読む側から書く側に挑戦する者です。
不備やアドバイス等ありましたら感想のところでお願いします。
俺は本物が欲しかった。
雪ノ下雪乃に憧れを持ち、
由比ヶ浜結衣に優しさを感じた。
そして何より『奉仕部』にあの空間に
居心地の良さを感じた。
俺の2学年はいい事も悪い事も含みで
充実したものだと言えるだろう。
学年が上がってからもそんな日常が続くと
俺は思っていた。
そう、思っていたのだ。
冬が開け新学期と共に暖かい春の日差しが降り注ぐ時期である。
俺や雪ノ下、由比ヶ浜は3年へと一色は2年へと進級した。
だがしかし、今は自分の進級に一喜一憂してる場合ではない。
そう、妹の『比企谷小町』が総武高校に入学する。
妹と一緒に学校まで登校できる、ただその思い一心だった。
この時をどんなに待ち望んだことか…総武二大天使トツカエル、コマチエルの誕生である。アーメン。
さて、そんなことを思いつつもベッドの上で惰眠を貪る俺であるが一色からというか生徒会から入学式の会場設営の準備を手伝って欲しいという依頼が来たため他の在校生よりも早く学校へ行かなければならない。
あぁ、働くというのはどうしてこう無慈悲なのだろうか。やはり働くのは嫌だな。専業主夫最高!
遅刻すると雪ノ下に何を言われるか分からないという思考が脳裏に過ぎった所でようやく体を起こそうとする。
だがこの時俺は2つの違和感に襲われた。
1つ目はほのかに香る薬の匂い。何処かで嗅いだことある匂いが鼻を刺した。言わずもがな病院の匂いだ。
2つ目、この2つ目が問題なのだ。2つ目の違和感は足にあった。俺の足が固定されている。
何を言ってるのかわからないという皆の為にもう1度言うと、
足 が 固 定 さ れ て い る のだ。
いや、言ってる俺自身が何言ってるのか分からなくなってきた。
え?なんで?俺いつの間に骨折したっけ?という思考になりながら目をうっすら開け現状を確認した。
まず目に入ったのはいつも着てる物とは違う、サイズが合わなくなったはずのパジャマ、次に2年前に見慣れてしまった病室。そして、固定された足である。
俺は驚きの余り言葉すら出ず思考も体も固まっていた。
何分、何十分固まっていたのか分からないが
『比企谷さん?起きてますか?』
という看護婦の言葉により思考を再起動させることが出来た。
看護婦による話の中で分かったことが1つあった。
今俺がいるのは俺が元いたと思われる時期より2年前、つまり高1のはじめの時期なのだ。俺の高校ぼっち生活の起源に来てしまった、という事になる。
だがそんな事より今は
【1年間居たあの居心地の良い空間が無くなってしまうのでは】
という考えしかなかった。
2年前に戻ったという事は2年前と同じ経験をするのだろう。ならこの後の展開は容易に予想が出来る。
小町がプリプリと(可愛く)怒りながらお見舞いに来たり今回の事故についての後処理をしたりするのであろう。と、この時の俺は軽い気持ちで考えていた。
冬が過ぎたとはいえ日が暮れるのがまだ早い4月某日、各学校は放課後の時間帯になったと思う。俺はというと……暇だ、暇なのである。
2年前も体験したこの何もすることがなくただただ時間が過ぎていくこの虚無感。流石に2度目は辛い。早く小町来ないかなぁ。小町とお話したいなぁ。お兄ちゃん寂しいなぁと独り言ちっていると病室のドアからトントンという軽くノックされた音が聞こえてくる。その音を聞きすかさず「どうぞ。」と返事をした。
ドアの向こうから現れたのは俺の妹であり天使である小町だった。ふむ、やはり小町は中学生なのか可愛いなフヒッ。なんて思ってると小町の態度に違和感を感じるため小町に声をかけてみようと思う。
「…小町?どうしたんだ?そんな所に立ってて。」
そう問いかけると病室のドアの近くに居た小町がビクッと体を少しはねた後オドオドした様子で
「そ、そっちに行ってもいいの?怒らない?」
と問い掛けてくる。ん?怒る?何故だ?
「…大丈夫だ。怒る理由もないしこっちこいよ。」
そう言った後小町はちょこちょことこちらへ寄ってくる。可愛い。お持ち帰りしたい…おっと、話が逸れてしまう。
「お、お兄ちゃん…怪我大丈夫?」
「…あぁ、怪我は大丈夫だ。数週間入院すれば治るらしい。」
「それなら良かった…。」
ふむ、小町も安心してくれたようだ。しかし気になる事があるな。
「なぁ、小町。ひとつ質問なんだが。」
なに?という小町の言葉を聞き俺は質問する。
「さっき来た時おどおどしてたし怒らないか聞いてきたのは何でだ?」
その質問を聞き小町はえっ?と言った後
「い、いつも話しかける時怒ったり無視したりするから…」
…なんだって?俺が小町を怒ったり無視したりするだと?有り得ない。こんなに可愛い妹を無視するだと?俺はそんなことした覚えないぞ?まさか覚えてないだけで過去に無視した事があったのだろうか…と思考を巡らせてる間に更に小町が
「だって、小町みたいなブサイク、お兄ちゃん嫌いだもんね…」
その一言。たった一言に俺は驚愕を隠せないでいた。
小町がブサイク?ハハハ冗談が過ぎるぞ、エイプリルフールは終わったじゃないか~なんて思ってる場合じゃなかった。
「小町がブサイク?ハハハ冗談が過ぎるぞ、エイプリルフールは終わったじゃないか~」
動揺しすぎたせいか思った事を口にしてしまった俺である。
「じょ、冗談じゃないよ?昨日も夕ご飯の時に話しかけるなって怒られたしその前だってブサイクが話しかけるなって言われたし。」
おいおいおい、誰だよその俺。全然記憶無いし寧ろ小町にそんなこと言わないぞ?そう思っているとふと疑問に思った事を小町に聞いてみた。
「なぁ、小町。もし仮に小町がブサイクっていうなら美人の象徴みたいな人はどんな容姿なんだ?」
もし俺の予測が正しければ2年前へタイムスリップした事並に一大事である。
「はい、お兄ちゃん。この雑誌の表紙に乗ってる人が美人の象徴だよ。」
そう言われ渡された雑誌を覗いてみる。その雑誌には…
とてつもないくらいブサイクな女性がオシャレをして決めポーズなるものをしていた。つまり俺の予測は当たった。いや、当たってしまったのだ。そう、ここは2年前へのタイムスリップに加え
美醜が逆転してしまったパラレルワールドへ飛ばされたのである。
文字数につきましては次話辺りから
徐々に増やせればと思っております。