なんというか、毎度のことながら前置きみたいなのが長すぎるんですかね?今回もデパート前の公園で千四百文字くらいはいちゃついてますし。
次に投稿しようと思っていた話でも、東北家の廊下でゆかりさんが一人で歩いているだけなのに千文字くらい使ってますし。
まあ、作者はこの書き方しかできないのでどうしょうもないんですけどね。
たぶん次の話もデパート編になります。
ああ、きりたんが遠のいてく。
紆余曲折あったものの無事にデパートへ向かうことが出来ましたがここで問題が一つ。あかりが日傘を渡してくれません。
私が日傘を開こうとしたら「私がさします!!」と張り切り、それ以降「大丈夫です!」とか「私がゆかりおねーさまを守ります!」などと言って私に渡してくれません。
とっっっっても可愛くないですか? 私の従姉妹。さっきからにやけそうになって大変です。
あかりの声が大きく元々通りやすいのも合わさって、未だに私達は遠回しに見られていますがそれももう気になりませんし、それに、無理もないことかも知れませんね。
なにせとっても可愛い格好をした私の従姉妹がいますからね!
「っと、そうでした」
「どうしたのですか?」
「あかり、今日の服装とっても似合ってますよ」
危ないところです、服装を褒める事を忘れるところでした。
今日のあかりはバックフリルが可愛らしい無地のカットソーに上品な黒いフレアスカート、靴もアンクルストラップタイプのサンダルと全体的に見て落ち着いた服装をしています。髪型もいつもは編んでいる髪を解いてストレートにしていますね。緩くカールをつけているので印象がいつもと全然違って見えます。凄く愛くるしいですね。
ちょっと今日の服装とは合ってなさそうなブレスレットも昔私がプレゼントした物なので、それを着けて来てくれたのも嬉しいです。全体的にあかりの可愛いところを損なわず、いつもよりちょっと大人っぽい感じに仕上がってますね。
「髪も似合っていて素敵です。おしゃれさんですね、あかりは」
けれど、いくら大人っぽく見えてもあかりは可愛い私の従姉妹です。顔を真っ赤にしてこちらの肩に額を押し付ける姿はとっても愛らしく、頭を撫でてあげたい衝動に駆られますが、せっかくのセットが崩れてしまうので出来ません。
仕方がないのであかりの腰あたりに腕を回し、ぐっと引き寄せて抱きしめることにします。
「少し見ない間に大きくなりましたね。あかりはいつまでも可愛い私の従姉妹だと思っていたのですが」
「……………………」
「誇らしいような、寂しいような、少し、複雑な気持ちです」
「ぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅぁぅ」
こういうところは変わってませんね。
昔から少し褒めれば大袈裟に喜んで、褒めちぎると真っ赤になった顔を見せたくないのか、痛いほどこちらに押し付けてくる。
昔はその反応が可愛くてわざと褒め殺しにしたりもしましたね。若気の至りというやつです。
「ずっと、こうしていてもいいですが、せっかくのお出かけです。そろそろ行きましょうか」
「そそそそそうですね!いきましょう!」
顔を赤らめたあかりの背を軽く押して止まっていた足を動かす。
心地よい風に暖かい日差し。
作られた日陰の中、側に有る人の温もりが一層感じ取れる日傘は、澹蕩とした世界に私達だけを招待してくれる、素敵なアイテムなのかも知れません。
「ゆかりおねーさま」
「なんですか? あかり」
「ゆかりおねーさまも、とっても素敵です」
「ありがとうございます」
私の服装は……まあいいでしょう、穏な感じの服です。それより、思いどおりの反応を得られなかったあかりが頬を膨らましていますけど、甘いですね。
あかりに褒められたのは凄く嬉しいですが、今まで年上として接して来ましたし妹として見ていますから、微笑ましく思うばかりです。私を照れさせるのには百年早いです。
「ほら、行きますよ」
「……はーい」
頬をぷっくら膨らませたあかりはデパートに着けば機嫌も治るでしょう。
それはそうと、あかりの付けている香水の香り、私の好きなタイプの香りですね。後で香水のブランドを教えてもらいましょう、私も欲しいです、これ。
「あら」
「お久しぶりですね、ゆかりさん」
「……ええ、お久しぶりですね、ずん子さん」
デパートに着いた後、あかりとウィンドウショッピングを楽しんでいたらずん子さんとばったり会いました。
気品に溢れる着物を着たずん子さんが、ビニール袋片手にデパートにいる姿がどこかちぐはぐに映ります。
東北に住んでいた頃は、袴を履かない太腿を大胆に露出させた弓道着姿が印象に残っているので、尚更ですね。
ですが。
「綺麗な着物ですね。とってもよく似合ってます」
「ありがとうございます。そういうゆかりさん達も素敵な装いですよ?」
「ありがとうございます」
いやいや、本当に綺麗でまるでお姫様のようです。化粧もきっちりと仕上げていて、いつ見ても美人なずん子さんがさらに美しくなっていますね。見惚れて少しばかり挨拶が遅れました。
「今日は何かあったんですか?」
流石のずん子さんも家の中ならともかく、外に出かけるときは普通の洋服を着ていますからね。四六時中着物姿なのはずん子さんの姉であるイタコさんくらいです。あの人は着物姿に狐の耳まで付いていますから、この町ではちょっとした有名人です。
「今日は結婚式にお呼ばれしてまして」
「なるほど……それはおめでたいですね」
「はい!……ところで、そちらの可愛らしい方は妹さんですか?」
そういえばあかりの紹介がまだでしたね。
「この子は紲星あかりと言いまして、私の親戚で従姉妹にあたりますね。あかり、こちらは東北ずん子さんです。私の大切なお友達です」
「初めまして、紲星あかりです。東北家の皆さまには家族共々お世話になりました」
「初めまして、東北ずん子です。こちらこそ、紲星家の方々にはこの地に居を構える際、色々と便宜を図っていただき感謝の念に堪えません」
んんん?
一瞬にして別世界が形成されたんですが?
なんですか?あかり。そのもの凄く品のあるカーテシーは。私そんなあかり見たことありませんよ?
ずん子さんはまあ所作は割といつも通り、ですが格好が格好ですから、和洋それぞれのやんごとなき人達の会談のような感じになっているんですよね。
それはいいんです。二人とも大きな家の娘ですから色々とあるのでしょうし。
けれど問題は私が普通の家に生まれた一般庶民で、ここが大勢のひとがいるデパートの中だということです。
私、どうすればいいんでしょう? 場違い感が半端じゃないんですが。二人の会話はまだ続いていますし、私は微笑んだまま佇むことしか出来ません。
何か、現状を打破できることは……あっ!マキさんだ!マキさーーん!助けてマキさーん!!私をここから連れ出して下さい!
ああっ!!違うんですマキさん!この手はサヨナラとかじゃなくてらこっちに来て欲しくて降っているんです!
顔を引きつらせてどこか行こうとしないで下さい。
あと、私はマキさんに手を振っただけなので、周りの人達は振り返さなくてもいいのですが…。
いや「挨拶されちゃった」って何ですか?違いますからね?何か色々と間違ってますよ?
「そういえばゆかりさん」
「あっはい、なんでしょうか?」
「最近、家に遊びに来てくれませんね?きりたんが寂しがってましたよ?」
「そうですね。久しぶりにきりちゃんの顔も見たいですし、今度のお休みお邪魔してもいいですか?」
「もちろん大歓迎です。そのまま家に泊まっていきませんか?私もゆっくりとお話ししたいですし」
「ええ、喜んで。その時は一緒にお料理しましょう」
「それは素敵ですね」
とんとん拍子に話が進んでいく中、袖が遠慮がちに引かれたのでそちらを見ると、あかりがあからさまに膨れていた。
くりっとした目で精一杯こちらを睨み、柔らかそうな頬を膨らませていますが、微塵も怖さは伝わらずただただ可愛いだけですね。
「どうしました?」
「むー……ずるいです!」
「お泊まりなら今日あかりもするでしょう?」
「それでも、ずるいものはずるいんですっ!」
「あらあら」
くっそかわいい。
「それじゃあ、今日のご飯はあかりの好きな物を作りましょう」
いやまあ、最初からそのつもりでしたけどね。
「ほんとですか!?」
「はい」
「じゃあ私、ハンバーグがいいです!」
やっぱりあかりの好物であるハンバーグですか。
そう言うと思って食材はもう家に用意してます。
「じゃあ、今日のご飯はハンバーグにしましょうか」
「うわあぁい!!ゆかりおねーさま大好きぃ!!!!!」
「きゃっ…ちょっ、あかり!?」
ちょっと、みんな見てます!みんな見てますから!!こんなところで全力のハグなんてしないで下さい!!
「あらあら、ゆかりさんでも顔を赤くすることがあるんですね?」
ずん子さんそんなこと言ってないで助けて下さい!ああっ!どこに行くんですか!?
「私もきりたんの顔が見たくなったので、そろそろ帰りますね?」
「この状況で帰らないで下さい!」
「それではまた今度。楽しみに待っていますから」
「行かないで!ずん子さん、ずん子さーん!」
小説の次話投稿も遅いのにDEATH STRANDINGのボイロ動画を作り始めた屑作者がいるってマ?
という訳なので次の投稿は遅れまーす。
ごめんなさい。
というか話のネタがあんまり無いのでリクエストとか募集したいのですが
匿名辞めましょうかね?
もしくはTwitter?
けど、Twitterはやってない人も居るでしょうし、匿名ですかね?
……その内決めときます。