「衝撃が…貫通した!?」
「よく出来ました」
気絶した肥満男を軽々と投げ捨て、昨日のように女武闘家の頭を撫でる。
「もっと修行すれば…」
数歩下がり女武闘家と同じ正拳突きの構えをとる。
「フンッ!!」
「な!?」
正拳突きを打った瞬間、鋭い破裂音と共に少し離れた場所にいる自分の元まで衝撃が伝わってくる。
「自分より大きい人間はおろか田舎者や小鬼英雄(チャンピオン)の様なデカい相手も仕留められる!」
「な…何?…今の音!?」
「あの黒い鎧の冒険者が何かしたのか?」
「やば…何かさっきより人集まって来てる…」
先程の音が気になったのか、先程より人混みが大きくなってしまった。
「憲兵が来ると面倒だからそろそろ行くか…じゃあな」
「あの!!」
片腕を上げその場を去ろうとした時、女武闘家に呼び止められその場で振り向く。
「ん?どうした」
「あの!私を弟子にしてください!!」
「は?…」
「強くなりたいんです!昨日みたいに仲間がやられてるのを黙って見ているのは嫌なんです!」
「…」
女武闘家の強い決意が篭った目を見つめ、少々考える。
「どんなに辛くても耐えてみせます!だから!」
「弟子…かぁ…師匠もこんな気持ちだったのかな…」
ふと昔の事を思い出す。
「え?…」
「いや、なんでもない、おい!ヴェル!!」
「ん?何だ?」
「うわ!?馬が喋った!?」
「凄い!!何かの魔法かしら?」
邪魔そうに人を避けこっちに近づいてくるが、また人混みが大きくなる。
「弟子出来た!買う家は二階建てに変更な」
「弟子ぃどう言う風の吹き回しだい?旦那」
「たまにはこう言うのもいいだろ?」
「いいんですか!」
「あぁ、よろしくな」
「はい!よろしくお願いします…ですが…」
「あぁ…この人混み…どうしよう」
「ゴラァァァ!!ワシの店の前で何の騒ぎだ!商売にならんだろ!!店に用がないなら消えな!!」
「やべ…おやっさんだ!!」
「逃げろ!?」
人混みをどうやり過ごすか考えていると、武具屋からガタイのいい店主が金槌を振り上げ鬼の様な顔をして店から飛び出し、人混みを散らし始めた。
「ったく…」
先程の人混みが嘘の様に人がいなくなり、その場に残ったのは人間二人と馬一頭のみになった。
「ん?何だお前達…喧嘩か?」
武具屋の店主は黒い鎧の冒険者と女武闘家と気絶した男三人組を交互に見て、腕組をしながらこちらの様子を伺う。
「武具屋か丁度いい、いや俺の弟子がアンタの店から剣を盗んだそこの三人組を退治したんだ」
盗まれた剣を広い上げ、品質を見た後老人に手渡す。
「そうかいありがとよ嬢ちゃん、ったく…ろくに扱えないのに盗むんじゃねよ」
「い…いえ、それであの三人組はどうするんですか?憲兵に引渡しますか?」
「ほっとけその辺で寝てれば勝手に憲兵が見に来るわい、ワシは店に戻るからあんたらも用がないなら何処かに行きな」
「いや丁度武具屋に用があるんでね、さっきの剣かなりの上物だな?」
「ほぅ〜お前さん解るのかい?ワシが造ったんだ、ワシの店にある武具らどれも上物だ」
「まぁな、だからこの子の装備を見繕って貰えるかい?」
ポンと背中を押し女武闘家を前に出す。
「ふむいいだろ店ん中はいんな、さっきの礼にマケてやる」
「ありがとよ、ヴェル少し待っててくれ」
「…ヒヒン」
騒ぎに懲りたのか言葉を遣わず、普通の馬の振りをして返事をする。
「さっきの騒ぎで懲りたんだろうな…んじゃ行くぞ」
「し…師匠…」
武具屋の店主の後に続き中に入ろうとした瞬間、女武闘家に腕を捕まれ歩みを止める。
「どうした?」
「あの…私お金…そんな持ってなくて…」
「は?師匠が弟子の装備を買うのが当たり前だろ?だから行くぞ」
女武闘家の手を引き店内に入ると、燻された革などの独特な匂いに包まれる。
「こっちに来な嬢ちゃん、ワシの孫娘が採寸してくれる」
「は…はい…師匠色々ありがとうございます」
「気にすんな」
軽く頭を下げ、店の奥に消えていく。
「さて、買い物は嬢ちゃんだけかい?魔剣の兄ちゃん」
「あれ?気づいてた」
「当たり前だ、その鎧も普通のじゃないな?魔装か?」
店主が奥から出て来ると鎧や魔剣を眺めはじめた。
「当たりだ」
「魔剣二振りに魔装…常人なら着けた瞬間即死だ、アンタただもんじゃないな?」
「死ぬのが怖くて冒険者が語れるかよ?」
「だっはっはっはっはっお前さん本当に面白いのぉ、んでお前さんは買い物はあるのか?」
「ダガーナイフを20本頼む」
「おじいちゃん~採寸終わったよ」
「ご苦労んじゃ嬢ちゃんの装備選んでくっから、ダガーナイフも会計の時でいいな?」
「あぁ頼む」