あまり長くないです。
こんばんわ。私は見滝原中の二年生、鹿目まどかです。
今日はほむらちゃん、マミさん、さやかちゃんに杏子ちゃん、そして私の五人でほむらちゃんの家にいます。
明日はほむらちゃんの言うワルプルギスの夜って魔女がこの町を襲う日だから、泊まり込みで作戦会議だって。
そして私はこの一ヶ月でいろいろな事を知った。
魔法少女と魔女、希望と絶望、そして私の魔法少女に対する素質や魔法少女の怖い真実。
本当にいろいろな事を私は知ったと思う。
中でも・・・
「ほむらちゃん、ご飯出来たみたいだよ」
私はずっとほむらちゃんが気になっている。
ほむらちゃんが転校してくる前に私は夢を見た。
町がめちゃくちゃに破壊されていて、たった一人で大きな魔女・・・ワルプルギスの夜と戦うほむらちゃんの夢。
「遠慮しておくわ」
綺麗な黒髪で憧れる程の冷静な女の子。私はほむらちゃんが気になっていた。
これが恋なのかな。
さやかちゃんみたいな友達っていう感じじゃない。友達よりも親密に・・・。パパとママみたいなキスとかする関係になりたいって考えてしまう。
「でも、みんな待ってるよ?」
「私は明日に備えて忙しいの」
何かの計算式が書かれた紙を見たり、この町の地図とにらめっこしている。
ほむらちゃんは怒ったりもしないで泣いたりもしない。まるで心の無いお人形みたいにからっぽの言葉を喋って、いつも無表情でいた。
「貴方だけ行けばいいわ」
「だけど・・・」
みんなと仲良くしない。うっとおしそうな、道具を扱うような態度でみんなと接している。
ただ私に接する態度は違う。ほむらちゃんは私を中心に動いてくれて、私に何かあるとすぐに駆けつけてくれる。
「貴方は私に合わせようとせずに自分の事だけを考えていればいい。その権利はある」
前にほむらちゃんから自分の戦う理由を聞かせてもらった。
未来で私はワルプルギスの夜と戦って死んだらしい。
だからほむらちゃんは契約して過去に戻ったけど私が魔女になったり、さやかちゃんが魔女なったのをきっかけにマミさんが錯乱して杏子ちゃんを殺したりしたって聞いた。
「きっと未来の私だって・・・そんなこと言わないよ・・・」
「貴方の意思なんて関係ない。貴方は私に守られればそれでいいのよ」
ほむらちゃんは未来の私と約束したらしい。キュゥべえに騙される前の私を助けてほしいって・・・
だからほむらちゃんは永遠に戦い続ける。明日負けても、また時間を巻き戻してほむらちゃんは約束を果たすために戦い続けるんだと思う。
つまり私はほむらちゃんを同じ一ヶ月間に閉じ込めて、ほむらちゃんの未来を奪って、ほむらちゃんから幸せを奪った最低な人間。
でも私のために戦ってくれてる事を聞いて、私はもっとほむらちゃんが気になり始めた。
もう私はほむらちゃんに恋してるんだね・・・
「もっと自分を大切にしてよ・・・」
私はほむらちゃんに戦いを押し付けた罪悪感と私のために戦ってくれて嬉しいっていう気持ちがあって、矛盾している。
だけど、今の私にはどうしようもない。
「貴方こそ自分を大切にしなさい。貴方は誰よりも強い素質を持っていて、誰よりも危険が迫っている」
「一番危ないのはほむらちゃんだよ・・・。私のわがままでずっと戦わせているんだから・・・」
「貴方はわがままじゃない。わがままなのはあの三人よ」
ほむらちゃんはこんな時も一切表情を変えずに目線もずっと紙とか地図に向いている。
「みんな喧嘩してる時もあったけど、でも今は・・・」
マミさんとさやかちゃんは最初、杏子ちゃんと喧嘩していた。中でもさやかちゃんは上条くんや仁美ちゃんの事で魔女になりかけたから大変だった。
「誰よりも繊細な心を持っていながら貴方を魔法少女にしようとし、挙げ句の果てに真実を受け止められない巴マミ」
「幼馴染みを親友に取られそうだからという下らない理由で、貴方を巻き込み勝手に絶望する美樹さやか」
「無駄な同情で冷静な判断が出来ずに貴方を危険な幾度なく目に合わし、さらには美樹さやかの慣れ果てと心中しようとする佐倉杏子」
ほむらちゃんの口調が少し変わった。その口調には怒りが込められているのか、まるでみんなを見下しているような感じがする。
そして全部私の事を思っていてくれた。
「誰一人未来を信じなければ希望すら求めない。救いようもない愚か者よ、あの三人は」
ほむらちゃんは冷たく言う。そして私は考えてしまう、ひょっとしたらほむらちゃんをこういう性格にしたのは私なんじゃないかなって。
人間とは思えないぐらいほむらちゃんは感情が薄いから考えれば考える程、私のした間違いを思い知らされる。
「ほむらちゃん・・・」
私はほむらちゃんに言ってあげる言葉が分からない。
契約したらほむらちゃんを苦しめてしまうし、契約しなくても私が役が立つ事なんてない。
「分かったら行きなさい。巴マミが待ってるわ」
「ほむらちゃんも行こう?」
やっぱり放って置くわけにはいかない。こんな時にギクシャクしていたら勝てる戦いも勝てなくなる。
そのギクシャクを解決するには、みんなと触れ合う事が大切じゃないかな。
「言ったはずよ、私は忙しいと」
ほむらちゃんはまだ私と目を合わせてくれない。ワルプルギスの夜を倒す事がほむらちゃんの目的みたいだし、もし倒したらほむらちゃんは私の事なんてどうでもよくなるのかなって不安になる。
「私を守ってくれるのは嬉しいけど・・・私はほむらちゃんと一緒じゃないと嫌だよ・・・」
私は目に涙を浮かべる。
守ってもらうんだから、こういうのはわがままかもしれない。
わがままなのは分かってるけど自分の気持ちを抑えられない。私はほむらちゃんと一緒にいたいし仲良く話しもしたい。
もちろん叶うならキスだって。
「貴方には私に代わる友達なんてたくさんいるじゃない」
ほむらちゃんは自分自身の事なんてどうでも良さそうだった。今の言葉も全然寂しそうじゃないし、自分を大切にしていない。
「でもほむらちゃんは一人しかいないよ・・・」
「私は貴方と違う時間を生きている人間。体も普通じゃないなら中身だって普通じゃない」
きっとその中身っていうのは自分の性格とか心とか感情の事だと思う。
「だから私といくら仲良くしたくても心はすれ違う。貴方と私は一緒にはいられない」
違う時間を生きている人間同士は決して仲良くなれないってほむらちゃんは言いたいんだと思う。もしそれが決まりなら、私は嫌だ。
だっていくら時間を繰り返していても、ほむらちゃんは私を救おうと思い続けているし、私はいつもほむらちゃんの事を思っている。
「時間なんて関係ないよ・・・だって・・・だって・・・」
私は目から涙を流す。泣かないように堪えてたけど、もう限界だった。
生きている時間は違うかもしれない。だけど私とほむらちゃんは今ここにいるんだから、そんなのは関係ないと思う。ちゃんと触る事も出来るし話す事だって出来るから。
「貴方自身のためにも私と関わるべきじゃない」
ほむらちゃんはまだ私の方を振り向かない。私が泣いていても関係ないような顔をしてる。
「ほむらちゃんは私の事が嫌いなの・・・?」
「もちろん好きよ。あの三人とは比べれないぐらいにね」
「ならもっと一緒にいようよ・・・」
他のみんなよりは好かれているけれど、それは未来の私の事なんじゃないかな?今の時間の私なんてほむらちゃんは興味ないのかな?
こういう考えや不安がさらに私の頭をよぎり、それは私が流す涙を増やした。
「一緒にいてもその関係はどうせリセットされ、最悪敵にもなりかねない」
どんなに仲良くしてても時間を巻き戻せば私はほむらちゃんの事を忘れて、ただの転校生としか認識しなくなる。
もし昨日までキスするような関係だったのに明日いきなり赤の他人とか敵になってたら、私だったら辛くて耐えられない。
例えただの友達で巻き戻したとしても次の日にはただの他人になってるんだから、ほむらちゃんはそうとう辛い思いをしてる。
「私が・・・そんなお願いをしなければ・・・」
やっぱり私のお願いはほむらちゃんに悪影響ばっかり。もし未来の私がほむらちゃんの苦労を知ったら、こんなお願いなんてしない。したくない。
後先の事を考えず、自分の事しか考えなてないお願いをしたなんて私は後悔し続ける。
「もう行きなさい。私と一緒にいても楽しくないわ」
私は泣き続けている。だから私を気遣ってくれたのかな?ほむらちゃんはやっぱり私を思って言ってくれる。
でも自分を否定し過ぎだよ。私はほむらちゃんと一緒にいればすごく楽しいのに。
「・・・ほむらちゃん」
さっきほむらちゃんは私と一緒にいても楽しくないって言った。その言葉で私の何かにスイッチが入る。
「・・・こっち向いて」
私はほむらちゃんの両頬を掴むと強引に私の顔に近づけてキスをさせた。
「まどか・・・?」
嫌がられるかなって不安だったけど、ほむらちゃんは抵抗しなかった。
キスの時間は本の数秒。私にとってはドキドキのし過ぎと恥ずかしい思いですごく長く感じる。
「ほむらちゃんは私の初恋の相手なんだよ?それにほむらちゃんと一緒にいるだけで幸せ・・・」
私はそう言うとまたほむらちゃんにキスをして、そのまま強引に押し倒した。
もう一回スイッチが入ったから自分でもやめられない。このまま嫌がられるまで続けたかった。
「貴方・・・」
「認めてほしいの、私にはほむらちゃんが必要だって」
もしほむらちゃんがいない日々なんて私には辛すぎる。
それに私にはほむらちゃんが必要だって事を認めさせれば自分を否定しないだろうし、時間を繰り返した辛さだって・・・きっと忘れられる。
「・・・私はワルプルギスの夜を倒さないといけない」
ほむらちゃんは私がキスしてもワルプルギスの夜の事だけを考えているみたい。
「もっと私たちの事を見てよ・・・今度は必ず大丈夫だから・・・」
私も含めてほむらちゃんの目にはみんなが邪魔に写ってると思う。
そもそも私が契約するからほむらちゃんは苦労しているし信用されてないかも・・・
「そうね。今度こそは必ず平気よ」
ずっと見ていて気づいたことがある。
ほむらちゃんは私のためなら決して諦めない。例え自分を傷つけて、みんなを利用して嫌われても、ほむらちゃんは諦めない。
「ならもっと私たちを・・・私を・・・」
ほむらちゃんは希望を求めている。それに私を救えなかったって諦める事は魔女になる事と同じ。
だからほむらちゃんには逃げるって選択肢は無い。戦い続けるという選択肢しか無い。いくら戦いたくなくても、いくら逃げたくても、それは死へと繋がる。
「貴方を救う。そして貴方は幸せに生きる。それだけよ」
きっと今は何を言ってもほむらちゃんには届かない。ワルプルギスの夜を倒してからじゃないと、ほむらちゃんは他の事を考える余裕なんて無いと思う。
「ほむらちゃん、私を見て?」
私はまたほむらちゃんにキスをする。今度はより強く唇を押し当てた。
「んっ・・・」
私は貪るようにキスをしている。
「ワルプルギスの夜を倒したら、ほむらちゃんは何したい?」
「・・・」
ほむらちゃんは何も答えない。気のせいかな、少し顔が赤くなっている。
「私からもう一つのお願い、ワルプルギスの夜を倒したら私やみんなと一緒に仲良くいてほしいの・・・」
「・・・・・・」
ほむらちゃんは表情は変えないし返事もしないけど、ほむらちゃんが私のお願いをどういう風に考えているのかは分からない。
いきなり仲良くなんて無理かもしれないけど、マミさんたちはほむらちゃんと仲良くしたがってるし、きっと大丈夫。
「それと・・・私を愛してくれる?」
「ええ」
今度は返事をしてくれた。それも少しだけど表情が緩んでいた。
もう私たちは恋人なのかな、キスとかイケないこともしていいのかな、そういう事を考えてしまうけど、今はほむらちゃんの笑顔が見たい。
そのためにも明日ワルプルギスの夜を倒したらたくさん、ほむらちゃんを抱きしめて優しくしてあげたかった。
今まで数えるのを諦めるぐらい時間を繰り返した分まで、精一杯ほむらちゃんを愛したい。
これが私の小さな願いだった。
「鹿目さん、やけに遅いと思ったら・・・」
「隅に置けないな、まどかも転校生も~」
「まあ、こうなるのは前々から分かってたけどな」
(今さら言葉にして説くまでもない。暁美ほむら、見届けてあげようじゃないか君の結末を。君の結末は決められているんだよ、君ではこの連鎖は断ち切れない。君のやっている事は無意味なんだ。それなのにまだ彼女を前にして戦い続けるなんて・・・)
「わけがわからないよ」
ー終ー
何年たっても、やっぱりまどほむまどサイコー