捻くれた少年と海色に輝く少女達 CYaRon編 作:ローリング・ビートル
松浦と小原が少し離れた位置で見つめ合う。
その視線の中には様々な思いが交錯しているのが、付き合いの浅い俺からも見て取れた。
「果南、千歌っち達は再び一歩踏み出し始めた。だから、私達もそろそろ前に進まない?」
「⋯⋯⋯⋯」
松浦はそれには答えず来た道を戻り始めた。その横顔は何かに耐えているような、悲痛なものだった。
「果南!」
「⋯⋯もう、あなたに会いたくなかった」
その台詞に周りの時間が止まったかのような錯覚を覚えた。
小原も似たような表情で松浦の方に手を伸ばしかけるが、結局はその背中を見送った。
「果南ちゃん⋯⋯」
高海も何と声をかければいいかわからずにその場に立ち尽くしている。
他のメンバーもおろおろと小原と松浦が去った方向に交互に視線を送っていた。
どんよりとした空気が流れる中、小原がぱんっと手を合わせ、舌を出した。
「ソーリー。変なとこ見せてごめんね?私ももう行くわ」
小原もその場を去ると、徐々に気まずい雰囲気は消えていったが、鈍い沈黙はしばらくそのままだった。
空は青空だというのに、雨が降りそうな気分だった。
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「へえ、松浦達がスクールアイドルをやってたのか」
「はい、そうなんです。それで……いろいろ聞いてみたくなって」
場所を喫茶店に変えて、高海から聞かされたのは三年生組の過去だった。
松浦、小原、黒澤姉の三人はスクールアイドルとして去年まで活動していたらしい。
だが、東京でのライブで松浦が歌えなくて、そのまま解散してしまったらしい。
何となくだが、ライブの失敗が解散の直接の理由ではない気がした。
それに、さっきの松浦の横顔がやけに頭の中にこびりついて離れなかった。
「……なんか他に理由があるんじゃないか?知らんけど」
「ですよね!そうですよね!絶対何か理由ありますよね!」
知らんけどと予防線を張ったんだが、あっさり破壊されてしまう。あと近い……!
「そういえば比企谷さん、なんで果南ちゃんと一緒にいたんですか?」
「ああ、散歩してたら偶然遭遇したんだよ」
「本当に?」
「嘘ついてどうするんだよ……」
「あっ、そうですよね。ごめんなさい、いやー、のど渇いちゃったなー」
「おい、それ俺の……」
「んぐっ!?……あはは、お詫びに、わ、私の飲みます?」
「…………」
それだとお互い間接キスし合ってるだろうが。どんなシチュエーションだよ。
残りはストローから直飲みに切り替え、何とか飲み終えた。
その間、隣のテーブルの渡辺が何故かこちらをじっと見ていた。