2度目の本物を目指して   作:邪セリヌンティウス

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生きてます(直球)

この小説書き始めておいて胸が苦しいです。
全く、誰がこんなの書いたんだ。(他人事)

先日小説情報を初めて見たのですが沢山のお気に入り、しおりの登録本当にありがとうございます。正直ビックリしました。開いた口が塞がらないってやつです
更には高評価まで付けてくださる方々までいらっしゃいまして、もう嬉しさのあまりタンスの角に小指ぶつけました。
更新期間は長くなるかもしれませんが今後ともよろしくお願いします

前置きはこれくらいにして第7話です。どうぞ


第7話

人間は変わろうと意識してすぐ変われるほど出来た生物ではない。今までの習慣や癖、行動パターン等無意識下の内に体が動いたり口が動いたりするものだと俺は思う。しかし誰しも意識すれば自分の行動を制限することが出来る。今回俺はそれが出来なかった。何が世界の破壊者だよ、カッコつけてんじゃねぇアホか俺は。冷静になってねぇだろ。1ヶ月も投稿空いたってのに…って誰に話しかけてんだ。

とりあえずこの教室の空気を変えなければ。

 

 

 

 

 

「……は?あ、あんた何言ってんの?」

 

目の前で驚きを隠せずにいる毒島。当然であろう、今まで自分の事を美人と信じ疑わなかった。そして男子からも美人ともてはやされていたにも関わらず俺という存在に「ブス」と言われたのだから。毒島のこの反応を見る限り周囲からそういった類の話をされた事が無いのだろう。かく言う俺自身知り合いが罵倒されていた光景を見て感情的になってしまった所もある。これは反省点だ。

 

 

「あー、悪い。確かにお前にブスとは言ったが顔の話ではないんだ。俺が言いたかったのはその傲慢な性格に関してだ。人間誰しも自分の言うことを正しいと思ってしまう節があるし、ある程度の価値観が他の人と同じだからってその主張も正しいと思い込んでしまう。だからといってその主張を誰かに、それも自分より下だと思ってる相手に押し付けるのは自己中心的、傲慢だと思われてもおかしくないと思うぞ。」

 

「だ、だからってあんたには関係ないでしょ!?」

 

「関係ならあるぞ、俺はこいつの知り合いだ。知り合いや友人が悪く言われてると気分が悪くなるもんだろ?違うか?」

 

「知り合い?ふん、入院しててろくに学校に来なかった癖にそんな奴がすぐ知り合いなんて出来るわけないでしょ?頭大丈夫?」

 

 

俺をそう煽りながらずんずんと前に歩いてくる毒島。うわぁ…すげぇ痛い所付いてくるなぁ。でも事実だしなぁ、由比ヶ浜は友達って言い続けられてるから恐らく友達で間違いはないのだが三浦と相模に関しては今日知り合った事になってるし。知り合いにすら到達してないし。

 

「はぁ?あんたには関係ないでしょ?これからあーしはヒキオと友達になるんだから」

 

「ウ、ウチも男の子に褒められたの初めてだったし比企谷君と仲良くなりたい」

 

 

元の世界ではあまり相性が良くなかった2人が意見を一致させている姿に少し驚いていたが、今はそうこうしていられない。目の前で女同士の戦いが始まる前になんとか現状を解消しないと。そこで一か八か毒島の後ろにいた葉山に話し掛けることにした。

 

「なあ葉山、少し相談なんだが」

 

「何かな?」

 

「見ての通り俺は復学したばかりだ。知り合いなんて入院してた時から知り合ってた由比ヶ浜くらいしかいない。それでいて今日は知り合った名残で由比ヶ浜の友人達と昼飯を食べる事になったんだ。お前らとはまたいつかと思ってるから今日のところは引いてくれないか?昼の時間も短くなって来たわけだし。それで手を打ってくれないか?」

 

「ま、まぁ、ヒキタニくんがそこまで言うならまた今度にしようか。」

 

「ああ、助かるわ。あと俺は比企谷な」

 

 

なんとか葉山との交渉を成立させた。だが今後この世界のコイツと関わっていくことに対してはゴメンだとつくづく思った。

 

 

「ちょっと、葉山くん!いいの!?」

 

 

おっと、まだ説得しなければいけない人がもう1人いらっしゃった。上位カーストに位置する葉山の意見に疑うこと無く頷いてきた彼女だがここに来て更に声を荒げてきた。そこで俺は毒島にだけ聴こえるように小声で呟いた。

 

 

「毒島、今お前が葉山の意見に反対したら葉山は良い顔をしないだろうな。お前が放った反対意見のたった一言で今後葉山との関係が崩れたくなければここは葉山に乗っかった方が賢いと思うぞ?で、どうする?」

 

「ぐっ………」

 

渋い顔をする毒島。だが彼女は葉山という存在がこのクラスにいる限りカーストを維持するためか葉山を狙ってるためか知らないが葉山に楯突くことは出来ない。よって…

 

 

「わ、分かったわよ。しょうがないから今回だけは見逃してあげるわ。今度またそのブス共と一緒に葉山くんに逆らったらただじゃおかないから。覚悟しなさい」

 

 

 

そう言うと葉山の後を追うように早歩きで元の席に戻る毒島とその一行。今回はなんとか問題事を回避出来たようだ。控えめに言って疲れた。一悶着終えると先程までの思考をまた思い返す。世界の破壊者になるとか豪語した数分前の自分を殴りたくなるほど恥ずかしい。冷静さに欠けてたし次からは気をつけよう。と、思いに浸ってると後ろから声をかけられた。

 

 

「ヒ、ヒキオ?その、ありがとね。庇ってくれて」

 

「いや、お礼はいい。俺の昼飯を妨げられたからその原因を追い払っただけだ。いうなれば俺のために動いた」

 

「うんうん、ヒッキーは私達のために動いてくれたんだよね!ありがとう!!」

 

「あの、話聞いてた?俺そんな事言ってないよね?というか由比ヶ浜一言も喋ってなかっただろ。急に出てくるな」

 

「い、いやー!話すタイミングは伺ってたんだけどね〜中々入れなかったや」

 

 

アハハハと軽く笑った由比ヶ浜を見て気が緩んだのか俺と三浦と相模は顔を見合わせ笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は何事も無かったかのように昼飯を食べ、昼休みを過した。午後の授業は数学がなかったため眠りにつくことも無く黙々と黒板に向かっていた。

 

 

 

 

午後の授業も終わり帰りのHRが行われた後、各々の生徒が帰宅の準備をしたり部活に行ったりと行動している。部活、そう部活だ。この世界では奉仕部がどうなっているのか知らないし由比ヶ浜が部活に入ってる可能性もある。その為俺は由比ヶ浜に聞きに行った。

 

「由比ヶ浜、1つ質問なんだが部活に入ったりしてるか?」

 

「部活?ううん、入ってないよ?あ、もしかして一緒に部活やらないか…とか?」

 

「あ、いや。今はまだその予定は無い。勘違いさせて済まなかった。そうか、部活入ってなかったか」

 

「今はまだってことは今後誘うかもしれないって事でしょ?ヒッキーのお願いなら聞くからいつでも言ってね!」

 

「お、おう。わかった、帰る邪魔して済まなかった。じゃあな」

 

「うん!またね!ヒッキー!!」

 

 

またね、か。久々に聞いたかもしれないな…とか感傷に浸ってる場合じゃなかった。奉仕部があるかどうかの確認をする為に俺は職員室に向かうことにした。

 

「やっぱ、確認するなら『生活指導』の先生だよな」

 

 

という俺の独り言を教室に置き去りにして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します。平塚先生に用事があって来ました。平塚先生はいらっしゃいますか」

 

職員室の扉を開け職員室にいる先生に呼びかけるように話す。と、先生方は俺の探してる人物の方を顔と視線だけで見つめその動きだけでそちらに行けと促してるように見える。いや、せめて声に出して指示してくれよ。何してんだこの先生らは。

 

 

「君、私に何か用かな?」

 

と先生方が目を向ける方から声が聞こえてきたため其方を見る。そこにはいつもの白衣のようなものを纏っている姿はなくレディーススーツを着こなしタイトスカートを身にまとい、左手の薬指には輝く銀色の指輪をした平塚先生の姿があった。

……タイトスカート?指輪?

 

「で、えっと。君は?」

 

「ああ、すみません。比企谷八幡と言います。あの、失礼だとは思いますが本当に生徒指導の平塚先生でよろしいですよね?」

 

「初対面なのに君から何か失礼な思惑を感じたのだが」

 

「気にしないでください」

 

「いやしかしd……」

 

「気にしないでください」

 

 

危ない。平塚先生が学校でスカートを履いていて更には結婚しているという事実から目を背けてしまっていたのがバレたのかと思った。元の世界の平塚先生、強く生きてください。

 

「で、何度も聞くが私に何か用かな?」

 

「えっと、相談と言いますか質問と言いますか」

 

「ほう、何かね?」

 

「この学校にはボランティア部みたいな部活は存在しますか?」

 

「いや、そのような部は今の所ここでは存在してないな。」

 

「そう…ですか。まだないんですね」

 

 

奉仕部がない、この世界に来たと自覚してから分かってた。分かりきってた筈なのに顧問をしていた平塚先生から言われると心にくるものがある。それだけ俺にとって大切な場所だったんだなと感じさせられた。

 

「ふむ、君ならなんとかしてくれるかもしれない。私の勘がそう訴えかけてる」

 

独り言のように呟いていた平塚先生が喋るのをやめ俺の方に顔を向き直した。

 

そして……

 

「君に頼みたい事がある。」

 

「!?」

 

「君ならできると思っての頼みだ。私の勘が正しければ、の話だがね。受けるかどうかは君次第なのだが。どうかね」

 

「……わかりました。それが『依頼』と言うのでしたら受けましょう。」

 

「そうか、助かるよ。私も少々手こずっていてね。力及ばずという感じさ。同年代の君の力を借りたい」

 

 

久々に聞いた平塚先生の「頼みたい事」という言葉。この時の俺は奉仕部の活動時のような依頼があると思い内心胸を踊らせていた。

 

「それで、俺は何をすればいいんですか?」

 

 

しかし俺はこの時思いもしなかった。

 

 

「とある生徒が登校拒否してしまってね、今は休学扱いにしているんだが君にはその生徒を復学出来るようにサポートして欲しい」

 

 

このあと平塚先生から発せられる一言によって

 

 

 

 

「は、はぁ。で、その生徒の名前って……」

 

 

 

 

「ああ、言ってなかったね。その生徒は」

 

 

 

 

俺の体が凍りつくことを、そして

 

 

 

 

 

 

 

「1年J組、国際教養科」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雪ノ下雪乃だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これがこの世界で巻き起こるトラブルのプロローグに過ぎないという事を………




高評価
☆9:イージスブルー様、ette様、ビーストⅧ様、かゐと様、Re:ZERO様、榊 影理様、工川ラオコ様

☆8:どこかのシャルロッ党様、モジー様、まさまさまふー様

☆6:神天宮様

皆様高評価ありがとうございました!今後ともよろしくお願いします!

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