『報告』
『特異点の全滅を確認。閉幕とも開幕とも言えるこの世界以外の道のりは完全に不可能であると思われる。故にこれ以上の分岐は望めないと判断可能』
『分岐を促す観点は全て不可能。即ち如何なる分岐を促しても収束地点は全て同じである』
『よってこの世界へ完全封鎖・破棄を申請後、速やかに封鎖します』
『記録終了』
『本当にそう、思うか? いや、違うだろう……?』
『秩序と混沌は反転したようだ……』
『アコールめ。封鎖するとか言いながら、完璧には出来ていないんじゃ……いや、違う……外部干渉されているな』
『……誰だろうな? いいや
『…………』
——ここは、何処?
——私は、だぁれ?
——私、私は……?
——あれ? 私は
『世界』に1人、孤独な声が木霊する。それは少女の声。小さくそして孤独な少女の声。
「……何も、思い出せない……私は、誰? 此処は、何処?」
その少女はあひる座りで座り込みながら周囲を見渡している。赫い双眸から見える世界は酷く幻想的とも呼べる風景が広がっていた。道路が剥がれて天空に浮かんでいるような光景、雲海が同じ高さに見えて沈まぬ黄昏時の太陽がこの世界を横から照らしている。現実とも呼べない世界、吹き荒れる風によりその青白い長髪が靡かれる。
「……綺麗」
高い場所だからか眼下の雲海が地平線の様に見えて黄昏時の陽光を一身に浴びている。それは本当に幻想的に見える。
「…………此処は、本当に何処なの? 私は、誰なの?」
この幻想的な場所も知らない。そして自分の名前も思い出せない……気付いたらこの場所に迷い込んでいたのだから知らぬのも道理と言えた。着ている服は白と青を基調とした衣、青いマフラーも巻かれている。しかしブカブカなのか少々着崩れて僅かに胸元が僅かに見えている(服のサイズが大きいのか身体が小さいのか)。少し扇情的な装いとなっていた。
「……行かなくちゃ、でも何処へ? でもでも、この場所に留まるのも……?」
少女は周囲を見渡しながらそう呟いた後に立ち上がる。
「……ねぇ……e38293e38283e381a1e38186e381a4e3818a。あれ? 誰を呼んでいたんだろう?」
隣に誰かいた気がする……しかし、その相手を思い出す事は出来なかった。誰か、いた気がする。誰か、自分を呼んでいた気がする。しかし、思い出す事も出来ない、分からなかった。
「……アレ? 向こうに何か見える……?」
横を見渡すもナニモ無い。周囲を見渡した後、少し離れた場所に何かが光っている光景が見えた。気になった少女はその方向へと向けて歩き出す。道だけが宙に浮いたこの地形。足を踏み外せば奈落の底か雲海の下へと落ちるだろう。幸い、道幅は広い為に余程の油断しなければ落ちる事は無い。最もどう言う原理で浮いているのか分からない為に何時、崩れてしまっても可笑しくは無いのだが。
「……コレは? 蝶々?」
動くナニカの正体。それは青い光を放っている蝶々だった。それらがその場にずっと留まって羽ばたいている。
「……んぅ?」
青い光の蝶。それだけでも奇妙な光景だが飛んで行く事もせずにずっとその場に留まっている光景もまた奇妙と言えた……。