この異世界を神様と旅します   作:もつもつもりー

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第1話

「何万モノ兵ト魔術ヲ吹キ飛バシ、戦場ノ中心…笑ウ影…リ

ソ…モノ…名ハ………………」

『フラグメント神書』崩壊の世界第4部より

 

 

 

 

俺は何の変哲もない高校2年生だ。特技というものは無いが、幼い頃から剣道をしていたので、剣道の腕前には自信があった。今日もいつも通り学校に行き、いつも通りの退屈な日常を過ごしていた。

いつも通りの学校からの帰宅途中、突然家まであと100m程度のところで呼び止められた。

『見つけたぞ…我が主…!』

と、そこにはボロボロになった50cm程度のクマの人形が捨ててあった。俺もとうとう疲れてきたのか。人形が自分に話しかけているなんて…馬鹿らしいにも程がある。

『こちらへ来い』

体は石のように固まり、俺の思うように動かない。

俺の体は吸い寄せられるように人形の方へと向かい、そして人形を拾い上げた。

次の瞬間人形の目の前に突然虚空が現れ俺を飲み込んでいった。

 

 

 

気づくと俺は何も無い無限に続いていくような空間にいた。

「あの人形はなんなんだ!ここは一体どこなんだ!」

俺は叫んだ。ここでじっとしてると何も無いこの空間に飲み込まれそうなそんな感覚がしたからだ。

『騒がしいな』

その声は低く威厳のある声だった。

「誰なんだお前は!どこにいる!」

あたりを見回しても誰もいない。どうしてなのかわからない。不思議なことが起こりすぎてどうにかなりそうだ。

『まぁ、そう焦るな』

瞬きをする間もなかっただろう。突然俺の目の前にはかなりの美貌を持った男が立っていた。

『久しいな我が主よ』

どういう事だ?頭の中が空白で埋め尽くされ、無言のままの俺にこう告げた

『無理もない。前世での記憶など覚えているものを見た事がないのでな』

「…な、なんなんだよ」

『そうか申し遅れたな…』

コホンと一旦区切り、

『我はオリュンポス十二神の一柱、戦を司る神、アレースである!』

ポカンとしている俺を無視しアレースと名乗る男はこう続けた。

『お前は地球以外の世界があると思うか?』

「あるにはあるんじゃないか?別にないと言い切れるものでもないし…」

『では異世界へ転生するというのは想像できるか?』

「はぁ?」

突然異世界がどうとか言われてもわからない。大体、

「俺は生きているし、死んでなんかいない」

そう、異世界に転生するには死ななければならない。よくあるラノベの知識を思い浮かべながら俺は言った。

『いや、お前は死んだ』

何言ってるんだこいつ?俺は確かに生きている。いまここで。なのに死んだなんて、よくわからないことを言うもんだ。

『聞いたことくらいはあるだろう。人は2度死ぬ。1度目は肉体的な死。2度目はすべての人が、その人の存在を忘れてしまった時、人は完全に死ぬ』

「回りくどいな、さっさと結論を言ってくれ!」

『お前のことを忘れさせた。全ての人から。お前は2度目の死を迎えて完全に死んだ』

「忘れられた?どういう事だ?」

『人形に触れた時に出た虚空はお前を全ての人間から忘れさせた。お前を次の世界へ縛り付けるひとつしかない方法だ。お前が地球という世界を思い出さないようにするためのな。そして、これはもう決定したことだ』

どれだけ嫌だと言っても神様が決めた事だ。どうやったって抗えないのはやつの話す雰囲気でわかった。ならアレースの言う次の世界の情報を少しでも仕入れておこう。

「次の世界ってのはどんな世界なんだ?」

『7つの国が戦争中だ。力あるものが王となる』

「力あるもの?」

『神が取り付いた人間には能力が与えられる。この世界ではその力を使い王になろうとするものが山ほどいるのだ。神が与える能力については後で答えてやろう』

『言い忘れていたが、人間がこの世界に転生するのは珍しいことだ。お前は選ばれたということだ』

直後だった。

 

頭が…痛い…急になん…なんだ…

俺は意識を失い、倒れた。

 

 

 

…意識が朦朧とする。ここはどこなのだろう。

目を覚ますと、雨が降っていた。

そこは戦場だった。そういえばアレースが言っていたではないか。この世界では戦争が起きていると。辺りを見渡して気づいた。

無数の人間の死体が転がっていた。

俺の手には大量の返り血がびっしりとついている。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!」

俺が殺したのか?こんな大量の人間を?手に持っているのは剣道で使う竹刀ではない。血がびっしりとついた剣だ…『ようやく目覚めたな我が主よ』

アレースの声だ。頭の中で声が響いている。

「なんでこんなことになったんだ!どうしてこんなことをした!」

『何故自分の命を狙うものを殺してはいけないのだ?』

さも当然のように淡々と話す口調は何度も死の淵に立たされているからなのだろう。

殺らなきゃ、殺られる。

この世界のルールがわかった気がした。

「…お前がここに来る前に言っていた神が与える能力ってのはなんなんだ?」

気持ちを落ち着かせるために疑問を口に出す。

『そうか、まだ説明していなかったな…』

『神が与える能力は「炎」「水」「風」「雷」「技」「暗黒」「予言」の7種類ある。』

「そんなに種類があるのかよ…んで、アレース。お前が与える能力はなんなんだ?」

『私は主に「炎」の能力を授ける。』

「でもこの死体たちに焼けたような跡はないぞ」

そう。ここにある死体は皆斬られているのだ。火傷の跡など無いのだ。

『こんなもの達のためにわざわざ能力など使う必要などない』

つまり、この剣技は能力ではないということか。この人数を返り討ちにするなんて戦を司る神だから出来たことなのだろうか?それともどんな神様でもこの位の人数なら簡単に捻ることが出来るのか。真実は神のみぞ知る。…よし、うまい事言った。

そして疑問に思っていたことをアレースに尋ねてみた。

「この世界では7つの国が争っているって言ってたけど、争っているやつらの名前はなんなんだ?…あとここはどこなんだ?」

『ここはこの7つの国どれからも支配されず、歴史の転換点に何度も関る場所…「フラグメント」だ。』

歴史の転換点に何度も関わるというだけでなんだか凄そうな場所だな。

『そして。この世界には炎の国「ギリドニア」、水の国「エルノルト」、風の国「リマーナ」、雷の国「ジルニア」、技の国「マスラータ」、暗黒の国「ダリアル」、予言の国「プレドス」、の7つの国だ。7つの国全て神が人間に力を与えたせいで対立してしまったのだ』

力は人を狂わせる。神が人間に力を与えた。ただそれだけでそれまでの世界が崩れてしまった。ということなのだろう。

「なぁアレース着替えとかないのか?」

そう、今の俺は返り血を浴びて全身真っ赤なのだ。大量の血がついているというのはかなり気持ち悪い。

『確かに、いちいち敵から武器を奪うのは力の無駄になるからな。お前が常備する武器なども手に入れておきたい…ここからだとギリドニアが近いか』

「よし!じゃあギリドニアに向けて出発しよう」

 

ギリドニア。ここから俺の、この世界の旅が始まる。

 

 




初めまして「もつもつもりー」と申します。今回からハーメルンにて小説を投稿させていただきます。リアルの方が忙しかったりすると投稿できないかもしれませんが空き時間を見つけて執筆していきたいと思います。
拙い文章ですがこれからどうぞよろしくお願いします。
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