2度目の本物を目指して   作:邪セリヌンティウス

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偏頭痛が引いてようやく書けるようになったので更新します。
今回は幕間なので気楽な気持ちで。
ご指摘やアドバイス等ありましたら感想のところでお願いします。


幕間vol.1

俺が退院してから早くも1日経ち今日は日曜日。

いつもならプリティでキュアキュアな美少女戦士を朝から見るため早起きするのだがここで全国のプリティでキュアキュアな美少女戦士を応援する同志に悲報である。予想していただけた方もいると思うがその予想通りだろう。そう、美少女戦士が美少女ではないのだ!あれ?プリティでもないしキュアキュア要素もないこのアニメはなんなのだ?この世界にはプリ○ュアが存在しないのか!?そんな!俺はもう美少女戦士を見れないのか…俺のプ○キュアが……

この時この世界に来て一番の絶望を味わったのである。

 

こうなってしまうと何もすることが無くなった俺は仕方がなく外出をする事に。ほんとは出たくないけれど。1人で行くのもアレだから小町も誘ってみようと思う。か、勘違いするなよ?これはデートのお誘いではない。家族間交流である。

 

「小町~今から出掛けようと思うんだが一緒に行かないか?」

 

俺の一言を聞いた途端小町が飛び上がるようにソファから起き俺の目の前まで移動してきた。この間わずか0.8秒。

 

「こ、ここ小町も一緒に行っていいの!?」

 

こんなに驚かれるとは思いもしなかった俺は

 

「お、おう。俺から誘ってるんだから小町が行きたければ全然…」

 

いいぞ。と、言い切る前に小町はいつの間にかオシャレをし、あたかも準備万端のような顔をしていた。早すぎて見えなかった、これが異世界なのか。という思いに浸っていると、

 

「お兄ちゃんとお出かけ…お兄ちゃんから誘ってくれた…ふふっ嬉しいなぁ。」

 

神様…今まで散々裏切り者なり無慈悲なり思って申し訳ございませんでした。心から反省するとともに私のような者の心からの雄叫びをどうかお聞きください…

 

 

 

 

神 様 ! 天 使 は 存 在 し た ぞ ぉ !

 

俺の想いは天高く俺をこの世界に導いた神様に届いたであろう。そう思った。

いや、本当に可愛い!シスコンで良かった!元いた世界の小町も可愛かったがこちらの小町も可愛すぎる。いつもは少しおどおどしてるものの照れた時の顔は予想以上の破壊力。あまりの可愛さに心臓発作を起こすレベル。いや、再入院は笑い話にならない。

俺はこの可愛すぎる小町に対する興奮をおさめると共に俺も出掛ける準備をする事にした。

 

 

 

 

 

さて、やって来ました。ららぽーと。俺が出掛けるとなると今のところはサイゼかららぽぐらいである。レパートリーの少なさに我ながら焦りすら感じているが今回は小町と楽しむため大型ショッピングパークへと足を運んだ。一方、その小町はというと俺の腕に抱き着き楽しそうに横を歩いている。うん、可愛い。この世界での唯一の癒しである。

そこからはまずお昼が近かったためフードコートで食事をする事にした。小町がマ○ドナルドのポテトをもきゅもきゅしながら食べる姿はリスのようでとても愛らしかった。

昼飯を取った後は小町の要望で食器を見に行く事に。なんでも仲良くなった記念に俺とお揃いのマグカップが欲しいとか。本当にこの子は…いい子すぎて涙が…親父と母ちゃんが溺愛するのも分かるわ。

昨日退院した後、俺の変わりように驚いた両親だったが事のあらましを全て話し終えるとすんなり納得してくれた。更に小町の容姿についてどう思ってるのか聞いてみると、

 

「容姿がどうであれ小町は俺達の可愛い一人娘だ。自分らの子供を愛せず親が務まるかよ。」

 

なるほど、ただの社畜としか思っていなかった親父だが中々カッコいいことを言っている。母ちゃんも親父の言葉に納得したのか力強く頷いていた。しかし親父よ、一人娘じゃないだろうが。目の前に息子いるぞ、忘れんなよ。ともあれこちらの世界の両親もいい人達だった。

 

いくらか時間が経ち小町がトイレに行きたいとのことで荷物は俺が持ち近くの柱にもたれかかっている。この後も何事も無く時間が過ぎていけばいいなと思った。否、思ってしまった。そうこれがフラグである。綺麗なフラグの立て方ですね。ここテストに出ますよ。

 

「ちょっと、そこのおにーさん?私達と遊ばなーい?」

 

綺麗なフラグの回収でしたね。ここもテストに出ます。

なんて頭の中でプチ講座してるさなか俺なんかをナンパしてきたおね、お姉さん?達は今どきのオシャレを体現したような服装にナチュラルメイクをしたような感じである。

 

「えっあ、あのすみません。人を待ってるので無理です」

 

特性のコミュ障が働いてしまった為言葉に詰まりながら拒否してしまった。噛まなかっただけポイント高い。

 

「そんなこと言わずにさぁ、ね?」

「そうそう!お姉さん達と楽しいことしよ?」

 

いや、小町とデートしてるだけで楽しいのでまじでこの誘い要らないしうざったすぎる。元いた世界でナンパされたことも無くあしらい方も分からなかった俺はこの場をどう乗り切るか考えていると、

 

「あれ~?比企谷くんじゃん。こんな所でなにしてんの~?」

 

救世主女神アテナの登場である。

 

「あ、雪ノ下さん。いや、今妹と買い物に来てましてね。トイレを待ってたらナンパされたというかなんというか。」

「なるほどねぇ。じゃあ私と小町ちゃんと3人で遊びに行こっか」

「おお、それは是非。という事で今回はお断りします。」

 

その場しのぎには最適な言葉を掛けてきた雪ノ下さん。ほんと頼りになるわこの人そこに痺れる憧れるぅ!

しかし突然の出来事に快く思わない人達もいる訳で。

 

「ちょっと?私達が最初に声掛けたんだけど?ブスは黙って消えてよ」

「そうよそうよ」

 

うわ、まだいたのかこの人達。というか面と向かってブスって言う?元いた世界でも面と向かって言う人なんてそうそういなかったしこの世界は過激派多いの?何それ怖い。

 

「お兄ちゃんおまたせ~ってこの状況なに?」

 

ひと揉めしてる間に小町がトイレから帰ってきた。待ち人も来たしそろそろお暇しま…

 

「へぇ、君の待ち人ってこんなブスなのね笑 こんな人達いいから私達と遊ぼ?ね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、いい加減にしてもらえませんかね。正直ウザったいですよ。あんたら、人を蔑むだけ蔑んで何様なんすか。」

 

 

 

ある時、とある人から理性の化け物と呼ばれていた。そんな理性の化け物ですら感情に任せてしまう時がある。それが今なのだろうと八幡自身も思っていた。正直自分自身でもビックリするくらい低い声が出てたと思う。

 

「俺言いましたよね?待ち人もいるし途中から来た雪ノ下さんと3人で遊ぶって。それを無視して自分の意見を主張するなんてどうかしてますよ。それに俺の大切な人達馬鹿にされて黙ってるほど腐ってないんで。」

 

目は腐ってますけど。

 

「でもそいつらブスじゃ…」

「いや、あんたらの主観押し付けんなって言ったじゃん…俺はどうも他の人と美的感覚がズレてるらしくてね。あんたらより小町と雪ノ下さんの方が可愛いし美人なんすよ。あんたら風に言うとブスは引っ込んでろって感じです。」

「………」

 

反論出来なくなったのか、ナンパしてきたお姉さん方は無言でその場を離れた。コミュ障の割によくここまで言えたもんだ。思い出すだけで自分でも驚きを隠せない。

 

「えっと、比企谷くん?」

「お兄ちゃん…」

 

おっと、御二方をほっぽいてしまっていた。いけないいけない。

 

「それじゃ、雪ノ下さんが言ってた通り遊びに行きますか?」

「そうじゃなくて、その…ありがとね?偶にいるのよ。ああやって容姿でマウント取って自分を上に見せる人。それに対していつもなら愛想笑いしか出来なかったんだけど比企谷くんが言ってくれたおかげでなんだかスッキリしちゃった。」

「お兄ちゃん…ありがと。小町もなんか清々しい気持ちになれたよ」

「お、おぅ。それはよかったです。ひゃい」

 

先程までの威勢は愚か噛み噛みになる俺だった。

 

 

 

その後は小町と雪ノ下さんと一緒にららぽで色んな店を周り服や小物等買っていった。

そして夕時

 

「比企谷くん、今日はありがとね。凄く楽しかったよ」

「いやまぁ、俺も退屈はしなかったので良かったと思いますよ。」

「お兄ちゃん今捻くれる所じゃないよ…」

 

そんな話をしてる最中雪ノ下さんから

 

「明日から学校でしょ?1つお願いがあるんだけどいいかな?」

 

さっきまでとはうって変わり真面目モードの雪ノ下さん。俺は黙って首を縦に降る。

 

「知ってると思うけど雪乃ちゃん総武校でさ、容姿も私に似てるから学校生活も心配なの…だからもしよかったらでいいんだけど雪乃ちゃんが困ってるようだったら助けてあげてくれないかな?初対面でも私の名前を出してくれれば少しは信用してくれると思うけどあの子心を少し閉ざし気味で…お願い出来るかな?」

 

やはりこの世界でも雪ノ下は何かしら過去にあったらしい。この問題は中途半端な覚悟で受けるとかえって悪影響になる。

だがそれがどうした。俺は元いた世界で由比ヶ浜と雪ノ下、そして奉仕部という居場所が何よりも好きだった。この世界に来てまたあの居場所を取り戻したいとすら思っている。そんな俺の想いを邪魔する障害物があるなら効率よく最善の手段でぶち壊す。ただし卑屈な手段はもう使わない。それで悲しむ人を増やしたくないから。

 

「わかりました。その『依頼』受けます。」

「ふふっ、ありがと。じゃあその『依頼』の前料金ね!」

 

その言葉と共に俺と雪ノ下さんの顔の距離がどんどん縮まり、気づいた時には頬に残る柔らかな感触と共に雪ノ下さんとの顔の距離が離れていく。え?あ、あれ?これって…

 

「はわ…はわわわわわわわわ!おおおお兄ちゃんがききききき…」

 

隣の小町がショート寸前の機械みたいになってるが俺の頭は既にショートしていたためその場を動けずにいた。え?雪ノ下さん何してくれますのん?

 

「え、あのえっと…」

「じゃあ、任せたよ少年!私も最善を尽くすけど君も頑張ってね。」

 

そう言い残すや否や雪ノ下さんはその場から走り去っていった。

尚、俺ら兄妹が再起動したのは雪ノ下さんが走り去ってから10分ほど時間が経った辺りである。っべー…まじっべーわぁ。




本編より幕間の方が文字数多いのはお愛嬌という事で許してくれま…せんよね、はい。

次回から学校編です。原作介入となる2年生からの時間軸にはまだまだかかると思います。ですがそれでも読んでいただけると助かります。

更新速度は安定させられるように努力します。(改善するとは言ってない)

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