英雄が嫌いな英雄がベルを支えていく物語   作:ジャッジメント

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制裁の時間

悠斗が姿を消したのとしばらく後...

 

 

 

「クソが!買い出しとか...何で俺がこんな雑魚がやるようなことしなきゃいけねーんだよ!!」

 

ベートは今日の飲み会で好き放題はっちゃけたそのペナルティとして夜に買い出しをさせられていた。

 

「ま、まあまあベートさん。リヴェリア様が決めたことですから...」

 

それを慰めるのはレフィーヤ・ウィリディス。ロキ・ファミリア所属でレベル3でありながらも魔法力はファミリア内でリヴェリアに次ぐとされ、レア魔法も使える魔法のスペシャリストでもある。

今回はベートの目付け役として出された。

 

「クソあのババアめ!ったく、本当のことだろうがよ!モンスターとまともに戦えない雑魚はおとなしく引っ込んどけってんだ...」

 

「あはは...(突っ込んだら怒られる...)」

 

 

 

買い出しも済ませ、そのままホームに帰ろうとしたがベートが急に立ち止まった。

 

「・・・」

 

「ベートさん?」

 

「臭うな...」

 

「え!私そんなに臭いますか!?ちゃんとお風呂入ったんですけど!」

 

レフィーヤは慌てて自分を臭った。

 

「テメエのじゃねーよ!これは...血の臭いだ」

 

「え...」

 

レフィーヤはベートの真面目な雰囲気にたじろいでしまっていた。

 

 

 

「チッ。こそこそ隠れやがって...いるのは分かってるんだよ!さっさと出てきやがれ!!」

 

「まあさすがに気付かれるか...」

 

そこに黒いローブで全身を覆った悠斗が現れた。

 

「お前が【凶狼】ベート・ローガだな?」

 

「何だテメエは?」

 

尋ねられたが正体をばらすわけにはいかない。

 

「俺が何者かは重要ではない。ただ、トマト野郎を知っている者とだけ答えておこう」

 

「え、それって!」

 

「何だ、テメエあのトマト野郎の知り合いか?ははは!コイツは傑作だぜ。だったらトマト野郎に伝えとけよ!目の前のモンスターにもビビッてしまうような雑魚はダンジョンなんて潜らずにおとなしく家にでも引きこもっとけよってな!!」

 

ベートは高笑いしながら悠斗にそう告げる。

 

「無様なものだな」

 

「ああん?」

 

「わざわざ駆け出しの冒険者を貶めてそれを酒の肴にしなければ好きな女を口説くことすらできない...本当に無様な駄犬だなお前は」

 

「テメエ今なんつった!?」

 

悠斗の挑発にベートが今のもぶち切れそうな声で睨みつける。

 

「ベートさん落ち着いてください!貴方も命が惜しかったらこんな挑発するようなことは...」

 

「小娘、俺は事実を言ってるまでだ。そいつは自分より弱い奴を出さなければ女の1人も口説くことができない、ただの雑魚だ!」

 

 

ぶちん!!!!

 

 

「上等だこの雑魚野郎が!!テメエが何者か知らねえがこの俺様にケンカを売ったことを死ぬほど後悔させてやるよ!!!」

 

ベートの怒りが爆発し、戦闘態勢を取る。

 

「(ふん、あっさり挑発に乗りやがって。見た目通りのただの獣だな。こんな単純な獣ほど狩りやすいものもないがな!)」

 

「あわわ...」

 

レフィーヤはどうすればいいかわからず右往左往している。

 

 

 

 

 

「さっさとテメエの獲物を出しな!先手は譲ってやる。その後テメエがいかに雑魚かってことを嫌でも思い知らせてやるよ!」

 

「(やれやれ完全に舐めてやがるな...さてどうするか、あまり時間はかけたくないし"ジャッジメント"で一瞬で片づけるか?...いや、銃が無いこの世界でそんな未知の武器を出したら問題になるかもしれない...無難にこいつで叩きのめすか)」

 

悠斗はローブの中から1本の黒い木刀、"小夜時雨"を出した。

 

「木刀?」

 

「ははは!!そんな木刀程度で俺に傷つけられるとでも思ってんのか!まあわざわざ顔を隠すほどの腰抜けだ、外見と同じで獲物まで雑魚だな!」

 

「(見た目だけで判断するとはな。典型的小物だわこいつ...)」

 

そう思いながら悠斗は深く腰を落とし刀の切っ先を相手に向け、その峰に軽く左手を添えた状態に構えた。るろうに剣心の斎藤一の【牙突】である。

 

「な、何ですかあの構えは!?」

 

「ハン!何をしようと同じことだ!」

 

レフィーヤは今までに全く見たことのない構えに少し動揺したが、ベートはかなり余裕を見せている。

 

「行くぞ駄犬」

 

ドン!!

悠斗はとてつもないスピードで一気にベートまで接近する。

 

「!!?(はええ!!)」

 

ベートは体の中心部まで接近した刃を避けようとしたが回避が間に合わず右肩に突き刺さり、瞬時に皮膚と肉と骨を貫く。

 

ざくぅぅぅ!!

 

「ぐあああーーー!!!!」

 

「ベートさん!!(うそ、ベートさんが反応できないなんて!?)」

 

「ぐうぅ!こ、こんの野郎めえ!!」

 

「おっと!」

 

バッ!!

 

何とかベートは右肩を貫いた剣を離し、間合いをとった。

 

「よく反応できたな。だてにレベル5ではないか?」

 

「痛ってえ...なんだこれは、ただの木刀の切れ味じゃねえな...チッ、クソが!今度はこっちの番だオラア!」

 

「ふん」

 

ベートが反撃に入り、キックとパンチのラッシュ攻撃を繰り出す。

しかし、百戦錬磨の悠斗には全く当たらない。

 

「クソ何でだ、何で当たらねえ!」

 

「見え見えの攻撃だな。お前はこの程度なのか?」

 

悠斗はそう吐き捨て剣を振り下ろしたが

 

ガキィン!!

 

足で受け止められてしまった。

 

「おや?」

 

「なめんなよ!俺の武器"フロスヴィルト"はミスリルでできてるんだ。そんな簡単に斬れるもんかよ!!」

 

「ふーん、ミスリルねえ...」

 

「隙ありだ!死ねやゴルァ!!」

 

「阿呆が、せいっ!」

 

ベートは僅かな隙をついて勢いよく蹴りを放ってきた。

そこにすかさず悠斗は左の拳を"フロスヴィルト"に直接打ち込んだ。

その瞬間

 

パァァァァン!!!!

 

「「なっ!!!?」」

 

2人して驚いている。

それもそのはず。ベートが装備していた"フロスヴィルト"が壊れるどころか粉々に砕け散ったからだ。

 

「(これが【二重の極み】だ。この世界でも通用するとは思わなかったが...)」

 

「え...?こ、粉々になったの...?」

 

「い、今何しやがったんだテメエ...!?」

 

「敵に解説すると思うか?これで終わりだ」

 

「テ、テメエは...」

 

悠斗はベートの左肩に人差し指を当て

 

「【破道の四 白雷】」

 

ドン!!!

小さな声で唱え、指先から一条の雷を放った。

 

「がはっ!」

 

左肩に穴が空き、ベートは大量に血を吐く。

すかさず悠斗はベートの頭をつかんで

 

「寝てろ」

 

ドゴーン!!!

地面に思い切り叩きつけた。

ベートは生きてはいるが気を失ってしまった。

 

「(そ、そんな...あのベートさんが手も足も出ないなんて!この人剣だけじゃなくて魔法も強い!私なんかじゃ勝てない...で、でも!)」

 

レフィーヤは悠斗の強さに怖気づいたがこっそりと呪文の詠唱を唱え始めた。

 

「(レベル5はこんなものなのか...いやこいつが弱いだけなのか...まあいいや。さて、終わったことだしさっさと帰るとするか)」

 

そう考えながら用事が済んだので帰ろうとすると

 

「【アルクス・レイ】」

 

ドゴーーン!

光の太い矢が悠斗に命中した。はずだったが...

 

「え?」

 

「後ろから不意打ちをかけるとは随分とえげつない小娘だな」

 

全くの無傷で悠斗は立っていた。

 

「うそ、無傷!?」

 

「魔法力自体は悪くないようだが、いかんせん使い手は未熟ではあるな。おまけに殺意もこもっていない。そんな中途半端な攻撃じゃ俺には傷一つつけられん」

 

「あ、ああ...」

 

「お前を叩きのめす理由は無いし、本来女子供は相手にはしたくなかったんだがな...俺の敵として立つんなら容赦はしない!【バーンストライク】」

 

悠斗が魔法を唱えた瞬間複数の灼熱の火球がレフィーヤに降り注ぐ。

 

「うそ、詠唱無しで...きゃーーー!!!」

 

レフィーヤは避けられず火球が直撃する。

 

「う、うぅ...(な、なんて威力...こんな人がオラリオに存在するなんて...)」

 

「諦めろ。お前では俺には勝てん。今なら見逃してやるからさっさと帰りな」

 

「わ、私はロキ・ファミリアのレフィーヤ・ウィリディス。誇り高きエルフ族でありロキ・ファミリア「長い」はぐっ!」

 

言い終える前に悠斗はレフィーヤに膝蹴りを食らわせ気絶させた。

 

「今日の俺があんま言えることじゃねえが敵を前にベラベラ喋るもんじゃねえ。もし戦場ならその時点でお前の死は確定だ。戦場で獲物を前に舌なめずり、三流のやることだ」

 

悠斗は気絶したレフィーヤにそう言い捨てる。

今度はベートの方を見て

 

「今回はこれで勘弁しといてやる。だが今度またベルを貶めるような真似してみろ。その時は確実に殺してやるよ。...さて、時間を無駄にしたな。急いで帰らねえとヘスティア様に怒られてしまう...」

 

 

急いでホームに戻った悠斗であったが、そこには般若と化したヘスティアが仁王立ちして待っていた。

逃げようとしたが即座に捕まえられ、数時間におよぶ説教を受けてしまい、結局寝ずに朝を迎えることになってしまった...

 

 

 

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