如何してこうなった。
俺は本当に色々とそう言いたい、まぁ……拒否権は無いのは理解して居たけどさ。
《IS》。正式名称、インフィニット・ストラトス。篠ノ之 束が宇宙を夢見て開発したパワードスーツ……しかしながら常人の理解を得られなかったからか或いは発表の仕方が間違って居たのか開発者の思惑とは別の方角へと運用されて居た。
その結果、軍事力の方面へと進出しそのISの持つ欠点からか女尊男卑と呼ばれる時代へと突入した……理由は簡単、ISは女性しか起動出来なかったからである。ってな。
「色々と文句を言いたいが聞く気無いだろ? Mr.轡木」
IS学園。その女尊男卑の根源たる面子を産み落とす魔境。
何時もなら暗い世界で狂人共の相手をして居たのだがな、どう言う訳か俺は此処の学園長室に居た。つーか、あの場所も充分過ぎる程の魔境だが、コッチもキチガイが多いと言う意味では魔境と呼べるだろうな……。
「良く分かって居るじゃないですか……えーと、確か君の名前は……」
「囚人番号42602。識別名は『強欲』だ」
他に名乗る名前があるとすりゃあ、一個しか無いが……まぁ、タダでさえ少ないカードを見せびらかす理由は無いだろうな。
「囚人番号でも識別名でも好きな方で呼ぶが良いさ」
「……いやはや私は君の本来の名前を知りたいのですけどね?」
「ホンライ? ナマエ? ある訳無いだろう? 無いんだから識別名か囚人番号で呼べと言ったんだよ」
そう言われたIS学園、学園長である轡木 十蔵は頭を掻いて如何した物かと思案する。
何せ相手は最凶最悪と謳われる、この世で1番地獄に近いと言われる監獄の囚人だから。
「そう言われましてもね……此処は学園であり監獄ではありません。間違っても番号や識別名で呼び表す訳には……」
「…………学校とは俺らから言ってしまえば監獄と対して変わらないと思うがね? 毎日同じ時間に集めて同じ様な事をさせて洗脳させる。どんな学校も大してジェイルと変わらん。それが此処、IS学園でもな……此処の場合は拘置所と言った方が手っ取り早いか?」
「…………」
そう告げて俺は両手の首にある手錠を見せびらかす。囚人=犯罪者と言う認識だからな……まぁ、間違っても居ないわな。 俺からすれば犯罪者=殺せと言う認識にならない方が奇跡と思えるが。
「……それでも此処は学園であり教育機関です。然し名前が無いのは不便ですね……」
「あーもう、分かった分かった……名無しって意味もあるジャックとでも呼べよ。Mr.轡木」
「……確かにジャックと言えば正体不明や名称が分からない者に付ける便宜上の名前ですが……」
「二度は言わねぇよ……面倒だ」
本当に面倒臭いんだよ。お前らの相手するのは、如何してこう直接来ないのかなぁ? これならキチガイ共の相手をして居る方が大分マシって言えるもんだ。
「ふむ。それではジャック君と呼ばせて貰いましょうか。番号や識別名で呼ぶと凄く浮きますので」
「全国の強欲さんに謝って来いよ」
強欲って名前の人に失礼だと思うぜ? Mr.轡木。
「……そろそろ、IS学園の入学式が終わりますね、君のクラスは1年1組です。呉々も問題を起こさない様に頼みますね」
騒がしい。その一言に尽きる。学園長室から迎えに来たどっかの『傲慢』を彷彿とさせる女に連行されながら1年1組と言う部屋へと向かって居る。
「何度も言うが、騒ぎは起こすなよ?」
「餓鬼相手に騒ぐのは大人気ないと思うがな?」
「貴様もまだ餓鬼だろう? 第一、その歳で一体何をやらかした? あの監獄は手に負えない奴が放り込まれる場所だ」
へぇ、彼処を知って居るのか? まぁ、知って居たとしても3割程度しか知らないだろうけどさ。彼処はそう言う所だ。
んで、このヤバそうな女は織斑 千冬と言う名前だそうだ。何でも
「貴様、何か変な事を考えて居なかったか?」
うわぁ……野生の勘が鋭い様で……この人の前で下手な真似はしない方が良さそうだな。
「いんや?アンタの二つ名を見て居ると嫌な事を思い出すだけさ」
「……私とてそう連呼されたく無い称号だ」
「あそ、確かに幸福とは程遠そうだな。主に結婚とかな」
「……貴様、口を慎む事を覚えたらどうだ?」
あらら、気にして居るのかねぇ……ンなもん、分かり切った事を。
「事実であり現実を否定して何になる。何事も現実ありきの事だろう?」
「……だからと言って声に出して言う事では無いの筈だ。余計な軋轢や敵を生むぞ」
「それこそ分かり切った事実だろう? お前達と俺達では天地の差がある。そんな簡単な事、餓鬼でも理解して居るだろ」
革命が起きない限り、その認識は変わる事は無い。ついでに言えば善悪と言う律が崩れなければ善悪は滅びない。
「……分からないか? 俺とお前達は最初から敵同士だと言う事だ。女と男、女尊男卑と言う甘味と鹹味。二次性徴以前からのお得意の刷り込み教育が生み出した事実だ」
簡単に言って仕舞えば、敵になる様に仕組んだのは其方側、だが此方側も黙って居るつもりは無いと言う事なのだ。
「……小僧、減らず口を叩くのもいい加減にしろよ」
「なら、殺すか? 勿論、俺は別に構わねぇよ? 殺し返せば問題は無いからな」
相手は元囚人、考え方からして訳が違う。
「そう言う問題では無い」
「いいや、無問題だ……最後は須らく死に絶える」