英雄が嫌いな英雄がベルを支えていく物語   作:ジャッジメント

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英雄、怒り爆発

「ニャー!ご予約のお客様ご来店ニャ!」

 

その言葉とともに1つの集団が入店した。

その瞬間店にいた全員が入ってきた集団に注目する。

 

 

「おいあれは...」

 

「おおっ!えれぇ上玉!」

 

「バカ、エンブレムを見ろ!」

 

「げっ!ロキ・ファミリアか!」

 

「するとあれが【剣姫】だな...」

 

 

 

 

ロキ・ファミリアの団体はそのまま悠斗たちの背中側にあるテーブルに着く。

 

「げっ!あれはロキじゃないか!」

 

「なんかスゲー団体だなあ...ロキ・ファミリアって言うのか。ん?そういえばエイナさんの講義でロキ・ファミリアは最強ファミリアの一角とか言ってたな...おいどうしたベル?」

 

「あ、あ、ああ...」

 

ベルは悠斗の言葉を無視して固まっていた。

一方ヘスティアも何か隠れるような仕草をしている。

 

「何やってんだよ...」

 

悠斗1人わけもわからずため息をついていた。

そして、ロキ・ファミリアの主神らしき人物が立ち上がり、

 

 

「よっしゃあ、ダンジョン遠征みんなご苦労さん! 今日は宴やぁ! 飲めぇ!!」

 

 

と音頭をとった。

それを切っ掛けにロキ・ファミリアの面々が一気に騒ぎ出した。

 

「なあシルさん、ロキ・ファミリアってよく来るのか?」

 

悠斗は何気に質問をぶつける。

 

「はい!ロキ・ファミリアさんはウチのお得意様なんです。主神であるロキ様に、ウチの店がいたく気に入られてしまって」

 

「くそう...遠征の後だったとは何てタイミングの悪い...」

 

「あのーヘスティア様?もしかして主神と何かあったんですか?」

 

「ふん!大したことじゃないよ。あの無乳女がいつもボクをバカにしてきて気に入らないだけさ!無乳で絶壁の分際で!!」

 

「(ああ、もしかして犬猿の仲ってやつなのか...こりゃあ見つかったらひと悶着起きそうだな。それに目をつけられでもしたら完全に目立っちまうな...それだけは何としても避けねば!!)」

 

などとつい考えてしまった。

 

「それにしても...」チラッ

 

悠斗は1人の金髪の剣士に注目する。

 

「(あれがベルの言ってたアイズ・ヴァレンシュタインか。確かにそんじょそこらの冒険者とは格段に強さが違うな。まあ師匠の足元にも及ばんが...ん?)おいベル、お前まさかアイズ・ヴァレンシュタインに惚れてんのか?」

 

「!!?」

 

言われてベルは真っ赤になり固まってしまった。

どうやら事実のようである。

 

「ははは!いやー青春じゃないかー」

 

「(ぐぬぬぬぬぬう!あれがアイズ・ヴァレン何某かあ!!絶対にキミなんかにボクのベル君は渡さないぞーーー!!!)」

 

ヘスティアは黒いオーラを周囲に出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくすると

 

 

「よーしアイズ!そろそろあの話をしてやれよ!」

 

「あの話?」

 

そう言い出したのは、ベート・ローガだった。

 

「あぁ、帰る途中で何匹か逃したミノタウロスが居たろ?」

 

「うん、それがどうしたの?」

 

「最後の1匹を5階層で始末しただろ?そんで、ほれ、そん時にいたあのトマト野郎の!」

 

 

「!?」

 

「「ベル(君)?」」

 

悠斗とヘスティアはベルの異様な態度に気づく。

 

 

「ミノタウロスって確か、17階層で襲い掛かってきて返り討ちにしたら、すぐ集団で逃げ出して行った?」

 

「それそれ!奇跡みてぇにどんどん上層に上がっていきやがってよっ、俺達が泡食って追いかけたいったやつ!こっちは帰りの途中で疲れてたってのによ~」

 

「それで居たんだよ、いかにも駆け出しっていうひょろくせぇ冒険者が」

 

 

「(あ、ああ...)」

 

ベルの顔がどんどん青ざめていく。

 

 

「抱腹もんだったぜ、兎みたいに壁際までおいこまれちまってよ、それを間一髪ってところでアイズが細切れにしたんだ。なっ!」

 

「それでそいつよあいつのくっせー血を全身に浴びて……真っ赤なトマトになっちまったんだよ、くくくっ、ひーっ、腹痛てぇ!!!」

 

ベートは高笑いしながら続ける。

 

「それに、ソイツ叫びながらどっかいっちまってよ。くくくっ、うちのお姫様、助けた相手に逃げられてやんの!」

 

「それは傑作や!冒険者怖がらせるアイズたんマジ萌え~」

 

これをきっかけに連鎖のように笑いを堪えてた者、失笑してた者が笑いだした。

 

 

「(これが!強者が揃い揃って初心者をあざ笑って酒の肴にする...こんなクソみたいな連中が最強ファミリアなのか!?)」

 

悠斗は一気に怒りのボルテージを高めていく。

 

 

「野郎の癖に、喚くわ喚くわ久々に胸糞悪くなったわ。あぁいうヤツが居るから、俺達の品位が下がるっていうかよ。勘弁してほしいぜ」

 

「いい加減その五月蝿い口を閉じろベート」 

 

「おーおー、流石のエルフ様、誇り高いってこって。でもよ、そんな救えねぇヤツを擁護して何になるってんだ?それはテメェの失敗をテメェで誤魔化すための、ただの自己満足だろ?ゴミをゴミと言って何が悪い」

 

「やめいベート。酒が不味くなるわ」

 

幹部たちが止めに入るがベートは全く止めようとしない。 

 

「アイズならどう思うよ?目の前で震えてるだけの情けねぇ奴が俺達と同じ冒険者を名乗ってるだぜ?」

 

「冒険者になりたてなら仕方ないと思います」

 

「何いい子ぶってんだ?冒険者になりたての雑魚だったら仕方ねえ?何を寝ぼけたこと言ってるんだよ?」

 

「ベート、君は少し酔い過ぎだよ」

 

「うるせえぞフィン!じゃあ質問を変えるぜ?俺とトマト野郎、番にするならどっちだ?」

 

 

「(やめてくれ!そんな質問のためにベル君を使うな!!)」

 

「(この犬コロめ!叩きのめしてえとこだがここで暴れれば店やヘスティア様に迷惑がかかっちまう...クソッ!)」

 

今にも飛び出したい気持ちを必死に抑えるヘスティアと悠斗。

 

 

「私は...そんなことを言うベートさんとはごめんです」

 

「無様だな」

 

「うるせえババア!じゃあ何か、お前はあのガキに好きだの愛してるだの目の前で抜かされたら、受け入れるってのか?」

 

「っ!?」

 

「そんなはずねえよなぁ。自分より弱くて軟弱な雑魚野郎に、他ならないお前がそれを認めねえ...」

 

「雑魚じゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ!!」

 

 

 

 

ダン!!

 

 

「「「ベル(君)(さん)!!」」」

 

ベートの最後の言葉にベルはいたたまれなくなったのか、椅子を飛ばして、外へ飛び出していった。

それと同時にヘスティアもベルを追いかけていった。

 

「ああん?食い逃げかあ?」

 

「ミア母ちゃんの店でやるなんて身の程知らずやなあ(うん?今ドチビがおった気がするんやが...まあええか!)」

 

「(てめーらのせいだろうが!!)」

 

悠斗は今にもあふれ出しそうな殺気を必死に抑え込む。

 

「リューさん。あの犬コロは誰ですかね?」

 

「あの方はベート・ローガ。【凶狼】の2つ名を持つレベル5の第一級冒険者です。口や素行は悪いですが、オラリオでも上位に入るほどの実力者でロキ・ファミリアの幹部でもあります」

 

「そうですか。すいません、とりあえず今日はベルを探しにもう行きます。」

 

そう言って勘定を済ませる。

 

「はい。またベルさんを連れて来てくださいね?」

 

「了解」

 

そう言って扉を開けようとした時悠斗はベートを睨みつけ、

 

「(この駄犬が...殺しはしないがベルを貶めたことを後悔させてやる、必ずな!)」

 

そう言いながら外に出た。

 

「!?(今のはレベル4の私も震えてしまうほどの殺気...悠斗さん、貴方は一体何者なんですか?)」

 

リューは悠斗の一瞬の殺気を感じてしまい、震えていた。

 

「ああん?」

 

ベートも一瞬視線を感じたようで悠斗がいた場所を振り返った。

 

「ベートさん?」

 

「はん、何でもねえよ。さあってもう一杯飲mふが!?」

 

ベートは気を取り直して飲もうとした瞬間ガレスに抑え込まれてしまい

 

「お前は調子に乗りすぎじゃ馬鹿者!後でペナルティを与えてやるから覚悟せい!」

 

「ぐおお離しやがれー!!」

 

ファミリア総出で簀巻きにされてしまった。

 

 

一方で、

 

 

「リヴェリア、今の殺気に気づいたかい?」

 

「ああ。本当に一瞬だけだったが私も身構えてしまうほどの殺気だった。姿が見えなかったのが残念だが...」

 

「僕もだよ。でも一瞬だけ僕の親指が反応したんだよ。何かが起こりそうな予感がする」

 

フィンやリヴェリアは悠斗の殺気に感づいていた。

 

 

 

 

 

-------------------------------

 

 

 

 

 

ーダンジョン内ー

 

「ったく、ベルはどこまで行った...」

 

ベルを追いかけていったヘスティアをダンジョンの入り口近くで見つけ、一旦ホームに帰してからベルの探索に出た。

 

「頼むから命を粗末にするなよベル...ん?あれはベル!」

 

そこにはモンスターに囲まれ、血だらけで満身創痍となっていたベルがいた。

 

「ちっ!どけ雑魚共!」

 

ドガガガガガ!!!

一瞬にして大量にいたモンスターを蹴散らしていった。

 

「ベル!大丈夫か!」

 

「あ、悠斗さん...すいません...」

 

「このバカが!無謀すぎんだろうが!」

 

「でも僕、あの人に何も言い返せなくて...本当のことだから悔しくて悔しくて...」

 

ベルは泣きながらそう言った。

 

「ベル。誰だって最初は弱いんだ。そこから悔しさや挫折を味わいつつ真っ当に努力に努力を重ねて強くなっていくんだ。あの犬コロに言われて悔しいんだったらそれをバネにして強くなれ。今のままがむしゃらに続けたって強くはならんし死ぬのがオチさ」

 

「悠斗さん...」

 

「こんなこと言いたくはないが、これでも英雄と呼ばれた俺の言葉だ。説得力あるだろ?」

 

「はい!」

 

「じゃあ今日のところは帰って休みな。俺はお前の傷を治すためにポーション買いに行ってくるわ。あーあと明日からダンジョンに行く前に俺と特訓するぞ」

 

「は、はい!」

 

悠斗の言葉を素直に聞いてベルはホームに帰って行った。

 

 

 

 

「さてと...行くとするか」

 

 

 

悠斗は黒いローブで全身を覆い、顔も見えなくなってしまった。

その姿のままどこかへと姿を消した。

 

 

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