃん…………」

 

「転校生……いやほむら!ほんっとにごめん!」

 

「暁美さん…………今までごめんなさい!私たみち……暁美さんに何て酷い事を……」

 

「ほむら……アンタ苦労してきたんだな……」

 

私たちはすぐさま、ほむらちゃんに同時に謝っていた。

 

何度も繰り返して、何度もボロボロになって、何度も裏切られて…………。

 

それだけの辛い事があったなら、性格なんて悪く変わってしまうに決まってる。ほむらちゃんは性格も自分自身も変わってしまうほど、ずっと戦い続けさせられてたのだから……。

 

 

 

「…………はぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、私たちは今までの冷たい態度を何度も謝ったけどほむらちゃんは別にいいと一言で終わらせた。

 

 

 

 

 

 

 

それからまたしばらく経ち、ワルプルギスの夜は無事に倒せて、もしかしたら昔の性格みたいに少し明るくなるかもって思ってたけど、ほむらちゃんはまだ暗い性格のままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それからまたまたしばらく経ち、ほむらちゃんが少しずつだけど昔の優しさをに取り戻し、私と恋人になる話しはまた別のお話し。

 

 

 

 

ーENDー




以前に投稿した物を大幅に訂正しました。

そもそも前の時間軸の物は次の時間軸に持っていけないと思うのですが、その辺りの設定は少し曖昧な感じにしてます。
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