最終話改変、ワルプルギスの夜VS暁美ほむら。
一部設定の捏造あり、ゲーム版要素あり、大袈裟な過剰演出ありです。
幸せな希望の囀りへ
鹿目まどか。
あの子はいつだって希望だった。
全ての魔法少女……そして私にとっての……
たった一つの道しるべで……最後に残された希望……
「アーハッハッハッハッ!!!!!」
だけど、その希望を絶望に塗り替える存在がいる。そいつは見下すかのように、馬鹿にしてるかのように私の信じていた希望を次々に打ち壊していった。
「今度こそ……必ず……」
目の前に残酷だけども美しい炎の火柱が立ち上る。一体どれだけの建物が壊れたのかしら。もしかしたら避難所にいた市民もいて死んだかもしれない。
「キャハッハッハッハッ!!!!!」
でもアイツはただ平然と笑うだけだった。まるで私を嘲笑うかのように。
(負けない……!)
私は絶望に向かって駆け出す。でも一緒について来てくれる仲間はいない。
「アーハッハッハッハッ!!!!!」
ある仲間は……本当は一人になるのが寂しいのに、憧れて頼りになる先輩のままでいようとして死んでいった。
「っ!!」
ある仲間は……町も友も全てを守る正義の味方になろうとして、自らの悲惨な運命と戦って死んでいった。
「アーハッハッハッハッ!!!!!」
「くっ……」
ある仲間は……自分だけの為に戦うと決めたのに優しさを捨てきれず、大切な友と運命を共にして死んでいった。
「アーハッハッハッハッ!!!!!キャッハッハッハッハッ!!!!!」
大量の爆弾を受けてもアイツは倒れない。「効かない」「無駄だ」と言わんばかりに笑い続ける。
「……!」
私は時間を止めると同時に盾から、すっかりうち慣れてしまったRPGを大量に取り出し順番に撃って行く。
「ウフフ…………キャッハッハッハッハッ!!!!!」
同じようにアイツは倒れない。例え今すぐに倒せなくてもダメージを溜めていけば必ず倒せる。一つ一つ、全ての武器を確実に命中させていけば……。
「アーハッハッハッハッ!!!!!」
人形のオモチャを扱うように私を攻撃してくる。当然私は次々と避けていくが、まるで遊ばれているようだった。
「っ!」
再び時間を止めてタンクローリーを近くまで飛ばし、起爆装置と共に時間を解除した。
「アーハッハッハッハッ!!!!!」
「はっ……!?」
巨大な爆発が起こるが、アイツはただ馬鹿にしているかのように嘲笑っているだけ。そして気を取られた隙に背後からビルを複数叩きつけられる。
(私は……まだ負けない……)
ビルを叩きつけられ、私は乱暴に地面へと落下する。アイツと私との力の差は歴然だった。戦闘が始まってから数十分しか経っていないのに既に私はボロボロで武器も半数を使っている。
「ウフフ…………アーハッハッハッハッ!!!!!!」
私はフラつきながらも懸命に立ち上がる。アイツはボロボロの私を見て笑っているだけだった。数多の世界で私を嘲笑い、大切な人を奪っていった絶望の存在。その絶望を打ち砕くなら、どんな犠牲を払ってでも構わない。
(いつもそうやって……笑っていられると思わないで……)
私は再び時間を止めて盾から一回り大きなミサイルを取り出し、それをアイツの真上まで運ぶと盾から他のミサイルを数十発ばら撒きながら飛び降りた。
時間を解除すると同時に今までで一番大きな爆発が起こり、地獄と思わせる巨大な炎の柱は私もろとも全てを吹き飛ばす。
その炎は建物、植物、私、ワルプルギスの夜、全てをその場から吹き飛ばしていった。
酷い光景だった。町の半分は焼かれ、建物は崩れ落ち、植物は焼け去った。
私の体も満身創痍の状態、傷口はもはや数え切れず多数の火傷を負っていただけではなく時間を止めれるのはあと僅か。
「……アハハ…………ウフフ…………アーハッハッハッハッ!!!!!!!!!!」
「あと……もう少しで…………」
そして流石に今のミサイル群が効いたのか、身に纏うドレスはボロボロのワルプルギスの夜が炎の中で笑っていた。しかし様子がおかしい。
「アーハッハッハッハッ!!!!!!!!!!アーハッハッハッハッ!!!!!!!!!!」
自分の舞台が思うように進まなかった事に業を煮やしたのか、狂ったかのように笑い叫んでいる。
「やっと本気を出したのね……」
笑い叫ぶアイツの体は回転をし始めた。逆さまになっていた体が徐々に上へと回転を始め……そして…………。
「うっ……!」
「キャッハッハッハッハッ!!!!!!!!!」
回転が終わると同時に辺りをとても強い暴風が襲う。しっかり踏ん張っていないと体が吹き飛ばされそうで、一般人なら体が引き裂かれるかもしれない。
ワルプルギスの夜が元の位置に戻った時こそがアイツの本気、その戦闘力は現実世界をひっくり返すとも言われる。つまり、アイツが本気を出さなければいけないほど追い詰めたということ。
「アーハッハッハッハッ!!!!!!!!!!」
何か号令をかけるように笑い出したと思ったら、私の目の前で見覚えのある人の形をした四つの何かが形成されていく。
「……」
黄色の衣装に身を包み華麗な姿を見せる少女、巴マミ。
「……」
真っ白な白いマントを翻す正義の味方、美樹さやか。
「……」
赤を基調とした服に勇敢な姿に見える、佐倉杏子。
「……」
そしてピンクの可愛らしい衣装で、見る者を明るく元気にさせる、全ての魔法少女の希望である鹿目まどか。
どこからどう見ても本物の彼女たちにしか見えなくて、とても使い魔には見えない。アイツは私のよく知る者たちを自身の舞台に登場させたらしい。
「「「……」」」
それだけでは無い。彼女たちを登場させた後、アイツは地平線を埋め尽くすおびただしい数の使い魔を登場させてきた。
それは数十体という規模では無く、数千……数万体にも及ぶ使い魔の大群が、ユラユラと揺れ動く炎の中で徐々に接近している。
「「「…………」」」
「アーハッハッハッハッ!!!!!!!!!!」
私の目の前には数万体の使い魔、そして今はもういない仲間たちの偽者、それに……大切なあの子の偽者に私を嘲笑い続けるワルプルギスの夜。
「これが……これが絶望……」
一人VS数万体。
力の差が歴然だった。アイツの使い魔は一体一体が通常の魔女に匹敵するのに、それが数万体。さらに偽者とはいえ、おそらく強さもコピーしたと思われるあの四人。
でも私はまだ運がいい。幸いにもまどかから感じる魔力はこの時間軸のまどかよりもだいぶ低い。
最初ら辺の時間軸と同じぐらいだった。
(また強くなってる……)
時間を繰り返すたびにまどかが強くなっていったと同じようにワルプルギスの夜も強くなっている。現段階でここまで強くなったのなら、ここで倒せないと後先に倒せるとは…………
「一人ぼっちにならないで……」
「っ…………」
その声はまどかにそっくりだった。口調も何もかもそっくりで、それが逆に辛い……。
「アーハッハッハッハッ!!!!!!!」
アイツの笑い声で現実に戻される。しかしその時には遅かった。
「シューティングスティンガー!」
「編み込み結界!」
美樹さやかの持つ剣の刃の部分が射出され、佐倉杏子が作り出した結界の中に吸収されたと思うと、赤い鎖のついた刃が私を目掛けて向かってきた。
「こんな技……」
私は刃を次々と避けていくが追尾性があるのか、私を追いかけてくる。
「行くわよ鹿目さん!」
「はい!」
「「ティロ・デュエット!!」」
まどかの弓と巴マミの銃から繰り出される合体技が私に目掛けて繰り出された。
「……ちっ」
私は盾で二人の攻撃を防ぐが他方向から美樹さやかと佐倉杏子の合体技が迫ってきていた。
「うっ……!」
盾では防ぎ切っても全ての刃は防ぎ切れずに体の数カ所を串刺しにされる。
「今だ!」
美樹さやかが叫んだと思うと串刺しにしていた剣が一斉に爆発して、私を肉ごと抉った。
(うぅ……こんな技……見たこと……)
これでコイツラがただのコピーじゃない事が分かった。さっき彼女たちが繰り出した技を私は見た覚えがない。
他の時間軸には存在しない技で、見事に連携が取れている。だから彼女たちの攻撃パターンも知り尽くしていても、これでは太刀打ちできない。
「はっ!」
巴マミが高く跳躍したと思うと彼女の周りに大量の銃が召喚され、それらが一斉に火を吹いた。
「……!」
私はすぐさま立ち上がり時間を止めてから盾から大型の銃を取り出して、巴マミの銃と対抗するように撃っていく。
「……!」
弾丸が切れるまで撃ち終えると再び私は跳躍して爆弾をばら撒いて時間を動かす。
「っ……」
「しまった!」
「くそ……!」
辺りを爆発が襲い、三人を吹き飛ばす。そして巴マミから撃たれた弾丸が数発私の体を撃ち抜くも私の撃った弾丸が巴マミを数カ所だけ撃ち抜き、彼女を地面に叩きつける。
「負けるかぁ!」
マントを盾代わりに爆弾を凌いだのか、炎の中から美樹さやかか勢いよく剣を構えて突進してきた。
「……」
私は再び時間を止めて美樹さやかに近づき、盾から日本刀を取り出し、剣を構えていた右腕を切り落とそうと日本刀を振るいながら時間を動かした。
「あうっ……!」
時間を動かすと同時に美樹さやかの右腕は私に切り落とされて無様に中を舞い、彼女は滑り込むように地面に叩きつけられた。
「おらっ!」
「……」
途端に、佐倉杏子が槍で突き刺そうと突進してくるが私は日本刀を彼女に向けて投げ、腹部から串刺しにして地面に叩きつけた。
「なに……」
倒れこむ佐倉杏子を見届けると私の今いる地面が盛り上がるようにして爆発する。
「ほむらちゃん……もう一人にならないで……」
爆発によって地面に叩きつけられ、振り返ってみると弓を構えたまどかが立っていた。
「暁美さん……もう一人で苦しまないで……」
体の数カ所から血を流した巴マミが悲しそうな瞳で私を見つめる。
「あんたはもう……一人じゃない……」
右腕を切られてもなお立ち上がる美樹さやかも悲しそうな瞳で私を見つめていた。
「もうあんたにだって……仲間はいる……」
腹部に突き刺さった刀を抜く佐倉杏子も悲しそうな瞳で私を見つめている。
「亡霊め…………」
使い魔なのにそうは見えない彼女たちに向けてそう粒やいた。その悲しそうな瞳も声も私は知っている。
いつだって彼女たちは未来を受け止めず希望を信じなかった。なのにいつも仲間を信じては裏切られ、絶望し、まどかを苦しめる。
(仲間なんていらない……私はまどかを救えればそれでいい……)
「コラテラルエッジ!」
美樹さやかが上から剣を振りかざしてくるのを見て、私はなるべく距離を取ろうと避けた。
(時間を止めるのは最低限にしましょう……)
あまり後がない、一々止めていたのでは肝心のワルプルギスの夜の時に時間を止められない。だからなるべく時間を止めずに戦わなければならなかった。
「打突!」
剣を避けたが後ろから佐倉杏子が槍で突進してくる。
「はぁ!」
「……!」
私は盾から日本刀を取り出し槍を刀で防ぐが前から美樹さやかが剣で突進してくるのを見て、もう一本の日本刀を取り出し剣を防ぐ。
(重い…………はっ……!)
「ティロ・ドッピエッタ!」
二人がいきなり飛び退いたと思うと私の頭上から巴マミが銃を連射してくる。
「こんな時に……」
私は頭上から降り注ぐ弾丸を二本の刀で切り落としていくが、全ては切り落せずに体の数カ所を撃ち抜いた。
「ホーミングアロー!」
体を撃ち抜かれて怯んだ隙にまどかが矢を数発撃ってくる。
「っ!」
私は慌てて飛び抜くが、追尾性があるのか矢は私を追いかけてきた。
(回避は間に合わない……)
そう判断した私は時間を止める。
「これで……!」
私は高く跳躍すると盾からミサイルを取り出し、地上に向けて放つが…………
(しまった……時間が……!)
止めていたはずの時間が勝ってに動いた。もう時間切れらしいため、ミサイルが中途半端な位置の空中で爆発することになり、私の体を吹き飛ばした。
「キャッハッハッハッハッ!!!!!!!」
「「「…………」」」
地面に再び叩きつけられた時に迫っていた数万体の使い魔とワルプルギスの夜が私を取り囲む。
「くっ……」
「「「…………!」」」
私は盾から銃を取り出し使い魔たちを撃っていくが数が多すぎるため一行に減る気配はなく、私にしがみついて噛み付いたり引っ掻いたりしていく。
「数が多い……!」
「アーハッハッハッハッ!!!!!!!!」
振り払うようにして使い魔を次々と撃ってはいくが、私の体は抉られていく。そして私を馬鹿にするかのようにしてアイツは笑っていた。
「それっ!」
「っ……」
掻き分けるようにして美樹さやかがあらわれて、私に向かって剣を投げつけるが銃で剣へ撃つ。
「なっ……」
しかし剣は霧のように消えて弾丸は虚空を通り抜ける。そして次の瞬間、全方位から私は美樹さやかの剣に串刺しにされた。
「かかったな!」
続いて佐倉杏子が槍を複数投げつけ、私の体をさらに串刺しにしていく。
(さっきのは佐倉杏子の幻惑魔法……こっちが本物であれは偽物……)
剣が霧のように消えていったのは佐倉杏子の幻惑魔法。このコピー達は本物よりも強い。
「ボンバルダメント!」
巴マミが巨大な銃の上に乗りながら私に向けて放ち、それは私の胸部を中心に撃ち抜いた。
「うっ……」
そして暴発するかのように突き刺さっていた剣や槍が爆発して私をさらに抉っていく。辺りには血と肉片が飛び散る。
(ソウルジェムを狙ってこない……つまり私はアイツのオモチャにされている……)
使い魔と偽者の彼女たちもソウルジェムを狙わず、比較的にダメージの少ない部分を狙っている。アイツは私を散々弄んでから殺す気だということがよく分かった。
「シューティングスター!」
まどかの最強の必殺技であり、最強の攻撃力を誇る大量の矢が私を目掛けて飛んでくる。
「ティロ・フィナーレ!」
巨大な戦車にも見えなくないオシャレな装甲車が私に向けて砲塔から弾が放たれた。
「エクスカリバー!」
巨大であり美しい剣は確実に私を捉えていて、その剣の刃が私に振り下ろされた。
「最後の審判!」
この技には見覚えがある。佐倉杏子が巨大な槍の上で祈り続け、巨大な槍は私に向かってきている。
「「「…………!」」」
「ウフフ…………アーハッハッハッハッ!!!!!!!」
そして数万の使い魔が一斉に私に攻撃してくる中、ワルプルギスの夜は怪しげな光弾を大量に放ち、大型ビルを複数一気に投げつけてきた。
「まずい……」
流石にこれだけの攻撃を一度に受けたら体が持たない。しかし時間はもう止められないため、盾で防御するしか無かった。
(まだ……まだ私は……)
彼女たちの攻撃が私の盾にぶつかり腕が砕けそうになるぐらいの衝撃が襲うが、私は負けられない。あの子を絶望の淵から救うまでは絶対に負けられない。
あの子はいつだって諦めなかったように、私だって諦めない。だからそのためにも……今ここで……死ぬわけには……………………
『〜〜〜!』
それはいつの時間だったのか……巴マミの家に皆が集まっていた。
『〜〜〜』
巴マミの指導の元、まどかと美樹さやかと佐倉杏子が楽しそうにケーキを作っている。
『〜〜〜!』
おぼつかない手つきで危なかっしい部分もあるけど楽しそうにケーキを作っているまどか。
『〜〜〜!』
ケーキ作りに慣れてないまどかに丁寧に優しく指導をしていて、どこか楽しそうなマミ。
『〜〜〜!』
イチゴやらクリームを準備している最中、コッソリとイチゴをつまみ食いする杏子。
『〜〜〜!』
つまみ食いをした杏子に気付き、笑いながら注意をするさやか。
これは、もう二度と思い出せない遠い過去の記憶。だけどこれだけは思い出せた。この時、彼女たちは幸せだったこと。
魔法少女や魔女という事も忘れていられ、みんなが笑っていられる優しい時間。だけどその優しい時間に私は必要とされない。
この時にはもう、私はずっと孤独で永遠の迷路から抜け出せれない存在になっていた。
自分を騙し続けて、みんなを傷つけて、あの子のために多くの人を傷つけすぎた。だからこの時間に私は必要ない。
『ほむらちゃん、こっちにおいで』
(私はもう誰にも必要とされない人間……貴方の運命を救って私は死ぬ……)
『ほむらちゃん、私たちは友達だよ。これからもずっと』
(例え貴方を何度も裏切ることになっても……貴方を何度も傷つけても……私は貴方を救う……)
「救う」それこそが、この長い長い旅で見つけた答え。
何度倒れても私は立ち上がり、貴方を救うために戦い続ける。私は貴方が幸せになるために今も生きている。
まどかを救うことが旅の答え、そしてあの子の物語の結末は幸せな形で終わる。なら私は…………
「うっ……」
気がついた時に町のほとんどは壊滅状態だった。あの総攻撃で私は大きく吹き飛ばされて深いダメージを負ったらしく、正直もう戦える状態ではない。
グリーフシードは尽き、体中から出血していて原型をとどめていない体の部位もある。ソウルジェムが割れていないのは奇跡に等しかった。
「アーハッハッハッハッ!!!!!!!!」
もう戦えないと分かったのかアイツは数万の手下を率いて、地獄を連想させる炎の光景の中で笑い叫んでいる。
「「…………」」
そして四人の彼女たちは全員、悲しそうな瞳で私を見つめている。
「こっちにおいで……ほむらちゃん……」
偽者のまどかは相変わらず本物と一緒の優しい声をしている。
「私たちは友達だよ……だから……私と一緒に逝こう……楽になろう……?」
「本物は……そんなことを言わない……」
私は盾に残る武器を全て取り出して、その内一つだけ特に目立っている超大型のミサイルの起爆装置を作動させる。カウントは十秒。
「ほむらちゃん……」
「暁美さん……」
「ほむら……」
「ほむら……」
彼女たちは亡霊のように呟いてくる。でも私はもう耳を貸す気などない。
「ワルプルギスの夜……貴方との旅も……もう終わりよ」
この超大型ミサイルはここら一帯を壊滅させるだけの威力を持っている。それに加えて全ての武器も同時に爆発させれば威力はさらに凄まじい物となり、数万体の使い魔も偽者の彼女たちもワルプルギスの夜も全てを灰にする。
…………もちろん私も。
「一つの命を救うのに代わりの犠牲がいるのなら……私が引き受ける……」
残りのカウント五秒。
おそらくこれが爆発すれば私は形にも残らず死ぬ。つまりアイツを道連れに出来る。
どうせ長くない命、なら最期はこいつを道連れに死んでやる。それでまどかが救えるなら私はそれでいい。
残り四秒。
(私は最後の希望を護るために……貴方を救うために……この命を焔に変える……)
残り三秒。
「アーハッハッハッハッ!!!!!!!!」
残り二秒。
「魔法少女の意地を見せてやる……!」
残り一秒。
(さようなら……まどか……)
そしてカウントが終わる同時に数万体の使い魔、偽者の彼女たち、ワルプルギスの夜、私、全てを焼き尽くしていった。
「む……ゃ…………むら……ち……ゃ……」
声が聞こえる。それは聞き覚えのある声だった。
「ほむらちゃん!ほむらちゃん!!」
また私は生きていたらしい。もし神様がいるなら、何で私が生きているのかと問い詰めたくなる。
でもアイツの笑い声が聞こえない。それ以前に青空が見える。
つまり私はアイツを倒して、まどかを救えた…………やっと私は…………
「大丈夫だよ!私……ほむらちゃんがどんな姿になっても、ずっと側にいるから!!」
そんな私の感動をそっちのけで、まどかが涙を流しながら叫んでいる。きっと今の私は火傷が酷いのかしら。
でもおかしい……
痛覚は消していないのに手足の感覚が一切無い。それどころか声が出せない。
「ごめんね……ごめんね……私のワガママのせいで……こんな姿にしてしまって……一生介護するから……だから死なないで……!」
軽くパニックになっているまどかが泣き叫んでいる。一瞬、感覚神経がやられたのかと思ったけど違うらしい。
今の台詞から考えると、あの爆発で両手足は吹き飛んだみたいだった。でも私がまだ肉体をコントロールしているということはソウルジェムは百メートル以内にある。おそろしいほど、私は奇跡的に生きていた。
「やだ……やだ……死なないで!!!」
感覚はやられても自然と自分の死は分かるものね……少しずつ意識が遠くなっていく……。
「せっかく終わったんだよ!人生はこれからが楽しいんだよ!だから……だから……」
せめて最後に何か言い遺して死にたい。そう思った私は口を開く。伝わったかどうか分からないけど……
『今までありがとう、大好きよ……まどか……』
よくありがちな台詞だけど、短くて伝えたいことを伝えるのにはこの台詞が一番だった。
「やだ!やだ!嫌だよ…………いやぁぁぁぁ!!!!」
これが私の導き出した結末。
大切な人が幸せな未来を歩んでいくことが私にとって一番の幸せで、その未来をようやく叶えられたことが嬉しい。
幾度なく時間を繰り返して何度も挫けそうになったけど、命を懸けて為すべきこと……その答えはまどかを「救う」ことであって、私の絶望の物語の結末は「まどかに代わる死」だった。
希望と絶望がバランスを取りもっているように、この世界に存在する命もバランスを取りもっている。
マミもさやかも杏子も生きようと思えば生きられた、だけど代わりに誰かが死ぬ。それはあの子にも言えることで、まどかを救うには誰かが代わりに死ななければならない。
だから、こうして私が代わりに死ぬことによって、まどかは生きられる。
これが私の旅で見つけ出した答えと導き出した結末で、ようやく……暁美ほむらの絶望の物語は終わりを迎え、鹿目まどかとの約束を果たすことができた。
そう…………
全てが終わった。
私には自慢できることも無いし、勉強も運動も出来ません。
でも……こんな私にでも、たくさんの友達が出来ました。
『暁美さん、お祝いのケーキが出来たわよ』
「巴さん……」
いつも頼りになる先輩の巴さん。
『頑張った奴にはご褒美をあげないとね』
「美樹さん……」
私にとって正義の味方の美樹さん。
『今までお疲れ、よく頑張ったな』
「佐倉さん……」
いつも何かと助けてくれる佐倉さん。
『ほむらちゃん、私たちはもう友達だよ。これからもずっとね』
「鹿目さん……」
そして私の……最高の友達になってくれた鹿目さん。
「ほむらちゃん……おいで……もうずっと一緒だから……もう絶対に離れ離れにならないから……」
「はい!」
三つ編みで眼鏡をかけて、どこか危なっかしい走りだけど私は走り出す。
「ほむらちゃん、おかえり!!」
「鹿目さん、ただいま!!」
そう……
ーーーー幸せな希望の囀りへ。
ーENDー
ぶっちゃけ、最終話はこういう系もアリだったんじゃね?と思ってます。
仮面ライダー龍騎みたいに、公式さんも本編のifストーリー作ってくれませんかね。もう一つの物語?そういうのを、もっと増やしてほしいですし、まどかが最後まで契約しないもう一つの最終話とかも見たいですね。
ゲーム……? ?もうある……??
知らない子ですねぇ……