王国軍特殊13部隊が全滅したらしい。そんな報せが入ったのは雪の降る夜だった。
その報せが来た、ということはすなわち私達の姉が亡くなったということだった。
少し騎士としての義務感が強かったけれど姉はとても強くて優しくて両親が居ない家のことを守ってくれて…それから先は駄目だ、だめなんだ、どうしても、泣いてしまう…
生存者はゼロ、部隊は結成されてから戦場すら行けなかった。それは国としての損失となり、部隊を組んだ隊長達への悪風評となり、そこから関係のないはずの部隊員の風評になり、部隊員は無能であり国の恥という話になっていった。
それをほとんど何も知らない貴族達が広めていき、ついには遺族への差別になった。
姉は通常300部隊中第4部隊に入っていたんだ、その男はそれほど強かったんだから第1部隊でも勝てないよ、なんて言おうとしたけれど駄目だった。どんなことを言っても石を投げられる、パンを買おうとすれば嫌な視線で視られる、仕事は大体人より仕事が多いのに給料が少ない、当然の権利のように強盗と不良がお金をせびりにやってくる。
生きようとすることに必死で何も言えない、言い返せない。声も出なくなってくる。誰もが、どんな行動でさえ私を壊しにやってくる。蔑む視線も、通り過ぎて行く人も、私に構う人も、信じられず裏切られ続ける辛い、辛い日々。
一つの失態だけで完全な不幸になる、報われない世界だと思った。どんなことをしたって、噂は拡散していくし、人の口を縫い止めたって噂というものは民衆の中のささやかな話題として、無秩序に広がっていくのだろう。どんなに空が青くたって、白くたって、紅くたって、ささやかにどんどん大きくなっていって、ある日突然消えたとしても、理由もなくても蔑まれていく救われない世界。
その後はなぜかは自分でもわからないけれど、選択肢を切り開くわけでもなく、残されていた選択肢の中でも今までの私が絶対に選択しなかったであろう選択肢を突き進んだ。
そう、レニア・ファスレーンとして絶対に選ぶはずもなく、本来の私では意見を言い続けて無理矢理にでも避けていた、起伏のある、収入もある職業。
騎士団に入団する。
私のためじゃない、姉、いや名誉を傷つけられた者たちの無念を晴すこと、そして真実に被さった嘘を消し去りたいと、大義名分としてそう思った。
どれだけ心が傷つけられても、どれだけ世界が汚れても、人が着かなくちゃ何も伝えられない。(いつも勝つのは数の多い方だ)
どれだけ叫んでも、誰もが見ちゃいけないものとして見てくる。(なのに要らないものはいつも勝手に突然切り離される)
見てはいけないのはお前たちの方だというのに。(真の悪は自覚さえしない)