悠斗の話が終わった後、ギルドに冒険者登録しにいくつもりだったが、ベルのステイタス更新があるということで部屋の外で待っていた。
すると部屋の中から
「ベル君の浮気者!超浮気者!!」
バシバシバシバシ!
「痛っ!?ちょっと神様急にどうちゃったんですか!?」
「ふん、知るもんか!」
「何してるんだあの2人は...」
悠斗はやや呆れながらも微妙に笑っていた。
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道中...
「もう朝から酷いんですよ神様はー」
「ははは!仲が良くていいことじゃないか」
「笑わないでくださいよ!」
なんて他愛もない会話をしながらベルと悠斗はギルドへと向かっていった。
その途中
ジーーーーーー
「「!?」」
誰かに見られている気がした。それも近くではなくかなり遠い場所から。
「ベル、今視線を感じたか?」
「は、はい。わずかにですが寒気のする視線を感じました」
「俺もだ(誰なんだ?くそ、ダンまちを読んでいれば分かっていたんだが...だが殺気を感じられなかったということは暗殺者の類ではなさそうだな...)」
などと考えていると
「あのう」
「「!?」」
「きゃっ!」
声のした方に勢いよく振り向くと何やら緑色のメイド服のようなかっこうをした女性が立っていた。
「あ、えーっとどうされましたか?」
「あのーこれ落とされましたよ?」
そう言って女性は小さな魔石を差し出す。
「あーすいませんありがとうございます!」
礼を言ってベルは受け取った魔石をポーチに入れる。
「おいおい、貴重な財源なんだからしっかり管理しとけよ...」
「す、すいません。あ、僕はベル・クラネルって言います。こちらが神津悠斗さんです」
「よろしく」
「ベルさんと神津さんですね。私はシル・フローヴァと言います。よろしくお願いします」
挨拶を交わしたその瞬間
ぐぅぅ~~
「はぁ...お前というやつは...」
「あうぅ///」
急に腹が鳴ってベルは顔を赤くする。
すると女性は笑いながら包みを差し出す。
「大したものではありませんが、ぜひ食べてください」
「あ、いやでも...」
「ベル、せっかくの好意だ受け取っとけ。女性の好意は無碍にしてはならんって俺もよく言われたしな」
「は、はい。ありがとうございます」
「いいえ。そのかわりと言ってはなんですが、今夜はぜひウチのお店に来てください!」
「「お店?」」
2人は不思議そうな顔をしてそう尋ねた。
「はい。私ここの豊穣の女主人というお店で働いてるんです。ダメ、ですか?」
女性は上目遣いをしてベルに尋ねる。
「わ、分かりました」
「(こ、この女あざとすぎる!ベルはすっかり手玉に取られてるし...師匠といいやっぱり女って怖い生き物だな...)」
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ーギルドー
「ここがギルドだな」
今夜の食事代を稼ぐためにベルには一足早くダンジョンに潜ってもらい、悠斗1人で登録をしに来た。
「あ、すいません。冒険者の登録に来たんですが」
「冒険者の登録ですね。ではこちらの書類に必要事項を記載してください」
そう言われて出された紙に名前やファミリアやレベル等の基本事項を書いていく。
「神津悠斗さん。レベル1のヘスティア・ファミリア所属...ああベル君と同じファミリアですね!」
「む?ベルを知っているんですか?」
「はい。ベル君とこれからあなたの担当にもなりますエイナ・チュールと申します。さっそくですが、これから神津さんには冒険者の基本的な講習を"徹底的に"受けていただきます!」
「あ、ああはいよろしくお願いします(今"徹底的"を強調したような気が...)」
さっそく講習を受けるために別室に移動させられた。
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3時間後...
「長かった...」
悠斗はエイナの地獄の講習からようやく解放され、満身創痍となってギルドを出た。
「くっそーベルの野郎知ってて教えなかったなあ...まあかなり為にはなったが...」
文句を言いながら悠斗は食事代を稼ぐためにダンジョンに初めて挑む。
「これがダンジョンかあ。ここら辺はなかなか狭いな...これじゃあ下手に上級魔法や鬼道も使えないか...ん?」
壁からズズズっとモンスターが数匹現れ、こちらに敵意をむき出しにしている。
「ダンジョンでは1番弱いと言われてるコボルトだったな。ならば!」
バキィ!!
悠斗はコボルトの1匹めがけてパンチを食らわせた。
「ぐぎゃあああ!!」
コボルトはあっさりと消え、魔石を落とした。
そのまま悠斗は素手と蹴りのみでコボルトたちを秒殺した。
「まあ上層程度なら小夜時雨を使う必要もないだろ。このまま十二階層まで行くか」
十二階層は上層最後の層であり、十三階層からは中層と言われ、今までの地形やモンスターは全く違うので念のため上層でとどめておくことにした。
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ーギルド前ー
「よーし!これでメシ代は稼げただろ」
「す、すごいですね悠斗さん。初日でそんなに稼げるだなんて...」
今日ベルは5000ヴァリス、悠斗は10万ヴァリス稼いだ。
しかし、このことはエイナにバレてこっぴどく叱られてしまった。
「よーし。じゃあ帰ってヘスティア様誘ってメシ行こうぜ!」
「はい!」
一旦ホームに戻り、ヘスティアを誘って豊穣の女主人に向かう。
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「ここが豊穣の女主人だな」
「入りましょう」
バタン!
「あ、ベルさん悠斗さん来てくれたんですね!」
「どうもシルさん。まあ約束しましたし」
「ふふ。ありがとうございます」
にっこり笑ってベルに顔を近づける。すると
「むむむ!ベル君早く離れるんだ!!!」
怒りだしたヘスティアは2人に割って入って引きはがす。
「きゃ!」
「うわわ神様!?」
「キミはシル君と言ったね!どういうつもりかは知らないが、ボクのベル君に色仕掛けするんじゃない!ベル君は純粋だからすーーぐ勘違いするじゃないか!!」
するとシルは笑顔で
「ふふふ、色仕掛けなんてとんでもないです。私は"純粋に"ベルさんに迫ってるだけですから」
ヘスティアにしか聞こえないほどの小声でヘスティアにそう告げる。
「くぅぅ!この泥棒猫!ベル君は絶対に渡さないからなあ!!」
「それはベルさんが決めることですからねえ」
バチバチバチ!っと2人の間に火花がはしる。
さすがにマズイと思い悠斗は止めに入る。
「と、とりあえず邪魔になりそうだし早く入りましょうよ!」
「そうですよ神様!」
何とか納得してもらったところで3人はカウンター席についた。
すると店の主人らしき大柄な女性がでてきた。
「おお、アンタらがシルのお客さんかい? ははっ、どっちも冒険者のくせに可愛い顔してるねぇ。そっちの方は二人の主神様かな? 」
「そうさ、よろしく頼むぜ!」
「あたしはこの店の主人ミア・グランド。それにしてもそっちの兄ちゃん...あんたは強いね。そんじょそこらの冒険者じゃ束になっても敵わないくらい」
「女将さんがそれを言いますか?」
確かに悠斗はそこら辺の冒険者とは比べ物にならないほど強い。だがこの女将は間違いなく有象無象の強さじゃない。恐らく第一級冒険者クラスだろう。現に力を抑えている悠斗の強さを察知していた。
「ほう。あんたも分かるクチだね。まああたしもこれ以上は詮索しないからあんたも黙っててくれよ?」
「了解です」
「よし、アンタら、なんでも私達に悲鳴を上げさせるほどの大食漢なんだそうじゃないか! じゃんじゃん料理を出すから、じゃんじゃん金を使ってってくれよぉ!」
「「「......えっ?」」」
全員がシルを見る。
シルは、サッと視線を逸らした。
「シルさん?」
「えへへ☆」
シルは何かを誤魔化すような笑みを浮かべていた。
「(こ、この女どこまで計算高いんだ!)」
「この泥棒猫めえ!」
何とも底の見えないシルであった。
「...とりあえず8000ヴァリスくらい出すんでそれくらいの料理お願いします...」
「はいよ!中々気前がいいじゃないか!」
女将が豪快に笑いながらキッチンに居るスタッフに声をかける。
ヘスティア以外は酒が飲めなかったのでドリンクを注文する。
それで喉を潤していると、次々に料理が運ばれてくる。
パスタや揚げ物や炒め物、豊富な種類の料理がどんどん運ばれてくる。
「おお、店員はアレだったが料理は美味そうじゃないか!」
「はいどれも美味しそうです!」
「ぐぬぬ...こんなことでベル君を釣れると思うなよ...」
思惑は人それぞれだが3人手を合わせて
「いただきます!!」
それと同時に料理を口に運んでいく。
どれも美味であり、ドリンクも食事もどんどんと進んでいく。
「どうですかお味は?」
「あ、リュー!」
振り向くとシルとリューと呼ばれた金髪の女性店員がいた。
「あ、はい非常においしいです!」
「だな。俺はけっこう味にはうるさいがこんな美味いんなら文句なしだわ」
「むぅ...悔しいけど美味しい...」
「それはよかったです。あ、遅れましたが私はシルと同じ店員をやっていますリュー・リオンと申します」
「俺は神津悠斗。今日から冒険者になった男です。こっちが同じファミリアのベル・クラネル。そしてこっちがヘスティア・ファミリアの主神ヘスティア様です」
そう言って悠斗は握手をしようと手を出しだが、リューは何故か応じようとはしない。
「どうしました?」
「あ、その...」
「すみません悠斗さん。リューはエルフですので異性とあまり触れ合うことができないんですよ...」
シルは申し訳なさそうに謝る。
「そうでしたか!すいません、デリカシーに欠けてましたね...」
「いえ、お気持ちは嬉しいので大丈夫ですよ」
そんなこんなで話を続けていると
「ニャー!ご予約のお客様ご来店ニャ!」
どこかの団体がこぞって入ってきた。