捻くれた少年と海色に輝く少女達 CYaRon編 作:ローリング・ビートル
「あれっ、比企谷くん⋯⋯だよね?」
「お、おう⋯⋯びっくりしたぁ」
姿を現したのは野生動物ではなく松浦果南だった。
ほっと胸を撫で下ろすと、彼女は息を整えながら距離を詰めてきた。
「なぁに?もしかしてお化けでも出たかと思った?」
「いや、なんか熊でも現れたのかと⋯⋯」
「何それ、失礼しちゃうなぁ。こんな可憐な熊がいると思う?」
「⋯⋯悪い。この辺来るの初めてだったから」
距離を詰められた途端彼女のポニーテールが揺れ、甘く爽やかな香りが弾ける。
ジョギング中なのか、額や首筋には汗が滴っていたが、それすらも気にならない。朝の日差しに輝くそれは彼女の魅力を引き立てていた。
「じゃあ、案内がてら比企谷くんも一緒に走る?」
「いや、遠慮しとく」
「つれないなぁ。たまには運動したほうがいいよ」
「あー、じゃあ気が向いたらそのうちテキトーに」
「あははっ、何それ。絶対やる気ないやつじゃん」
どうやら見破られたようだ。松浦は呆れたように笑っている。
すると、ばたばたと複数人の足音が聞こえてきた。
「あれ、果南ちゃん休憩?ん?比企谷さん?」
「⋯⋯お、おう」
「千歌?ていうか皆どうしたの?」
現れたのは何と高海⋯⋯だけではなく、Aqoursのメンバーが勢揃いしていた。今日は朝練をしていたのだろうか。
「あははっ、あー、果南ちゃん元気?」
「え?げ、元気だけど⋯⋯」
「比企谷さんとは何をしていたの?」
「何をしてたっていうか、偶然出会ったからジョギングに誘っただけだよ」
「ふぅん、そっか⋯⋯二人ってよく話すんだ」
「いや、そうでもないけど。ねえ」
「ああ、久々に話したんだが⋯⋯」
高海は何故かじーっと俺の目を見ている。何だ。俺が年上の幼馴染と話すのがそんなに問題があるのだろうか?別に下心とかはないのだが⋯⋯仮に少し滲み出てしまったのならしょうがない。だって男の子なんだもん!
「千歌ちゃん、千歌ちゃん。今その事は関係ないでしょ?」
「そうよ。本来の目的からずれてるわよ。どうしたの?」
「あっ⋯⋯」
高海は何かを思い出したような表情になり、てへへと愛想笑いを浮かべた。
とりあえず朝練で偶然訪れたわけではないらしい。
何の用かは知らないが、松浦に会いに来た⋯⋯いや、松浦の後をこっそりつけてきたと言うべきか。
すると、今度は別の方向から足音が聞こえてきた。
「グッモーニン♪」
「鞠莉⋯⋯」
次に姿を現したのは、にこやかな笑みを浮かべた小原鞠莉だ。どうやらたまたまここに来ただけで無駄に賑やかな朝になりそうだ。