駄作品劇場・残骸   作:夢現図書館

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第23話

 

 

 

 

 

 

 

「……ッ⁉︎」

 

 

 血が滴る。何かが突き刺さっている。

 

「……………」

 

 半分以上、暗く潰れた視界。見えたのは錆びた匂い……そして聞こえたのは……。

 

「*****」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ッ⁉︎」

 

 辺り一面、真っ白な空間に居た。理由は分からない、いいや理解不能だった。

 

——何も、思い出せない……? 何か、忘れている様な気がする。そして、此処は何処だ?

 

「ほほう、コレは異な事が起きておるの」

「ほんとほんと〜、プチャッと潰れちゃいそうな魂だね〜」

 

 その時、眼前に光が収束されたかと思うと2人組の少女が現れた。体躯的には歳下そうに見える。お互い似た様なゴスロリ衣装をその身に纏うが何処となく不穏な空気を纏っている。

 

「……誰だ?」

 

「ほほう、儂らを見て物怖じせずにそんな言葉が出るか。肝が据わっておるようじゃな。安心せい、儂らはお主を救いに来たのじゃよ」

「うふふ、君はとても運が良い、本当に良いよ〜。三千一隅だよ〜」

 

 老獪な口調と、幼稚な口調。

 

「……救いに来た?」

 

——……何をどう言う理屈でだ?

 

「死すれば大多数の記憶は抜け落ちるモノじゃから自身の自我を保つのが限界じゃ」

「ポロポロ、パラパラ……クッキーみたいに粉々に砕けて落として行く様に……パラパラ、ポロポロ……バラバラになっちゃうんだよ〜。人の命も、等しく砕けちゃうんだよ? 壊れたオモチャみたいにグチャグチャグチャぁって」

 

「……死んだ? 俺が?」

 

「そうじゃ。お主は死んだ。コレは可変出来ぬ現実……お主のいた現世では既にその死体は焼かれておる」

「死んじゃった〜♪ 死んじゃった〜♪ 死ねば口無し、死人に口無し、でも害者は生きている〜♪」

 

 目の前の2人組から『お前は死んだ』と告げられた。その言葉に呼応して意識に揺らぎが生じて記憶が一部、蘇る。

 

「……ッッ‼︎ そうだ、あの時……刺された。間違いなく致命傷になる場所だった……」

 

「ふむ、記憶が一部……戻った様じゃな。続けるぞ。お主は本来、まだ生きる予定じゃった」

 

「……生きる予定? 人生の長さを知っているのか?」

 

「それは儂ら御使には与り知らぬ事よ。じゃが、お主の場合は予期せぬ死、じゃよ。何処ぞのうだつの上がらぬゴミ神の所為、での。その日、死ぬ運命と生きる運命は決まっておる。その『ズレ』にお主が巻き込まれたのじゃよ」

 

「……………神、と来たか。少し、記憶が戻ってきた」

 

「へぇ、記憶の修復が早い魂を見たのは久し振りだよ〜? ねぇ、お姉ちゃ〜ん」

 

「そうじゃな……久方振りじゃのう。説明の手間が省けると言うもの」

 

「でねでね〜。そんな悲しい運命は余りにも不憫って事でね〜、特例として転生の機会が設けられているんだよ〜。ぱんぱかぱーん。おめでと〜う」

 

「人間達の顕界の時間認知では毎年、こう言うケースが起こる。コレばかりは文句を言われても仕方ないからの……うだつの上がらぬゴミ神に代わりに儂らは常々奔走せねばならぬ。いやはや、大変な事よ」

 

「……生死は流転する。その神はヘルメスか?」

 

「ほほう、その名を知っておるか。じゃが違うと言わせて貰おう」

 

「そうか……して、輪廻転生、か。死すれば生へと生まれ変わる……肉体が生物学的な死を迎えた後には、非物質的な中核部については違った形態や肉体を得て新しい生活を送るという、哲学的、宗教的な概念。

 それは新生や生まれ変わりとも呼ばれ、存在を繰り返すというサンサーラ教義の一部をなす。これはインドの宗教、ジャイナ教、仏教、シーク教、ヒンドゥー教の中核教義とされ、一部のヒンドゥー教宗派では転生を信じないが来世は認めているそうだな……。

 再生と輪廻転生といった信念は、ピタゴラス、ソクラテス、プラトンなどの古代ギリシャの歴史的人物も持っていた。

 狭義的な意味としちゃあ……。

 ヘラクレイトスの提唱した『万物流転』

 ニーチェの提唱した『永劫回帰』其れ等もある種の『転生』の概念に触れる思想と言える……」

 

「ほほう……随分と哲学的な事を言うのう? 過去に儂らが転生させた者はそんな細かい哲学的思想は持ち合わせておらなんだがの。成程、面白い」

「わぁ〜、面白い面白いね〜」

 

「その辺のプロセスは認知しようが無いな。所詮は人間の思考・・・・・、神だの宗教だのも終局、人間の妄想・・・・・に過ぎないからな」

 

「わぁ〜、無心人だ〜」

 

「くくく、お主は常々、物事を捉え過ぎて盲目になる人格じゃったろうな。お主好みで言うとテセウスの船」

 

「或いは方丈記の一説、か……」

 

——仮に転生したとしても本人が同一と言えるか、か。いいや、否定される理論だな。

 

「まぁ、そう難しく考える必要は無い。今は無心となり聞くが良い。話を戻すぞ」

 

「ああ、もう好きにしてくれ。どの道、俺が出来る事は何も無い。聞こえはするが、それ以外何も出来ないからな」

 

「理解が早くて何よりじゃ。もう一度、言うが……お主の様な『運命のズレ』により落命した者には儂らの手で転生する機会を設けておる。何故ならば……」

「世界とは唯一無二。無限の選択によって〜、色んな可能性が生まれるんだよね〜」

「世界とは常に不完全のまま、完全なる存在は何処にもありはしないからの。少しの違いで全く異なる展開へと発展しよう。先の予期せぬ運命もその査証と言えるな。バタフライエフェクトとも聞くぞい」

「それにぃ〜『観測者』によっても在り方が変わってくるんだよね〜。パラレルトラベル〜う」

「特異点は何処からでも現れる。その光景は正しく台風の目じゃな」

「時代が動く転換点〜。その時歴史は動いた〜」

「それはそれは可能性と言う言葉をグロテスク規模に混ぜた混沌なパーティな畢竟光景じゃのう」

「無限の可能性は即ち非現実の証明」

 

「御託は要らん、さっさと要件を言え」

 

「此処からが面白い所じゃと言うのにせっかちじゃのう。まぁ良い……お主にはこれからある世界に転生して貰う、無論拒否権は無い」

 

「承諾か〜、容認か〜、して欲しいな〜」

 

「……で?」

 

「釣れんのぅ。して、その世界はお主の言う人間の妄想がごちゃ混ぜになった様な世界での……人間を始め、悪魔や天使、堕天使を始め、神だの神話の生物だの妄想の極地たる物が跋扈しておる」

 

「ファンタジーみたいな世界か?」

 

「……強いて言えば地球に神話が現実として具現化した、と言えば良いかのぅ」

 

「でもでもぉ〜、貧弱な人間だと〜、プチって死んじゃうんだよ〜、虫さんみたいに〜、潰れて死んじゃった〜♪ 死んじゃった〜♪」

 

「そうじゃな……転生早々にくたばられては儂らも困るのでな……。お主に少々細工を加えさせて貰う。何、人間で言う天賦、ギフテッドと思えば良かろう。無論、自覚するのはお主が生まれた後、じゃ。その後、どうなるかは知らぬ」

 

「……そうか」

 

「じゃあ、バイバイ〜。頑張って生きてね〜?」

 

「生きる事、それだけでも尊い事じゃからの」

 

「……………」

 

 その会話の後、2人組の前の魂は消滅した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くくく、コレで少しは退屈凌ぎにはなるかのぉ〜?」

 

「でもでもお姉ちゃん。俗に言う『ハイスクールD×D』の世界に送るなんて〜、直ぐに死んじゃうんじゃない〜?」

 

「或いは思いの外、足掻くかも知れぬぞ? 奴の身体には細工をしておいたからの」

 

「……でもでも人間って〜、自分の身に過ぎる力を持つと〜、遅かれ早かれポックリ自滅しちゃうよ〜?」

 

「ふむ、それはそれで面白いやも知れぬがの。まぁ、仮にも『運命』からズレたのじゃ……或いは予想外の結果を生むやも知れぬ」

 

「……だとしたら、愉快に踊ってくれるかも〜うふふふ」

 

「くくく、やも知れぬ」

 

「醜い醜い承認欲求〜、理解されない事を理解出来ない哀れな生き物〜」

 

「妄想で醜い嫉妬を隠す滑稽な姿……」

 

「追放されて捨てられる理由も理解出来ない生き方」

 

「どんな道を歩むのか……」

 

「どんな末路になるのか」

 

「その姿、それはそれは」

 

「その姿、とっても、とーっても」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「楽しみ」」

 

 

 

 

 

 

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