一方その頃ベルは...
「はあ!」
ズバン!
1人魔物と戦っていた。
「はあはあ...数が多い...」
周りは上層でも出てくる雑魚モンスターばかりだったがいかんせん数が多くベルも苦戦していた。
その時
グォアアアア!!
「!?今の叫び声は!」
ドゴォ!!!
「ゴフ!」
瞬時に反応して持っていたナイフで防御したが簡単に折られ、ベルの華奢な体が軽々と吹っ飛ぶ。
明らかにそこらへんにいる雑魚モンスターではない。
「がは!...こ、こいつはまさかシルバーバック!?何で中層モンスターがこんなところに!?」
ナイフを折られた今のベルに勝ち目などなくそのまま逃げていく。
「はあはあはあ...このままじゃ追いつかれる!どうすれば...どうすればいいんだ!」
などと考えてる時に
ドゴォーーーン!
「!?」
シルバーバックがベルに追いついてしまった。
「くっここまでなのか...悠斗さん...神様....アイズさん!」
「おいおい!ボクの前でヴァレン何某の名前を出すなんてホントキミは節操のない浮気者だね!」
「え?」
そこには前に逃がしていたはずのヘスティアが立っていた。
「かみ...さま...?」
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その数十分前...
「くそ!ベルはどこにいるんだ...ここ無駄に広すぎて迷うんだよ!」
オラリオに関しての地理が無い悠斗は広大な都市の中で絶賛迷子中であった。
「あれ!?こっちはさっき通った道だったか?クソ、地図でも用意しとくべきだったか...ん?あれは...」
「かった~い!何なのこのモンスター!」
「まさか新種!?こんなモンスター見たことないわよ...」
悠斗から数百メートル以上距離がある場所、そこにはロキ・ファミリアのヒリュテ姉妹、レフィーヤ、アイズが緑色の花のようなモンスターと対峙していた。
どうやら打撃耐性がある上に耐久力もあるようで苦戦中。
「あーもうこんなことなら"大双刃"持ってくるんだったー!」
「文句言ってるんじゃないの!レフィーヤ、詠唱に集中しなさい!」
「は、はい!【解き放つ一条の光 聖木の弓幹 汝 弓の名手なり 狙撃せよ 妖精の射手 穿て 必中の矢 アルクス・レイ】」
ドーーン!!
何とか迎撃していくがあまり手ごたえはない様子。
「ロキ・ファミリアの連中か。見た限り苦戦してるな、こりゃ加勢しないとマズイかもな...っと"小夜時雨"を持ったままじゃあの小娘に正体ばれちまうか...よし、別の武器にしよう」
そう言うと悠斗は詠唱を唱え、何もない空間から1つの刀を出現させた。
「"菊一文字則宗"(自作)、まあこれなら大丈夫だろ」
悠斗はそのままロキ・ファミリアのメンバーのところに向かっていった。
「レベル5の私たちの攻撃に耐えられるなんてかなりの耐久力だわ...レフィーヤ、詠唱を始めなさい!」
「は、はい!」
「!レフィーヤ危ない!!」
「え?」
ドスドスドスドス!!
アイズの言葉にレフィーヤが反応したがすでに遅く、モンスターの触手が数本レフィーヤの体を貫いた。
「か、は...」
ドサ...
そのままレフィーヤは崩れるように倒れた。
「「「レフィーヤ!!」」」
慌ててティオナとアイズが慌ててレフィーヤの方に駆け寄った。
「レフィーヤしっかり!回復アイテムは!?」
「今はポーションもエリクサーも誰も持ち合わせてない...」
「ど、どうしようこのままじゃレフィーヤが!」
「!!ティオナ!アイズ!よそ見しない!!」
「「しまっ!?」」
狙ったかのようにモンスターたちが前後からアイズとティオナに向けて触手を飛ばしてきた。
距離的に防御、回避不可能。絶体絶命と思ったその瞬間
「おいおい、女相手に触手プレイをしようとするとは随分と変態なモンスターだなあ」
ズバババン!!
アイズとティオナ向けて放たれた触手が全て斬り落とされた。
「間一髪だったな?」
悠斗はそう優しく語り掛ける。
「あ、ありがとう...き、君は誰?」
「そんなこと聞いてる場合じゃないだろ?今は目の前のモンスターを片づけることが先だ」
「ま、待って!あのモンスターはレベル5のあたしでも全然ダメージ与えられないんだから君ではとても倒せないよ!」
「君は確かロキ・ファミリアの【大切断】だったな?倒せるか倒せないかじゃないだよ...倒すんだよ!」
悠斗はそう言いながらモンスターを1体1体素早い斬撃で確実に斬り捨てていく。
「す、すごい...」
「レベル5のあたしたちでも苦戦したモンスターをあんな簡単に...」
「あの人強い...どうやったらあんなに...」
ますますロキ・ファミリアから注目されつつある悠斗だった。
「後はお前だけだな?お前は小娘たちを不意打ちにしたその卑劣さに免じて、特別に焼き殺してやるよ?【火炎斬り】」
ボウ!ズバン!
「キシャーーー!!!」
燃えさかる剣がモンスターを切り裂き、一気に焼き殺す。
モンスターは苦しみの悲鳴をあげながら絶命した。
「ふぅ。さて、これで終わりだな?(いくら目の前に困った人たちがいたからといって...またしても目立つことをしてしまったな...)」
「ありがとう!そ、そうだレフィーヤが!」
ティオナは今にも泣きそうな声をあげていた。
「回復アイテムは持ってないのか!?」
「こんなことになるとは思わなかったから何も持ってきてないよ~」
「...仕方ねえ、【ヒーリング】」
悠斗はヒーリングを使うと、レフィーヤの傷がみるみるふさがっていった。
「か、回復魔法!?」
「これで処置は大丈夫だろう。だが、念のため安静にな?」
「うん!ありがとう!!」
ティオナは思わず悠斗に抱き着いた。
「おわっとっと!一応こっちもけが人なんだから勘弁してくれ...」
「あ、ごめんごめん!」
ティオナはでへへっと笑いながら謝った。
「とりあえず助かったわありがとう。ところであんた...一体何者なの?」
「ん?ああ"ただの下級冒険者"。名乗るほどの者じゃないさ!」
目立ちすぎたと後悔しながらこれ以上目立たないようにするため悠斗は苦しい言い逃れをする。
「ふざけないで、レベル5の私たちでも苦戦したモンスターをそんな傷だらけの状態で簡単に倒すし、さらには炎系と回復系の魔法まで使える"ただの下級冒険者"なんているわけないでしょ?」
ティオナは厳しい目つきになる。
しかし、悠斗は平然とした顔で
「そんなこと言ったって俺は数日前に冒険者になったばっかりのレベル1だしなあ...」
「え...?」
「まだそんなこと「じゃあ聞くが...」??」
「俺のことを知ってるのか?もしも俺がレベル2以上なら二つ名だってあるだろうしどこのファミリアかも知ってるはずだろ?」
「そ、それは...」
確かにレベル2以上なら二つ名もつき、個人差はあるが有名にもなる。
だが、ティオナもアイズも当然ティオネも悠斗のことを全く知らなかった。
「だから俺は嘘はついていないんだよ。正真正銘のレベル1」
「じゃああなたはなんでレベル1なのにそんなに強いの?」
今まで黙っていたアイズが急にそんな質問をしだした。
「俺はレベル1の中では強い方であって、別に自分で強いと思ったことはないぞ?」
「嘘!だってそんな...」
「すまねえな【剣姫】。今は人を探してる途中だからのんびり喋ってる場合じゃないんだ。じゃあなー!」
このままだと永遠に終わらなさそうなので無理やり話を切り上げ、そそくさと逃げた。
「あ、逃げやがった!あんのクソ野郎...次見かけたら縄でふんじばってしょっ引いてやる!!」
「結局名前も強さも聞けなかった...」
「でも顔は覚えたしきっとまた会えるよ~」
「あんた嬉しそうねえ...」
「うん。なんかすごくカッコよかった~。それに、隠し事はしてるみたいだけどあたしたちやレフィーヤも助けてくれたし絶対悪い人ではないよ」
ティオナはこの時今までに味わったことのない感情が芽生えつつあった。
「あの強さでレベル1なんて嘘だ...絶対にあなたの強さを見つけてやる!」
アイズは別の意味で悠斗に注目をしていた。
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「ど、どうして戻ってきたんですか神様!?」
「それは壁を乗り越える手助けをしようと思ってね!」
「ど、どういうことですか!?ってその前に逃げないと!」
ベルは大慌てでヘスティアを抱えてシルバーバックから離れた。
「(こ、この抱え方はーーー!?やったやったーーー!!!)」
ヘスティアはお姫様抱っこをされ興奮していた。
シルバーバックからある程度距離をとってから
「それで神様、さっきの手助けとはいったい...」
「ふふん!これを見ろベル君!」
と、ヘスティアは持っていた包みを取り出してベルの前に出した。
「これは...ナイフ?でも普通のナイフとは違うような...」
「そうさ、これはボクの神友に頼んで作ってもらった特別なナイフさ。これにボクの血を混ぜることによってその真価を発揮する。そしてこのナイフは使用者の、つまりはキミの成長に合わせて攻撃力が上がるんだ。だからベル君、このナイフを使ってキミはあのモンスターを倒すんだ!そして、さらなる上を目指してくれ!!」
「神様...はい!」
そう言った瞬間まるで待っていたかのようなタイミングでシルバーバックが再び現れた。
「来たな。今度は逃げない、行くぞ!」
キィィィィン
ナイフに刻まれた神聖文字が白く光った。
「うおおお!」
ズバン!
初めてシルバーバックに傷を入れる。
苦しみながらもシルバーバックは反撃をする。
「くっ!痛いし怖いけど...こんなことで逃げるわけにはいかないんだーー!!」
ズババババン!
ベルの連撃が入ってシルバーバックはもだえ苦しむ。
さらにベルは間髪入れず
「これで終わりだーー!!!」
ナイフを顔から胴体に向かって一閃を入れた。
その瞬間シルバーバックから大量の血液が吹きだし、そのまま倒れて動かなくなった。
「やった...の?」
「ベルくーーん!!」
「うわわ神様!?」
「やったよ!やったんだよベル君!!キミが勝ったんだ!!!」
いつの間にかギャラリーもいたようで、あっちこっちから歓声と拍手が送られた。
「ははは、良かった...勝てて...」
ベルは満足そうな顔をしてヘスティアを抱きしめた。
「よくやったなベル。これで英雄に一歩前進だ」
悠斗も少し離れた場所から微笑みながらベルを称えた。
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「そうよその調子よベル。ああ、早く成長した貴方を私のもとに置きたいわあ」
「フレイヤ様」
「あら、お帰りなさいオッタル。!!そう、その様子では神津悠斗は十分な手ごたえだったわけね?」
「はっ。フレイヤ様の寵愛を受ける資格は十分にございます」
「分かったわ。ありがとうオッタル。もう体ボロボロでしょ?今はゆっくり休みなさい」
「...申し訳ございません。では失礼いたします」
そう言ってオッタルは下がっていった。
「あのオッタルに重傷を負わせるなんて...いいわ神津悠斗、貴方もぜひ手に入れてあげる。それにしても、こんなに素敵な眷属を持っているヘスティアが羨ましいわあ。けっこう妬けちゃうかも」
フレイヤは怪しげな笑みを浮かべながら言った。